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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【日曜特集】第7師団創設56周年記念行事(07)北方の切り札!第1高射特科団と第1電子隊(2011-10-09)

2022-04-17 20:01:51 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■空睨むホークミサイル団
 北海道を護る北方こと北部方面隊はロシア軍と云う巨大な北からの脅威に備えているのですが部隊もさまざまです。

 観閲行進が始まりました、先頭は観閲部隊指揮官として副師団長が乗車する90式戦車が進みます。しかし、この90式戦車とともに観閲行進に臨むのは、機甲師団である第7師団の弱点である空からの攻撃に備える北海道防衛もう一つの切り札、第一高射特科団なのだ。

 第一高射特科団、東千歳駐屯地に司令部を置く。実際は師団祭とはいうものの、もう少しこの高射特科団の行事を、例えば年にもう一度同じ駐屯地で高射特科団祭の行事をおこなうとかあっていいと思う、東千歳は戦車だけでなくミサイルの駐屯地でもあるのだから。

 第一高射特科団は、東千歳の第1高射特科群と名寄駐屯地の第4高射特科群より成り、東千歳駐屯地、北千歳駐屯地、島松駐屯地、名寄駐屯地と北海道に広くホークミサイルによる防空網を置き、特に道北の名寄だけでも4個高射中隊のミサイルが空を睨んでいます。

 第7師団司令部のおかれる東千歳駐屯地ですが、実は戦車連隊は一つもおかれていません、恵庭と千歳の広く駐屯していまして、もっとも普通科連隊も特科連隊も駐屯していますこの東千歳駐屯地は、機甲部隊即ち装甲機動部隊の要諦そのものでもあるのですけれどもね。

 北海道のミサイル部隊は文字通り有事即応、強力な三連装発射装置は迷彩色のドームに隠されていて、豪雪期でもスイッチ一つでドームを開閉させ即座に射撃できる、特撮のような話ですが意外にも特撮映画ではこの描写がないのは、在る意味不思議とおもうのだ。

 改良ホーク、HAWKという名称はホーミングオールウェイキラーという格好いい名前とともにアメリカでもペトリオットミサイルが陸軍防空砲兵の主力となったのちにも海兵隊において1990年代まで運用が継続、海岸堡を防衛する為に短距離弾道弾へも迎撃能力がある。

 03式中距離地対空誘導弾システムへ自衛隊では置き換えが進んでいますが、ホーク改善Ⅲ型については見た目からは想像できないほど能力向上しているとのこと。ただ、ホーク近代化改修は三度に分け実施され、そのつど群あたりでかなりの費用がかかっていました。

 73式装甲車で充足した一個普通科連隊の0.9個分がかかるといわれまして、要するに全国のホーク部隊近代化改修費用が無ければ、もう北海道はもちろん本州の普通科連隊は全部が全部73式装甲車程度ならば行き渡っていたというほど、費用をかけている計算です。

 自衛隊はそれほどに、機械化よりも防空を重視してきたともいえる。ただ、この指針は間違ってはいないのでしょうけれども、近年の地対空ミサイル射程延伸の趨勢を見ますと、ロシアのS-500ほどというのは行き過ぎですが50km程度の射程には少々ふあんはないか。

 ユーロサムはじめ欧州やアメリカのミサイル射程はおおむねこの程度ではあるのですが、要するにこちらがわのミサイル射程の要求性能が低すぎないものか、と考えるのです。ロシア中国のミサイル射程延伸を前にペトリオットミサイルさえ性能が不十分となっている。

 航空自衛隊と陸上自衛隊の任務区分があることは理解しているのですが、それでも陸上自衛隊の将来の方面高射部隊へ装備するミサイルは、国産技術が相応にあるのだからという前提で、射程を250km程度まで延伸し、ミサイルギャップを生まない必要が、在ると思う。

 高射特科部隊が現在のままでよいとはとても考えられないのですね。まず高射特科は何より重要です、そして自衛隊が第二次世界大戦の、航空攻撃により散々な目にあった血の戦訓に依拠して、高射特科部隊を重視してきました、ただ、これだけでは未だ足りません。

 防空砲兵、なかでも戦域防空や広域防空を担う装備は、これを叩かなければ現代戦は不可能となりますから、優先目標となり得ます。そしてSEAD防空制圧任務のような大げさな防空制圧ではなく、無人機の多数運用により防空制圧は年々、その敷居が下がっています。

