■フェリーを阻む機雷
数字の上では輸送できるとしても輸送手段が本当に有事の際に使用できるかは重要な検討事項です。
台湾有事の拡大か、それとも台湾有事に先立つ策源地確保へ南西諸島を確保するという南西有事先行型かという想定の下、台湾有事が拡大し台湾周辺海域で行われた機雷掃海の一部が流れ出してしまう、その機雷が漂う中でのフェリーなど民間船による移動をどのように行うのか、という想定で論じています。つまり日本が直接巻き込まれる前の段階です。
浮流機雷をある程度想定しておく、これが南西有事における国民保護避難民輸送の要諦です。この国民保護法制は必要な法整備でしたが、担当が都道府県単位であり、都道府県に機雷の脅威や戦闘の拡大による非戦闘員被害というものを考えるには限度があるように思います、この点例えば、自衛隊の各地方協力本部に民間防衛作戦課を置く必要を感じます。
ゴジラ。浮流機雷の脅威は実際に戦後日本で何度も発生しているのですけれども、その一つに1954年の映画“ゴジラ”が挙げられます、これならば皆さま一度くらいはご覧になったのではないか、と。この作品の序章で次々と船舶がゴジラに襲撃され行方不明となる描写がありまして、相次ぐ遭難-浮流機雷か、新聞の見出しが映画の劇中に出てくるのです。
朝鮮戦争の浮流機雷はもちろん、第二次世界大戦中に日本軍が敷設した大量の係維機雷、アメリカ軍はB-29爆撃機により大量の厄介な磁気機雷を敷設していますが、海水にさらされた係維索が老朽化などで切れて流れ出したものが浮流機雷となり、日本海側は上掲の通りの浮流機雷で相当な被害が出ています。これを自衛隊創設前、海上保安庁が掃海した。
台湾有事においてどの程度の期間で日本近海に浮流機雷が流れ着くのかは不明です、そもそも台湾有事が着上陸作戦まで進むのか、それとも着上陸ではなく台湾有事において本土進攻ではなく海上封鎖を選択肢として用いた場合に機雷が用いられる可能性があります。海流の研究とともに浮流物の移動速度などを算出する、といった研究の応用が利きます。
フェリーなどの避難船の場合は、都道府県の防災職員を同乗させドローン小型無人機を飛行させ、浮流機雷が浮いていないかを確認するという選択肢も有効でしょう。キャプチャー機雷と違い、触れなければ爆発しないのがせめてもの救いというところでしょうか。もちろん、洋上のマリンデブリ帯など浮遊物の多い水面は厳重に避けなければなりません。
確認掃海という、要するに重要船舶が航行する前に、重要船舶の音響特性と磁気特性を再現した機雷掃討具を先行させて安全性を確保するという方式があるのですが、もちろん都道府県単位で掃海艇を保有することは難しい、機雷掃討具だけでも防災ヘリコプター数機分の費用となります、ただ、例えば無人漁船など今後普及した場合、応用は利く可能性も。
無人漁船は近年の漁業就労者高齢化を受け開発が進められている新技術ですが、いまのところ実用化には時間はかかりそうです、ただ、平時から都道府県単位で有事の際には有償でフェリーの前などを航行し、安全を確認する確認掃海を行える仕組みを事前に構築しておくことができれば、万一の事があっても無人漁船ならば補償金で対応できる問題という。
国民保護法制、に南計画作成は自治体単位の問題ではあるのですが、しかし例えば自衛隊もRQ-8無人ヘリコプターかSH-60J哨戒ヘリコプター、目視だけなので最新のSH-60YやSH-60Kまでは必要ないのですけれども、フェリー、これも一隻や二隻で対応できる避難者の人数ではないのが弱みなのですが、船団護衛を行えるような体制を構築しておく必要が。
戦時徴用船、2019年ごろからNHKなどが、徴用され大変な目にあった民間船員の回顧を特集しています。忘れてはならないのは、過去に日本海軍は商船の護衛を見捨てているのですね。最も筆頭は、北号作戦の完部隊でしょうか、この作戦は戦艦伊勢、日向、巡洋艦大淀などが参加し、フィリピン失陥後に軍艦による南方強行輸送に成功した作戦で有名だ。
北号作戦は、戦艦などは輸送用ではないために、戦艦二隻を合わせて中型輸送船一隻分の輸送となりましたが、輸送に成功したことで知られる。一方で、本来は戦艦に護衛されるべき民間輸送船は、置いて行かれた構図、南号作戦として特設艦艇の護衛さえ十分にない輸送船は19回にわたり輸送作戦を実施し大半が撃沈され、この再現を行ってはならない。
フェリー護衛に、先代の所縁で護衛艦ひゅうが、いせ、おおよど、くらい全力で投入してほしいところですが、自衛隊としては、実質沖縄県危機管理課の専従となる掃海艇や護衛艦と哨戒ヘリコプターを、戦闘任務と並行しどれだけ出せるかの議論も、必要でしょう。それがだめならば、海上自衛隊予算の一部を海上保安庁に回し掃海を願うしかありません。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
