週報:世界の防衛,最新11論点
今週は空軍関連の11の話題を。最初に輸送機は将来の戦場において危険すぎて運用出来ないという予測から新しいより野心的な計画が進められている話題から。
アメリカ海兵隊はC-130輸送機をミサイル母機とするハーベストホーク実験を成功させました。これは8月29日、カリフォルニア州のミラマー海兵隊航空基地付近においてVMGR-252海兵空中給油飛行隊KC-130J輸送機を用いて実験したもので、この実験ではハーベストハーキュリース兵装キットを装着、AGM-114対戦車ミサイルが用いられています。
KC-130J輸送機はアメリカ海兵隊へ79機が導入される計画であり、現在既に48機が運用されています。海兵隊はKC-130Jを輸送機や空中給油機として用いるとともに更にIRSミッションキットを装着する事で哨戒機として運用する計画であり、30mm機関砲や精密誘導爆弾の搭載なども計画されています、そして同様の動きは空軍でも進められています。
ハーベストハーキュリース兵装キットは24時間以内に脱着できるとのことで、空中給油輸送機から哨戒機までを迅速に転換できるとのこと。空軍は同じく輸送機を武装するドラゴンスピアプログラムを進めており、これにはMC-130W特殊戦輸送機は用いられているもので、必要に応じ輸送機を輸送以外に用いる事で作戦領域の多様化へ取り組んでいます。
■豪州F-35増強
オーストラリア空軍のF-35配備が進んでいます。
オーストラリア空軍はF-35A戦闘機を更に4機受領しました、これは8月30日から9月2日に掛けオーストラリアのウィリアムタウン基地へ到着したもので、オーストラリアへの回航にはアメリカ本土アリゾナ州のルーク空軍基地からハワイのヒッカム基地、そしてグアムのアンダーセン基地を経て飛行し、KC-30A空中給油機等が支援に当りました。
F-35Aの4機到着、これらの機体の受領により、オーストラリア空軍のF-35戦闘機は54機となりました。オーストラリア空軍は72機のF-35A戦闘機を導入計画であり、オーストラリア空軍が初めてF-35Aを導入したのは2017年の事でした、なお現在の導入計画では2023年中に72機が揃う計画となっており、空軍防空能力は大幅に近代化されるでしょう。
■タイフーン到着
百里までドイツ軍のユーロファイターを撮影に行っていたならば実物の写真を仕えたのdすがと少し残念にも思ったりします。
クウェート空軍は10月4日、ユーロファイタータイフーン戦闘機の5号機と6号機を受領しました。これはクウェート空軍が進める28機のタイフーン戦闘機導入の一環であり、クウェート空軍第7飛行隊に配備される戦闘機たち。イタリアからイタリア空軍のKC-767空中給油輸送機による空中給油支援を受け、長躯クウェートまで展開したとの事です。
ユーロファイタータイフーン戦闘機の引き渡しは予定通りすすんでいるとの事ですが、このクウェート空軍への戦闘機導入計画には共同国際プログラム事務局がイタリアとクウェートの両国に置かれ、イタリア空軍が全面協力しており、今回のKC-767による給油支援のほかに、クウェート空軍への戦闘機要員機種転換訓練試験などを実施しているという。
■タイC-130延命
延命改修でどの程度の長期運用ができるのでしょう。
タイ空軍はC-130H輸送機8機の延命改修を完了しました。タイ空軍には8機のC-130H輸送機を運用していますが、2432万ドルの費用を当時タイ国内での延命改修を2020年より実施していました、改修作業はTAIタイ航空産業社が対応しており、9月26日に完了し機転を実施、納入式典では製造40周年となる機体が特別塗装により公開されています。
C-130H輸送機の延命改修は、コックピット部分への多機能ディスプレイの装着と衝突回避システムの改良などの性能向上とともに、エンジンの換装や老朽化されていた機体部品の取り換えなどが実施されました。TAIタイ航空産業社はタイ空軍の航空機を整備する官営公社として2003年に創設されたもので、C-130Hの改修はタイでは初の防衛事業となります。
■H-160引き渡し開始
H-160は完成してみるとドーファンシリーズの後継となり得る形状なのですね。
フランス海軍はエアバスヘリコプターズ社よりH-160救難ヘリコプターの第一次契約である6機を受領しました。フランス国防省は陸海空軍のアルエットⅢやSA-365ドーファン及びAS-565 パンサーとAS555フェネック及びSA-330ピューマ等をこのH-160により置換える野心的化計画を進めており、この場合は420機が調達される可能性を示しています。
H-160ヘリコプターは愛称がゲパール、X4ヘリコプターとして2011年に開発計画が発表されたもので、10億ユーロの開発費が投じられた機体で、複葉機型のテイル部分など特殊な低振動構造と操縦支援機能を有し、同程度の輸送能力を持つ機体よりも重量は1t軽量とのことで、燃費を向上させています。乗員2名と12名を輸送、航続距離は850kmという。
