■脅威下の冷静な判断と対処
新型コロナウィルスCOVID-19世界流行禍さえ無ければ今頃は千僧駐屯地祭ではあったのですが、外出もできませんで今週は第3師団が映画で多分活躍する話題を。
宇宙戦争の火星人が地球に大量に送り込んだトライポッドは強力な熱線を発し頑丈なシールドに守られています、これで無敵のような気がするのですが、あくまで映画の演出の都合というものでして、実際にトライポッドは弱点が多い。映画では“大阪では何体か倒した”という台詞が在りましたが接近戦を強要するならば自衛隊は十分対応できるでしょう。
大阪といえば第3師団です。トライポッドは強力な装備ではありますが映画が公開された2006年、第3師団も近代化改編を受けています。シールドと熱線、トライポッドは旧陸軍がフィリピンや沖縄で見上げたアメリカのM-4シャーマン戦車のように強そうではありますが、しかし、通信や運用の面で稚拙な面が多い、其処を突く戦術こそが勝利を勝ち取る。
シールドに弱点はないのか。シールドを可視光線が透過しているのですからレーザー光線などは確実に貫通するのでしょう、しかし、2005年当時の自衛隊に戦車を撃破できるようなレーザー砲は装備されておらず、ミサイル照準を妨害する航空機自衛用レーザーが試験中という程度でした。残念ながらこの装備は第3師団には配備されておらず装備庁どまり。
自衛隊には特定通常兵器禁止条約を遵守するために配備されていないのですが、ダズラー幻惑妨害装置というものがあります。これは眼球に有害なコヒーレント光を照準装置や人員に照射し照準や航空機などの操縦を妨害するものです。そこで、トライポッドに本体部分にダズラーを照射することで、相手を失明に追い込むことも可能なのかもしれません。
さて。自衛隊には、ダズラー幻惑装置にあたるものを有していませんのでシールドを透過して火星人を無力化する事は出来ません、ただ74式戦車が測距用に用いているルビーレーザーは目に有害である為、戦車中隊単位で一斉に長距離から測距レーザーを照射するならば効果があるやも。現用戦車はアイセイフレーザーを採用している為、逆に古い方が強い。
しかし、74式戦車のルビーレーザーも既にアイセイフレーザーへ置き換えられているということ。どうせ相手は人間ではないのだから、火星人が人間であったとしても非戦闘員大量虐殺という国際法上の強行規範ユスコーゲンスに反している相手故に多少荒っぽい方法は許されそうなものですが、ルビーレーザー測距装置が換装されているのでは使えません。
音響で指揮を執っている、トライポッドは重低音の音響で攻撃開始を合図している事から無線が無い可能性を前回示唆しましたが、ここは逆に市街地や農村部であれば防災用行政無線の拡声器を応用する事で、攻撃行動に用いる轟音、音響を流して特定地域へ誘導することもかのうなのかもしれません。要は誘導した上でシールドを無力化できれば、よい。
音響誘導。映画ガメラ2では飛翔する多数の小型レギオンを電磁波に向かう特性を利用し電波送信所におびき寄せAH-1S対戦車ヘリコプター多数で一挙に制圧する描写がありましたが、実戦でも2015年からのウクライナ東部紛争にてロシア軍がウクライナ軍の野戦通信を遮断し、私物携帯電話に偽の集合命令を発しまして集まった所を砲撃した実例がある。
シールド、防御力の高い戦車への攻撃方法として、2008年南レバノン戦争では世界でもっとも防御力の高いイスラエル国防軍のメルカヴァ4戦車に対して、道路脇の中層建築物を爆破して戦車に倒壊させ押しつぶす、という戦術が用いられました、可能でしょうか。ただ、トライポッドは15階建のビル相当、巨大な建築物で押しつぶすのは難しそうです。
地雷。2003年イラク戦争では世界最強とよばれたアメリカ陸軍のM-1A2戦車が機雷で爆破されました、対戦車地雷には相当高い防御力を有するM-1A2戦車ですが、地雷よりも遙かに大きな機雷、本来船舶を狙う、これを地面の下に埋め込むことで爆破していました、結果、55t以上ある戦車の15t以上ある砲塔が吹き飛び、全壊する、威力を痛感させられました。
92式対戦車地雷はどうか。考えますとトライポッドは地面に脚部を接して機動しています、地面にシールドを張っていません、言い換えれば対戦車地雷を敷設された場合は防ぐことが出来ない公算が高い、92式対戦車地雷は作動すると高熱のジェットが1500m程度まで吹き上がり、戦車の底部を破壊するものです、83式地雷敷設装置により迅速に敷設できる。
弱点を突くのは地雷だ。2006年大久保駐屯地祭、京都府の駐屯地ですが、第3師団隷下の第3施設大隊も駐屯していまして、思い返しますと2006年の大久保駐屯地祭では92式対戦車地雷を仮設敵が敷設していたのですね、そう、あの地雷を使えばトライポッドを撃破できたのではないか。実際、夜間攻撃などに探照灯を用い、音響で合図するなどをみて第3師団ならば着想しそう。
