■週報:世界の防衛,最新12論点
今回は陸軍関連について12の話題を。自衛隊はロシアのウクライナ侵攻という無茶苦茶な口実で侵略を受ける現実を直視し機械化部隊を真剣に再建すべきとおもう。

ロシア軍はBMP-3装甲戦闘車最終製造分の納入を受けた。これはロシア国防省とロシア武器製造企業ロステック社の二年間の製造延長完了を意味する。BMP-3装甲戦闘車は旧ソ連が過剰と云える攻撃力を装甲戦闘車に要求し誕生した。それは威力はあるが精度の低いBMP-1の73mm低圧砲と精度は高いが威力に劣るBMP-2の30mm機関砲の両立である。

BMP-3は100mm低圧砲と30mm機関砲を連装し、敵装甲車に対しては初速と精度と貫徹力の高い30mm機関砲を用い、敵陣地に対しては威力の高い100mm低圧砲を射撃するとともに戦車と遭遇した場合には高価だが威力の高い対戦車ミサイルを低圧砲より発射する。この為に、車体は通常の装甲戦闘車と異なり、水陸両用軽戦車の車体を応用して完成した。

ソ連軍の攻撃力の要求に応えたBMP-3であるが、その為に歩兵が載る場所は車体と砲塔の隙間に詰め込む様に座席が配置され、下車一つとっても後部ハッチは無く砲塔後方からエンジン上の通路を這って移動する設計であった。しかし、ロシアでは後継となる装甲車の開発が遅れた為、ソ連からロシアとなった2020年代でもBMP-3が生産継続されていた。
■BMP-3装甲戦闘車生産網維持
BMP-3,ウクライナ侵攻では下車戦闘の難しさが醜態をさらしているようですが火力は89FVよりも強力であり脅威です。

ロシアのロステック社はBMP-3製造終了後の製造ライン部分維持を発表した。BMP-3は2022年1月に最終車輛の納入を完了したが、これを製造していたクルガン戦車工場はBMP-3の製造ラインを可能な限り応用し、BMP-3派生型の製造を行う。例えば125mm戦車砲を搭載したSDM-1スプルート対戦車自走砲や砲塔が同型のBMD-4空挺戦闘車など。

クルガン戦車工場によれば、これらを生産する事でBMP-3の予備部品供給を継続するとともに、必要で有れば2027年まではBMP-3の再生産にも対応するとしている。BMP-3そのものは、補給体系を複雑化させる二種類の砲弾を要する現在の砲塔から、100mm低圧砲と30mm機関砲の双方用途を併用できる57mm自動砲用砲塔への近代化改修計画等がある。
■フィリピンM-113装甲車を火力強化
M-113装甲車は第三世代戦車の機動力に全く追随できず機械化部隊として一体運用ができない難点が指摘されているものの戦車のないフィリピンには問題ではない。

フィリピン陸軍はイスラエルのエルビット社によるM-113装甲人員輸送車改修計画が間もなく完了すると報告を受けた。フィリピン陸軍の装甲車両は1975年にアメリカ軍より供与されたM-113装甲車が数の上での主力ですが、これはアメリカがヴェトナム撤退後、本国へ完全分解し検疫する手間を省いての余剰装備的なもの、車体老朽化が進んでいました。

エルビット社はM-113装甲車の内改修に耐える44輌を全面オーバーホールを行うと共に遠隔操作銃搭RWSを搭載し簡易装甲戦闘車的な運用に対応するよう改修を進めています。2021年末にはM-125A2自走迫撃砲がフィリピン軍に納入されていますが、M-113と共に機械化部隊を編成する構想で、改修されたM-113は2022年内に引き渡される予定という。
■PrSMミサイルのロケット試験
これは全般支援火力と云うよりは遠征部隊が離島で隣以遠の離島を狙う装備と云う印象ですがやはり将来アメリカ軍は日本へ配備するつもりなのでしょうか。

アメリカ陸軍の陸軍プレジションミサイルPrSM用ロケットモーター試験がノースロップグラマン社により実施されました。陸軍プレジションミサイルPrSMは現在運用中のMLRSシステムより運用されるATACMS陸軍戦術ミサイルの後継として開発され、MLRSからは2発、トラック方式のHIMARSからは1発を発射可能という設計のものとのこと。