■コロンビアF-X
世代的にはファントムの世代といえる。
コロンビア空軍は老朽化したクフィール戦闘機後継選定を再開します、これはグスタボペトロ大統領が表明したもので、左派政権として国民の支持を受け当選したペトロ大統領は選挙期間中、国防費縮小を公約としていましたが戦闘機については老朽化が進み過ぎ、運用費は嵩み、このままではコロンビア空軍から戦闘機が消える懸念があるためという。
クフィール戦闘機24機がコロンビア空軍の全ての戦闘機です、そして隣国ベネズエラがロシア製Su-34戦闘機導入計画を進めていた事からイスラエルのIAI社により2009年から2017年の期間、ELM-2032AESAレーダーの搭載などの近代化改修が行われています。しかし、1975年に開発されたクフィールは機体そのものが限界に近く、後継機を選定します。
■ポーランドのTB-2
現実問題としてTB-2は日本が導入した場合に航空管制との関係で平時の訓練や災害派遣を含めてどの程度運用できるものなのでしょうかね。
ポーランド空軍はトルコ製バイラクタルTB-2無人航空機の初号機を受領しました。この納入式典では初号機から2号機と3号機までが納入されていて、ポーランド国防省は2021年5月にトルコとの間で24機のTB-2無人機を調達する契約を結んでおり、四回に分けて納入する計画となっていて、ポーランド空軍はこのほかMQ-9リーパー無人機も取得する。
バイラクタルTB-2はウクライナ軍も運用しており、ロシア軍に対して非常に大きな威力を発揮したことでも知られています。ポーランド軍はTB-2無人機6機と地上管制装置3基からなるシステムを4セット導入することとしていまして、10月28日に行われたTB-2無人航空機納入式典にはマリウシュブラザク副首相兼国防相も臨席し、訓辞を述べています。
バイラクタルTB-2無人航空機は運用に電子ビーム指令方式を採用しており、地上管制装置から50km乃至70km程度の運用が想定されています、しかし衛星通信に依存しない為に厳しい電子戦状況下でも運用が可能で、またビームは指向性が高く電波標定により管制装置の位置が暴露する事もありません、小型ですが滞空時間も相応に長く、注目の装備です。
■英空軍ミサイル53発
こうした訓練はやっておくべきです、予算は掛かるものですが有事の際に急に実施しますと些末でも致命的という思わぬ問題が出てからでは遅いのです。
イギリス空軍はF-35戦闘機およびユーロファイタータイフーン戦闘機から53発のASRAAM空対空ミサイルを発射する訓練を実施しました。これは9月にヘブリーズ空軍射撃場の海上射撃空域においておこなわれたもので、この種の訓練としては大規模、訓練には第207飛行隊や第617飛行隊など8個飛行隊から要員が参加し実施されました。
ASRAAMはイギリスが開発した先進的な赤外線誘導方式の空対空ミサイルで、優れた機動性と高度な赤外線シーカーによる射程の長さが特色となっています。53発のASRAAMミサイルは同時に射撃を行ったわけではありませんが、短期間で集中し大量のミサイルを射撃することは操縦士に経験を積ませるとともに地上要員にも重要な機会となります。
■鹿屋の米軍MQ-9
来年度の鹿屋航空基地祭では展示されるのでしょうか。
アメリカ空軍は鹿児島県の海上自衛隊鹿屋航空基地へMQ-9リーパー無人攻撃機の飛行隊を前方展開させました。これは空軍第319遠征偵察飛行隊で、1944年にニューヨークにて戦闘機部隊として新編された飛行隊ですが1977年に活動停止となっていた部隊で、今後一年間、鹿屋基地を拠点として任務に当たり、自衛隊との共同訓練も行うとしています。
MQ-9無人攻撃機は今後順次8機が鹿屋基地へ配備されることとなっています、在日米軍司令部に依れば今後地上試験を経て本格的な運用前に試験飛行を行うとともに、本格運用前に関係者を招いての飛行展示などを計画しているとのことです。第319遠征偵察飛行隊は鹿屋展開に先んじて夏に行われたリムパック環太平洋合同演習2022へも参加しました。
自衛隊にMQ-9無人機の導入計画は具体的にはありませんが、海上保安庁は同じく10月よりMQ-9無人機の非武装型であるガーディアン無人航空機を八戸航空基地において運用を開始しています。自衛隊は無人航空機の運用に後れを取っていると理解されてきましたが、航空自衛隊のRQ-4グローバルホークとともに遅れつつも無人機時代を迎えているもよう。
■MQ-9をリース希望
ポーランドはトルコ製TB-2無人機とともに高度なMQ-9無人機も導入し複合的な無人機運用基盤構築を目指しています。
ポーランド空軍はMQ-9無人攻撃機を暫定リースします。もともとポーランド空軍はアメリカのジェネラルアトミクス社との間で7060万ドルのMQ-9無人攻撃機の導入計画を進めていますが、ポーランド軍ではロシア軍のウクライナ侵攻を受け、次のロシア軍攻撃目標がロシアの飛び地であるカリーニングラードとベラルーシの中間と懸念しているところ。
