北大路機関

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【日曜特集】百里基地航空祭二〇一二【03】航空祭の華!ファントム&イーグル編隊飛行(2012-10-20)

2022-04-10 20:01:31 | 航空自衛隊 装備名鑑
■ファントム編隊飛行
 編隊飛行と云うものは数が揃って迫力ある構図を誰でも簡単に撮影できるという正に航空祭の華というものでしょう。

 航空祭の本番、うわあ飛んできたなあ、という瞬間です。この瞬間で青空を順光の環境で撮影できますと、もうこの茨城までやってきてよかったなあ、と痛感するものでして。なにしろ天気予報が晴天でもこの瞬間に雲が太陽を遮るということは希にあるのですから。

 ファントム編隊飛行、ぜいたくを言えば小出しに編隊飛行するのではなく一つの大編隊を組んでほしかったなあ、とは思うところです、そうF-15戦闘機にF-4EJ改戦闘機にRF-4偵察機で11機編隊飛行、可能なら航空団に配備されるT-4練習機も編隊に加わってほしい。

 航過飛行は一航過しか行われない、つまり撮影の瞬間は貴重なので集中します、岐阜基地航空祭では編隊飛行が編隊を組み直して二回三回と飛行してくれますが、あれは飛行開発実験団の名物的な飛行なのですから、一航過だけは寧ろ普通、さあカメラを構えよう。

 快晴とはこういうことをいうのでしょうね。一方で編隊飛行がどの規模なのか、これは予行を撮影しなければわからない、とも思うのですが総合予行と本番で編隊の組み方が微妙に違うこともありますし、風向き一つで滑走路離陸方向も変わってきます、運が必要だ。

 青空というのも、とにかく航空祭へ撮影計画を立てる際に、その基地は何処から撮影すると順光で撮影できるのか、基地のエプロンか、思い切って滑走路の反対側か、反対側に出ると角度から撮影できなくなるものはどう行ったものがあるのか、撮影計画を練り上げる。

 イーグルとファントム、2021年にファントムが完全退役してしまいましたので、まさに過去の映像というところですが、これを考えるだけに一つの編隊で飛行してほしかったものです、岐阜基地では普通にやっていますし新田原基地の編隊もなかなか迫力があった。

 広角レンズで撮影するか望遠レンズに切り替えるか、これはもう本当に緊張するのですよ、意外に編隊が広がりますと望遠レンズでは肝心なときにフレームから出てしまうことがある、広角レンズですと編隊が小さければ望遠不足に泣く事にもなります、どうするか。

 地上に並ぶ航空機を構図に入れるならば広角レンズもよい、しかしCANONは高倍率ズームが苦手なのか、18-200mmを廃盤にして18-135mmとしてしまいました、そして望遠ズームの28-300mmも後継機種が出ない、撮影しますと、ズームの便利さはありがたい。

 ファントム後継にライトニング、F-35戦闘機を選んだ航空自衛隊ですが、F-35戦闘機の能力は非常に高く多用途で、F-4EJ戦闘機やF-15J戦闘機のステルス版としてもちいるようなことは、その運用に留めてしまうことはないのだろうというのは安堵するところです。

 専守防衛は、F-35をどこまで受け入れられるのかという視点で示しました。内閣法制局の統一解釈では相手国土を専ら完全に破壊するものを保有できないとしているものの、こういったもの等をのぞけば策源地攻撃は、可能であると解釈できます。敢えて曖昧なのだが。

 相手国土を専ら完全に破壊するものを以外、と。当時の解釈には戦術核に含みを残すとも残さないとも解釈されうる表現で、もっとも個人的には日本はB-61核爆弾のような戦術核兵器であっても保有すべきではないと考える、こうしたものまで含まない限り、どうか。

 敵基地攻撃能力については冷静にその能力整備の強化を考えるべきなのかもしれません、すると、専守防衛は周辺国の領土を併合する施策の否定という、新しい解釈の元で展開すべきなのでしょうか。専守防衛、しかしもう一方の視点、平和を買った認識はなかったか。

 日本は1968年に当時の西ドイツの国民総生産GNP、最近はGNIと表現するようですが、抜き去り1968年から東日本大震災の2011年まで長らく世界第二位の経済大国となっていましたが、経済大国の“金持ち喧嘩せず”“金で解決できないものはない”驕りを感じる。

 日本の平和主義には世界第二位の経済大国が平和を望めば戦争は起きないという奢りがあったのではないでしょうか、平和を札束で買う、こうした表現は好きではないのですが、現実の国際政治と平和主義の理念には現実的に大きな隔たりがあったように思えまして。

 経済大国が平和を望めば戦争は起きないという奢り。このあたりが、日本も平和を札束では買えない、平和の値段が高くなりすぎて日本の経済力では買いたたけず、防衛力を整備する必要が突きつけられている構図なのか、とも考えるのですね。すると思う点がひとつ。

