■■■防衛フォーラム■■■
今回はこの500日間で評価が一転し急上昇している戦車の話題です。我が国ではとうとう90式戦車の退役が始ってしまいましたが保管しておく選択肢は絶対必要だと思う。
フランス陸軍はルクレルクXLR主力戦車の試験を実施中です。これはDGAフランス軍備総局がこのほど公開したブルージュでの射撃試験の映像とともに発表されたもので、現在フランス陸軍にて運用されているルクレルク戦車を基に200両を3億3000万ユーロの費用を投じ近代化改修するもので、改修計画そのものは2015年に発表されています。
ルクレルクXLR主力戦車は既存のルクレルクと比較し、防御力と近接戦闘能力の強化に重点が置かれ、FNハースタル社製7.62mmRWS遠隔操作銃塔の追加、そして車体部分と砲塔正面部分への追加装甲、及びエンジングリルへの鳥籠型追加装甲の追加などが行われています。今回公開の主砲射撃映像は、追加装備品への衝撃波の影響を試験するものです。
第三世代戦車として開発されたルクレルク主力戦車は、自動装てん装置の採用と1990年代という第三世代戦車では後発の完成から車両間データリンクシステムの標準装備など先進的な設計で知られていますが、輸出型の車両がイエメン内戦介入作戦において戦車輸送車での移動中近距離から攻撃を受けるなど事例があり、その戦訓を反映したものです。
■EKE戦車用徹甲弾■
戦車砲弾は多目的榴弾の時代から急速に戦車を正面から狙う徹甲弾へと回帰する印象があります。
イギリスとドイツは新型のEKE戦車用徹甲弾共同開発に向けた準備会合を開きました。これは4月27日、ロンドンにてイギリス国防省のアンディスタート国軍装備監とドイツのカールステンスタウィツキー中将の会合に際し、共同開発覚書を締結したもので、内容として2023年内に両国の戦車砲弾共同開発へ準備会合と協議を継続的に行うと明記された。
チャレンジャー3主力戦車、既存のチャレンジャー2主力戦車を近代化改修し評価試験中の改良型戦車には伝統的なイギリス軍仕様の120mmライフル砲に代わりNATOや自衛隊の90式戦車などと共通のラインメタル社製主砲が採用されており、これによりNATOでも広く採用されるドイツのレオパルド2主力戦車との弾薬互換性が生まれた構図です。
EKE戦車用徹甲弾について。過去15年間、欧州各国の戦車砲弾開発は徹甲弾よりも多目的榴弾の開発に重点が置かれ、これは地域紛争において主力戦車脅威よりもバンカーや障害処理と火力支援が重視されたためで、多目的榴弾でも対戦車攻撃が可能である点が特色です、しかしロシアウクライナ戦争を機に対戦車戦闘の重要性が再認識された構図です。
■アリエテ125両の代替■
欧州の防衛装備品不足が印象的ですがもっと印象的なものはにhンのような定数割れを無視する事無く政治的な問題として正面から受け止めていること。
イタリア政府は不足する陸軍の戦車125両と装甲戦闘車を緊急調達するべく検討を続けています。イタリア陸軍の主力戦車はC1アリエテ戦車で装甲戦闘車はVCC-80ダルド装甲戦闘車です、しかし老朽化が進むとともに近年は稼働率の問題を抱えており、ここで浮上したのが2022年に勃発したロシアウクライナ戦争における機械化部隊の重要性です。
イタリア国防省のルチアーノポルトラーノ大将は3月のイタリア議会国防委員会において、イタリア陸軍に必要な戦車は250両であり、アリエテ主力戦車の内可動し近代化が可能であるものは125両に過ぎないため、これらを補う戦車の緊急調達が必要であると証言しました。こうした中で真剣に検討されているのは外国から戦車をリースするというもの。
リースを求める声は元国防次官のジョルジオミューレ議員など。アリエテ戦車は、M-47戦車やレオパルド1等の外国製戦車に依存した中で初めて開発した第一線級の主力戦車ですが、開発期間が長引き1980年代の設計です。ドイツフランス共同開発のMGCS戦車などに期待を抱きつつも、レオパルド2のリースを求める声も議会に多いようです。
■ウクライナ供与エイブラムス■
ウクライナへ供与するM-1エイブラムスについて。
アメリカ陸軍はウクライナへ供与するM-1エイブラムスの準備を急いでいます。この為の選択肢としてアメリカ陸軍では最新型んM-1A2戦車ではなく旧型のM-1A1戦車を陸軍の保有車両からそのまま提供する方針としました。もともとアメリカ陸軍は大量のエイブラムス戦車をオハイオ州のデポで分解保管し、必要に応じ改良し組み立てています。
ウクライナ政府は第三世代戦車の供与を急ぐよう要請していますが、デポの部品をM-1A2SEP2V3という最新仕様に組み立てるには1年から2年かかるとみられており、これではウクライナ軍が必要とする時期に間に合わないことは明白でした。この為、国防総省はウクライナ当局と検討を重ね、十分強力というM-1A1戦車を供与することとしました。
エイブラムス戦車供与決定は2023年1月にバイデン大統領自身が発表しています、M-1A1はシステム面でM-1A2ほど複雑ではなくオクラホマ州フォートシル基地においてウクライナ戦車兵教育が開始されることとなっています。アメリカは31両のエイブラムス戦車を当初計画よりも大幅に早い時期に供与を開始することができると準備を急いでいます。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
