北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【日曜特集】海上自衛隊60周年観艦式【12】ヘリコプター搭載護衛艦くらま望見の視点(2012-10-08)

2023-06-11 20:11:41 | 海上自衛隊 催事
■くらま-浦賀水道にて
 前回は反撃能力の視座とともに2012年の写真を回顧した際の複雑な視点を思い出しましたが防衛力整備というのは常にそういうものかのかもしれない。

 ヘリコプター搭載護衛艦、この2012年観艦式は御縁あってヘリコプター搭載護衛艦をいちばんよく見る事が出来る位置から撮影する事が出来ました。わたしの観艦式、観閲艦が護衛艦くらま、の頃に始まりましてそのあとはなかなか、という北大路機関らしい話です。

 22DDH、現在の護衛艦いずも型の建造とともに、いずれ自衛隊はF-35B戦闘機を導入する事になるのだろう、こう考えていましたが驚いたのは、それが意外なほど早かった、ということでしょう。実際のところ海上自衛隊の空母建造構想は海上警備隊まで遡るのだから。

 海上警備隊時代に、アメリカからボーグ級護衛空母の貸与を希望し、また新たに旧海軍の阿賀野型軽巡洋艦の船体設計をもととした対潜中枢艦を建造し、貸与された艦隊駆逐艦とともに対潜掃討部隊を、という研究が、一応日米間での情報交換までは行われていました。

 阿賀野型、なんて、と思われるかもしれません。海上自衛隊の空母建造計画というものを、様々な文献、創刊間もない頃の世界の艦船、誌上にもそうしたものが記されているものですし、当時は驚いたものですが、海上自衛隊と旧海軍は不可分の連続性が見えるのです。

 白露型駆逐艦と護衛艦はるかぜ型、搭載機器やレーダーや水測機器などは当然一新されるのですが船体設計の一部は応用されているといい、一方で旧海軍は三門艦砲を搭載する場合、前甲板に1門と後甲板に2門、という設計が踏襲されていましたが、護衛艦では逆に。

 エセックス級空母の中古艦や全通飛行甲板型護衛艦にハリアーが開発されるとDDV航空機搭載護衛艦、というものなどが定期的に読売新聞や朝日新聞のような全国紙でも関係者の話として検討の話題が示されるようになり、いつかは、と考えられた戦闘機の搭載です。

 F-35Bの搭載、結局ハリアーの場合は能力に限界があり、導入に関わる費用対効果、そして自衛隊の任務を考えた場合には、無理に導入する必然性よりも、イージス艦やターターシステム艦の改良を優先し、ハリアーは後回しとなった、こうした実情があるようでした。

 ハリアーは改良によりAGP-65レーダーを搭載することでAMRAAM空対空ミサイルの運用能力を持ち、対して超音速飛行能力の無いハリアーの会敵能力などの限界があり、艦隊防空に限るならばある程度の能力を発揮できるというオペレーションリサーチは側聞する。

 バックファイア超音速爆撃機、この背景にはソ連が冷戦時代にTu-22Mバックファイア超音速爆撃機の整備を開始し、これは戦略兵器制限条約を受け、その枠外に置くために空中給油受油装置を持たず、航続距離が限定されている、という点はあっても充分脅威という。

 護衛艦隊が警戒していたのはバックファイアからの超音速対艦ミサイル飽和攻撃が、日本のシーレーンを航行するタンカー等に向けられた場合の脅威であり、一方、検討されていた当時のハリアーにはサイドワインダーミサイルまでしか搭載できない限界がありました。

 イージス艦が、選ばれる事になりましたが、サイドワインダーミサイルだけでもバックファイアがミサイル発射位置に進出する事を妨害する事はできるのではないか、という検討が有る一方、簡単ではない、なにしろ相手は超音速機、早期警戒管制機の連携が必須とも。

 空中巡洋艦構想、なんていうP-3C哨戒機にフェニックス空対空ミサイルを搭載することで長距離戦闘機として戦闘機を伴わない爆撃機だけを迎撃する案もあったのですが、こうした検討も実現する事は無く、しかし2020年代にF-35B搭載が、実現する事となります。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】阪急嵐山線6300系と京都本線1300系-懐古趣味と云われても古い電車の乗り心地

2023-06-11 18:22:57 | コラム
■嵐山線のふるい電車
 嵐山線を利用するというのはこれはもう6300系電車に乗れるという事に他ならない。

 阪急6300系、京とれいん運用はほぼ終了してしまい、通勤電車を頑張って改造した新型に置き換わっていますが、嵐山線での運用は続いています。2300系電車の路線、とわたし世代では勝手に思っていた路線ですので慣れるまで時間はかかりましたが、既知の電車だ。

