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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【日曜特集】百里基地航空祭二〇一二【04】イーグル特別塗装機とRF-4戦術偵察機の優美(2012-10-20)

2022-04-24 20:21:57 | 航空自衛隊 装備名鑑
■筑波山望むは百里基地
 筑波山を借景にRF-4戦術偵察機も懐かしいですし百里基地にF-15が居られた時代も懐かしいという情景です。

 航空自衛隊は2021年にF-4EJ改及びF-4EJ戦闘機について、すべての運用を終了しました。最初は制空戦闘機として、また航空自衛隊初の真の意味での全天候戦闘機として、また初の中距離空対空ミサイルによる視程外交戦能力を持つ戦闘機として配備されました。

 三菱重工においてファントムはF-104スターファイターやF-86セイバーと同じ様にライセンス生産を実施、ライセンス生産は日本での運用基盤固めに寄与しその生産数は141機に上るとともに、後継となるF-15戦闘機が導入されますと能力向上改修を実施しています。

 F-4EJからEJ改へ。国産対艦ミサイルをASM-1やASM-2を搭載する支援戦闘機の役割も担い、またF-15やF-2戦闘機が不具合の際には日本本土防空の主力となる時機もあり、古いことは確かですが防空に対艦用に航空阻止にと重要な戦闘機として活躍しています。

 戦闘機の寿命はF-4が開発された1950年代当時では20年程度、人間でいうならば90歳いや100歳を超えて現役の古豪というところでしょうか。自衛隊なんてまだファントムが現役なんだぜ、という一種自虐的である表現を用いられなくなったのは少し寂しいですが。

 自衛隊なんてまだファントムが現役なんだぜ、という表現は使えませんが、全機抑止力の維持という重要任務を完遂し遂に退役しました。このファントムは原型機の初飛行が1959年と非常に古く、そしてもともとは海軍の空母艦載機として開発された歴史があります。

 F-4ファントムがアメリカ空軍において高く評価された背景には元々がアメリカ海軍が運用する空母艦載機として設計された為、艦隊防空システムとの連接性の高さが空軍の自動防空管制システムSAGEとの連接性や良好な第一線での運用能力と共通したためでした。

 F-106デルタダート、アメリカ空軍が真剣に検討したのはデルタ翼を持つ美しい設計の超音速戦闘機F-106とF-4ファントムの二機種でした。F-106は離陸さえするならばそのまま操縦士はSAGE自動迎撃管制システムが誘導する目標までの経路を自動操縦で展開する。

 F-106は、そこからファルコン空対空ミサイルやジーニ空対空核ロケットを自動発射する、こうした自動の極致というべき性能を有していて、操縦は高度に自動化されているという部分が特色でした。高空を超音速で飛行するという性能からはみおとされがちですが。

 デルタダートの名の通りのデルタ翼によりF-106は、機動性も思われるほど低くはなく、逆に後にF-15イーグルが開発されますとDACT異機種間戦闘訓練に際しては機動力の高さでF-15を練度を錬成することとなりました。しかし、運用想定が一種極端ではあった。

 F-106は搭載兵器にジーニ空対空核ロケットが含まれているように、核兵器が開戦第一撃で大量使用されるという東西冷戦下のきわめて厳しい、そして第三次世界大戦に勝ち抜く、極端な戦争観のもとに設計され、地域紛争をそこまで検討していたものではありません。

 ジーニ空対空核ロケット、これは今考えてみると凄い、核爆発により空中の敵爆撃機の編隊を一掃するというもので、ミサイルではなくロケットと云うのは正確に命中させる必要が無い程の弾頭威力がある為という。冷戦時代はこれを一機数発の単位で使う計画でした。

 ファントムかデルタダートか、空軍は結局2機種を比較検討することとなりますが、デルタダートはファントムに特にレーダー運用の面で全く勝負になりませんでした、デルタダートのレーダー運用は高度に自動化されていましたがファントムには勝てなかったのです。

 デルタダートは単座戦闘機でありレーダーは操縦士が操作せねばなりません、このために自動化を進めているのですが逆にデルタダートが設計された1950年代の機械操作自動化技術は言い方が悪いですが知れている範疇でした、煩雑なのですね。発想の逆転が必要です。

 1950年代のコンピュータは自動化に限界が在った、しかしファントムは操縦士とともに後部座席にレーダー管制士官が搭乗しています、自動化には限度があるのだからもう一人乗せろ、レーダー操作専用要員を一人乗せる、これではデルタダートに勝ち目はありません。

 こうしてデルタダートはアメリカ本土防空専用機という、限られた生産、200機に満たない生産にとどまる一方、ファントムは実に4000機も生産がされる事となりました。自衛隊のファントム、航空自衛隊はF-104スターファイターの後継としてファントムを採用します。

