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検証:防衛予算-令和五年概算要求【2】不可解な事項要求-パトリアAMV装甲車か三菱機動装甲車か29両要求

2022-09-03 07:02:53 | 国際・政治
■検証:来年度概算要求
 防衛予算令和五年概算要求の検証についての第二回です。

 来年度予算概算要求における機械化装備について。防衛省は装甲車両の調達を継続します。その調達は次期装甲車を29両、19式装輪自走榴弾砲10両、16式機動戦闘車18両、10式戦車6両です。装甲車については2個中隊分、自走榴弾砲も2個中隊分、機動戦闘車は1個機動戦闘車隊に若干満たない規模、そして戦車はほぼ維持生産という範疇となっている。

 少なすぎるとは思う、具体的には自衛隊には9個師団と6個旅団に5個方面混成団があります、この数では一個旅団の装備を更新するだけでも三年分を要する計算であり、装備品の耐用年数を考えれば思い切った改革、例えば全国に部隊を配置する基盤的防衛力、この基盤に依存する災害派遣任務を切捨てコンパクト化するか、装備調達を増やすか、決断が。

 ただ、装甲車について気になる点があります、車種が未定のままなのだ。次期装甲車29両として概算要求ではフィンランド製パトリアAMV装甲車と三菱重工の機動装甲車と思われる車両の写真を並べていますが、どちらを採用するかはいまだ決定していません、取得費用は異なる装甲車ですので、恐らく29両の総額を明示しない事項要求となるのでしょう。

 不思議なのはパトリアAMVと機動装甲車では収容人員が異なります、機動装甲車は16式機動戦闘車の砲塔を取除き戦闘室をかさ上げしたもので車内容積はそれ程広くはありません、対してパトリアAMVは装甲車として設計、当り前ですが、専用設計である為に完全武装の12名を収容するのです、29両となると定員2名の違いは小隊以上の違いとなります。

 96式装輪装甲車と軽装甲機動車の製造ラインは小松製作所が閉鎖している為に最早取得は出来ないという話なのでしょうが、機動装甲車にしてもパトリアAMVにしても96式装輪装甲車の2.5倍以上の費用となります、それならば車種が決まらないままに選定するのではなく、29両の予算を概ね当てはめ、72両程度追加生産した方が、とも思うのですね。

 車種を画定せず事項要求するというのはこれ程に乱暴と思えるものです。逆に同じ事項要求を行うのであれば、“XX師団を総合近代化師団へ改編する為の必要な装甲車両や火砲と通信装備や施設器材の新規取得”というような方式の方が、まだ車種が不明故に何名輸送するかを未知数な要求よりも、防衛政策としては方向性が明示できている様に思うのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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