数字の上では輸送できるとしても輸送手段が本当に有事の際に使用できるかは重要な検討事項です。
台湾有事の拡大か、それとも台湾有事に先立つ策源地確保へ南西諸島を確保するという南西有事先行型かという想定の下、台湾有事が拡大し台湾周辺海域で行われた機雷掃海の一部が流れ出してしまう、その機雷が漂う中でのフェリーなど民間船による移動をどのように行うのか、という想定で論じています。つまり日本が直接巻き込まれる前の段階です。
浮流機雷をある程度想定しておく、これが南西有事における国民保護避難民輸送の要諦です。この国民保護法制は必要な法整備でしたが、担当が都道府県単位であり、都道府県に機雷の脅威や戦闘の拡大による非戦闘員被害というものを考えるには限度があるように思います、この点例えば、自衛隊の各地方協力本部に民間防衛作戦課を置く必要を感じます。
ゴジラ。浮流機雷の脅威は実際に戦後日本で何度も発生しているのですけれども、その一つに1954年の映画“ゴジラ”が挙げられます、これならば皆さま一度くらいはご覧になったのではないか、と。この作品の序章で次々と船舶がゴジラに襲撃され行方不明となる描写がありまして、相次ぐ遭難-浮流機雷か、新聞の見出しが映画の劇中に出てくるのです。
朝鮮戦争の浮流機雷はもちろん、第二次世界大戦中に日本軍が敷設した大量の係維機雷、アメリカ軍はB-29爆撃機により大量の厄介な磁気機雷を敷設していますが、海水にさらされた係維索が老朽化などで切れて流れ出したものが浮流機雷となり、日本海側は上掲の通りの浮流機雷で相当な被害が出ています。これを自衛隊創設前、海上保安庁が掃海した。
台湾有事においてどの程度の期間で日本近海に浮流機雷が流れ着くのかは不明です、そもそも台湾有事が着上陸作戦まで進むのか、それとも着上陸ではなく台湾有事において本土進攻ではなく海上封鎖を選択肢として用いた場合に機雷が用いられる可能性があります。海流の研究とともに浮流物の移動速度などを算出する、といった研究の応用が利きます。
フェリーなどの避難船の場合は、都道府県の防災職員を同乗させドローン小型無人機を飛行させ、浮流機雷が浮いていないかを確認するという選択肢も有効でしょう。キャプチャー機雷と違い、触れなければ爆発しないのがせめてもの救いというところでしょうか。もちろん、洋上のマリンデブリ帯など浮遊物の多い水面は厳重に避けなければなりません。
確認掃海という、要するに重要船舶が航行する前に、重要船舶の音響特性と磁気特性を再現した機雷掃討具を先行させて安全性を確保するという方式があるのですが、もちろん都道府県単位で掃海艇を保有することは難しい、機雷掃討具だけでも防災ヘリコプター数機分の費用となります、ただ、例えば無人漁船など今後普及した場合、応用は利く可能性も。
無人漁船は近年の漁業就労者高齢化を受け開発が進められている新技術ですが、いまのところ実用化には時間はかかりそうです、ただ、平時から都道府県単位で有事の際には有償でフェリーの前などを航行し、安全を確認する確認掃海を行える仕組みを事前に構築しておくことができれば、万一の事があっても無人漁船ならば補償金で対応できる問題という。
国民保護法制、に南計画作成は自治体単位の問題ではあるのですが、しかし例えば自衛隊もRQ-8無人ヘリコプターかSH-60J哨戒ヘリコプター、目視だけなので最新のSH-60YやSH-60Kまでは必要ないのですけれども、フェリー、これも一隻や二隻で対応できる避難者の人数ではないのが弱みなのですが、船団護衛を行えるような体制を構築しておく必要が。
戦時徴用船、2019年ごろからNHKなどが、徴用され大変な目にあった民間船員の回顧を特集しています。忘れてはならないのは、過去に日本海軍は商船の護衛を見捨てているのですね。最も筆頭は、北号作戦の完部隊でしょうか、この作戦は戦艦伊勢、日向、巡洋艦大淀などが参加し、フィリピン失陥後に軍艦による南方強行輸送に成功した作戦で有名だ。
北号作戦は、戦艦などは輸送用ではないために、戦艦二隻を合わせて中型輸送船一隻分の輸送となりましたが、輸送に成功したことで知られる。一方で、本来は戦艦に護衛されるべき民間輸送船は、置いて行かれた構図、南号作戦として特設艦艇の護衛さえ十分にない輸送船は19回にわたり輸送作戦を実施し大半が撃沈され、この再現を行ってはならない。
フェリー護衛に、先代の所縁で護衛艦ひゅうが、いせ、おおよど、くらい全力で投入してほしいところですが、自衛隊としては、実質沖縄県危機管理課の専従となる掃海艇や護衛艦と哨戒ヘリコプターを、戦闘任務と並行しどれだけ出せるかの議論も、必要でしょう。それがだめならば、海上自衛隊予算の一部を海上保安庁に回し掃海を願うしかありません。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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