 アイアンドームほど強力な装備である必要はかならずしもありませんが、広域防空システムを対レーダーミサイルや防空制圧用無人機から防衛するCIWS近接防空火器のような装備は遠くない将来に必須になる、安価なものではないが、これがないと何もできない。

 C-RAM地上配備型近接防空火器のようなものが必須となるのではないか、例えばHARM対レーダーミサイルと同等のレーダー電波を逆探知しレーダー破壊を任務とするミサイルの攻撃に対して、いま使われている手法はレーダーを断続的に停止させるというもの。

 HARMからはレーダーを動かさなければ逃れることはできますが、動かさなければ防空作戦が成り立ちません。もちろん延々と動かし続けるというものではなく適宜陣地変換は必要なのでしょうが、対レーダーミサイルの直撃から防衛するシステムは必須でしょう。

 第1電子隊、直轄部隊として自衛隊の電子戦部隊です。その任務はあまり詳しく公開されていませんが、洋上の艦艇などの電波標定を行い、例えば通信が行われている水陸両用部隊等の位置を水平線の向こうも含め標定し、地対艦ミサイル部隊の戦闘を支援するという。

 電子戦部隊は、その内容が公開される事はまずないのですが、地対艦ミサイル部隊の支援というには規模が大きく、そして無線封止を行って上陸する船団に対しては無力です、更に隊長に1佐が補職され、規模として小さな部隊ではありません、1981年に誕生しました。

 99式自走榴弾砲は第一陸曹教育隊の装備です、1954年新編、一時期廃止され特科教育中隊と上級陸曹教育中隊として北部方面教育連隊隷下にありましたが再編成されたのが2011年4月といいますので、まさにこの行事が再編された第一陸曹教育隊のお披露目と云えます。

 第7化学防護隊の観閲行進、第7師団司令部付隊として観閲行進に臨んでいます。化学防護隊といえば、この行事を撮影しました2011年はまだにあの東日本大震災の年であり、化学防護隊は今も記憶に残る福島第一原発事故へ災害派遣されている部隊のひとつでもある。

 化学防護隊、2022年の今日的な視点から見ますと、原子力事故もさることながら隣国ロシアがウクライナに侵攻した際に、化学兵器と生物兵器の使用が常に心配されている点です。つまりロシア軍が将来、北海道に侵攻する懸念が現実となった場合の裏返しともいうもの。

 戦術核兵器等も実際に使用されるのではないかとの懸念、頼むからこの記事を掲載中にそんな悲劇は行わないでくれと切に願うのですが、特に化学兵器は防護装備を充分にもつ軍隊には無力です、特に奇襲的に有事ではなく平時の第一撃で使わない限りは、顕著です。

 化学防護隊、それでは化学兵器へ脆弱な軍隊ならばどうか、その威力は絶大となるでしょう、つまり自衛隊が充分な化学防護隊を有しているからこそ、相手にこの種の装備を使わせない抑止力となるのです、なにしろ使えば自衛隊は兎も角、非戦闘員には致命的なのだ。

 軍事力の第一の任務は抑止力です、戦争が起きなければ防衛費は無駄、こういう方が居ます、そういう方は戦争が起きれば費用対効果が見合ってよかったと満足するのでしょうか、こうした視点を理解する為にも、防衛にも政治や選挙にも、関心を持たねばなりませんね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都発幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌-小牧,航空自衛隊小牧基地発着機見上げるイタリアンのグリル

2022-04-17 18:21:09 | グルメ
■榛名さんの総監部グルメ日誌
 小牧基地へ。こう遠出したからにはなにが美味しいものを頂きたいとおもうのはいつの時代も同じでしょう。

 自衛隊関連行事は中々開放しないものですが、いまこの瞬間も日本の防衛と云う重大任務は自衛隊により支えられています。Weblog北大路機関は各国防衛情勢や軍事情勢を紹介しつつ、いまの自衛隊というものをお伝えし、是非はともかく考える機会を提供できればと。

