■自衛隊迅速展開と現状
スーダン邦人輸送。自衛隊展開は過去の邦人輸送課題を反映している。正直なところ今回の迅速なジブチ展開には驚きました。
C-130H輸送機の迅速な展開、KC-767空中給油機との連携があって実現したのでしょう、過去にジブチまで三日間を要したC-130輸送機の展開ですが、時間を要するのは航続距離の短いC-130がいくつもの外国基地を中継地としなければならないためで、KC-767空中給油輸送機が後続で飛行しC-130Hに空中給油を行えば中継地を省略し時間を短縮できます。
C-2輸送機、フェリー航続距離が10000kmに達する輸送機ですので、直行することが可能です。そしてボーイング767とおなじCF6エンジンを搭載した関係上、旅客機と同じ航路を同じ速度で飛行できるため、実のところ後追いで日本を出発したC-2が、日本時間0200時に先陣を切って到着することができました、やはり巡航性能の高さが重要だと認識する。
美保基地からジブチまでの距離は9300km、フェリー航続距離では飛行可能という距離です。ただ何か別の装備品を搭載していた場合は当然航続距離には影響します。そして今回の邦人輸送任務では、陸上輸送を想定していた。すると、輸送防護車を搭載するなどの搭載物量の増加があったならば、C-2輸送機もKC-767の支援を受けた可能性があるのですね。
C-1輸送機でも同じことがいえましたが、川崎重工の輸送機は巡航速度を高くすることで輸送能力の一つ、つまり同一距離間での輸送能力を所要時間の短さにより確保しているのです。ただ、後発であった。当初これは即応機の少なさに起因しているのではないか、と考えたのですが、しかし進発時間の違いは、逆に輸送防護車などを搭載していたのではとも。
停戦が確立するならば、即座に邦人輸送の目処がたちます。そしていよいよ、各国の救援部隊がスーダン入りを開始しており、サウジアラビアが陸路により移動に成功し隣国からサウジアラビア海軍による輸送支援を実施、自国民と複数国の避難民の150名を輸送しています。しかし、かならずしも安全が確保されているわけではありません。危険は常に。
フランス大使館の退避車列が攻撃を受けた。スーダン軍広報官の発表として23日、スーダンからの退避作業を進めていたフランス大使館の車列がRSFからの攻撃を受けフランス人一人が負傷したと発表しました。この事案についてフランス政府からの公式発表は現時点ではありませんが、4月19日にはアメリカ外交官車列も移動中に攻撃を受けています。
アメリカ国務省はアメリカ大使館員の避難に成功しました。ただ、この問題について除法が錯綜しています、こういうのも、アメリカ大使館の車列移動についてRSFが調整を行ったとRSF側が発表、アメリカ政府がこの事実はないと火消しをはかる状況となっています。なぜでしょうか、この問題は実は非常に大きな政治的問題をはらんでいるため配慮が要る。
スーダン政府とRSF,今回の事案はどちらと交渉をするのかという問題ですが、スーダン政府が唯一の正統政府でありRSFはその指揮下にある准軍隊、いわば諸外国でいう海上保安庁や武装警察や地域警備隊に過ぎません、しかしRSFの行動は軍事独裁から民政移管をすすめる過渡期にある国家制度での反乱に過ぎず、交渉の主体ではありえないという構図だ。
RSFが通行を保証したという事態が発生した場合、これはスーダン政府の内政統治機能が麻痺していることをアメリカ当局が認めた構図にほかなりません。実際問題RSFの掌握地域がどこまで及んでいるかを見極める必要があり、これを把握できず突破をはかりますと、フランス大使館員の車列のように攻撃を受けかねない不測事態という問題も生じるのです。
ヘリコプターを使用した。今回アメリカ政府は大使館員の退避について、輸送ヘリコプター3機を含むアメリカ軍機が参加したとしています。そしてジブチとエチオピアにサウジアラビア政府へ謝意を表明しており、おそらくジブチの基地使用と、サウジアラビアの情報機関とエチオピア政府の航空機上空通過許可、というものが協力としてあったのでしょう。
自衛隊の邦人輸送について課題は、いまのところハルツーム国際空港を利用して退避できた事例は未だ無いということで、航空自衛隊の邦人輸送には、陸路という選択肢を含めるべきなのかという課題があります。陸路でエチオピアまで移動できたならば、例えば海賊対処任務により派遣中の護衛艦を急遽転用し、60名ならば収容する事も可能なのですが。
スーダン国内では複数の対比作戦が進行中で、特に1500名もの中国人が滞在している中国政府などは、あらゆる手段を排除しないという習近平国家主席の異例といえる強い発言がありました。また銃撃を受け退避計画が中止されたフランスも輸送機3機をジブチへ派遣し再度の退避作戦を準備中、またオランダ軍はヨルダンに輸送機を展開させています。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
