■新年防衛論集二〇二三時事
時事問題としまして前回は核兵器を巡る危険な転換点を紹介しましたが、本日は防衛産業に関する赤字防衛産業の撤退問題を巡る政府の対応について考えてみたいと思います。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/df/06d88951263ac61814530694ee16dce4.jpg)
防衛産業、政府では防衛産業の国有化を検討する動きがある、一部報道などで報じられ始めています。防衛産業、不思議なのは”防衛産業が撤退を検討している”という点を、何故昭和と平成時代に撤退を検討していなかったのかまで踏み込んで考えていない点です、”ミサイル防衛により装備調達費用が削減され防衛産業が成立せぬ数しか発注が無い”為でないか。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/ff/9f63b1679a1cb5a40911e4e87c464e29.jpg)
国有化を議論するのは一つの選択肢なのかもしれませんが、例えば数年に一度しか発注の無い飛行艇や、数年後に調達が有るのかないのかを明確にしなかった観測ヘリコプター、こうしたものを国有化したとして国有工廠の工員は何も仕事が無い時には何をしろというのでしょうか、PKO:ペンキ塗り草むしり大掃除にしても、限界があります、無理が無いか。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/39/d6/c84863f6b406bd5e39f0c82f5a29499b.jpg)
撤退している防衛産業は下請けの業種や中小企業に集中しています、例えば装甲材や航空機主要部品など、下請け企業が撤退しますと三菱重工も組み立てる事ができません、するとこの下請けの、例えばピトー管とかフラップの付け根や車両のハッチなどを国有工廠が製造し三菱重工に納入する事が求められるのですが、そんな隙間産業は可能なのかと思う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/62/8495cc6a4bda40a37af3c358a6cbe32d.jpg)
装備の種類を増やし過ぎた、装甲車一つとってもAAV-7水陸両用車と73式装甲車に89式装甲戦闘車に82式指揮通信車と87式偵察警戒車と化学防護車にNBC偵察車と16式機動戦闘車と96式装輪装甲車や輸送防護車と軽装甲機動車と、新しくパトリアAMVが加わります。これでは個々分散され調達数に響きます、火砲もミサイルも更に増して多種多様だ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/a2/09b2626bacec39b3d8c1d0615e38c053.jpg)
ミサイル防衛により予算が圧迫されて調達できなくなったのが防衛産業撤退の原因であり、要するにミサイル防衛の予算を別枠で確保出来るならば、昭和時代も平成初期にも防衛産業撤退の話はそれほど顕著化していません、要するに原因は企業体質でも少子化でも地球温暖化でもなく、防衛省が財務省の意向を受け調達を抑えた、需要不足にあるのですね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1d/d2/1f5069181e936aff993dbdbe19fd0aa9.jpg)
国有化というが、例えば防衛省だけで火砲を製造するとしましょう、すると砲身を精製する日本製鋼所の溶鉱炉も大坂城あたりももう一度あの大阪造兵工廠でも再建するのでしょうか、昔ほど数は必要ないので機銃を製造した豊川海軍工廠などを大阪に集約する事は出来るでしょうが、溶鉱炉からやるなんてことが国にできるのか、という疑問にたどり着く。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/da/4d2cfd76119ac7b231073ded17653d1c.jpg)
株式取得による国有化という視点もあるのかもしれません、確かにミサイルを製造する東芝はじめ株式を一定数国が保有する場合は可能でしょう、しかし例えばF-2戦闘機を例に挙げれば、下請け企業は主要な企業だけで1500社に上ります、全部国が株式を取得すると万々歳なのでしょうが、その為の費用をどこが捻出するのか、という議論がありません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/48/1b/3fe4d518c4a6780be45ef7c6d33cbe50.jpg)
国有化の前に、小泉政権より前の小渕政権時代くらいの装備調達数を維持していれば防衛産業はそもそも撤退しない、もちろん利益を出すことが許されないし訓練中の事故でも製造物責任法を適用される事さえ有るのですから割には合わないのですが、撤退はせず社会的貢献として存続する選択肢はある筈です。まず政府は視点を変えてみるべきでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
時事問題としまして前回は核兵器を巡る危険な転換点を紹介しましたが、本日は防衛産業に関する赤字防衛産業の撤退問題を巡る政府の対応について考えてみたいと思います。