 実は原型初飛行が1959年のファントムは1954年に初飛行したスターファイターとはそれほど開発時期が違わないのですが、冷戦時代の戦闘機開発は日進月歩、とはいかずとも月進年歩、くらいの頻度では開発されていた構図の証左といえるのかも知れません。

 さて。自衛隊行事にこの燃油費高騰はどう影響するのか。影響しない、ということだけはあり得ません。戦闘機も護衛艦も戦車も動かすにはアブラが要る。そして過去の燃油費高騰の時代には、確かに自衛隊行事に影響は及んでいましたたことは写真などからわかります。

 はるな。海上自衛隊最初のヘリコプター搭載護衛艦はるな、その除籍は2009年でした、乗員の方に聞きますと風通しのよい、雰囲気が良い護衛艦であったという。乗りたいというよりも帰りたくなる我が家のような雰囲気があったという、その護衛艦も2009年に、と。

 護衛艦は退役前に、例えば近海練習航海に参加するなど、全国を一周してお世話になった方がたへ最後の挨拶をするものです、こう昔艦長のかたにお教えいただきました、ただ、はるな、は。そう続くのですね、2008年は歴史的燃油費高騰により、できなかったという。

 師団祭なんかも燃油費は響く、例えば例年は軽装甲機動車や高機動車による車両行進を行う普通科部隊は、徒歩行進が主体に、流石に重迫撃砲や対戦車ミサイルを手押しはしないが、徒歩行進の比率が高くなったりするのです。人員だけ駐屯地からトラックで運んだ。

 戦闘機は、これもある種例外的なのだが、写真としては仕上がっているものの、機動飛行の回数が減ったりしている、のだろうか。確信できないのは上記の通り機動飛行のない航空祭は無いが、実施されていますとしっかり撮影しているので、気付きにくいのやも。

 自衛隊行事、なるほど任務は国家の防衛ですので、安全保障情勢というものは確実に響きます、しかし、アブラの価格もまた、響いているわけでして、ロシア軍ウクライナ侵攻を受け始まった燃油高騰、これはどのていど長期化するのでしょうか、一つの関心事です。

 もうひとつ。これはわたしの生まれる前の世代の話ですが、1973年オイルショックの際には装備品がインフレで調達価格が凄いことに。それも割り増し程度ではなく倍増という装備もあったようで、これは当然、調達数の削減へと響きました。今回はどうなるのか。

 自衛隊観閲式なんかはオイルショック前は毎年実施していました、これが隔年となりましたのも、オイルショック後ですので燃料と関係がある、デフレデフレといわれていたものですので、インフレに実感がわかないが、また厳しい時代がやってくるのは残念ですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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北海道知床半島沖で観光船行方不明!KAZU-Ⅰ乗員乗客26名乗船のまま沈没か-荒天で難航する捜索救難活動

2022-04-24 20:00:16 | 防災・災害派遣
■臨時情報-知床沖遭難事故
 北海道の知床観光船KAZU-Ⅰが4月23日、遭難しました。これは旅客船の事故では令和時代に入って最大の船舶遭難事故となる懸念があります。なんとか生存者を期待したい。

 KAZU-Ⅰは排水量19tの観光船であり定員は30名、乗員乗客26名が乗船していました。小型船である為にAIS船舶位置表示装置はなく救助は難航している。事故は23日、知床半島周遊観光船KAZU-Ⅰが1000時に知床半島のウトロ港を出航しました、当初予定では40km先の知床岬まで航行し往復するという三時間の航路でした。しかし、ここに事故が発生しました。

 カシュニの滝、1313時にKAZU-Ⅰより運航会社に対し“沈みかけている”という無線連絡を発しました。そしてその五分後に当る1318時、ウトロ港から25kmほど先のカシュニの滝付近をにおいて、“船首が浸水”“エンジンが使えない”という通信と救助要請が出されました。そして1400時頃、“船体が30度傾斜している”との無線連絡があったとのこと。

 船体が30度傾斜している、これが最後の通信となりました。もともとは往復80kmの航路を1300時までに往復する行程だったとのことですが。海上保安庁と警察、そして北海道知事からの要請を受け航空自衛隊が出動しましたが、日没までに遭難位置を確認できず、24日の日曜日に入り10名が心肺停止で救助、死亡が確認されました。現在も生存者はなし。

 知床岬、要救助者が心肺停止で発見されたのは遭難信号が発せられたカシュニの滝から、更に14km離れた知床岬付近で発見されたとのこと。国土交通省によれば23日1300時頃の現場は、風が北西の風16.4mと強く、波浪は2mから3m、海水温は2度から3度となっています。生存者を祈りたいものですが、海水温が3度では30分ほどで低体温症になる。