スーダン邦人輸送。自衛隊展開は過去の邦人輸送課題を反映している。正直なところ今回の迅速なジブチ展開には驚きました。
C-130H輸送機の迅速な展開、KC-767空中給油機との連携があって実現したのでしょう、過去にジブチまで三日間を要したC-130輸送機の展開ですが、時間を要するのは航続距離の短いC-130がいくつもの外国基地を中継地としなければならないためで、KC-767空中給油輸送機が後続で飛行しC-130Hに空中給油を行えば中継地を省略し時間を短縮できます。
C-2輸送機、フェリー航続距離が10000kmに達する輸送機ですので、直行することが可能です。そしてボーイング767とおなじCF6エンジンを搭載した関係上、旅客機と同じ航路を同じ速度で飛行できるため、実のところ後追いで日本を出発したC-2が、日本時間0200時に先陣を切って到着することができました、やはり巡航性能の高さが重要だと認識する。
美保基地からジブチまでの距離は9300km、フェリー航続距離では飛行可能という距離です。ただ何か別の装備品を搭載していた場合は当然航続距離には影響します。そして今回の邦人輸送任務では、陸上輸送を想定していた。すると、輸送防護車を搭載するなどの搭載物量の増加があったならば、C-2輸送機もKC-767の支援を受けた可能性があるのですね。
C-1輸送機でも同じことがいえましたが、川崎重工の輸送機は巡航速度を高くすることで輸送能力の一つ、つまり同一距離間での輸送能力を所要時間の短さにより確保しているのです。ただ、後発であった。当初これは即応機の少なさに起因しているのではないか、と考えたのですが、しかし進発時間の違いは、逆に輸送防護車などを搭載していたのではとも。
停戦が確立するならば、即座に邦人輸送の目処がたちます。そしていよいよ、各国の救援部隊がスーダン入りを開始しており、サウジアラビアが陸路により移動に成功し隣国からサウジアラビア海軍による輸送支援を実施、自国民と複数国の避難民の150名を輸送しています。しかし、かならずしも安全が確保されているわけではありません。危険は常に。
フランス大使館の退避車列が攻撃を受けた。スーダン軍広報官の発表として23日、スーダンからの退避作業を進めていたフランス大使館の車列がRSFからの攻撃を受けフランス人一人が負傷したと発表しました。この事案についてフランス政府からの公式発表は現時点ではありませんが、4月19日にはアメリカ外交官車列も移動中に攻撃を受けています。
アメリカ国務省はアメリカ大使館員の避難に成功しました。ただ、この問題について除法が錯綜しています、こういうのも、アメリカ大使館の車列移動についてRSFが調整を行ったとRSF側が発表、アメリカ政府がこの事実はないと火消しをはかる状況となっています。なぜでしょうか、この問題は実は非常に大きな政治的問題をはらんでいるため配慮が要る。
スーダン政府とRSF,今回の事案はどちらと交渉をするのかという問題ですが、スーダン政府が唯一の正統政府でありRSFはその指揮下にある准軍隊、いわば諸外国でいう海上保安庁や武装警察や地域警備隊に過ぎません、しかしRSFの行動は軍事独裁から民政移管をすすめる過渡期にある国家制度での反乱に過ぎず、交渉の主体ではありえないという構図だ。
RSFが通行を保証したという事態が発生した場合、これはスーダン政府の内政統治機能が麻痺していることをアメリカ当局が認めた構図にほかなりません。実際問題RSFの掌握地域がどこまで及んでいるかを見極める必要があり、これを把握できず突破をはかりますと、フランス大使館員の車列のように攻撃を受けかねない不測事態という問題も生じるのです。
ヘリコプターを使用した。今回アメリカ政府は大使館員の退避について、輸送ヘリコプター3機を含むアメリカ軍機が参加したとしています。そしてジブチとエチオピアにサウジアラビア政府へ謝意を表明しており、おそらくジブチの基地使用と、サウジアラビアの情報機関とエチオピア政府の航空機上空通過許可、というものが協力としてあったのでしょう。
自衛隊の邦人輸送について課題は、いまのところハルツーム国際空港を利用して退避できた事例は未だ無いということで、航空自衛隊の邦人輸送には、陸路という選択肢を含めるべきなのかという課題があります。陸路でエチオピアまで移動できたならば、例えば海賊対処任務により派遣中の護衛艦を急遽転用し、60名ならば収容する事も可能なのですが。
スーダン国内では複数の対比作戦が進行中で、特に1500名もの中国人が滞在している中国政府などは、あらゆる手段を排除しないという習近平国家主席の異例といえる強い発言がありました。また銃撃を受け退避計画が中止されたフランスも輸送機3機をジブチへ派遣し再度の退避作戦を準備中、またオランダ軍はヨルダンに輸送機を展開させています。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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