■空睨むホークミサイル団
北海道を護る北方こと北部方面隊はロシア軍と云う巨大な北からの脅威に備えているのですが部隊もさまざまです。

観閲行進が始まりました、先頭は観閲部隊指揮官として副師団長が乗車する90式戦車が進みます。しかし、この90式戦車とともに観閲行進に臨むのは、機甲師団である第7師団の弱点である空からの攻撃に備える北海道防衛もう一つの切り札、第一高射特科団なのだ。

第一高射特科団、東千歳駐屯地に司令部を置く。実際は師団祭とはいうものの、もう少しこの高射特科団の行事を、例えば年にもう一度同じ駐屯地で高射特科団祭の行事をおこなうとかあっていいと思う、東千歳は戦車だけでなくミサイルの駐屯地でもあるのだから。

第一高射特科団は、東千歳の第1高射特科群と名寄駐屯地の第4高射特科群より成り、東千歳駐屯地、北千歳駐屯地、島松駐屯地、名寄駐屯地と北海道に広くホークミサイルによる防空網を置き、特に道北の名寄だけでも4個高射中隊のミサイルが空を睨んでいます。

第7師団司令部のおかれる東千歳駐屯地ですが、実は戦車連隊は一つもおかれていません、恵庭と千歳の広く駐屯していまして、もっとも普通科連隊も特科連隊も駐屯していますこの東千歳駐屯地は、機甲部隊即ち装甲機動部隊の要諦そのものでもあるのですけれどもね。

北海道のミサイル部隊は文字通り有事即応、強力な三連装発射装置は迷彩色のドームに隠されていて、豪雪期でもスイッチ一つでドームを開閉させ即座に射撃できる、特撮のような話ですが意外にも特撮映画ではこの描写がないのは、在る意味不思議とおもうのだ。

改良ホーク、HAWKという名称はホーミングオールウェイキラーという格好いい名前とともにアメリカでもペトリオットミサイルが陸軍防空砲兵の主力となったのちにも海兵隊において1990年代まで運用が継続、海岸堡を防衛する為に短距離弾道弾へも迎撃能力がある。

03式中距離地対空誘導弾システムへ自衛隊では置き換えが進んでいますが、ホーク改善Ⅲ型については見た目からは想像できないほど能力向上しているとのこと。ただ、ホーク近代化改修は三度に分け実施され、そのつど群あたりでかなりの費用がかかっていました。

73式装甲車で充足した一個普通科連隊の0.9個分がかかるといわれまして、要するに全国のホーク部隊近代化改修費用が無ければ、もう北海道はもちろん本州の普通科連隊は全部が全部73式装甲車程度ならば行き渡っていたというほど、費用をかけている計算です。

自衛隊はそれほどに、機械化よりも防空を重視してきたともいえる。ただ、この指針は間違ってはいないのでしょうけれども、近年の地対空ミサイル射程延伸の趨勢を見ますと、ロシアのS-500ほどというのは行き過ぎですが50km程度の射程には少々ふあんはないか。

ユーロサムはじめ欧州やアメリカのミサイル射程はおおむねこの程度ではあるのですが、要するにこちらがわのミサイル射程の要求性能が低すぎないものか、と考えるのです。ロシア中国のミサイル射程延伸を前にペトリオットミサイルさえ性能が不十分となっている。

航空自衛隊と陸上自衛隊の任務区分があることは理解しているのですが、それでも陸上自衛隊の将来の方面高射部隊へ装備するミサイルは、国産技術が相応にあるのだからという前提で、射程を250km程度まで延伸し、ミサイルギャップを生まない必要が、在ると思う。

高射特科部隊が現在のままでよいとはとても考えられないのですね。まず高射特科は何より重要です、そして自衛隊が第二次世界大戦の、航空攻撃により散々な目にあった血の戦訓に依拠して、高射特科部隊を重視してきました、ただ、これだけでは未だ足りません。

防空砲兵、なかでも戦域防空や広域防空を担う装備は、これを叩かなければ現代戦は不可能となりますから、優先目標となり得ます。そしてSEAD防空制圧任務のような大げさな防空制圧ではなく、無人機の多数運用により防空制圧は年々、その敷居が下がっています。

アイアンドームほど強力な装備である必要はかならずしもありませんが、広域防空システムを対レーダーミサイルや防空制圧用無人機から防衛するCIWS近接防空火器のような装備は遠くない将来に必須になる、安価なものではないが、これがないと何もできない。

C-RAM地上配備型近接防空火器のようなものが必須となるのではないか、例えばHARM対レーダーミサイルと同等のレーダー電波を逆探知しレーダー破壊を任務とするミサイルの攻撃に対して、いま使われている手法はレーダーを断続的に停止させるというもの。

HARMからはレーダーを動かさなければ逃れることはできますが、動かさなければ防空作戦が成り立ちません。もちろん延々と動かし続けるというものではなく適宜陣地変換は必要なのでしょうが、対レーダーミサイルの直撃から防衛するシステムは必須でしょう。