 写真撮影は、なにしろ時間は有限で移動も限界があります、そしてCOVID-19の時代には簡単に沖縄で嘉手納基地を撮影し北海道で千歳基地を撮影、というようには参りません、そんな中でオーストラリア空軍のKC-30A空中給油機が来ているという小牧基地へ行った。

 雨天となりそうだ、そういう訳で遅めのランチへと向かったのですが、いつもは名古屋市側でお店を探しているものの、今回は小牧城の方角へ、此処も城下町なのですから色々とあるに違いない、と思い適当探していますと市之久田中央公園の向かい側にふと気に成る。

 ベニーニ。欧州の郊外にあるような一軒家を模した、落ち着いた、しかし愛知県の喫茶店文化のなかには数多あるような、そんな面持のお店なのですが、せっかく遠出したのだから少し気に成るよね、とはいりました。そんなお店のなまえはレストランベニーニという。

 前菜は三種類のハムかサーモンということでしたけれども、スモークサーモンは美味しいものをこの冬に色々頂きましたものの、たくさんに沢山頂いた為にそろそろ違ったものをということで、サーモン好きなのですが、ここは三種類のハムという選択でいただきます。

 名古屋の大須のね、コメ兵というカメラの専門店、カメラ以外が有名だそうですがレンズを色々買ったのでカメラ店と云う印象、その目の前にワインとマールとグラッパの美味しい立ち飲み屋さんがあり、そのお店の三種類のハムのセットを思い出しました。懐かしい。

 アンティパストはチョリソーが一番記憶に残るところでしたが、今回は二人で行きましたのでパスタについては一部がリゾットにできて、そしてふた皿に取り分けて供する事が出来るという。パスタとパスタもよいですが、ここはひとつをリゾットにして頂くことに。

 ワタリガニのトマトクリームリゾットとトマトソースのイカ墨パスタオイスター添えという、なにかこの四角いお皿が地中海に見えてきますが、さてさて、ワタリガニの風味と牡蠣の滋味と、さて最後の一口はどちらにしようか、と迷ってしまう程の美味しさでしたね。

 メインはハラミのグリルです。ハラミと云いますと焼肉屋さんでロースとカルビの序曲の後にホルモンをガシガシ焼いたあとのご飯を進める為の部位、と勝手に考えていたのですが、やわらかい。赤みが残る程の肉の酸味に秘めた脂身が絶妙な旨みをしみださせるもの。

 ステーキにもいろいろとあるものですが、ハラミというのはなかなか。そしてふと気に成ったのですが、ロースやカルビというものですがハラミというのは何語なのだろうと。北海道ではこの部位をサガリというようでして、なんでもバーベキューの定番なのだとか。

 ハラミのグリルは、写真ではコンパクトに見えるのでしょうけれども、なるほどここまでの様子を見ての通り、ひとつひとつが本当に技巧を凝らした美味というものになっていまして、満腹感と満足感と云うものは重なっているものなのだなあ、美味しさに納得します。

 デザートは、そんななかでも凄かった、ケーキその他満載しましたワゴンが出動してきまして何が始まるのですかという驚きの開幕ですよ。なんでもこの中から好きなだけ選べるという、要するにケーキバイキングが始まったようなものです、これはもう予想外でした。

 珈琲を戴くのでティラミスと、そしてブルーベリーやイチゴに、四種類ほどお願いしました。ただ、何種類でも選べるのですが、総量が決まっている、というものではなく、要するにたくさんほしい方はもう少し種類を頼んでも良かったという、いや減量も大事ですよ。

 ティラミスとプリンとにブルーベリーやイチゴにという。何種類でもという言葉にもう少し甘えてみても良かったかな、甘いものだけに、そんなことを考えてみますと轟々と音が。遂にF-35編隊離陸か、という訳などは無くゲリラ豪雨の襲来です、いやはや転進は正解だ。

 薫り高い珈琲とともに、ふと思い起こすのは県営名古屋空港前にありました喫茶店が一つ残念な事になっていましたこと、コロナの時代に美味しいものを供するお店にもいろいろと苦難が在る。しかし、このベニーニなんかは感染対策が凄く、時間帯故すいてもいます。

 レストランベニーニ、小牧市郷中二丁目にあります、お隣が喫茶店というお店です。料理が最初から最後まで素晴らしく、珈琲の満足感で締めくくるまでにはなにか観劇のような気持ちの良い時間を過ごす事が出来ました。小牧基地を探訪される方、是非お勧めですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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日本海日米ミサイル防衛訓練実施!こんごう・スプルーアンス・モービルベイ日米イージス艦が参加