指向性散弾地雷、自衛隊が対人地雷の光景として導入したスウェーデン製FFV013管制地雷ですが、これも有用かもしれません。本来は大型筐体を利用し飛行場など重要施設防御用に運用、ヘリボーン強襲等を仕掛けた敵をヘリコプターごと撃破するものですが、遠隔操作により150mまで有効破片を散布する、これを上に向けて敷設する選択肢もあります。
大阪に出現したトライポッド、第3師団は応急出動のかたちで第36普通科連隊や第37普通科連隊が64式対戦車誘導弾や87式対戦車誘導弾、自走106mm無反動砲で攻撃を加えるものの、シールドを貫徹できず苦戦を強いられるでしょう。しかし、上記の通り見ればわかる明確な弱点が存在するのです、恐らく師団はここで柔軟に対応を切り替えたはず。
第3特科連隊、2005年当時は特科隊ではなく特科連隊の編成でした、この特科連隊によりFH-70榴弾砲を用い、広範囲に白リン弾を投射、煙覆します。その間に施設大隊83式地雷原敷設装置を用い数百の92式対戦車地雷を敷設、踏んだ瞬間からトライポッドは倒れ、行動不能となったトライポッドは普通科隊員が近接戦闘に持ち込み火星人を銃剣で始末する。
す。しかし、こうしたとおり弱点はある、そして暗視装置や通信の重要性を理解していない火星人は、技術力は多少高くとも戦争にかんする戦術や戦略というものを持ち合わせていなかったのかもしれません、ここが最大の弱点であり、そもそも戦争を繰り返す人類には勝てなかったようにも思います。
映画宇宙戦争はHGウェルズ氏の原作の通り、部隊は現代であっても火星人は終盤に地球でのウィルスに冒されあっさりと死滅します、つまりトライポッドはNBC防護装置や気密室さえ有していなかったのですね。映画では終盤に示された為、冒頭にこの弱点が分っていたならば化学兵器使用も真剣に検討されたのかもしれません。催涙ガスだけでも効く。
さてさて。一見困難で厳しい状況にあっても、見方を変えるだけで勝機や解決策というものは数多ある、これが“宇宙戦争”における自衛隊と火星人の激戦を考えた上で導き出しました結論です。他方で現実世界は喫緊の課題が新型コロナウィルス、死者30万で治療法は現在ありませんが脅威下の冷静な判断と対処としまして、在宅、この一点でも未知のウィルスは防ぐことができる、のですね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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新型コロナウィルスCOVID-19世界流行禍さえ無ければ今頃は千僧駐屯地祭ではあったのですが、外出もできませんで今週は第3師団が映画で多分活躍する話題を。
宇宙戦争の火星人が地球に大量に送り込んだトライポッドは強力な熱線を発し頑丈なシールドに守られています、これで無敵のような気がするのですが、あくまで映画の演出の都合というものでして、実際にトライポッドは弱点が多い。映画では“大阪では何体か倒した”という台詞が在りましたが接近戦を強要するならば自衛隊は十分対応できるでしょう。
大阪といえば第3師団です。トライポッドは強力な装備ではありますが映画が公開された2006年、第3師団も近代化改編を受けています。シールドと熱線、トライポッドは旧陸軍がフィリピンや沖縄で見上げたアメリカのM-4シャーマン戦車のように強そうではありますが、しかし、通信や運用の面で稚拙な面が多い、其処を突く戦術こそが勝利を勝ち取る。
シールドに弱点はないのか。シールドを可視光線が透過しているのですからレーザー光線などは確実に貫通するのでしょう、しかし、2005年当時の自衛隊に戦車を撃破できるようなレーザー砲は装備されておらず、ミサイル照準を妨害する航空機自衛用レーザーが試験中という程度でした。残念ながらこの装備は第3師団には配備されておらず装備庁どまり。
自衛隊には特定通常兵器禁止条約を遵守するために配備されていないのですが、ダズラー幻惑妨害装置というものがあります。これは眼球に有害なコヒーレント光を照準装置や人員に照射し照準や航空機などの操縦を妨害するものです。そこで、トライポッドに本体部分にダズラーを照射することで、相手を失明に追い込むことも可能なのかもしれません。
さて。自衛隊には、ダズラー幻惑装置にあたるものを有していませんのでシールドを透過して火星人を無力化する事は出来ません、ただ74式戦車が測距用に用いているルビーレーザーは目に有害である為、戦車中隊単位で一斉に長距離から測距レーザーを照射するならば効果があるやも。現用戦車はアイセイフレーザーを採用している為、逆に古い方が強い。
しかし、74式戦車のルビーレーザーも既にアイセイフレーザーへ置き換えられているということ。どうせ相手は人間ではないのだから、火星人が人間であったとしても非戦闘員大量虐殺という国際法上の強行規範ユスコーゲンスに反している相手故に多少荒っぽい方法は許されそうなものですが、ルビーレーザー測距装置が換装されているのでは使えません。
