■域外SEAD,憲法上可能か
野砲の射程が50kmを超えた時は驚きましたが今や70kmや100kmさえ視野に入り様々な兵器の射程が延伸している事を実感します。そう様々な装備の射程が延びている。

敵基地攻撃能力。日本の防衛政策を考える上で常に論点となる、禁忌か必要かの分水嶺ですが、従来この論争は日本を狙う北朝鮮のノドンミサイル等弾道ミサイルに対してのものでした。しかし、この敵基地攻撃能力はロシア軍ウクライナ侵攻により従来それ程重視されてこなかった角度からの視点迫られている現状だ、SEAD防空制圧任務という視点から。

S-500地対空ミサイルは2020年代にロシアが開発したミサイルで、既に長射程で知られるS-400地対空ミサイルよりも更に射程が延伸、2018年に発表されたアメリカ国防総省のロシア軍関連装備に関する報告では開発試験に際し300マイル先の目標へ命中したとしており、これは482km、つまり沿海州から札幌や千歳基地上空が充分射程内に含まれるのです。

SEAD防空制圧任務、敵の地対空ミサイル部隊を制圧する任務で、極めて危険な任務ですが必要な任務でもある。アメリカ空軍ではF-16戦闘機が展開していますが、敵ミサイルが存在すると思われる競合地域などを無防備に中高度を先ず飛行させ、敢えて敵地対空ミサイルの標的となります、戦闘機が狙われた際に即座に別のF-16が敵ミサイルを攻撃する。

危険な任務というのは、陣地に展開している敵地対空ミサイル部隊を探す術は、射撃管制レーダーや防空レーダーを作動させるか、ミサイルを発射した瞬間です、つまりミサイルに狙われ逃げる必要があるということ。制圧にはレーダーを逆探知して電波発信源を狙うハームやシュライクなど対レーダーミサイルや誘導爆弾、必要ならばロケット弾も使う。

徘徊式弾薬に対レーダー検知装置を搭載し防空制圧を行う手法は2020年のナゴルノカラバフ紛争で実施されました。囮の大型無人航空機や訓練用標的機を用いて相手の防空砲兵部隊の動きを探り、安価な無人機などと併用し大まかな位置を把握したうえで、レーダーはイスラエル製徘徊式弾薬ハーピー、動かないものはトルコ製バイラクタル無人機が狙う。

敵基地攻撃能力が国会において議論されたのは1960年代、核ミサイル等により日本を狙う脅威が存在した場合に座して死を待つのか、こうした議論でした。しかしこの1960年代にはそれ程射程が大きくなかった装備が年々射程を延伸し、当時では全く想定されてこなかったものが日本を射程に収めている、それはロシアと中国の新型地対空ミサイル射程です。

弾道ミサイルについてはミサイル防衛システムが開発されていますが、日本本土まで飛来する地対空ミサイルについてはその限りではありません、一応、イスラエルの弾道弾迎撃用アローシステムなどは過去、シリアの地対空ミサイルを弾道ミサイルと判断し迎撃、撃墜した事例はありますが、敵基地攻撃能力可否が議論された頃は精々射程が100kmでした。

S-300地対空ミサイル、二月から続くロシア軍ウクライナ侵攻ではロシア製兵器の散々な性能が示されています、対戦車ミサイルを迎撃し戦車を防衛するアレナ戦車防衛システムを搭載したT-90戦車は黒焦げで並び無人機を撃墜する為に展開したトール戦術防空ミサイルが移動中にバイラクタル無人機に破壊される様子、ホーカム攻撃ヘリも初日に落とされた。

しかし、S-300地対空ミサイルについては評判通りの性能を発揮しています、S-300ミサイルはロシア軍にもウクライナ軍にも配備されており、ウクライナ軍へ配備されているS-300は過去湾岸戦争で問題となったような輸出用廉価版ではなくロシア軍の最新鋭機に対しても威力を発揮しており、またロシア軍のS-300やS-400もウクライナ空軍を封じています。

今後有事の際には、日本へ発射される弾道ミサイルも脅威となるのでしょうが、同時に敵基地、具体的には日本の領域外の外国領土から直接地対空ミサイルを我が国航空機へ投射してくる可能性が充分有ります、するとこうした長射程の地対空ミサイルを無力化しなければ、自衛隊機は勿論、民間の旅客機さえ飛行出来なくなる訳です。するとSEADが要る。

SEAD防空制圧任務は専守防衛の範疇と見えるものですが、相手の地対空ミサイルが侵略部隊と共に日本に上陸したものだけではなく、日本の領域外から発射されるならば必然的に敵基地攻撃、S-300やS-400にS-500は移動式ですので、基地以外の演習場や民有地などからも発射可能となります、こうしたものを叩く事はどう考えるか、法的裏付けが無い。

SEAD防空制圧任務対処能力は必要なのですが、同時にこの問題は現行憲法や自衛隊法との兼ね合いでどう考えるのか、まさか制空作戦を最初から度外視して本土決戦と、帝国陸軍のような無茶は考えないでしょうから、法整備と能力構築、つまりソフト面とハード面を合せ整備してゆかなければなりません、ロシア製ミサイルは脅威が確認されたのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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野砲の射程が50kmを超えた時は驚きましたが今や70kmや100kmさえ視野に入り様々な兵器の射程が延伸している事を実感します。そう様々な装備の射程が延びている。