 何が在ったのか。原因究明が待たれますが、KAZU-ⅠはFRP製船体であり、気になる情報として2021年に漂流物との衝突により負傷者が出る事故、そして座礁事故を起こしているという情報、また、他の事業者からの目撃情報として船首付近の2m程度の位置に15cmほどの亀裂が在った、という証言です。すると、FRP製船体特有の問題が思い浮かぶのです。

 FRP製船体は、亀裂が入りますと補修テープを貼る程度の応急措置以外は亀裂が広がる難点があります、鋼製船体のように破損個所を溶接して塞ぐ事が出来ませんし、木造船体の様に浮力もありません。例えば海上自衛隊も掃海艇を木造船体から最近のFRP船体に切替える際に、このFRPの特性が触雷時のダメージコントロールへ影響が懸念されていました。

 原因究明はもとより、船体の沈没位置さえ不明である中で拙速ではありますが、あくまで推測として、高い波浪とともに船体に圧力が加わり、亀裂部分が更に大きくなり大量の浸水が在ったのではないか、事故船舶の規模の船体規模では隔壁は進水を想定していないでしょうし、乗員は船長と甲板員のみ、機関部浸水が始れば航行不能となるのは当然です。

 救命胴衣と救助浮器など設置されているのは過去に撮影された写真でも確認できるのですが、低温の海域では救助浮器は溺れないよう掴まる程度のものです、低体温症は免れません、救命艇や自動膨張筏は設置するには小型すぎる船舶ですし、単行で北海道近海にて沈没した場合の安全策には無理があり、唯一の救命手段は一刻も早く水を出て採暖すること。

 救助は何故時間がかかるのか。先ず、知床半島全体は国立公園に指定されており、人口希薄な地域となっています。そしてKAZU-Ⅰは出航しましたが、他の事業者は悪天候の予報から運休となっており、波浪の高さから漁船などの出漁も見合わせ、つまり沈没した周辺海域に僚船や漁船などは存在せず、遭難位置が確認できない状態があったといえましょう。

 海上保安庁の救助も、近傍の100km圏内に羅臼海上保安署と網走海上保安署はあります、羅臼には巡視船てしお、巡視艇かわぎり。網走には巡視船ゆうばり、が配属されています。他方、海上自衛隊は北海道には札幌に近い余市基地のミサイル艇かはるか離れた函館基地の掃海艇、航空自衛隊は千歳救難隊があるのみ、遭難が陸上ならば第5旅団がいましたが。

 しかし、何故出航したのかという点が。乗客としては、特に救命艇のない小型観光船では救命胴衣だけでは一時間以内に他の船舶に救助される状況でもなければ、乗客には自ら安全を確保する方法が思い浮かびません、代金を支払った後で船体の傷を発見してものらないという選択肢は、社会通念上難しいのではないか、まさか、沈まないかとは聞けません。

 第一管区海上保安部と北海道警及び自衛隊とともに漁協や別の観光会社も協力して捜索救助を進めていますが、いまのところ26名の乗客乗員の内10名が救助され死亡が確認され、生存者が確認されていません。今日、国土交通省は運航会社へ特別監査をおこなったとのことですが、再発防止よりも、なんとか一人でも陸上に上がり採暖で生存していないか、願うばかりです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】しまかぜ!京都発賢島行近鉄50000系しまかぜ発車と新特急あおによし奈良大阪運行の期待

2022-04-24 18:17:17 | コラム
■特急しまかぜ!
 伊勢志摩ライナーも日常に面白さを与えてくれますが特急しまかぜ運ぶ旅情は更に凄く近鉄はいま特急が熱い。

 特急しまかぜ、近鉄が誇る観光特急です、50000系特急電車により運行されるこの列車は京都駅へも一往復が乗り入れているのですね、1000時京都駅発賢島行き、賢島へは1247時に到着します。大和西大寺には1032時に停車し、伊勢神宮の宇治山田は1203時に着く。

 京都へは賢島から1450時に出発し、宇治山田には1532時、この宇治山田の時刻には実はまえ、明野駐屯地祭の帰路にちょうどよい時間帯だなあと感じたものですが、丹波橋に1728時、そして終点京都へは1735時に到着するというダイヤです、近鉄はいま特急が熱い。

 あおによし。新しく来週から運行開始となりまして撮影に行きたいとおもうのは新特急あおによし、京都へは大阪から1050時に到着し1120時に奈良に向けて発車、奈良からは1245時に京都に戻り1320時また京都を奈良へ発車、そしてまた1445時に京都へは戻ってくるという。

 この写真はビスタカー、ねんのため。12200系特急を改造したという特急あおによし、京都からは1520時に難波へ向け発車し1640時に難波へ、木曜日に運休というのが難しいところか。奈良までは運賃640円に特急料金が520円と特別車両料金で210円なのですが、あの12200系をここまで改造とは驚く。

