■防衛フォーラム
今回は空軍関連の話題を纏めましたが最初の話題は空軍というよりも航空自衛隊すなわち我が国の話題から。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/d6/a3549650aec2a96a1db90983e597c25c.jpg)
航空自衛隊が導入するAGM-158B/B-2-JASSM-ERスタンドオフミサイル50発の有償供与がアメリカ国務省から承認されました。航空自衛隊はこれら装備を第四世代戦闘機ながら機動性と搭載能力は大きいF-15J戦闘機とその改良型に搭載する計画があり、また輸送機にミサイルを搭載し空中発射するラピッドドラゴン計画へも関心を寄せています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/45/0f/3b818b2de05038197bc233b8e419641a.jpg)
AGM-158B/B-2-JASSM-ERはERエクストリームレンジ、JASSM-ERシリーズの最新型でロッキードマーティン社が開発を担当、2021年にアメリカ空軍において配備が開始され、月産5発の水準で量産が開始、その後大量生産に移行しています。航空自衛隊は訓練費用などを含め50発を1億0400万ドルと比較的安価に導入することができました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/70/c3d080d7ea072b9679160d32c0c92e44.jpg)
スタンドオフ兵器として安倍政権時代に導入が決定したJASSM,もともとJASSM-ERは射程950㎞の射程を誇りますが、このB-2型は射程が1900㎞に延伸され、この長さだけでF-15戦闘機の戦闘行動半径に匹敵、F-35戦闘機の導入により第五世代戦闘機時代に入った航空自衛隊はF-15の長所を生かす運用にステンドオフミサイルを活用、強化します。
■AIM-120C-8
AMRAAMの射程は更に先へ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/49/03f09d5e39c880299a0ddaad364ecdee.jpg)
アメリカ空軍は新型のAIM-120C-8空対空ミサイル評価試験を完了しました。アクティヴレーダー誘導ミサイルの代名詞ともなったAMRAAMシリーズの現行最新機種はAIM-120D-3となっていますが、フォーム・フィット・ファンクション・リフレッシュを念頭にF3R計画として進められているのがAIM-120C-8空対空ミサイルです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/7e/c0b7ac86bb2c97903c8ac86804bf0b71.jpg)
AIM-120C-8空対空ミサイルはレイセオンテクノロジーコーポレーション社製、評価試験は空軍のF-15Cイーグルより実施されました。従来ミサイルと比較しプロセッサ部分を高度化するとともにソフトウェアを刷新し、ステルス機などの目標に対し最大射程での捕捉能力を強化し、また注目すべき点は最初の試験開始から11か月間で完了したこと。
■ブレンデッドウイングボディ
軍用機のみならず旅客機を含めた革新の予感だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/00/1d90383bf9b078ac47c076fae597d04f.jpg)
アメリカ空軍はBWBブレンデッドウイングボディ計画にジェットゼロ案を採用しました、ブレンデッドウイングボディとは全翼機を示すもので既存の航空機と比較し胴体部分の搭載能力や柔軟性を大幅に高めるものとされています、この計画にはB-2爆撃機など全翼機で実績あるノースロップグラマン社とスケールドコンポジット社が参加します。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/77/2b004213f5580868d8fff72cd9707b91.jpg)
ブレンデッドウイングボディ機の実証機は早ければ2027年にも初飛行を迎えることとなり、アメリカ国防総省は4年間で2億3500万ドルを開発資金として投入します。これらの開発により得られた技術は特に胴体を用いた通常航空機よりも燃費を30%低減することから旅客機にも応用され、今後の世界の航空機を一新しうる野心的な開発計画となります。
■クリア宇宙軍基地
自衛隊も導入するSPY-7はアメリカで早速難航している。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/28/7d5487e721b4b61e7e0938d05cc16797.jpg)
アメリカミサイル防衛庁はアラスカのクリア宇宙軍基地レーダーの不具合により試験を中止しました。これはロッキードマーティン社製LRDRレーダーに問題が発生したとのことで、当初計画では8月17日に非迎撃実験として大陸間弾道弾級のアザー26標的ミサイルを発射し、LRDRレーダーによりその追尾能力を試験することとなっていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/cd/b155d5ee31429cb80cf93632a40369d7.jpg)