敵基地攻撃能力。日本の防衛政策を考える上で常に論点となる、禁忌か必要かの分水嶺ですが、従来この論争は日本を狙う北朝鮮のノドンミサイル等弾道ミサイルに対してのものでした。しかし、この敵基地攻撃能力はロシア軍ウクライナ侵攻により従来それ程重視されてこなかった角度からの視点迫られている現状だ、SEAD防空制圧任務という視点から。

S-500地対空ミサイルは2020年代にロシアが開発したミサイルで、既に長射程で知られるS-400地対空ミサイルよりも更に射程が延伸、2018年に発表されたアメリカ国防総省のロシア軍関連装備に関する報告では開発試験に際し300マイル先の目標へ命中したとしており、これは482km、つまり沿海州から札幌や千歳基地上空が充分射程内に含まれるのです。

SEAD防空制圧任務、敵の地対空ミサイル部隊を制圧する任務で、極めて危険な任務ですが必要な任務でもある。アメリカ空軍ではF-16戦闘機が展開していますが、敵ミサイルが存在すると思われる競合地域などを無防備に中高度を先ず飛行させ、敢えて敵地対空ミサイルの標的となります、戦闘機が狙われた際に即座に別のF-16が敵ミサイルを攻撃する。

危険な任務というのは、陣地に展開している敵地対空ミサイル部隊を探す術は、射撃管制レーダーや防空レーダーを作動させるか、ミサイルを発射した瞬間です、つまりミサイルに狙われ逃げる必要があるということ。制圧にはレーダーを逆探知して電波発信源を狙うハームやシュライクなど対レーダーミサイルや誘導爆弾、必要ならばロケット弾も使う。

徘徊式弾薬に対レーダー検知装置を搭載し防空制圧を行う手法は2020年のナゴルノカラバフ紛争で実施されました。囮の大型無人航空機や訓練用標的機を用いて相手の防空砲兵部隊の動きを探り、安価な無人機などと併用し大まかな位置を把握したうえで、レーダーはイスラエル製徘徊式弾薬ハーピー、動かないものはトルコ製バイラクタル無人機が狙う。

敵基地攻撃能力が国会において議論されたのは1960年代、核ミサイル等により日本を狙う脅威が存在した場合に座して死を待つのか、こうした議論でした。しかしこの1960年代にはそれ程射程が大きくなかった装備が年々射程を延伸し、当時では全く想定されてこなかったものが日本を射程に収めている、それはロシアと中国の新型地対空ミサイル射程です。

弾道ミサイルについてはミサイル防衛システムが開発されていますが、日本本土まで飛来する地対空ミサイルについてはその限りではありません、一応、イスラエルの弾道弾迎撃用アローシステムなどは過去、シリアの地対空ミサイルを弾道ミサイルと判断し迎撃、撃墜した事例はありますが、敵基地攻撃能力可否が議論された頃は精々射程が100kmでした。

S-300地対空ミサイル、二月から続くロシア軍ウクライナ侵攻ではロシア製兵器の散々な性能が示されています、対戦車ミサイルを迎撃し戦車を防衛するアレナ戦車防衛システムを搭載したT-90戦車は黒焦げで並び無人機を撃墜する為に展開したトール戦術防空ミサイルが移動中にバイラクタル無人機に破壊される様子、ホーカム攻撃ヘリも初日に落とされた。

しかし、S-300地対空ミサイルについては評判通りの性能を発揮しています、S-300ミサイルはロシア軍にもウクライナ軍にも配備されており、ウクライナ軍へ配備されているS-300は過去湾岸戦争で問題となったような輸出用廉価版ではなくロシア軍の最新鋭機に対しても威力を発揮しており、またロシア軍のS-300やS-400もウクライナ空軍を封じています。

今後有事の際には、日本へ発射される弾道ミサイルも脅威となるのでしょうが、同時に敵基地、具体的には日本の領域外の外国領土から直接地対空ミサイルを我が国航空機へ投射してくる可能性が充分有ります、するとこうした長射程の地対空ミサイルを無力化しなければ、自衛隊機は勿論、民間の旅客機さえ飛行出来なくなる訳です。するとSEADが要る。

SEAD防空制圧任務は専守防衛の範疇と見えるものですが、相手の地対空ミサイルが侵略部隊と共に日本に上陸したものだけではなく、日本の領域外から発射されるならば必然的に敵基地攻撃、S-300やS-400にS-500は移動式ですので、基地以外の演習場や民有地などからも発射可能となります、こうしたものを叩く事はどう考えるか、法的裏付けが無い。

SEAD防空制圧任務対処能力は必要なのですが、同時にこの問題は現行憲法や自衛隊法との兼ね合いでどう考えるのか、まさか制空作戦を最初から度外視して本土決戦と、帝国陸軍のような無茶は考えないでしょうから、法整備と能力構築、つまりソフト面とハード面を合せ整備してゆかなければなりません、ロシア製ミサイルは脅威が確認されたのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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