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防衛産業、政府では防衛産業の国有化を検討する動きがある、一部報道などで報じられ始めています。防衛産業、不思議なのは”防衛産業が撤退を検討している”という点を、何故昭和と平成時代に撤退を検討していなかったのかまで踏み込んで考えていない点です、”ミサイル防衛により装備調達費用が削減され防衛産業が成立せぬ数しか発注が無い”為でないか。
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国有化を議論するのは一つの選択肢なのかもしれませんが、例えば数年に一度しか発注の無い飛行艇や、数年後に調達が有るのかないのかを明確にしなかった観測ヘリコプター、こうしたものを国有化したとして国有工廠の工員は何も仕事が無い時には何をしろというのでしょうか、PKO:ペンキ塗り草むしり大掃除にしても、限界があります、無理が無いか。
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撤退している防衛産業は下請けの業種や中小企業に集中しています、例えば装甲材や航空機主要部品など、下請け企業が撤退しますと三菱重工も組み立てる事ができません、するとこの下請けの、例えばピトー管とかフラップの付け根や車両のハッチなどを国有工廠が製造し三菱重工に納入する事が求められるのですが、そんな隙間産業は可能なのかと思う。
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装備の種類を増やし過ぎた、装甲車一つとってもAAV-7水陸両用車と73式装甲車に89式装甲戦闘車に82式指揮通信車と87式偵察警戒車と化学防護車にNBC偵察車と16式機動戦闘車と96式装輪装甲車や輸送防護車と軽装甲機動車と、新しくパトリアAMVが加わります。これでは個々分散され調達数に響きます、火砲もミサイルも更に増して多種多様だ。
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ミサイル防衛により予算が圧迫されて調達できなくなったのが防衛産業撤退の原因であり、要するにミサイル防衛の予算を別枠で確保出来るならば、昭和時代も平成初期にも防衛産業撤退の話はそれほど顕著化していません、要するに原因は企業体質でも少子化でも地球温暖化でもなく、防衛省が財務省の意向を受け調達を抑えた、需要不足にあるのですね。
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国有化というが、例えば防衛省だけで火砲を製造するとしましょう、すると砲身を精製する日本製鋼所の溶鉱炉も大坂城あたりももう一度あの大阪造兵工廠でも再建するのでしょうか、昔ほど数は必要ないので機銃を製造した豊川海軍工廠などを大阪に集約する事は出来るでしょうが、溶鉱炉からやるなんてことが国にできるのか、という疑問にたどり着く。
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株式取得による国有化という視点もあるのかもしれません、確かにミサイルを製造する東芝はじめ株式を一定数国が保有する場合は可能でしょう、しかし例えばF-2戦闘機を例に挙げれば、下請け企業は主要な企業だけで1500社に上ります、全部国が株式を取得すると万々歳なのでしょうが、その為の費用をどこが捻出するのか、という議論がありません。
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国有化の前に、小泉政権より前の小渕政権時代くらいの装備調達数を維持していれば防衛産業はそもそも撤退しない、もちろん利益を出すことが許されないし訓練中の事故でも製造物責任法を適用される事さえ有るのですから割には合わないのですが、撤退はせず社会的貢献として存続する選択肢はある筈です。まず政府は視点を変えてみるべきでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
日本の防衛産業は、(世界的に見れば)小企業乱立で、非効率極まりないです。合併により効率化を図るのが最優先と思います。航空機やヘリの製造企業は、3つもいらない。なぜ新明和が飛行艇を作っているのか?MHIか川崎に統合すべきです。
また同じ兵器を少量ずつ五月雨式に生産するのも、効率が非常に悪く、陸自はなぜか伝統的に頑なに近代化をしないため、急速に陳腐化が進む原因です。例えば装甲車両でも10年で製造し、さっさと次の車両の調達に移行すべきです。小銃も同じで、こんなにだらだらと製造するのは明らかにおかしいです。兵站も複雑になる。他の火器と組み合わせて製造ラインを調整し、一気に、そして順番に置き換える長期計画をたてるべきでしょう。
戦車であれば、74式を改造しないまま、90式をだらだら製造し、10式でも続けているのは非常に良くない例と思います。今であれば10式の製造は数年で止めるべきです。そして同じ製造ラインで、代わりに89式IFV代替の装軌式IFVを製造する。その間、戦車砲塔やFCSの技術維持のためには、90式戦車の近代化をする。(砲塔については)装輪式IFV/偵察車も同じ製造ラインで作ったって良い。
調達費が多い少ないの問題ではなく、「数合わせ」の兵器でよいのか、本当に戦える兵器が欲しいのかの問題だと思います。