 F-22、日本の伝統的な平和主義を考えるのであれば日本は無理をしてでもF-22戦闘機の導入を交渉すべきでした、あれこそが制空戦闘機の理想型、確かに2035年より用途廃止がはじまるとアメリカ空軍が2021年に発表していますが、これは生産数が少なく、特殊性が。

 F-22は更に災害による保有機一割以上がハリケーンにより破損し稼働状態にない中での空軍保有機の稼働率評価を受け、稼働率が低いと評された背景があります。F-22,これは仮に航空自衛隊が無理に採用したらば、アメリカ空軍でも再生産の模索はあったのですから。

 日本採用でその総生産数は若干変わっていたのかもしれません。イージスシステム。さてF-22に関してはアメリカ政府に導入を打診したものの議会が輸出を認可しなかったという背景があるためにそもそも保有できなかったのだろうという反論はあるのかもしれません。

 しかし、これはイージスシステムも同様の背景があったのです、しかしイージスシステムは導入できた。イージスシステムを導入した背景にはその必要性もさることながら太平洋軍と海上自衛隊の伝統的な関係がありまして、結局は粘り強い交渉の成果といえましょう。

 イージスシステムは最後、海上幕僚長がアメリカ海軍作戦部長に日米海軍トップ同士の直談判で日本への供与を切り開いたというねばり強い交渉結果がありまして、F-22の導入まで踏み込んだ交渉があったようには聞きません。ただ、専守防衛を考えるのであれば。

 専守防衛を真剣に考えるならばJSF統合打撃戦闘機としてその名称からも打撃を含んだ戦闘機よりは、純粋な航空支配戦闘機、制空権を獲得するために必要な能力に特化したF-22を政治が推すべきだったとも考えています。もっともF-22はF-35よりも取得費用は高い。

 戦闘機取得費用は確実に増大します、維持費用も比較にならない水準でしょう。このためには防衛費を高く確保する必要があります、日本が経済成長を続けているならば、たとえば年間10%の経済成長を続ければ七年でGDPは倍増する、経済成長があれば、とも思う。

 F-15,なにしろ中曽根内閣時代に一機180億円と、当時は円安だ、高価な戦闘機を導入決心したのです、F-22も普通に選択肢に入ったのでしょうか。F-22をF-35よりも優先する、専守防衛を考えるならば与党はもちろん野党もこう推すべきだったと考えるのですが。

 F-35は日本の平和主義の限界、札束で平和を買える時代は終わり、専守防衛は防衛任務での領域外作戦も含まれる、こうした状態となっている象徴のようにも、思えてならないのですね。平和も高くなったもの、ここまで世界が発展した事は喜ばしいが、ここは寂しいものですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【G3X撮影速報】久居駐屯地創設70周年記念行事-三重県津市の普通科連隊,不確かな時代に掲げる抑止力の盾(2022-04-10)

2022-04-10 18:29:28 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■久居駐屯地祭二〇二二
 本日夕方は水火天満宮枝垂桜を紹介する予定でしたが変更です、久居駐屯地祭が執り行われました。行事速報ということで今回は様々な行事展示式典の内容を厳選してお送りしましょう。

 久居駐屯地創設70周年記念行事、本日挙行されましたので行って参りました三重県へ。久居市、という街は合併により現在三重県津市となっていますが、近鉄久居駅の文字通り駅前にありまして、あの守山自衛隊前駅や真駒内駅よりも駅に近い駐屯地となっています。

 2020年の自衛隊行事は唯一、空挺団降下訓練始めが執り行われまして、それ以降の行事は新型コロナウィルスCOVID-19感染拡大により今に至るもほぼ中止が続いています。こんかいも実は招待者のみの行事、いつもお世話になっている方に声を掛けて頂いたしだい。

 感謝です。そして気分は初心者、久しぶりの行事ですのせカメラの構え方を覚えていただけでも、というくらいのもので、そして久居駅は津市、いつのまにか近鉄の名阪甲特急が津駅に停車するようになっていましたので、新特急ひのとり乗車も叶いましたという。

 第33普通科連隊が駐屯、この連隊は中部方面隊で最初に軽装甲機動車が配備された普通科連隊となっています。これも2002年となりますので軽装甲機動車配備20周年、ということになるのでしょうか、連隊は対戦車中隊廃止など変革を遂げまして70周年を迎えました。

 ロシア軍ウクライナ侵攻により世界は不確かな時代へ突入しました、新型コロナウィルスCOVID-19感染拡大という一点だけでも不確かな時代となっているのですが、文明国が突如言いがかりつけ隣国へ侵攻する、いま世界は19世紀のような不安定と共存を強いられる。

 自衛隊行事は、いまこそ必要とされているように思います。それは国民が自分の国の防衛力が、妥当であるかどうかを自らの価値基準で推し量るには実際にみてみるほかないのです、そして自衛隊の駐屯地は全国に広く配置されており、その機会は実際、数多いのです。

