北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

令和五年度五月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2023.05.10-2023.05.11)

2023-06-09 20:17:55 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 週明けにかけて台風3号が接近する模様ですが金曜日という事で今週末の自衛隊関連行事を紹介しましょう。

 第9師団創設61周年記念青森駐屯地祭、青森駐屯地創設72周年が日曜日に行われ、土曜日には市街パレードが執り行われます。第9師団、数少ない74式戦車を運用する戦車大隊を持つ師団となりました。驚くなかれ本州の戦車大隊はこの第9戦車大隊とあとは名古屋第10師団隷下の第10戦車大隊が残るのみとなっています、そして廃止改編は間近という。

 青森駐屯地の第9師団は青函地区の青森地域を防衛する師団であり、冷戦時代には北海道へのソ連軍侵攻に際して万一津軽海峡が機雷封鎖、もしくは限定侵攻を受けた際には北海道が孤立し全域が戦火に見舞われる事も必至で、本州師団では最大規模の戦車大隊とFH-70榴弾砲も優先装備された師団ですが、冷戦後は自動車化が後回しにされた師団です。

 2008年の師団改編まで高機動車も配備されておらず60式無反動砲が対戦車隊に配備され、第3師団の師団改編を受け廃止された60式自走無反動砲が管理替えされ、なかなか対戦車ミサイルが普通科連隊に回らなかった師団、訓練展示も64式小銃と匍匐前進という時代が続いていましたが、今では自動車化され、しかし周辺情勢のみ冷戦時代に戻りつつある。

 第5旅団創設19周年帯広駐屯地祭、帯広駐屯地72周年、日曜日に挙行されます。道東地域の防衛警備及び災害派遣を担当する旅団で、その警備管区には返還の目処が立たない北方領土も含まれています。道東地域、冷戦時代には千島列島から直接ソ連軍の野砲弾が届く地域であるとともに地形上十勝平野には自然障害が少なく防衛が難しい地域でした。

 AH-1S対戦車ヘリコプターを最初に配備した第1対戦車へリコプター隊も帯広駐屯地へ駐屯しています。旅団は90式戦車に99式自走榴弾砲と96式装輪装甲車など優秀装備を揃えた部隊ですが、師団旅団改編で第5戦車大隊は第5戦車隊に拡大改編され、しかし大綱改定で第5戦車大隊に縮小、今年更に縮小改編で第5戦車隊、という難しい歴史を辿る。

 留萌駐屯地創設72周年記念行事、第26普通科連隊創設62周年記念、日曜日に執り行われます。第2師団隷下の第26普通科連隊が駐屯、留萌は日本海側に所在し、地形を見ますと滝川市と札幌外縁に続く隘路の海側に配置されるという、冷戦時代にソ連軍侵攻を想定した際には絶対に抑えておかなければならない地域に連隊を置いた、防衛意識の表れです。

 第26普通科連隊、師団普通科連隊であり本部管理中隊と四個普通科中隊に重迫撃砲中隊を置く編成で、旭川の第2師団は戦車連隊と特科連隊を有する師団である為、2020年代でも普通科連隊へ特科大隊と戦車中隊を配置する連隊戦闘団を組む事が可能、2022年から続くロシアウクライナ戦争が続く中、再度北海道へ圧力が掛かる際に備え続ける駐屯地の一つ。

 松山駐屯地創設68周年記念行事、土曜日に予定されています。もともとは第2混成団特科大隊が置かれた駐屯地でしたが、第2混成団の第14旅団拡大改編を受け第14特科隊へ増強改編を受けるも、2018年の第14旅団即応機動旅団改編を受け特科隊が廃止されることとなり、第14特科隊は廃止され、この部隊を以て中部方面特科隊が新編される事となった。

 中部方面特科隊本部の置かれている松山駐屯地ですが、今年度末に姫路駐屯地の第3特科隊が廃止改編を受け、中部方面特科連隊へ改編が見込まれています。ただ、その際に特科連隊本部が松山に置かれるのか、姫路に移駐するのかが未知数であり、そうした意味で駐屯地前の中部方面特科隊、の看板というものは撮影しておくべきなのかもしれませんね。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・6月10日 ・11日:第9師団創設61周年記念青森駐屯地祭
・6月11第5旅団創設19周年帯広駐屯地祭
・6月11留萌駐屯地創設72周年記念行事
・6月10日:松山駐屯地創設68周年記念行事

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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ウクライナ情勢-AF-18戦闘機41機供与でオーストラリアが調整,カホフカダム破壊の影響と南部戦線

2023-06-09 07:00:32 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 時事通信をみていましてウクライナへの戦闘機供与で驚くべき報道がありました。

 オーストラリア政府はAF-18戦闘機41機のウクライナ供与を検討しているとのこと。これはF-35戦闘機配備開始により2021年に運用終了、退役して間もない機体を供与する、AF-18とはF/A-18A戦闘機のオーストラリア空軍仕様、機体そのものは近代化改修によりF/A-18C水準まで能力向上され、AMRAAM空対空ミサイルなど各種装備を運用可能です。

 AF-18の近代化改修は東南アジア地域へMiG-29やSu-30戦闘機配備などの影響を受け空対空能力向上が求められたことを受けてのもので、レーダーはAPG-65からAPG-73へ、また対地攻撃能力はライトニング照準ポッドを搭載し大きく向上しています。機体老朽化の度合いについては一部の機体が中古でカナダ軍へ売却されており、実用可能な水準です。
■F-16とAF-18そして
 JAS-39戦闘機とともに何れは退役したE-2C早期警戒機やタイフーン戦闘機も供与候補に上るのでしょうか。

 F-16戦闘機供与決定に続きオーストラリアのAF-18供与への調整、そしてスウェーデン政府によるJAS-39戦闘機ウクライナ操縦士訓練受入、この数日間でウクライナへの戦闘機供与は一気に進んでいます。この背景は開戦以来のゼレンスキー大統領による各国への戦闘機供与要請というものもあるでしょうが、もう一つ大きな要素があるのかもしれません。

 カホフカダム破壊、ウクライナ南部へ大きな非戦闘員被害を発生させたダム破壊により、戦争によるウクライナ非戦闘員被害を早期に終息させるために必要な選択肢を各国が真剣に検討した結果の戦闘機供与への決断だ、といえるでしょう。なお、オーストラリア軍はこれまでブッシュマスター輸送防護車やM-113装甲車等をウクライナへ供与しています。
■洪水被害者への砲撃
 ダムの貯水量が琵琶湖数個分と知りお隣大津の琵琶湖がそのまま大阪平野に流れ出す事を考えると中々その深刻度は言葉に表せません。

 イギリス国防省戦況分析では、カホフカダム破壊について、7日にかけドニエプル川下流域の浸水被害が拡大しているが、8日に入り水位が低下する兆候が見られているとしています。しかし、非戦闘員被害、特に被害者の救出はロシア軍による砲撃により難航しており、特にロシア軍占領地でのロシア軍による被占領民救出の動きが見られないともされている。

 ダム破壊被災者へのロシア軍砲撃は強まり、特に避難所や避難経路が砲撃目標となっています。この背景には被災地状況視察にゼレンスキー大統領が現地を訪問した事を受け、避難所や避難経路を破壊する事でウクライナ戦争指導体制への打撃を考えていると分析されています。他方、南部地域では初めてレオパルド2と思われる戦車の映像が出ています。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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