音響で指揮を執っている、トライポッドは重低音の音響で攻撃開始を合図している事から無線が無い可能性を前回示唆しましたが、ここは逆に市街地や農村部であれば防災用行政無線の拡声器を応用する事で、攻撃行動に用いる轟音、音響を流して特定地域へ誘導することもかのうなのかもしれません。要は誘導した上でシールドを無力化できれば、よい。
音響誘導。映画ガメラ2では飛翔する多数の小型レギオンを電磁波に向かう特性を利用し電波送信所におびき寄せAH-1S対戦車ヘリコプター多数で一挙に制圧する描写がありましたが、実戦でも2015年からのウクライナ東部紛争にてロシア軍がウクライナ軍の野戦通信を遮断し、私物携帯電話に偽の集合命令を発しまして集まった所を砲撃した実例がある。
シールド、防御力の高い戦車への攻撃方法として、2008年南レバノン戦争では世界でもっとも防御力の高いイスラエル国防軍のメルカヴァ4戦車に対して、道路脇の中層建築物を爆破して戦車に倒壊させ押しつぶす、という戦術が用いられました、可能でしょうか。ただ、トライポッドは15階建のビル相当、巨大な建築物で押しつぶすのは難しそうです。
地雷。2003年イラク戦争では世界最強とよばれたアメリカ陸軍のM-1A2戦車が機雷で爆破されました、対戦車地雷には相当高い防御力を有するM-1A2戦車ですが、地雷よりも遙かに大きな機雷、本来船舶を狙う、これを地面の下に埋め込むことで爆破していました、結果、55t以上ある戦車の15t以上ある砲塔が吹き飛び、全壊する、威力を痛感させられました。
92式対戦車地雷はどうか。考えますとトライポッドは地面に脚部を接して機動しています、地面にシールドを張っていません、言い換えれば対戦車地雷を敷設された場合は防ぐことが出来ない公算が高い、92式対戦車地雷は作動すると高熱のジェットが1500m程度まで吹き上がり、戦車の底部を破壊するものです、83式地雷敷設装置により迅速に敷設できる。
弱点を突くのは地雷だ。2006年大久保駐屯地祭、京都府の駐屯地ですが、第3師団隷下の第3施設大隊も駐屯していまして、思い返しますと2006年の大久保駐屯地祭では92式対戦車地雷を仮設敵が敷設していたのですね、そう、あの地雷を使えばトライポッドを撃破できたのではないか。実際、夜間攻撃などに探照灯を用い、音響で合図するなどをみて第3師団ならば着想しそう。
指向性散弾地雷、自衛隊が対人地雷の光景として導入したスウェーデン製FFV013管制地雷ですが、これも有用かもしれません。本来は大型筐体を利用し飛行場など重要施設防御用に運用、ヘリボーン強襲等を仕掛けた敵をヘリコプターごと撃破するものですが、遠隔操作により150mまで有効破片を散布する、これを上に向けて敷設する選択肢もあります。
大阪に出現したトライポッド、第3師団は応急出動のかたちで第36普通科連隊や第37普通科連隊が64式対戦車誘導弾や87式対戦車誘導弾、自走106mm無反動砲で攻撃を加えるものの、シールドを貫徹できず苦戦を強いられるでしょう。しかし、上記の通り見ればわかる明確な弱点が存在するのです、恐らく師団はここで柔軟に対応を切り替えたはず。
第3特科連隊、2005年当時は特科隊ではなく特科連隊の編成でした、この特科連隊によりFH-70榴弾砲を用い、広範囲に白リン弾を投射、煙覆します。その間に施設大隊83式地雷原敷設装置を用い数百の92式対戦車地雷を敷設、踏んだ瞬間からトライポッドは倒れ、行動不能となったトライポッドは普通科隊員が近接戦闘に持ち込み火星人を銃剣で始末する。
す。しかし、こうしたとおり弱点はある、そして暗視装置や通信の重要性を理解していない火星人は、技術力は多少高くとも戦争にかんする戦術や戦略というものを持ち合わせていなかったのかもしれません、ここが最大の弱点であり、そもそも戦争を繰り返す人類には勝てなかったようにも思います。
映画宇宙戦争はHGウェルズ氏の原作の通り、部隊は現代であっても火星人は終盤に地球でのウィルスに冒されあっさりと死滅します、つまりトライポッドはNBC防護装置や気密室さえ有していなかったのですね。映画では終盤に示された為、冒頭にこの弱点が分っていたならば化学兵器使用も真剣に検討されたのかもしれません。催涙ガスだけでも効く。
さてさて。一見困難で厳しい状況にあっても、見方を変えるだけで勝機や解決策というものは数多ある、これが“宇宙戦争”における自衛隊と火星人の激戦を考えた上で導き出しました結論です。他方で現実世界は喫緊の課題が新型コロナウィルス、死者30万で治療法は現在ありませんが脅威下の冷静な判断と対処としまして、在宅、この一点でも未知のウィルスは防ぐことができる、のですね。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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