北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

令和五年度六月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2023.06.24-2023.06.25)

2023-06-23 20:03:20 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 今週末は真駒内駐屯地と北千歳駐屯地という北海道二つの駐屯地が行事でにぎわいます。

 第11旅団創設記念真駒内駐屯地祭、日曜日に行われます。札幌市南区真駒内という、政令指定都市に司令部を置く第11旅団は地下鉄真駒内自衛隊前駅から徒歩すぐ。有事の際には地下鉄線路を使って札幌中心部に戦車を送ることができるといわれる部隊です。もっとも地下鉄は高架路線上にあるため、なんとかして担いで階段を登らねばならないが。

 真駒内、実は北部方面隊の歴史の中心にあるような駐屯地です。総監部は札幌駐屯地じゃないか、と反論されそうですが、第二管区隊のもととなり現在の第2師団に繋がる警察予備隊第一部隊が1950年に創設されたのは真駒内ですし、1955年にいまの第7師団の前身である第7混成団が創設されたのもここ真駒内、1962年には第11師団が創設された。

 第11戦車大隊もここ真駒内に長らく駐屯していまして、故に旅団祭では90式戦車が2個中隊揃って観閲行進に参加し賑わせてくれたのですが、2014年に北恵庭駐屯地で第1戦車群廃止を受けその施設を利用するかたちで第11戦車大隊が移駐、少々寂しくなりました。2019年にはMLRSを運用する第1特科団第133特科大隊も廃止、萎みゆく現状だ。

 第11旅団、2008年に第11師団から旅団改編を受けた部隊で、2019年の旅団改編にて第11戦車大隊を第11戦車隊に縮小改編し滝川の第10普通科連隊を第10即応機動連隊に改編、一方第11高射特科中隊は第11高射特科隊に拡大改編され、また今年三月の旅団改編では新しくスキャンイーグル無人偵察機を装備した第11情報隊が新編されました。

 90式戦車に16式機動戦闘車と96式装輪装甲車に99式自走榴弾砲、一通りの優秀装備を揃えている部隊で人員規模は3900名、正直なところ本州の人員削減著しい師団と旅団は全部この第11旅団型の戦車と装甲車で固めた編成に切り替えた方が、募集なんで苦労する現状では、人員は少なくとも部隊として機能するのではないか、とも思うのです。

 北千歳駐屯地祭、明日実施されます。規模はかなり小さくなってしまいましたが、隷下に第129特科大隊だけが残る第1特科群、203㎜自走榴弾砲を装備する第104特科大隊とMLRSを装備する第131特科大隊が隷下に置かれ今年度末に廃止改編が予定される第4特科群、そして3個の地対艦ミサイル連隊が隷下に置かれる、縮小改編中の部隊の行事です。

 第71戦車連隊と第1高射特科群第302高射中隊も駐屯しているため、訓練展示は中々迫力があるのです。しかし縮小改編が進み第1特科群などは203㎜自走榴弾砲装備の第103特科大隊が廃止され、今年三月に第101特科大隊と第102特科大隊の二個大隊が廃止、MLRSを装備する第133特科大隊も2019年に廃止されていて、大丈夫なのか、とおもう。

 北千歳駐屯地は、撮影が難しい。特に観閲行進での撮影が難しい印象があります、これは記念式典会場の公開が式典会場に接する東西南北の一辺しか開放されないために、観閲行進を正面に近い角度から撮影するという事が事実上不可能なのです。しかし観閲行進の参加車両はものすごくよい装備、重装備を揃えていて行進に参加する数も実に多い。

 203mm自走榴弾砲にMLRS多連装ロケットシステムと88式地対艦誘導弾に改良ホークミサイルと90式戦車、駐屯地に司令部を置く第1特科団と第71戦車連隊に高射中隊だけで、変な話ですがこれだけ数が揃っていればロシアウクライナ戦争でウクライナ軍の反転攻勢を左右できるのではないか、というほどの重装備が揃っているのですからね。

 第1特科団の観閲行進は、ほぼ真横から、一度に画角へ納められる装備の数が少なくなってしまい、これが東千歳のように式典会場がもう少し広いとか、帯広駐屯地や旭川駐屯地のように観閲行進の経路が曲がっていて正面に近い角度で撮影できるとか、それこそ真駒内駐屯地のように観閲行進を真正面から撮影できる角度があればなあ、とおもう。