LRDRは自衛隊が装備を計画するイージスアショア代替のミサイル防衛専用艦、イージスシステム搭載艦はLRDR送受信モジュールを採用しているところで、自衛隊ではSPY-7レーダーと連接し運用することとなります。クリア宇宙軍基地のLRDRレーダーは2021年12月に完成、ただ計画全般はCOVID-19新型コロナウィルスにより遅延しています。
■次世代戦闘機TF-X
第二北大路機関を纏めた本稿執筆の10月11日時点でも初飛行はまだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/46/4dbf4bf1087b3c5aed1f2219d92703ca.jpg)
トルコが開発する次世代戦闘機TF-Xは財政難に開発計画を憂慮されているもよう。計画では2023年末に初飛行を計画しているステルス戦闘機ですが、トルコ政府はエルドアン政権が進めるインフレ状況での金融緩和という超インフレ政策を続けており、2年間で物価が三倍という異常事態となっており、航空機開発にも甚大な影響が及んでいます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/0b/2555d88b8af30b500b3d4c68e0312ff4.jpg)
TF-X開発費捻出にトルコのヤサスギュレール国防相は国際共同開発、具体的に言えば既に使用や試作機は完成しているので資金提供国を求めています。トルコが資金提供を求めているのはパキスタンとアゼルバイジャンですが、パキスタンは資金提供ではなく仕様決定に関わる共同開発か中国の参加を、アゼルバイジャンは完成後の検討を示唆しました。
■ロングショット無人戦闘機
ドローンといわれた標的機由来の無人機から大きくすすむ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/95/7d452f9d661c3943f1b622de118a1d18.jpg)
アメリカ国防総省のロングショット無人戦闘機計画にゼネラルアトミクス社が契約を獲得しました。ロングショット無人戦闘機はステルス性を有する無人機へAMRAAM空対空ミサイルなど射程の大きなミサイルを搭載し、補助戦闘機に充てるもので、誤解を恐れずに言うならばステルス機のウェポンベイだけを飛行させ攻撃させるような用途に近い。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/ea/78482f91e486ab53e12de79895263ce6.jpg)
ロングショット無人戦闘機計画そのものは2021年よりアメリカ国防総省のDARPAアメリカ国防皇統計画研究所により開始されていて、ゼネラルアトミクス社が提示した案ではF-15に随伴、無人機というよりもステルス性の高い巡航ミサイルを幅広としたものの様な形状の装備からAMRAAM空対空ミサイルが発射されるイメージ図が添付されています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/b9/485dfaf21f0edca4fecaf91bf4fa6c6a.jpg)
ゼネラルアトミクス社のイメージ図には描かれているF-15戦闘機の主翼下にも無人機本体が搭載されていることから、2011年まで防衛省と富士重工が開発していたTACOM無人機研究システムのような運用を想定しているようです。ロングショット無人戦闘機計画は空中戦のゲームチェンジャーとして期待されているものですが、具体的詳細は非開示です。
■キンジャール空中発射弾道弾
日本が開発する島嶼部防衛用極超音速滑空弾もF-15から発射した場合は射程がのびるのかもしれませんね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/ad/fd6737af50b86d097eb0f988b1f0454c.jpg)
ロシア航空宇宙軍はSu-34戦闘爆撃機からのキンジャール空中発射弾道弾発射に成功しました。Kh-47M2キンジャール空中発射弾道弾は射程2000㎞、その原型は地上発射型の射程500㎞という戦術弾道弾を高高度まで航空機で運搬し投射することで射程と落下速度を稼ぐというもので、上昇力に優れたMiG-31戦闘機が母機となっていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/2c/b7edccc03377221757b922fc5029471e.jpg)
MiG-31戦闘機は迎撃専用機としてMiG-25戦闘機を改良し開発されていますが、元々はソ連防空軍用戦闘機であり数が少ない、この為量産が続いているSu-34からの運用能力が付与されたと考えられます。Kh-47M2キンジャール空中発射弾道弾はは落下速度がマッハ10になるとされていますが、ウクライナではペトリオットに多数が撃墜されています。
■無人ヘリコプターへの空中給油
無人機の滞空時間が伸びる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/8a/a6ff262cf2c1b910a1c8adf1a0d0338b.jpg)