 観光特急には通常の通勤列車を改造、なにしろロングシートのほうが改造が簡単という理由もあるのでしょうが、安普請というものが多い中で12200系はれっきとした特急車両です、通勤車両は名鉄のパノラマsuperや南海のサザンを利用するとわかるが揺れと防音が。

 近鉄特急は新造特急ひのとり、にて確かにスナックカーの愛称で知られた12200系はまさにビジネス特急として役割を終えたのですが、過剰なほどの装飾を強化したものなのですし、その割に、安いとはいわないが、手頃な価格帯で上質を体験できるのはうれしいもの。

 スナックカーの寿命もいよいよ、と考えていたものですから改造して運用の幅を広げるというのは感心させられるものではある。しかし、近鉄が奈良経由で京都と大阪を特急で結ぶのは久しぶりです、次は寝台特急や個室特急でも出すのではないか、期待するところだ。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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ロシア軍モルドバ侵攻作戦を準備か,沿ドニエストル地方-トランスニストリニアへの更なる侵攻を示唆

2022-04-24 07:00:20 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 日本も本土防衛の再編を真剣に検討しなければ遠からずロシアが北海道や日本のロシア系住民保護を口実に侵攻を計画する懸念が。

 ロシア軍はウクライナに続きモルドバへ侵攻する懸念が高まっています、これは4月22日、ロシア軍中央軍管区副司令官ミンネカエフ中将発言として、ロシア軍はウクライナ南部と東部の完全支配体制を確立した上で第二段階としてトランスニストリニアへの回廊が確保できる、と発言しました。これはインタファクス通信やイズベスチア紙により報じられた。

 沿ドニエストル地方とも呼ばれるトランスニストリニアは、もともとモルドバ全土がソビエト連邦に加盟していた連邦の一部であったものが1991年のソ連崩壊により独立した独立国となっていますが、ウクライナとの国境に近いトランスニストリニアにはロシア語を話す住民が多く、1992年のトランスニストリニア紛争の後にロシア軍が駐留しているのです。

 トランスニストリニアへの回廊が確保、そもそもトランスニストリニアとはロシアでもウクライナでも無くウクライナの隣国モルドバの領域内です。ロシア軍はウクライナに続いて隣国モルドバへも侵攻するのではないか、この懸念は3月1日にロシアの友邦ベラルーシのルカシェンコ大統領の安全保障に関する国家会議上での演説により示唆されてはいる。

 ベラルーシのルカシェンコ大統領がTVに公開した会議の様子には背後に大地図が掲示されており、そこにはロシア軍のウクライナ侵攻計画が大書されていました、世界が注目したのは地図上のロシア軍侵攻経路がその時点でのロシア軍侵攻経路と概ね適合していた点と、ロシア軍の侵攻経路はそのまま矢印が隣国モルドバまで延伸していたという二点です。

 中央軍管区副司令官ミンネカエフ中将発言は、驚きでした。こういいますのも、ロシア軍は平和維持軍としてモルドバに駐留しており、この駐留軍は現在のウクライナ侵攻作戦へは直接関与はしていませんが、1992年から実に30年間にわたり駐留しており、仮にウクライナ全土が失陥した場合には、モルドバの安全保障上の大きなリスクともなっています。

 トランスニストリニアとの回廊を確保するというロシア軍中央軍管区副司令官発言、この意味するところは。現在ロシア軍はアゾフ海沿岸のマリウポリ市の大半を制圧していますが、黒海沿岸のオデッサ市へはまだ地上侵攻を開始していません、しかしトランスニストリニアとの回廊を確保するにはウクライナ南部全域を占領する必要があり、長期戦となる。

 対独戦勝記念日の5月9日までに戦争は終わる、こうした認識があるようですが仮に中央軍管区副司令官発言が事実であるならば、5月9日に勝利発言とセレモニーを行う事はあるのかもしれませんが、実態としての戦争状態は継続する、こうした認識が必要でしょう。特に経済制裁はロシアに対してどの程度の圧力となっているかは未知数ではあるが、一つ。

 ロシアからの天然ガス輸出が継続されている為、経済制裁が現在の水準では単にロシアへの禁輸措置が強化されているのみであり、ロシアは結果として天然ガス輸出による貿易黒字を抱えているのみとなっています、すると、ロシアからの天然ガス輸入を日本は勿論、影響が大きいとされる西欧諸国が遮断しない限り、ずるずると戦争は続き戦線も拡大する。

 スヴァルキギャップまで続く懸念、ロシアはウクライナ侵略を進めていますが、この軍事作戦が当初のロシア目論見通りに短期間で終結していれば、次は飛び地であるカリーニングラードと本国とを遮るバルト三国、所謂スヴァルキギャップに侵攻する可能性がありました。現状のまま、ウクライナでの戦争を長期化させたままであれば、事態は悪化するのです。

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