 陸上自衛隊関連行事は以上の二つですが、もう一つ、現在横須賀にイタリア海軍の哨戒艦フランチェスコモロジーニが寄港しています、逸見桟橋に停泊していますのでヴェルニー公園からよく見える位置であり、哨戒艦というには珍しく満載排水量は5800tと大きく、そしてなんと艦首部分が二つに割れている、事故でも設計ミスでもなく、割れている。

 フランチェスコモロジーニは先代にフランチェスコカラッチョーロ級戦艦4番艦というものが未成艦としてあり、今回寄港しているのはパオロタオンディレヴェル級哨戒艦の2番艦、哨戒艦ですが127㎜艦砲と76㎜艦砲を両方とも搭載しテセオ対艦ミサイルも搭載、哨戒艦だと甘く見て挑発すると処罰される強力な武装と割れた艦首が特色です。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・6月25日:第11旅団創設記念・真駒内駐屯地祭
・6月24日:第1特科団創設記念・北千歳駐屯地祭

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

タイタニック潜水艇遭難-観光用深海潜水艇タイタン消息を絶って一〇〇時間超,アメリカカナダフランス捜索続く

2023-06-23 07:00:51 | 先端軍事テクノロジー
■タイタン号遭難事故
 タイタニック、海底3700mの沈没船へ向けて潜航した観光用深海潜水艇タイタン行方不明から100時間以上が経ちました。この深さでは自衛田のDSRVでも潜航は難しい。

 写真は自衛隊のDSRVですが、タイタニック号へ向かった潜水艇タイタン、設計では母船ポーラプリンスから海底へ潜航しますが音信不通になったと発表、アメリカ沿岸警備隊とカナダ海軍、そしてフランス人探検家が乗船していた為にフランス海軍も艦艇を派遣、フランス艦は昨夜現場海域へ到達しました。昨日日本時間夕刻までに生命維持装置の酸素が設計上使い果たしたとのこと。

 カナダ海軍のP-8A哨戒機とP-3C哨戒機が海中で音を探知したと24時間前に報道がありました、カナダにはP-8Aは装備されていませんのでこれはCNN報道の時点で情報が錯そうしているようですが、こんな小型艇でもP-8Aのソノブイは発見できるのかと妙に感心した一方、その海域を集中捜索しても見つからず自然音であった可能性が指摘されている。

 深海潜水艇タイタン、重量10.43tで全長6.7mと全幅2.5mに全高2.8m、一応小型二次元ソナーと推進装置により水中速力は3ノット、水中活動時間は96時間あり、操縦士1名と人員4名を収容可能で酸素と人員を含む搭載能力は685kg、比較できる日本の潜水艇が少ないのですが、似ているのは人間魚雷回天と比し重量はやや重く全長は半分以下、という。

 しんかい6500、日本の有人深海調査艇として海洋研究開発機構が運用している、しんかい6500を比較対象としますと、乗員1名と人員2名が搭乗し全長9.7mと全高3.2mに全幅2.7m、重量27tとなっています、運用時間は標準8時間ということですが酸素は120時間分、建造費は125億円で参考までに同時期の海上自衛隊潜水艦の建造費が360億円ほど。

 タイタンは安全装置として土嚢バラストを採用しており、一定時間水中に潜航したままの場合では土嚢が溶解し中の土砂を海中へ放出する事により浮上するとのこと。他方、通常の深海調査艇は水圧で変形しないガソリン等を浮力材として採用し、バラストを投棄した場合は自動で浮上するよう設計されていますが、タイタンにはこうした装置はありません。

 4000m潜航可能という有人深海調査艇は、日本には一隻、しんかい6500のみ。いや、世界的に見てもアメリカのアルビン号、中国のシーオール号、オーストラリアのチャレンジャー号、ロシアのコンスル号とミール号、フランスのノーティール号と数えるほどしかありません、それは用途が限られるうえ、建造費が通常設計で数百億円を要する為なのです。ただ、一縷の望みをかけ捜索は続いています。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする