北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【京都発幕間旅情】長浜城(滋賀県長浜市)羽柴秀吉から山内一豊,姉川の戦いと賤ヶ岳の戦いそして山崎の戦いへ

2022-10-26 20:22:41 | 旅行記
■城址公園が湛える歴史
 紅葉の季節は湖北の涼しさが寒さへ移ろう証左なのですが青空に微かな木々の色づきが鮮やかに映えます。ここは城址公園であり模造天守が建つのみですが当地の歴史は本物だ。

 長浜城、羽柴秀吉が初めて城持ち大名となった城郭でした。築城は天正元年の西暦1573年ですが、完成までには時間を要したという、この当たりは遺構が残っている部分が僅かですのでまだまだ研究の余地があるのですが、小谷城の構造物など残ったものを移築した。

 宝厳寺という竹生島の寺院が修復用に浅井長政が樹木を備蓄していましたのでこれらも転用したという。ただ、秀吉は後年、この事を気に掛けていたようで晩年に宝厳寺の再興を遺訓として残しています。こうした事で、城郭が完成するまでには数年、五年近く要した。

 羽柴秀吉は小谷城下町をそのまま長浜に移築し、またこの際に城郭造営へ町人農民商人はては僧侶まで動員し突貫工事を試みたともいわれています。ただ、羽柴秀吉自身の入城は築城から四年後、勿論城郭を喜んだのでしょうが、落ち着く時間は僅かだったようです。

 京都改造を筆頭に秀吉は都市計画と緻密な動員計画を支える万全の兵站構築という、勝ち目の追求に余念の無い武人であったことは、その道程を辿る事で気付かされるところです、そして都市計画を一から構築したのは、ここ長浜の城下町造営が初めてといえるでしょう。

 堀秀政が城主を任されたのは天正9年こと西暦1581年のことで、命じたのは織田信長です。これは羽柴秀吉が中国遠征として遠く長浜を離れていた事を受けてですが、中国遠征として毛利攻めが成功した暁には、羽柴秀吉にはより広大な所領を考えていたのでしょうか。

 本能寺の変、さてこの天正9年という年号を見ますと皆様お気づきの通り、堀秀政に城主を命じた織田信長は本能寺にて、明智光秀の謀反により最期を迎えます。いや、長浜城はその日から戦いの最前線となりました、明智光秀に呼応した阿閉貞征が攻めてきたのです。

 明智光秀に呼応した阿閉貞征は秀吉の与力、身内に裏切られた構図はここにもありましたが北近江伊香郡を所領に持つ阿閉貞征、元々は浅井長政の家臣であったのですが小谷城陥落前に織田信長に降伏、有岡城包囲戦や姉川の戦いに参陣しています、が裏切りました。

 中国大返しで迅速に京都まで戻りました羽柴秀吉は、山崎の戦いで明智光秀を破りましたが、此処にも参陣していた阿閉貞征ですが、当然撃破され一族郎党全員磔刑となりましたのは、まあ仕方ない。山崎の戦い、しかし秀吉が引き返すのが早過ぎるという話は、ある。

 長浜城、中国遠征を行っていました秀吉、ただ一族郎党全員と云う訳ではなく秀吉の正室寧々さんと実母仲さんは、ここ長浜城に残しているのですね、そして情報として明智軍が信長の安土城も、思い入れ或る長浜城も落城させたという、それは焦るだろう、とおもう。

 山崎の戦いに至る中国大返し、奇跡的な速度と云われる秀吉の転進ですが、姫路城はじめ秀吉は長浜から広島に至る長大な兵站線を中継点と共に構築しており、人員だけ遮二無二引き返すだけならば難しい事ではない、その先に愛する妻と大好きな母が居るなら、なお。

 山内一豊、放浪の果てに織田家家臣となり羽柴家人となりました後の武将が、次の長浜城主となります、姉川の戦いで初陣を飾った一豊は三木城攻城戦と鳥取城包囲に高松城水攻めに参陣、賤ヶ岳の戦いでは前哨戦で一番槍を果たした勲功から長浜城主を命じられます。

 城郭の遺構は僅かしかありません、天守閣の位置さえ今は琵琶湖に沈んでいます、しかし公園と桜並木や椛の木々が湖北の冷たい風と共に揺らぐここ琵琶湖畔の城址には培われた壮大な歴史浪漫を併せ、その歴史を伝える城下町とともに静かに栄華を伝えているのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【京都発幕間旅情】長浜城(滋... | トップ | ロシア軍ダーティーボム核汚... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

旅行記」カテゴリの最新記事