アメリカ海兵隊は史上初の有人ヘリコプターから無人ヘリコプターへの空中給油に成功しました。カリフォルニア州トゥエンティナインパームズにあるキャンプウィルソンを中心に実施されたサービスレベル23演習において2023年7月、CH-53Eスーパースタリオン重輸送ヘリコプターよりMQ-8Cファイアスカウト無人ヘリコプターに対してです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/71/6c20bb938836f07cb78cc1b3b33c4b6c.jpg)
CH-53Eスーパースタリオン重輸送ヘリコプターよりMQ-8Cファイアスカウト無人ヘリコプターへの空中給油は700ポンド、スーパースタリオンは機内燃料搭載能力が23450ポンドあり複数機に対して燃料補給が可能です。MQ-8Cは最大15時間の滞空能力がありますが、空中給油を受ければより長時間の監視飛行能力を付与することが可能でしょう。
■F-35戦闘機150機引き渡し遅延
日本の引き渡し分へも影響が及ぶのか。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/c9/7d095a245bc6d32b01cfbd33e4de2472.jpg)
アメリカのロッキードマーティン社はF-35戦闘機150機引き渡し遅延を示唆しました。テクノロジーリフレッシュTR3改良型としてF-35戦闘機は改良され生産されていますが、9月6日にロッキードマーティン社自身が発表したところによると、当初2024年初頭に予定されていた内部化が2024年中ごろまで納期を延長する遅延にさらされている、と。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/b4/261bb1e146fc978ab9284263f91d60cd.jpg)
F-35戦闘機そのものはフルレート生産が継続されているため、このままの状況では150機が機体は完成したがTR-3システム搭載までフォートワース工場に保管し、引き渡すことができない状況になるという。地連の要因はハードウェアとソフトウェア双方に生じており、現在のプログラムでは機体そのものを動作させることが困難になっているという。
■航空機の能力不足
イギリスはリーマンショック後に航空機を削減しすぎた弊害が今になって表面化しています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/0a/8a31bc40eadb22a21137a8262b3f6bd8.jpg)
イギリス下院国防委員会では空軍のあらゆる航空機の能力不足を問題視している、これはイギリス国防省が2021年に発表した報告書が2023年9月10日に情報公開されたもので、これによれば空軍の能力コンパクト化へ航空機数の削減を急いだ結果、戦闘機や早期警戒機と輸送機など可動航空機が少なくとも2030年代まで続く問題を指摘しています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/0d/e7eb5d53584343869972a3e3b3c26959.jpg)
戦闘機の増強を真剣に検討しなければならない、それも緊急にだ。イギリス下院国防委員会の指摘ではイギリス空軍が保有する戦闘機は169機、F-35戦闘機とユーロファイタータイフーンです、海軍の空母に搭載するF-35Bも空軍の所掌となっている。ただし、これは欧州NATO諸国ではドイツ空軍やフランス空軍、イタリア空軍と比較し、非常に少ない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/d0/7b95a4d4ade5686ccbd6dbaab2a7ff5e.jpg)
トビアスエルウッド下院国防委員会委員長は、イギリス空軍が冷戦後に、要より質を重視するとして、航空機数が冷戦時代の三分の一まで削減され、現代の総力戦において稼働機、僅かな消耗が出た場合でもこれを補填できる予備が足りていないことを反省するとしており、これを解決する緊急の措置が必要であると、戦闘機増強の必要性を強調しました。
■欧州F-16訓練センター
練習機というものは充分揃えると高くつく。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/06/42/b3fee04f13f4fec62ec2169a2f2d494b.jpg)
アメリカのロッキードマーティン社はルーマニアに新しい欧州F-16訓練センターを創設します。F-16戦闘機は冷戦時代のNATOにあって標準戦闘機というべき幅広い採用国を重ねていましたが、近年F-16戦闘機は徐々にF-35戦闘機へ更新が進んでいます。しかしその中古機が中東欧諸国の新規NATO加盟国に採用され、新造機も一部採用されている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/25/b5/5a5298332410c53a7da3800fcaa180bd.jpg)
ルーマニアも中古のF-16戦闘機を受領しており、今回の欧州F-16訓練センターはオランダ空軍の支援を受けルーマニア国内に開設されることとなります。中東欧諸国のF-16戦闘機新規採用国へ訓練を行うとともに、明示はされていませんがロシアウクライナ戦争を契機にウクライナへ供与されるF-16戦闘機に併せ、その要員訓練も行われるでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