今回はこの500日間で評価が一転し急上昇している戦車の話題です。我が国ではとうとう90式戦車の退役が始ってしまいましたが保管しておく選択肢は絶対必要だと思う。
フランス陸軍はルクレルクXLR主力戦車の試験を実施中です。これはDGAフランス軍備総局がこのほど公開したブルージュでの射撃試験の映像とともに発表されたもので、現在フランス陸軍にて運用されているルクレルク戦車を基に200両を3億3000万ユーロの費用を投じ近代化改修するもので、改修計画そのものは2015年に発表されています。
ルクレルクXLR主力戦車は既存のルクレルクと比較し、防御力と近接戦闘能力の強化に重点が置かれ、FNハースタル社製7.62mmRWS遠隔操作銃塔の追加、そして車体部分と砲塔正面部分への追加装甲、及びエンジングリルへの鳥籠型追加装甲の追加などが行われています。今回公開の主砲射撃映像は、追加装備品への衝撃波の影響を試験するものです。
第三世代戦車として開発されたルクレルク主力戦車は、自動装てん装置の採用と1990年代という第三世代戦車では後発の完成から車両間データリンクシステムの標準装備など先進的な設計で知られていますが、輸出型の車両がイエメン内戦介入作戦において戦車輸送車での移動中近距離から攻撃を受けるなど事例があり、その戦訓を反映したものです。
■EKE戦車用徹甲弾■
戦車砲弾は多目的榴弾の時代から急速に戦車を正面から狙う徹甲弾へと回帰する印象があります。
イギリスとドイツは新型のEKE戦車用徹甲弾共同開発に向けた準備会合を開きました。これは4月27日、ロンドンにてイギリス国防省のアンディスタート国軍装備監とドイツのカールステンスタウィツキー中将の会合に際し、共同開発覚書を締結したもので、内容として2023年内に両国の戦車砲弾共同開発へ準備会合と協議を継続的に行うと明記された。
チャレンジャー3主力戦車、既存のチャレンジャー2主力戦車を近代化改修し評価試験中の改良型戦車には伝統的なイギリス軍仕様の120mmライフル砲に代わりNATOや自衛隊の90式戦車などと共通のラインメタル社製主砲が採用されており、これによりNATOでも広く採用されるドイツのレオパルド2主力戦車との弾薬互換性が生まれた構図です。
EKE戦車用徹甲弾について。過去15年間、欧州各国の戦車砲弾開発は徹甲弾よりも多目的榴弾の開発に重点が置かれ、これは地域紛争において主力戦車脅威よりもバンカーや障害処理と火力支援が重視されたためで、多目的榴弾でも対戦車攻撃が可能である点が特色です、しかしロシアウクライナ戦争を機に対戦車戦闘の重要性が再認識された構図です。
■アリエテ125両の代替■
欧州の防衛装備品不足が印象的ですがもっと印象的なものはにhンのような定数割れを無視する事無く政治的な問題として正面から受け止めていること。
イタリア政府は不足する陸軍の戦車125両と装甲戦闘車を緊急調達するべく検討を続けています。イタリア陸軍の主力戦車はC1アリエテ戦車で装甲戦闘車はVCC-80ダルド装甲戦闘車です、しかし老朽化が進むとともに近年は稼働率の問題を抱えており、ここで浮上したのが2022年に勃発したロシアウクライナ戦争における機械化部隊の重要性です。
イタリア国防省のルチアーノポルトラーノ大将は3月のイタリア議会国防委員会において、イタリア陸軍に必要な戦車は250両であり、アリエテ主力戦車の内可動し近代化が可能であるものは125両に過ぎないため、これらを補う戦車の緊急調達が必要であると証言しました。こうした中で真剣に検討されているのは外国から戦車をリースするというもの。
リースを求める声は元国防次官のジョルジオミューレ議員など。アリエテ戦車は、M-47戦車やレオパルド1等の外国製戦車に依存した中で初めて開発した第一線級の主力戦車ですが、開発期間が長引き1980年代の設計です。ドイツフランス共同開発のMGCS戦車などに期待を抱きつつも、レオパルド2のリースを求める声も議会に多いようです。
■ウクライナ供与エイブラムス■
ウクライナへ供与するM-1エイブラムスについて。
アメリカ陸軍はウクライナへ供与するM-1エイブラムスの準備を急いでいます。この為の選択肢としてアメリカ陸軍では最新型んM-1A2戦車ではなく旧型のM-1A1戦車を陸軍の保有車両からそのまま提供する方針としました。もともとアメリカ陸軍は大量のエイブラムス戦車をオハイオ州のデポで分解保管し、必要に応じ改良し組み立てています。
ウクライナ政府は第三世代戦車の供与を急ぐよう要請していますが、デポの部品をM-1A2SEP2V3という最新仕様に組み立てるには1年から2年かかるとみられており、これではウクライナ軍が必要とする時期に間に合わないことは明白でした。この為、国防総省はウクライナ当局と検討を重ね、十分強力というM-1A1戦車を供与することとしました。
エイブラムス戦車供与決定は2023年1月にバイデン大統領自身が発表しています、M-1A1はシステム面でM-1A2ほど複雑ではなくオクラホマ州フォートシル基地においてウクライナ戦車兵教育が開始されることとなっています。アメリカは31両のエイブラムス戦車を当初計画よりも大幅に早い時期に供与を開始することができると準備を急いでいます。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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