陸軍プレジションミサイルPrSMは、アメリカが1987年にソ連と締結したINF中距離核戦力全廃条約を受け、戦術ミサイルの射程を300km台に抑えてきましたが、ロシアのイスカンダルミサイルなど条約違反の開発を前のトランプ政権時代に条約を離脱、バイデン政権にても離脱は維持、射程を500km以遠に伸ばした戦術ミサイルとして開発されています。
■カエサル自走砲からエクスカリバー
自衛隊では特科教導隊へ19式装輪自走榴弾砲の配備が開始されているのですが先駆者と云うのはフランスだ。

フランスのネクスター社はカエサル装輪自走砲のエクスカリバー誘導砲弾射撃実験を実施しました。カエサル装輪自走砲はガンポーティー方式というトラック荷台に榴弾砲を据え付ける方式を新世代砲として実施した初の車両ですが、従来のガンポーティーが簡易自走砲の域に留まったのに対し、牽引が難しい52口径の長砲身砲の運用を開拓したという。

カエサル装輪自走砲からのエクスカリバー誘導砲弾発射試験はアメリカのレイセオンが開発したエクスカリバー誘導砲弾の運用火砲強化一環としての試験で実施されています。カエサル装輪自走砲の最大射程はこれまで46kmとなっていますが、この試験では50km先の二つの目標に正確に命中したといい、その最大射程の延伸も誇示することとなりました。

エクスカリバー誘導砲弾はアメリカでの正式名称をM982エクスカリバー、GPS誘導により52口径砲により射撃した場合は57kmの距離で半数命中界を5mから22mとする事が可能で、対装甲弾など各種開発される。ただ、GPS誘導砲弾は通常砲弾と比較して50倍程度と費用が高く、かく乱射撃のような用途には向かず弾薬整備の手間もある点が難点です。
■フィリピンのM-125自走迫撃砲
M-125は要するにM-113装甲車に迫撃砲を搭載したものなのですが機械化部隊を編成しようというフィリピンの試みです。

フィリピン陸軍はM-125A2自走迫撃砲15両を取得しました。フィリピン陸軍には10個以上の歩兵師団が置かれていますが、大半が治安維持任務に当るもので、装備する火砲は第二次世界大戦中のものという状況、装甲車両は暴動鎮圧用のものが少数あるのみで大半の移動がトラックとジープ、そこで一個師団を陸軍装甲師団として集中近代化中です。

M-125A2自走迫撃砲はイスラエルのエルビットシステムズ社が開発した装甲車両用カルドム81mm迫撃砲をM-113装甲車に搭載したもので、搭載に合せM-113装甲車の防御力強化改修も行われ、2021年12月29日に納入されています。その特色は4000m以内の任意座用に対して自動操砲する照準システムで装填は4名により毎分16発が射撃可能です。
■ポラリス特殊戦車両を無人化
自衛隊もこの種の小型車両が必要だと考え漸く汎用軽機動車が配備されていますがアメリカは一歩進み無人とした。

アメリカ国防総省DARPA国防高等研究計画局はポラリス特殊戦車両改良のRACER自律型ロボット開発試験を実施している。ポラリス特殊戦車両はバギータイプの軽量機動車輛で特殊部隊におけるFAV高速戦闘車両の後継に位置付けられている車輛ですが、これをもとに不整地を長距離にわたり自律走行可能なロボット車輛を開発する事がそのねらい。

RACER自律型ロボット開発には国防総省の他、カーネギーメロン大学とワシントン大学およびNASAジェット研究所が参画、光学TVカメラとレーダーに各種センサーを搭載し、自律走行を行う。PHASE1として現在進められているのは、有人車輛が不整地を全力走行する際に自律走行で追随する事といい、現在は3組の試験車両が試験中とのことです。
■フレシア装輪装甲戦闘車増産
105mm砲を搭載したチェンタウロを装甲戦闘車としたのがフレシアなのですが本邦の16式機動戦闘車は何処に向かうのだろうか。

イタリア陸軍はイヴェコ社とのあいだでフレシア装輪装甲車改良型及び派生型の追加調達契約を締結しました。これは2021年12月30日に陸軍長官が契約書に署名したものです。フレシア装輪装甲車はチェンタウロ戦車駆逐車を原型に25mm機関砲を搭載する装輪装甲車としたもので、大型へ再設計の車体は120mm砲搭載のチェンタウロ2に発展しました。

今回追加した車両はフレシアVBM迫撃砲輸送型14両と指揮通信型26両と装甲回収車6両です。なおフレシアVBM迫撃砲輸送型はいわゆる自走迫撃砲型ではなく25mm機関砲搭載の車両に兵員室の一部を81mm迫撃砲と弾薬架に切替えたもの。イタリア陸軍では各種フレシア装甲車とチェンタウロ戦車駆逐車を混成運用する騎兵旅団を編成しています。
■イギリスAH-64E-6を初公開
自衛隊もそろそろ真剣にAH-64Dの中止された調達計画の再開を考えなければ航空打撃力の重要性はウクライナで証明されている。

イギリス陸軍は新たに導入したAH-64E-version6戦闘ヘリコプターを初公開しました。これは既存のAH-64Dアパッチロングボウ戦闘ヘリコプター後継として新規調達した50機のAH-64Eアパッチガーディアン第一陣となります。イギリス軍では2001年に導入したAH-64D戦闘ヘリコプターをアフガニスタン作戦などにおいて駆使し高く評価されました。

AH-64E-version6戦闘ヘリコプターは厳しい環境で運用され続けたAH-64D戦闘ヘリコプターが老朽化したための後継機で、新型ローターや次世代データリンクシステム、無人航空機管制能力を付与した新世代の戦闘ヘリコプターで、2050年代までのイギリス陸軍航空主力を担います。初号機はイギリス第1航空旅団第3戦闘航空連隊へ配備されました。
■インドネシアAMX-10Pを延命
AMX-10Pというと1972年に開発された我が国では74式戦車とか開発していた頃の装備でフランスでは既に退役している。

インドネシア海兵隊は改良型のAMX-10P水陸両用装甲車を受領しました。AMX-10Pはフランスが開発した第一世代の装甲戦闘車で実際には装甲兵員輸送車に20mm機関砲の銃搭を搭載しました古い設計ではありますが、装甲戦闘車としては水陸両用性能が比較的高くインドネシア海兵隊では上陸作戦用車両として基本型や火力支援型等を運用しています。

AMX-10P水陸両用装甲車はインドネシア海兵隊に44輌が配備されていますが、今回の改修により水上浮航能力は10km/hに強化されるとともに延命された部分もあります。島嶼部の多いインドネシアではこの種の車両は重要ですが、老朽化が進んでいる事も事実で海兵隊はウクライナよりBTR-80ウクライナ仕様のBMP-3装輪装甲車の導入も開始しています。
■タイ海兵隊トルコ製R600両用装甲車
トルコ製防衛装備は新興工業国ならではの割きった性能と価格帯の抑えた事で世界中を席巻している。

タイ海兵隊はトルコ製パヌスR-600水陸両用装輪装甲車の最新型を受領しました。これはタイの特殊車両製造大手パヌスアッセンブリー社が開発したもので八輪式、海兵隊が運用する旧式化したアメリカ製AAV-7両用装甲車の後継に充てられる。2021年9月に完成した車体のタイ海兵隊納入で、車体部分は中国製で最終組立をタイ国内で実施したものです。

R-600水陸両用装輪装甲車は戦闘重量25t、全長8.4mに全幅3.2mと巨大な車両であり乗員2名に加えて海兵20名が乗車可能、600hpのカミンズ社製ディーゼルエンジンを採用し最高速度は110km/hと水上浮航速度は14km/h、航続距離は800kmに達し、一部の車両にはトルコ製30mm砲塔を搭載、タイ海兵隊納入費用は一両当たり197万ドルと云う事です。
■エジプト-K9自走砲採用
自衛隊の99式自走榴弾砲は自動装填装置等注目の技術が在りますが1999年の装備ですのせ砲身延伸はじめそろそろ近代化か改良型を開発すべきだ。

エジプト陸軍は次期自走榴弾砲として韓国製K-9サンダー自走榴弾砲を選定しました、導入規模は16億5000万ドルとのこと。装備数は発表されていないのですが、参考に2021年12にオーストラリア陸軍はK-9自走榴弾砲30両とK-10砲側弾薬車15両を7億2000万ドルにて取得しており、今回のエジプト軍契約はその倍以上の契約規模となりました。

K-9サンダー自走榴弾砲は韓国軍が旧式化したアメリカ製M-109自走榴弾砲の後継として開発したもので砲身は52口径、長い射程と複雑すぎない信頼性を有しています。今回、エジプト政府は国内生産への技術移転を要望し受け入れられました、比較的安価で世界最高水準の射程を誇るK-9自走榴弾砲は近年様々な国への輸出と技術移転が実現しています。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
今回は陸軍関連について12の話題を。自衛隊はロシアのウクライナ侵攻という無茶苦茶な口実で侵略を受ける現実を直視し機械化部隊を真剣に再建すべきとおもう。