今回は空軍関連の話題を纏めましたが最初の話題は空軍というよりも航空自衛隊すなわち我が国の話題から。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6a/d6/a3549650aec2a96a1db90983e597c25c.jpg)
航空自衛隊が導入するAGM-158B/B-2-JASSM-ERスタンドオフミサイル50発の有償供与がアメリカ国務省から承認されました。航空自衛隊はこれら装備を第四世代戦闘機ながら機動性と搭載能力は大きいF-15J戦闘機とその改良型に搭載する計画があり、また輸送機にミサイルを搭載し空中発射するラピッドドラゴン計画へも関心を寄せています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/45/0f/3b818b2de05038197bc233b8e419641a.jpg)
AGM-158B/B-2-JASSM-ERはERエクストリームレンジ、JASSM-ERシリーズの最新型でロッキードマーティン社が開発を担当、2021年にアメリカ空軍において配備が開始され、月産5発の水準で量産が開始、その後大量生産に移行しています。航空自衛隊は訓練費用などを含め50発を1億0400万ドルと比較的安価に導入することができました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/70/c3d080d7ea072b9679160d32c0c92e44.jpg)
スタンドオフ兵器として安倍政権時代に導入が決定したJASSM,もともとJASSM-ERは射程950㎞の射程を誇りますが、このB-2型は射程が1900㎞に延伸され、この長さだけでF-15戦闘機の戦闘行動半径に匹敵、F-35戦闘機の導入により第五世代戦闘機時代に入った航空自衛隊はF-15の長所を生かす運用にステンドオフミサイルを活用、強化します。
■AIM-120C-8
AMRAAMの射程は更に先へ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/49/03f09d5e39c880299a0ddaad364ecdee.jpg)
アメリカ空軍は新型のAIM-120C-8空対空ミサイル評価試験を完了しました。アクティヴレーダー誘導ミサイルの代名詞ともなったAMRAAMシリーズの現行最新機種はAIM-120D-3となっていますが、フォーム・フィット・ファンクション・リフレッシュを念頭にF3R計画として進められているのがAIM-120C-8空対空ミサイルです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/7e/c0b7ac86bb2c97903c8ac86804bf0b71.jpg)
AIM-120C-8空対空ミサイルはレイセオンテクノロジーコーポレーション社製、評価試験は空軍のF-15Cイーグルより実施されました。従来ミサイルと比較しプロセッサ部分を高度化するとともにソフトウェアを刷新し、ステルス機などの目標に対し最大射程での捕捉能力を強化し、また注目すべき点は最初の試験開始から11か月間で完了したこと。
■ブレンデッドウイングボディ
軍用機のみならず旅客機を含めた革新の予感だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/24/00/1d90383bf9b078ac47c076fae597d04f.jpg)
アメリカ空軍はBWBブレンデッドウイングボディ計画にジェットゼロ案を採用しました、ブレンデッドウイングボディとは全翼機を示すもので既存の航空機と比較し胴体部分の搭載能力や柔軟性を大幅に高めるものとされています、この計画にはB-2爆撃機など全翼機で実績あるノースロップグラマン社とスケールドコンポジット社が参加します。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/77/2b004213f5580868d8fff72cd9707b91.jpg)
ブレンデッドウイングボディ機の実証機は早ければ2027年にも初飛行を迎えることとなり、アメリカ国防総省は4年間で2億3500万ドルを開発資金として投入します。これらの開発により得られた技術は特に胴体を用いた通常航空機よりも燃費を30%低減することから旅客機にも応用され、今後の世界の航空機を一新しうる野心的な開発計画となります。
■クリア宇宙軍基地
自衛隊も導入するSPY-7はアメリカで早速難航している。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/28/7d5487e721b4b61e7e0938d05cc16797.jpg)
アメリカミサイル防衛庁はアラスカのクリア宇宙軍基地レーダーの不具合により試験を中止しました。これはロッキードマーティン社製LRDRレーダーに問題が発生したとのことで、当初計画では8月17日に非迎撃実験として大陸間弾道弾級のアザー26標的ミサイルを発射し、LRDRレーダーによりその追尾能力を試験することとなっていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/cd/b155d5ee31429cb80cf93632a40369d7.jpg)