 3300系や5300系が本線で運行をがんばっているところですので、もちろん6300系が長年の特急運行で消耗している事は理解しているのですが、観光路線である嵐山線、それほど速度を求められず通勤輸送の苛烈度も比較的低い嵐山で末永く運行して欲しいとおもう。

 1300系電車。云われてみるとというべきかのかもしれませんけれども、あの懐かしい丸ライト形状で車体も丸っこい印象を残した、つまり優しい顔立ちの阪急電車は着実に減ってはいるのですね。時間帯によってはもう、昭和組というべき旧型車両がなかなか来ない。

 新しい車体も悪くはないのだけれども。いや旧型車が何が良いのか、と問われると、総新型車両の方が同じロングシート車でもソファ部分と云いますか座席のクッション部分がよく弾んで座り心地は良いですし、冷房効率も確かに扉が開いても直ぐに涼しさをたもつ。

 1300系は特急運行も為されている、けれどもクロスシート車の9300系と遠目にはよく似ているのでホームに近づいてくるとロングシート車で恐らくこの混雑度合いでは座る事が出来ないとさとってしまいガッカリする事もある、これも新型車への難色の一つなのかも。

 懐古趣味ではない、とおもう、たぶん。新型車は良いのだけれども、6300系が主力特急であった頃には、車内の大半が座席となっていて始発駅乗車でなくとも相応に座る事が出来たし、見た目で、それは京阪特急程ではないけれども、近づいてくる特急が遠目にも直ぐクロスシートとわかったものです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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無人機を無力化せよ!沿空域に挑む空対空戦闘ヘリコプターやAHEAD弾薬やRWS銃搭30mm機関砲搭載

2023-06-11 07:00:47 | 先端軍事テクノロジー
■ウクライナ-戦訓の解析
 ウクライナ軍反転攻勢を迎え撃つロシア軍公海画像を見ていますと、やはり小型無人機とはいえ部隊行動の秘匿性が簡単かつ安価に破られるのは問題だなあと痛感する。

 沿空域、という概念がこの数年間提唱されています。高度10m程度から50m程度まで、場合によっては100m程度までを含む場合もあるようですが、要するに空ではあるけれども梯子で届く範囲であるし、しかし梯子では届くけれども手を伸ばして人間が利用できる高さにしてはその空間を自由に移動するには特別の機器を要する、つまり無人機のもの。

 絶対航空優勢を確保している場合でも、無人機、これはMQ-9無人機のような大きなものであれば別ですがアナフィのような小型のクワッドドローンのような航空機であれば、また飛行高度が10m程度を低空飛行されますとAIM-9Xのような新世代の空対空ミサイルでも照準は難しいでしょう、そして年々この種の装備の脅威度に対策が追い付いていない。

 徘徊式弾薬のように目標を発見するまで数時間上空を徘徊する一種のミサイルや、安価なクワッドドローンであっても収拾した画像に対して戦車や人員を自動識別する画像解析ソフトと併用された場合、馬鹿にならない脅威度を持ちます。例えば、徘徊式弾薬を待ち伏せる空対空徘徊式弾薬や、小型無人機の場合は肉眼で見えにくいという難点もあります。

 ミリ波レーダーで解析できるならば、例えばAHEAD弾薬に対応する30mm機関砲を搭載したAH-64アパッチシリーズ、レーダーを有するからこそ出来、巡航速度で小型無人機を凌駕する性能を持つ航空機を投入する選択肢、逆に多数のクワッドドローンを更に多数のクワッドドローンの自動管制により迎え撃つスウォーム攻撃なども有用かもしれません。

 AHEAD弾薬、35mm機関砲から射撃する調整信管内臓の機関砲弾が非常に有用であり、UTAAS汎用対地対空照準システムという装甲戦闘車などに標準搭載可能であり対空戦闘にも対応する照準装置がサーブ社により開発されていますが、装甲戦闘車を広く配備し、自走高射機関砲の補完用途に装甲戦闘車を充てるという選択肢なども有用でしょう。

 RWS遠隔操作銃搭に30mm機関砲を搭載して無人機を迎撃する、これはアメリカ海兵隊がハンヴィー高機動車の後継として配備するJLTV統合軽量戦術車輛にこの大口径機関砲を配備させ低空防空に充てる。かつて自衛隊が150両を全国へ配備しようとした87式自走高射機関砲を再生産する方法もあります。兎に角、具体的な対策は急がなければなりません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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