ロシア軍はBMP-3装甲戦闘車最終製造分の納入を受けた。これはロシア国防省とロシア武器製造企業ロステック社の二年間の製造延長完了を意味する。BMP-3装甲戦闘車は旧ソ連が過剰と云える攻撃力を装甲戦闘車に要求し誕生した。それは威力はあるが精度の低いBMP-1の73mm低圧砲と精度は高いが威力に劣るBMP-2の30mm機関砲の両立である。

BMP-3は100mm低圧砲と30mm機関砲を連装し、敵装甲車に対しては初速と精度と貫徹力の高い30mm機関砲を用い、敵陣地に対しては威力の高い100mm低圧砲を射撃するとともに戦車と遭遇した場合には高価だが威力の高い対戦車ミサイルを低圧砲より発射する。この為に、車体は通常の装甲戦闘車と異なり、水陸両用軽戦車の車体を応用して完成した。

ソ連軍の攻撃力の要求に応えたBMP-3であるが、その為に歩兵が載る場所は車体と砲塔の隙間に詰め込む様に座席が配置され、下車一つとっても後部ハッチは無く砲塔後方からエンジン上の通路を這って移動する設計であった。しかし、ロシアでは後継となる装甲車の開発が遅れた為、ソ連からロシアとなった2020年代でもBMP-3が生産継続されていた。
■BMP-3装甲戦闘車生産網維持
BMP-3,ウクライナ侵攻では下車戦闘の難しさが醜態をさらしているようですが火力は89FVよりも強力であり脅威です。

ロシアのロステック社はBMP-3製造終了後の製造ライン部分維持を発表した。BMP-3は2022年1月に最終車輛の納入を完了したが、これを製造していたクルガン戦車工場はBMP-3の製造ラインを可能な限り応用し、BMP-3派生型の製造を行う。例えば125mm戦車砲を搭載したSDM-1スプルート対戦車自走砲や砲塔が同型のBMD-4空挺戦闘車など。

クルガン戦車工場によれば、これらを生産する事でBMP-3の予備部品供給を継続するとともに、必要で有れば2027年まではBMP-3の再生産にも対応するとしている。BMP-3そのものは、補給体系を複雑化させる二種類の砲弾を要する現在の砲塔から、100mm低圧砲と30mm機関砲の双方用途を併用できる57mm自動砲用砲塔への近代化改修計画等がある。
■フィリピンM-113装甲車を火力強化
M-113装甲車は第三世代戦車の機動力に全く追随できず機械化部隊として一体運用ができない難点が指摘されているものの戦車のないフィリピンには問題ではない。

フィリピン陸軍はイスラエルのエルビット社によるM-113装甲人員輸送車改修計画が間もなく完了すると報告を受けた。フィリピン陸軍の装甲車両は1975年にアメリカ軍より供与されたM-113装甲車が数の上での主力ですが、これはアメリカがヴェトナム撤退後、本国へ完全分解し検疫する手間を省いての余剰装備的なもの、車体老朽化が進んでいました。

エルビット社はM-113装甲車の内改修に耐える44輌を全面オーバーホールを行うと共に遠隔操作銃搭RWSを搭載し簡易装甲戦闘車的な運用に対応するよう改修を進めています。2021年末にはM-125A2自走迫撃砲がフィリピン軍に納入されていますが、M-113と共に機械化部隊を編成する構想で、改修されたM-113は2022年内に引き渡される予定という。
■PrSMミサイルのロケット試験
これは全般支援火力と云うよりは遠征部隊が離島で隣以遠の離島を狙う装備と云う印象ですがやはり将来アメリカ軍は日本へ配備するつもりなのでしょうか。

アメリカ陸軍の陸軍プレジションミサイルPrSM用ロケットモーター試験がノースロップグラマン社により実施されました。陸軍プレジションミサイルPrSMは現在運用中のMLRSシステムより運用されるATACMS陸軍戦術ミサイルの後継として開発され、MLRSからは2発、トラック方式のHIMARSからは1発を発射可能という設計のものとのこと。