第1電子隊、直轄部隊として自衛隊の電子戦部隊です。その任務はあまり詳しく公開されていませんが、洋上の艦艇などの電波標定を行い、例えば通信が行われている水陸両用部隊等の位置を水平線の向こうも含め標定し、地対艦ミサイル部隊の戦闘を支援するという。

電子戦部隊は、その内容が公開される事はまずないのですが、地対艦ミサイル部隊の支援というには規模が大きく、そして無線封止を行って上陸する船団に対しては無力です、更に隊長に1佐が補職され、規模として小さな部隊ではありません、1981年に誕生しました。

99式自走榴弾砲は第一陸曹教育隊の装備です、1954年新編、一時期廃止され特科教育中隊と上級陸曹教育中隊として北部方面教育連隊隷下にありましたが再編成されたのが2011年4月といいますので、まさにこの行事が再編された第一陸曹教育隊のお披露目と云えます。

第7化学防護隊の観閲行進、第7師団司令部付隊として観閲行進に臨んでいます。化学防護隊といえば、この行事を撮影しました2011年はまだにあの東日本大震災の年であり、化学防護隊は今も記憶に残る福島第一原発事故へ災害派遣されている部隊のひとつでもある。

化学防護隊、2022年の今日的な視点から見ますと、原子力事故もさることながら隣国ロシアがウクライナに侵攻した際に、化学兵器と生物兵器の使用が常に心配されている点です。つまりロシア軍が将来、北海道に侵攻する懸念が現実となった場合の裏返しともいうもの。

戦術核兵器等も実際に使用されるのではないかとの懸念、頼むからこの記事を掲載中にそんな悲劇は行わないでくれと切に願うのですが、特に化学兵器は防護装備を充分にもつ軍隊には無力です、特に奇襲的に有事ではなく平時の第一撃で使わない限りは、顕著です。

化学防護隊、それでは化学兵器へ脆弱な軍隊ならばどうか、その威力は絶大となるでしょう、つまり自衛隊が充分な化学防護隊を有しているからこそ、相手にこの種の装備を使わせない抑止力となるのです、なにしろ使えば自衛隊は兎も角、非戦闘員には致命的なのだ。

軍事力の第一の任務は抑止力です、戦争が起きなければ防衛費は無駄、こういう方が居ます、そういう方は戦争が起きれば費用対効果が見合ってよかったと満足するのでしょうか、こうした視点を理解する為にも、防衛にも政治や選挙にも、関心を持たねばなりませんね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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北海道を護る北方こと北部方面隊はロシア軍と云う巨大な北からの脅威に備えているのですが部隊もさまざまです。

観閲行進が始まりました、先頭は観閲部隊指揮官として副師団長が乗車する90式戦車が進みます。しかし、この90式戦車とともに観閲行進に臨むのは、機甲師団である第7師団の弱点である空からの攻撃に備える北海道防衛もう一つの切り札、第一高射特科団なのだ。

第一高射特科団、東千歳駐屯地に司令部を置く。実際は師団祭とはいうものの、もう少しこの高射特科団の行事を、例えば年にもう一度同じ駐屯地で高射特科団祭の行事をおこなうとかあっていいと思う、東千歳は戦車だけでなくミサイルの駐屯地でもあるのだから。

第一高射特科団は、東千歳の第1高射特科群と名寄駐屯地の第4高射特科群より成り、東千歳駐屯地、北千歳駐屯地、島松駐屯地、名寄駐屯地と北海道に広くホークミサイルによる防空網を置き、特に道北の名寄だけでも4個高射中隊のミサイルが空を睨んでいます。

第7師団司令部のおかれる東千歳駐屯地ですが、実は戦車連隊は一つもおかれていません、恵庭と千歳の広く駐屯していまして、もっとも普通科連隊も特科連隊も駐屯していますこの東千歳駐屯地は、機甲部隊即ち装甲機動部隊の要諦そのものでもあるのですけれどもね。

北海道のミサイル部隊は文字通り有事即応、強力な三連装発射装置は迷彩色のドームに隠されていて、豪雪期でもスイッチ一つでドームを開閉させ即座に射撃できる、特撮のような話ですが意外にも特撮映画ではこの描写がないのは、在る意味不思議とおもうのだ。

改良ホーク、HAWKという名称はホーミングオールウェイキラーという格好いい名前とともにアメリカでもペトリオットミサイルが陸軍防空砲兵の主力となったのちにも海兵隊において1990年代まで運用が継続、海岸堡を防衛する為に短距離弾道弾へも迎撃能力がある。

03式中距離地対空誘導弾システムへ自衛隊では置き換えが進んでいますが、ホーク改善Ⅲ型については見た目からは想像できないほど能力向上しているとのこと。ただ、ホーク近代化改修は三度に分け実施され、そのつど群あたりでかなりの費用がかかっていました。