LRDRは自衛隊が装備を計画するイージスアショア代替のミサイル防衛専用艦、イージスシステム搭載艦はLRDR送受信モジュールを採用しているところで、自衛隊ではSPY-7レーダーと連接し運用することとなります。クリア宇宙軍基地のLRDRレーダーは2021年12月に完成、ただ計画全般はCOVID-19新型コロナウィルスにより遅延しています。
■次世代戦闘機TF-X
第二北大路機関を纏めた本稿執筆の10月11日時点でも初飛行はまだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/46/4dbf4bf1087b3c5aed1f2219d92703ca.jpg)
トルコが開発する次世代戦闘機TF-Xは財政難に開発計画を憂慮されているもよう。計画では2023年末に初飛行を計画しているステルス戦闘機ですが、トルコ政府はエルドアン政権が進めるインフレ状況での金融緩和という超インフレ政策を続けており、2年間で物価が三倍という異常事態となっており、航空機開発にも甚大な影響が及んでいます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/0b/2555d88b8af30b500b3d4c68e0312ff4.jpg)
TF-X開発費捻出にトルコのヤサスギュレール国防相は国際共同開発、具体的に言えば既に使用や試作機は完成しているので資金提供国を求めています。トルコが資金提供を求めているのはパキスタンとアゼルバイジャンですが、パキスタンは資金提供ではなく仕様決定に関わる共同開発か中国の参加を、アゼルバイジャンは完成後の検討を示唆しました。
■ロングショット無人戦闘機
ドローンといわれた標的機由来の無人機から大きくすすむ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6d/95/7d452f9d661c3943f1b622de118a1d18.jpg)
アメリカ国防総省のロングショット無人戦闘機計画にゼネラルアトミクス社が契約を獲得しました。ロングショット無人戦闘機はステルス性を有する無人機へAMRAAM空対空ミサイルなど射程の大きなミサイルを搭載し、補助戦闘機に充てるもので、誤解を恐れずに言うならばステルス機のウェポンベイだけを飛行させ攻撃させるような用途に近い。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/ea/78482f91e486ab53e12de79895263ce6.jpg)
ロングショット無人戦闘機計画そのものは2021年よりアメリカ国防総省のDARPAアメリカ国防皇統計画研究所により開始されていて、ゼネラルアトミクス社が提示した案ではF-15に随伴、無人機というよりもステルス性の高い巡航ミサイルを幅広としたものの様な形状の装備からAMRAAM空対空ミサイルが発射されるイメージ図が添付されています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/b9/485dfaf21f0edca4fecaf91bf4fa6c6a.jpg)
ゼネラルアトミクス社のイメージ図には描かれているF-15戦闘機の主翼下にも無人機本体が搭載されていることから、2011年まで防衛省と富士重工が開発していたTACOM無人機研究システムのような運用を想定しているようです。ロングショット無人戦闘機計画は空中戦のゲームチェンジャーとして期待されているものですが、具体的詳細は非開示です。
■キンジャール空中発射弾道弾
日本が開発する島嶼部防衛用極超音速滑空弾もF-15から発射した場合は射程がのびるのかもしれませんね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/ad/fd6737af50b86d097eb0f988b1f0454c.jpg)
ロシア航空宇宙軍はSu-34戦闘爆撃機からのキンジャール空中発射弾道弾発射に成功しました。Kh-47M2キンジャール空中発射弾道弾は射程2000㎞、その原型は地上発射型の射程500㎞という戦術弾道弾を高高度まで航空機で運搬し投射することで射程と落下速度を稼ぐというもので、上昇力に優れたMiG-31戦闘機が母機となっていました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/2c/b7edccc03377221757b922fc5029471e.jpg)
MiG-31戦闘機は迎撃専用機としてMiG-25戦闘機を改良し開発されていますが、元々はソ連防空軍用戦闘機であり数が少ない、この為量産が続いているSu-34からの運用能力が付与されたと考えられます。Kh-47M2キンジャール空中発射弾道弾はは落下速度がマッハ10になるとされていますが、ウクライナではペトリオットに多数が撃墜されています。
■無人ヘリコプターへの空中給油
無人機の滞空時間が伸びる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/52/8a/a6ff262cf2c1b910a1c8adf1a0d0338b.jpg)
