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【京都幕間旅情】清水寺,紅葉朱色に思い浮かぶ鴨川東岸東山三十六峰災厄の時代と六道参り

2021-11-11 20:20:22 | 写真
■今昔物語と参詣曼荼羅絵図
 平成の大修理の最中の写真を引き出しましたのは時勢ゆえ、清水寺は行うようですが青蓮院や南禅寺はCOVID-19により今年も夜間特別拝観を見送るもよう。

 今昔物語、平安朝の時代に記された古文でお馴染みの文学では、救いを求めての多くの参詣者が清水寺に集ったという一文が記されていますが、洛中や下町から清水寺に参詣するには、風葬地である六道と鴨川を越えてゆかなければならなかった、歩けば分かる事です。

 寺院巡りというのは、思考的休養と考えているのですがこころの平安、と寺院を拝観できるのは現代故の一つの贅沢であり、清水寺造営当時は社会保障という概念そのものが無く、貧困も一杯の麦粥に粟稗の施しを求め服は勿論布腰巻きさえ持たない方が多くいたという。

 清水寺はじめ寺院の多くはこうした際での最後の社会保障というような位置づけにもあったのですね。すると、救いを求めて多くの方が集うとともに、逆に果ててしまうということも在ったわけでして。こう考えますと説話的な地獄絵を奉じた寺院もこの界隈には多い。

 音羽山は小高い東山三十六峰の一つとなっていますが、風葬地であった山麓は火葬する木々もなく、文字通り積み重なっていた、疫病が定期的に流行していた京都には下町から続く当地は、まさに地獄絵図そのものを具現化したような風景であったのかもしれません。

 二年坂三年坂と、清水道には、ここで転ぶと二年以内に、という謂われのある地名が目立ちますが、実際、そうだったのでしょう。このあたりも鳥野辺といいまして、この清水寺の音羽山が霊気漲る聖地と称されるのは、そう考えねばやりきれなかったようにも思える。

 聖地。要するにケガレを祓う場所でなければという自己正当化のひとつ友思えるのですが、しかし平安朝から中世まで、年中疫病が流行していたわけではありません、するとお盆の季節には身分貧富問わず当地へと、六道参りという先祖供養が広く行われていたのですね。

 参詣曼荼羅絵図に残されているのですが、鴨川の先は清水寺、その道中が風葬地というなかでお堂や木戸門や辻櫓などが並びまして、ここでお賽銭や木戸銭を六道参りの際に寄進していた、これが周り回って施し、一種のセーフティネットとなった構図があるようです。

 地獄絵図。風葬地で元々鴨川沿いは下町で、そして衛生環境も悪い。更に飢饉などが有れば救いを求めて、そんなものはないという情報も無く、京都に流入した流民はどうなるのか、これが昔の当地でした訳で。しかし、日本社会はその再来を阻止したい一致があった。

 COVID-19ではアメリカの死者数が75万を越え、インドはコロナ死者数こそアメリカを下回るが超過死者数が490万に達しているという、死者60万を越えたブラジルでは衛星写真に巨大な共同墓地が映るほど。これは紛れもない千年前後遡った、この地の姿なのですね。

 ドゥームズデイシナリオ、という試算が科学者にはあるらしい。これはドゥームズデイというのが地球最後の日という、審判の日とか全面核戦争とか巨大隕石衝突なんかを示す用語なのですが、ドゥームズデイがCOPVID-19により生じる最悪のシナリオも考えている。

 ドゥームズデイ、数多ある懸念の一つに想定、ワクチンをブレイクスルーする変異株が継続的に発生するという感染抑制が成り立たず毎年数百万が死亡し致死率が上昇し続けるという文明崩壊への最悪のシナリオです。杞憂であると願いたい、祈らずにはいられません。

 清水寺の歴史、欧州にはペストの歴史もあるはずなのですが、結局日本社会ほど価値観が重ならないのでしょうか、清水寺の千年前という風景は日本の各所にも在った筈なのですが、これを再来させまいと、価値観が自粛や対策として、感染を抑えたようにも、おもうのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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