73式装甲車で充足した一個普通科連隊の0.9個分がかかるといわれまして、要するに全国のホーク部隊近代化改修費用が無ければ、もう北海道はもちろん本州の普通科連隊は全部が全部73式装甲車程度ならば行き渡っていたというほど、費用をかけている計算です。

自衛隊はそれほどに、機械化よりも防空を重視してきたともいえる。ただ、この指針は間違ってはいないのでしょうけれども、近年の地対空ミサイル射程延伸の趨勢を見ますと、ロシアのS-500ほどというのは行き過ぎですが50km程度の射程には少々ふあんはないか。

ユーロサムはじめ欧州やアメリカのミサイル射程はおおむねこの程度ではあるのですが、要するにこちらがわのミサイル射程の要求性能が低すぎないものか、と考えるのです。ロシア中国のミサイル射程延伸を前にペトリオットミサイルさえ性能が不十分となっている。

航空自衛隊と陸上自衛隊の任務区分があることは理解しているのですが、それでも陸上自衛隊の将来の方面高射部隊へ装備するミサイルは、国産技術が相応にあるのだからという前提で、射程を250km程度まで延伸し、ミサイルギャップを生まない必要が、在ると思う。

高射特科部隊が現在のままでよいとはとても考えられないのですね。まず高射特科は何より重要です、そして自衛隊が第二次世界大戦の、航空攻撃により散々な目にあった血の戦訓に依拠して、高射特科部隊を重視してきました、ただ、これだけでは未だ足りません。

防空砲兵、なかでも戦域防空や広域防空を担う装備は、これを叩かなければ現代戦は不可能となりますから、優先目標となり得ます。そしてSEAD防空制圧任務のような大げさな防空制圧ではなく、無人機の多数運用により防空制圧は年々、その敷居が下がっています。

アイアンドームほど強力な装備である必要はかならずしもありませんが、広域防空システムを対レーダーミサイルや防空制圧用無人機から防衛するCIWS近接防空火器のような装備は遠くない将来に必須になる、安価なものではないが、これがないと何もできない。

C-RAM地上配備型近接防空火器のようなものが必須となるのではないか、例えばHARM対レーダーミサイルと同等のレーダー電波を逆探知しレーダー破壊を任務とするミサイルの攻撃に対して、いま使われている手法はレーダーを断続的に停止させるというもの。

HARMからはレーダーを動かさなければ逃れることはできますが、動かさなければ防空作戦が成り立ちません。もちろん延々と動かし続けるというものではなく適宜陣地変換は必要なのでしょうが、対レーダーミサイルの直撃から防衛するシステムは必須でしょう。

第1電子隊、直轄部隊として自衛隊の電子戦部隊です。その任務はあまり詳しく公開されていませんが、洋上の艦艇などの電波標定を行い、例えば通信が行われている水陸両用部隊等の位置を水平線の向こうも含め標定し、地対艦ミサイル部隊の戦闘を支援するという。

電子戦部隊は、その内容が公開される事はまずないのですが、地対艦ミサイル部隊の支援というには規模が大きく、そして無線封止を行って上陸する船団に対しては無力です、更に隊長に1佐が補職され、規模として小さな部隊ではありません、1981年に誕生しました。

99式自走榴弾砲は第一陸曹教育隊の装備です、1954年新編、一時期廃止され特科教育中隊と上級陸曹教育中隊として北部方面教育連隊隷下にありましたが再編成されたのが2011年4月といいますので、まさにこの行事が再編された第一陸曹教育隊のお披露目と云えます。

第7化学防護隊の観閲行進、第7師団司令部付隊として観閲行進に臨んでいます。化学防護隊といえば、この行事を撮影しました2011年はまだにあの東日本大震災の年であり、化学防護隊は今も記憶に残る福島第一原発事故へ災害派遣されている部隊のひとつでもある。

化学防護隊、2022年の今日的な視点から見ますと、原子力事故もさることながら隣国ロシアがウクライナに侵攻した際に、化学兵器と生物兵器の使用が常に心配されている点です。つまりロシア軍が将来、北海道に侵攻する懸念が現実となった場合の裏返しともいうもの。

戦術核兵器等も実際に使用されるのではないかとの懸念、頼むからこの記事を掲載中にそんな悲劇は行わないでくれと切に願うのですが、特に化学兵器は防護装備を充分にもつ軍隊には無力です、特に奇襲的に有事ではなく平時の第一撃で使わない限りは、顕著です。

化学防護隊、それでは化学兵器へ脆弱な軍隊ならばどうか、その威力は絶大となるでしょう、つまり自衛隊が充分な化学防護隊を有しているからこそ、相手にこの種の装備を使わせない抑止力となるのです、なにしろ使えば自衛隊は兎も角、非戦闘員には致命的なのだ。

軍事力の第一の任務は抑止力です、戦争が起きなければ防衛費は無駄、こういう方が居ます、そういう方は戦争が起きれば費用対効果が見合ってよかったと満足するのでしょうか、こうした視点を理解する為にも、防衛にも政治や選挙にも、関心を持たねばなりませんね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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