陸軍プレジションミサイルPrSMは、アメリカが1987年にソ連と締結したINF中距離核戦力全廃条約を受け、戦術ミサイルの射程を300km台に抑えてきましたが、ロシアのイスカンダルミサイルなど条約違反の開発を前のトランプ政権時代に条約を離脱、バイデン政権にても離脱は維持、射程を500km以遠に伸ばした戦術ミサイルとして開発されています。
■カエサル自走砲からエクスカリバー
自衛隊では特科教導隊へ19式装輪自走榴弾砲の配備が開始されているのですが先駆者と云うのはフランスだ。

フランスのネクスター社はカエサル装輪自走砲のエクスカリバー誘導砲弾射撃実験を実施しました。カエサル装輪自走砲はガンポーティー方式というトラック荷台に榴弾砲を据え付ける方式を新世代砲として実施した初の車両ですが、従来のガンポーティーが簡易自走砲の域に留まったのに対し、牽引が難しい52口径の長砲身砲の運用を開拓したという。

カエサル装輪自走砲からのエクスカリバー誘導砲弾発射試験はアメリカのレイセオンが開発したエクスカリバー誘導砲弾の運用火砲強化一環としての試験で実施されています。カエサル装輪自走砲の最大射程はこれまで46kmとなっていますが、この試験では50km先の二つの目標に正確に命中したといい、その最大射程の延伸も誇示することとなりました。

エクスカリバー誘導砲弾はアメリカでの正式名称をM982エクスカリバー、GPS誘導により52口径砲により射撃した場合は57kmの距離で半数命中界を5mから22mとする事が可能で、対装甲弾など各種開発される。ただ、GPS誘導砲弾は通常砲弾と比較して50倍程度と費用が高く、かく乱射撃のような用途には向かず弾薬整備の手間もある点が難点です。
■フィリピンのM-125自走迫撃砲
M-125は要するにM-113装甲車に迫撃砲を搭載したものなのですが機械化部隊を編成しようというフィリピンの試みです。

フィリピン陸軍はM-125A2自走迫撃砲15両を取得しました。フィリピン陸軍には10個以上の歩兵師団が置かれていますが、大半が治安維持任務に当るもので、装備する火砲は第二次世界大戦中のものという状況、装甲車両は暴動鎮圧用のものが少数あるのみで大半の移動がトラックとジープ、そこで一個師団を陸軍装甲師団として集中近代化中です。

M-125A2自走迫撃砲はイスラエルのエルビットシステムズ社が開発した装甲車両用カルドム81mm迫撃砲をM-113装甲車に搭載したもので、搭載に合せM-113装甲車の防御力強化改修も行われ、2021年12月29日に納入されています。その特色は4000m以内の任意座用に対して自動操砲する照準システムで装填は4名により毎分16発が射撃可能です。
■ポラリス特殊戦車両を無人化
自衛隊もこの種の小型車両が必要だと考え漸く汎用軽機動車が配備されていますがアメリカは一歩進み無人とした。

アメリカ国防総省DARPA国防高等研究計画局はポラリス特殊戦車両改良のRACER自律型ロボット開発試験を実施している。ポラリス特殊戦車両はバギータイプの軽量機動車輛で特殊部隊におけるFAV高速戦闘車両の後継に位置付けられている車輛ですが、これをもとに不整地を長距離にわたり自律走行可能なロボット車輛を開発する事がそのねらい。

RACER自律型ロボット開発には国防総省の他、カーネギーメロン大学とワシントン大学およびNASAジェット研究所が参画、光学TVカメラとレーダーに各種センサーを搭載し、自律走行を行う。PHASE1として現在進められているのは、有人車輛が不整地を全力走行する際に自律走行で追随する事といい、現在は3組の試験車両が試験中とのことです。
■フレシア装輪装甲戦闘車増産
105mm砲を搭載したチェンタウロを装甲戦闘車としたのがフレシアなのですが本邦の16式機動戦闘車は何処に向かうのだろうか。

イタリア陸軍はイヴェコ社とのあいだでフレシア装輪装甲車改良型及び派生型の追加調達契約を締結しました。これは2021年12月30日に陸軍長官が契約書に署名したものです。フレシア装輪装甲車はチェンタウロ戦車駆逐車を原型に25mm機関砲を搭載する装輪装甲車としたもので、大型へ再設計の車体は120mm砲搭載のチェンタウロ2に発展しました。