2022-04-17 07:00:52 | 防衛・安全保障
■臨時情報-北朝鮮情勢
 北朝鮮ミサイル実験の連続と核実験再開の兆候を受け日本海は緊張に包まれています。こうした緊張を背景にミサイル防衛訓練が実施されました。

 防衛省は日本海においてアメリカ海軍との間でミサイル防衛訓練を実施したと発表しました。これは北朝鮮による再度の大陸間弾道ミサイル級のミサイル実験兆候を受けてのもので、同時に日本海ではアメリカ海軍は原子力空母エイブラハムリンカーンを中心とした空母打撃群が遊弋しており、今回のミサイル防衛訓練はこれにあわせたものとなっています。

 北朝鮮核実験準備の徴候は、寧辺核施設原子炉再稼働の徴候と受け止められる周辺施設整備や各国記者を招き破壊を宣言した豊渓里地下核実験場の再建と思われる施設車両などが衛星画像により確認できており、更に核弾頭の運搬用と考えられる弾道ミサイル実験が定期的に実施されていることから、北朝鮮核危機とミサイル危機が並行している構図となる。

 こんごう、スプルーアンス、モービルベイ、今回のミサイル防衛訓練にはこの三隻が参加したとのこと。スプルーアンスというのは有名なスプルーアンス級駆逐艦の一番艦ではなくアーレイバーク級ミサイル駆逐艦の61番艦で、モービルベイはタイコンデロガ級ミサイル運用艦の7番艦、こんごう、は海上自衛隊最初のイージス艦こんごう型の一番艦です。

 ミサイル防衛訓練とともに日米合同演習が日本海上に実施されていますが、第七艦隊が発表した広報動画では空母エイブラハムリンカーンとともに日米艦艇の陣形、フォトミッションと云う広報動画の為の密集陣形が組まれており、その上空をF-35戦闘機とともに航空自衛隊のF-2戦闘機と思われる群青迷彩の機体複数で編隊を組んで飛行していました。

 日米合同演習について。政府は松野官房長官が日米合同訓練を実施している事は認めつつ、その詳細は後日に防衛省より発表するとしていて、詳細を発表しませんでした。第七艦隊が先に広報した構図ですが、編隊はE-2D早期警戒機にF-2戦闘機が4機とF-35戦闘機およびF/A-18E戦闘機が各2機、そして空母に水上戦闘艦は4隻航行するのが確認できる。

 空母打撃群の写真ではあるのですが、意外だなと感じたのは水上戦闘艦の内海上自衛隊の護衛艦は、こんごう型1隻のみ、アーレイバーク級ミサイル駆逐艦2隻とタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦1隻という、空母打撃群と云うには水上戦闘艦の規模が最小限度であり、また、舞鶴の第三護衛隊群ではなく佐世保のイージス艦こんごう、が参加している点です。

 第三護衛隊群とともに、こんごう日本海展開という点で弾道ミサイル実験の切迫性が高いと見る事も出来ますが、逆に第三護衛隊群は日本海ミサイル防衛に専念する必要があるのか、もっともイージス艦みょうこう、が定期整備中という関係もあるのかもしれませんが、日本海の洋上へ日米イージス艦が平時よりも多い規模で展開していることとなるのですね。

 ロシア海軍キロ級潜水艦からのカリブル巡航ミサイル発射訓練はこの少し前に行われていたようで、ミサイル演習の実施をロシア国防省が14日に発表しています。ロシアとしては沿海州の地上戦力を相当規模ウクライナへ派遣している点から海軍演習を強化しているのでしょうが、北朝鮮への抑止力行使を期しているものまで反応するという状況がつづく。

 カリブル巡航ミサイルは速度が遅く既存防空システムでも迎撃が弾道ミサイルに比べれば容易ですが、まさかロシアが北朝鮮核実験を支援する、例えば戦術核一線使用に先立ち北朝鮮核実験場を利用しロシアの核実験を行い核兵器作動の確実性を確認する、という様なことは考えにくいものですので、緊張のドミノ倒しという状況には懸念を感じざるを得ません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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