 普通科連隊とは、旧軍でいう歩兵科部隊であり近接戦闘を担う戦闘職種です、その装備は小銃と機関銃を基本とし、対戦車ミサイルや重迫撃砲と装甲車などを装備している。本州の普通科部隊は一個中隊のみ軽装甲機動車を装備しています。そしてほかは高機動車を。

 歩兵部隊はあやゆる地形と天候を克服します、ロープが在れば日本アルプスの断崖も克服しますし、特別警報級の悪天候でも近接戦闘を遂行でき、津波と火砕流いがいにはほぼ対応できるという点がその特質です。そして火力も重迫撃砲を装備しますので、比較的高い。

 70周年記念行事、久しぶりの行事であると共に燃料費高騰の時代に、高機動車化部隊を全て徒歩部隊とするなど配慮とともにしっかりと撮影する事ができました、願わくば、次の行事では自由に多くの方が入場し見学撮影できるよう、感染拡大が終息してほしいのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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ロシア制裁ーウクライナ侵攻,中国とインドはどちら側か?中立かロシア擁護か揺れる防衛協力と経済関係

2022-04-10 07:02:00 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 ロシア軍ウクライナ侵攻に際して欧州やアメリカと日本や豪州など各国は経済制裁で応じていますが二つの国の去就が明確となりません。

 中国はどちら側なのか、ロシア軍ウクライナ侵攻により中国は慎重に情勢を見極めようとしています、これまでならば中ロ関係を第一としているところなのかもしれませんが、なにしろ中ソ関係はダマンスキー島事件という国境紛争における武力衝突もありましたので一筋縄ではゆきません、安易にロシアに肩入れすれば経済制裁もありうる故に慎重です。

 ロシアからの原油新規購入を見合わせる、中国国有企業は6日に意外と言える決定を示しました。中国政府は国連総会緊急集会ESS決議、安保理拘束力を代行する会議でのロシアへの非難決議を棄権しています。これは結局中国はロシア側なのかという失望が一部で指摘されましたが、反対票を投じた北朝鮮とは違い棄権を表明しています。何を意味するか。

 中ロ関係は、中国にとっては新しい生命線といわれる一帯一路、そして北極海航路というロシアの影響圏内を通る通商経路の問題がありますので表立って対立できないという難しい視点があります、これは中国にとり従来の欧州からのインド洋を通るシーレーンがアメリカの影響下にあり、そのために整備したものですのでここで寸断は避けたいのでしょう。

 防衛協力の面では。中国はロシア製兵器を云々で関係を絶てない、こういう認識はあるようです、ただ、これは2010年代前半と2020年代では相当違いまして、戦車などは1953年の中ソ関係悪化以来国産路線を継続しています、戦闘機は1992年にはロシアよりSu-27を輸入しましたが、リバースエンジニアリングによりかなりの部分を国産化しました。

 中国にとり苦労したのは戦闘機用エンジン技術ですが、これも2010年代末にはかなり高い水準のWSエンジンシリーズの国産化に成功しました、艦艇などは国産艦がロシア艦よりも性能が高くなっており、このほかの経済関係では中ロ貿易総額よりも米中や日中、欧州との関係のほうが大きく、このためよい意味でも逆の意味ででも、今は中立的といえます。

 インド。ESS国連総会緊急会合ではインドがロシア非難決議に棄権しアメリカを失望させましたが、インドの防衛装備品をみれば、これは仕方がないところです。戦車はインドが国産戦車開発に失敗する度のロシア聖戦車輸入で凌いでいますし、戦闘機開発も近年はフランスからラファールを調達しましたが主力はフランカーシリーズという現状があります。

 インドは中国海軍のインド洋進出に対して最新鋭のブラモス超音速対艦ミサイルを開発し対抗している構図ですが、このブラモスはロシアのヤホントミサイルそのものであり、これがなければインド海軍はインド洋での決定打がありません。次期戦車はロシアのアルマータ戦車のインド版を考えているし、導入を進める原子力潜水艦もロシアに頼っている。

 インドへアメリカが防衛装備品を供与するにも、確かにP-8I哨戒機などを輸出していますが、例えばインドが欲する超音速ミサイルの技術はアメリカでさえ現在開発中で供与できない。次世代戦闘機もF-35戦闘機のライセンス生産などは不可能でしょうし、原子力潜水艦もヴァージニア級の供与などは流石にアメリカにとっては論外なのではないでしょうか。

 しかし、次期空母艦載機にF/A-18Eが候補となっていますし、ヒマラヤの中印国境用次期軽戦車をロシアからのスプルート空挺機動砲ではなく、韓国から導入したK-9自走砲が高く評価されたためK-9派生型の軽戦車構想が進められています。インドは製造業を求めている、場合によっては20年後30年後には変わるかもしれないが、当面は難しいのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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