アメリカ海兵隊は史上初の有人ヘリコプターから無人ヘリコプターへの空中給油に成功しました。カリフォルニア州トゥエンティナインパームズにあるキャンプウィルソンを中心に実施されたサービスレベル23演習において2023年7月、CH-53Eスーパースタリオン重輸送ヘリコプターよりMQ-8Cファイアスカウト無人ヘリコプターに対してです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/71/6c20bb938836f07cb78cc1b3b33c4b6c.jpg)
CH-53Eスーパースタリオン重輸送ヘリコプターよりMQ-8Cファイアスカウト無人ヘリコプターへの空中給油は700ポンド、スーパースタリオンは機内燃料搭載能力が23450ポンドあり複数機に対して燃料補給が可能です。MQ-8Cは最大15時間の滞空能力がありますが、空中給油を受ければより長時間の監視飛行能力を付与することが可能でしょう。
■F-35戦闘機150機引き渡し遅延
日本の引き渡し分へも影響が及ぶのか。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/c9/7d095a245bc6d32b01cfbd33e4de2472.jpg)
アメリカのロッキードマーティン社はF-35戦闘機150機引き渡し遅延を示唆しました。テクノロジーリフレッシュTR3改良型としてF-35戦闘機は改良され生産されていますが、9月6日にロッキードマーティン社自身が発表したところによると、当初2024年初頭に予定されていた内部化が2024年中ごろまで納期を延長する遅延にさらされている、と。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/b4/261bb1e146fc978ab9284263f91d60cd.jpg)
F-35戦闘機そのものはフルレート生産が継続されているため、このままの状況では150機が機体は完成したがTR-3システム搭載までフォートワース工場に保管し、引き渡すことができない状況になるという。地連の要因はハードウェアとソフトウェア双方に生じており、現在のプログラムでは機体そのものを動作させることが困難になっているという。
■航空機の能力不足
イギリスはリーマンショック後に航空機を削減しすぎた弊害が今になって表面化しています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/0a/8a31bc40eadb22a21137a8262b3f6bd8.jpg)
イギリス下院国防委員会では空軍のあらゆる航空機の能力不足を問題視している、これはイギリス国防省が2021年に発表した報告書が2023年9月10日に情報公開されたもので、これによれば空軍の能力コンパクト化へ航空機数の削減を急いだ結果、戦闘機や早期警戒機と輸送機など可動航空機が少なくとも2030年代まで続く問題を指摘しています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/0d/e7eb5d53584343869972a3e3b3c26959.jpg)
戦闘機の増強を真剣に検討しなければならない、それも緊急にだ。イギリス下院国防委員会の指摘ではイギリス空軍が保有する戦闘機は169機、F-35戦闘機とユーロファイタータイフーンです、海軍の空母に搭載するF-35Bも空軍の所掌となっている。ただし、これは欧州NATO諸国ではドイツ空軍やフランス空軍、イタリア空軍と比較し、非常に少ない。
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トビアスエルウッド下院国防委員会委員長は、イギリス空軍が冷戦後に、要より質を重視するとして、航空機数が冷戦時代の三分の一まで削減され、現代の総力戦において稼働機、僅かな消耗が出た場合でもこれを補填できる予備が足りていないことを反省するとしており、これを解決する緊急の措置が必要であると、戦闘機増強の必要性を強調しました。
■欧州F-16訓練センター
練習機というものは充分揃えると高くつく。
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アメリカのロッキードマーティン社はルーマニアに新しい欧州F-16訓練センターを創設します。F-16戦闘機は冷戦時代のNATOにあって標準戦闘機というべき幅広い採用国を重ねていましたが、近年F-16戦闘機は徐々にF-35戦闘機へ更新が進んでいます。しかしその中古機が中東欧諸国の新規NATO加盟国に採用され、新造機も一部採用されている。
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ルーマニアも中古のF-16戦闘機を受領しており、今回の欧州F-16訓練センターはオランダ空軍の支援を受けルーマニア国内に開設されることとなります。中東欧諸国のF-16戦闘機新規採用国へ訓練を行うとともに、明示はされていませんがロシアウクライナ戦争を契機にウクライナへ供与されるF-16戦闘機に併せ、その要員訓練も行われるでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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