今回追加した車両はフレシアVBM迫撃砲輸送型14両と指揮通信型26両と装甲回収車6両です。なおフレシアVBM迫撃砲輸送型はいわゆる自走迫撃砲型ではなく25mm機関砲搭載の車両に兵員室の一部を81mm迫撃砲と弾薬架に切替えたもの。イタリア陸軍では各種フレシア装甲車とチェンタウロ戦車駆逐車を混成運用する騎兵旅団を編成しています。
■イギリスAH-64E-6を初公開
自衛隊もそろそろ真剣にAH-64Dの中止された調達計画の再開を考えなければ航空打撃力の重要性はウクライナで証明されている。

イギリス陸軍は新たに導入したAH-64E-version6戦闘ヘリコプターを初公開しました。これは既存のAH-64Dアパッチロングボウ戦闘ヘリコプター後継として新規調達した50機のAH-64Eアパッチガーディアン第一陣となります。イギリス軍では2001年に導入したAH-64D戦闘ヘリコプターをアフガニスタン作戦などにおいて駆使し高く評価されました。

AH-64E-version6戦闘ヘリコプターは厳しい環境で運用され続けたAH-64D戦闘ヘリコプターが老朽化したための後継機で、新型ローターや次世代データリンクシステム、無人航空機管制能力を付与した新世代の戦闘ヘリコプターで、2050年代までのイギリス陸軍航空主力を担います。初号機はイギリス第1航空旅団第3戦闘航空連隊へ配備されました。
■インドネシアAMX-10Pを延命
AMX-10Pというと1972年に開発された我が国では74式戦車とか開発していた頃の装備でフランスでは既に退役している。

インドネシア海兵隊は改良型のAMX-10P水陸両用装甲車を受領しました。AMX-10Pはフランスが開発した第一世代の装甲戦闘車で実際には装甲兵員輸送車に20mm機関砲の銃搭を搭載しました古い設計ではありますが、装甲戦闘車としては水陸両用性能が比較的高くインドネシア海兵隊では上陸作戦用車両として基本型や火力支援型等を運用しています。

AMX-10P水陸両用装甲車はインドネシア海兵隊に44輌が配備されていますが、今回の改修により水上浮航能力は10km/hに強化されるとともに延命された部分もあります。島嶼部の多いインドネシアではこの種の車両は重要ですが、老朽化が進んでいる事も事実で海兵隊はウクライナよりBTR-80ウクライナ仕様のBMP-3装輪装甲車の導入も開始しています。
■タイ海兵隊トルコ製R600両用装甲車
トルコ製防衛装備は新興工業国ならではの割きった性能と価格帯の抑えた事で世界中を席巻している。

タイ海兵隊はトルコ製パヌスR-600水陸両用装輪装甲車の最新型を受領しました。これはタイの特殊車両製造大手パヌスアッセンブリー社が開発したもので八輪式、海兵隊が運用する旧式化したアメリカ製AAV-7両用装甲車の後継に充てられる。2021年9月に完成した車体のタイ海兵隊納入で、車体部分は中国製で最終組立をタイ国内で実施したものです。

R-600水陸両用装輪装甲車は戦闘重量25t、全長8.4mに全幅3.2mと巨大な車両であり乗員2名に加えて海兵20名が乗車可能、600hpのカミンズ社製ディーゼルエンジンを採用し最高速度は110km/hと水上浮航速度は14km/h、航続距離は800kmに達し、一部の車両にはトルコ製30mm砲塔を搭載、タイ海兵隊納入費用は一両当たり197万ドルと云う事です。
■エジプト-K9自走砲採用
自衛隊の99式自走榴弾砲は自動装填装置等注目の技術が在りますが1999年の装備ですのせ砲身延伸はじめそろそろ近代化か改良型を開発すべきだ。

エジプト陸軍は次期自走榴弾砲として韓国製K-9サンダー自走榴弾砲を選定しました、導入規模は16億5000万ドルとのこと。装備数は発表されていないのですが、参考に2021年12にオーストラリア陸軍はK-9自走榴弾砲30両とK-10砲側弾薬車15両を7億2000万ドルにて取得しており、今回のエジプト軍契約はその倍以上の契約規模となりました。

K-9サンダー自走榴弾砲は韓国軍が旧式化したアメリカ製M-109自走榴弾砲の後継として開発したもので砲身は52口径、長い射程と複雑すぎない信頼性を有しています。今回、エジプト政府は国内生産への技術移転を要望し受け入れられました、比較的安価で世界最高水準の射程を誇るK-9自走榴弾砲は近年様々な国への輸出と技術移転が実現しています。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)