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【京都幕間旅情】法輪寺,寅年から卯年を迎え干支送りに拝観の寺院は渡月橋の寺院

2023-01-18 20:00:56 | 写真
嵐山の多宝塔
 新年を迎えたからには干支をお送りしたいという探訪だ。

 法輪寺、西京区嵐山虚空蔵山町に所在します秘仏虚空蔵菩薩を奉じます寺院です。京都散歩、目的地を考えずに歴史との出会いを思い浮かべてその日の気分で行った先に拝観するという自由を愉しんでいる事が多いのですが、今回はここ法輪寺を目的地として探訪です。

 干支送り、寅年から卯年を迎えました。2022年はいろいろありましたが、総じて興味深いことや、COVID-19の影響も残るには残るのですが、仕事も私事も関心事も、総じて前に進むことができたという印象です、率直に言ってそれなりに実りある一年となりましたね。

 寅年ということで寅さんで送ろう、こういいましても葛飾柴又までいくというような率直な話ではなく、狛犬ならぬ狛虎のいます嵐山の法輪寺を拝観することといたしました次第でして、ここは有名な寺院なのかととわれれば、それなりに有名ですが見た人は更に多い。

 行基さんの寺院、その歴史は非常に古い、行基が元明天皇の勅願を受け造営しました寺院、和銅6年こと西暦713年と平安遷都からも90年近く古く造営された寺院となっています。しかし実際の歴史は更に古く、渡来系の秦氏が建てた葛野井宮という寺院が在ったという。

 葛野井宮、秦氏は様々な技術を大陸から日本へ伝えたといいまして酒造なんかもその功績の、なにしろ縄文時代の吐きそうになる様な不衛生で無分別で吐瀉のような酷い酒造技術をまともな酒類に置換えたという、秦氏は日本の酒飲み呑兵衛の恩人のような連中です。

 嵐山の葛野井宮、もう一つ秦氏が果たしました重要な技術に治水技術があります、火山性地形の弧状列島は全土が災害頻発地域、特に嵐山の大堰川は下流に長岡京もありますので、此処を治水できなければ国家造営にも差し障る、大堰川の治水は重要な功績といえました。

 行基さん、こちらは日本仏教の恩人の様な方の一人とも言えまして、仏教が国家宗教であり個人の救済など度外視していた時代に有志と共に寺を出て布教に当り、そして僧侶の知識を灌漑に耕作と治水に医療と広い分野でも広め、民衆へ仏教を広めたひとりといえます。

 渡月橋、嵐山の大堰川を横断する京都の風物詩といいますか京都らしい情景を醸している渡月橋は、実際にいった人はもちろん、まあ写真家ドラマかポスターか年賀状でごらんになった方は多いでしょう、その情景の山中多宝塔が見えましたならば、そこがこのお寺だ。

 法輪寺橋、しかし驚かれるかもしれませんが渡月橋という地名が定着したのはつい最近と言いますか江戸時代には行っての事でして、それまでは法輪寺橋という名称、亀山上皇が和歌に渡月橋と詠むまでは、この橋梁は法輪寺への参道でしかなかったという歴史もある。

 嵯峨の虚空蔵さん、こうも呼ばれ親しまれる法輪寺ですが、元明天皇の勅願を受けまして天台宗寺院として造営された歴史はあるのですけれども、勤操さんや歴代天皇の勅願所ともなったのち、この寺院は空海の影響を受け密教の御寺へ、真言宗寺院となってゆきます。

 道昌、御寺を真言宗寺院としましたのは空海の弟子道昌です。歴史とは面白いものでして、空海の弟子であると共に土木技術にも知識が深く、広隆寺に奈良の隆城寺や元興寺といった寺院の別当も務めています、そして土木技術は大堰川の架橋というかたちで活かされた。

 虚空蔵菩薩を安置しましたのも道昌の時代なのですが、同時に大堰川に参道としての架橋、つまり今の渡月橋のひな形となります工事を行った功績もありまして、実のところここ法輪寺というのは信仰の寄る辺とともに、嵐山一帯の治水と所縁ある寺院でもあるのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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