MQ-9リーパー無人攻撃機は開戦初日に奇襲を受けた中で地上部隊が立て直すまでの初動を担うとポーランド軍は想定していますが、ジェネラルアトミクス社からの引き渡しは遙か先となっていて、ポーランドとしてはリーパーよりもプーチンが先に来ることを警戒したかたちで、アメリカ軍の装備している機体を先行してリースすることを希望している。
■英空軍C-130J退役
必要ならば新しい装備でも手放した方が更に新しい装備が調達できると考えるべきか最後まで使うべきなのか。
イギリス空軍はC-130J輸送機の退役を前倒しで開始し2機を退役させました。C-130J輸送機はイギリス空軍に大量に配備されてきましたC-130シリーズの最新型であり、C-130J輸送機とC-130J-30輸送機を運用中です。イギリス空軍では戦術輸送機とともに捜索救難機として採用され、捜索装置や救命筏の空中投下装置が追加されています。
C-130J輸送機は当初計画では2032年からの退役が見込まれていましたが、国際情勢の悪化を受けアフガニスタンやウクライナ周辺地域、アフリカ地域での過酷な環境での運用が立て続けに行われたことで急激に老朽化が進み、前倒しで退役が開始されました。なお、C-130J-30輸送機を中心に14機は延命し2030年までの運用を継続する方針です。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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今週は空軍関連の11の話題を。最初に輸送機は将来の戦場において危険すぎて運用出来ないという予測から新しいより野心的な計画が進められている話題から。
アメリカ海兵隊はC-130輸送機をミサイル母機とするハーベストホーク実験を成功させました。これは8月29日、カリフォルニア州のミラマー海兵隊航空基地付近においてVMGR-252海兵空中給油飛行隊KC-130J輸送機を用いて実験したもので、この実験ではハーベストハーキュリース兵装キットを装着、AGM-114対戦車ミサイルが用いられています。
KC-130J輸送機はアメリカ海兵隊へ79機が導入される計画であり、現在既に48機が運用されています。海兵隊はKC-130Jを輸送機や空中給油機として用いるとともに更にIRSミッションキットを装着する事で哨戒機として運用する計画であり、30mm機関砲や精密誘導爆弾の搭載なども計画されています、そして同様の動きは空軍でも進められています。
ハーベストハーキュリース兵装キットは24時間以内に脱着できるとのことで、空中給油輸送機から哨戒機までを迅速に転換できるとのこと。空軍は同じく輸送機を武装するドラゴンスピアプログラムを進めており、これにはMC-130W特殊戦輸送機は用いられているもので、必要に応じ輸送機を輸送以外に用いる事で作戦領域の多様化へ取り組んでいます。
■豪州F-35増強
オーストラリア空軍のF-35配備が進んでいます。
オーストラリア空軍はF-35A戦闘機を更に4機受領しました、これは8月30日から9月2日に掛けオーストラリアのウィリアムタウン基地へ到着したもので、オーストラリアへの回航にはアメリカ本土アリゾナ州のルーク空軍基地からハワイのヒッカム基地、そしてグアムのアンダーセン基地を経て飛行し、KC-30A空中給油機等が支援に当りました。
F-35Aの4機到着、これらの機体の受領により、オーストラリア空軍のF-35戦闘機は54機となりました。オーストラリア空軍は72機のF-35A戦闘機を導入計画であり、オーストラリア空軍が初めてF-35Aを導入したのは2017年の事でした、なお現在の導入計画では2023年中に72機が揃う計画となっており、空軍防空能力は大幅に近代化されるでしょう。
■タイフーン到着
百里までドイツ軍のユーロファイターを撮影に行っていたならば実物の写真を仕えたのdすがと少し残念にも思ったりします。
クウェート空軍は10月4日、ユーロファイタータイフーン戦闘機の5号機と6号機を受領しました。これはクウェート空軍が進める28機のタイフーン戦闘機導入の一環であり、クウェート空軍第7飛行隊に配備される戦闘機たち。イタリアからイタリア空軍のKC-767空中給油輸送機による空中給油支援を受け、長躯クウェートまで展開したとの事です。
ユーロファイタータイフーン戦闘機の引き渡しは予定通りすすんでいるとの事ですが、このクウェート空軍への戦闘機導入計画には共同国際プログラム事務局がイタリアとクウェートの両国に置かれ、イタリア空軍が全面協力しており、今回のKC-767による給油支援のほかに、クウェート空軍への戦闘機要員機種転換訓練試験などを実施しているという。
■タイC-130延命
延命改修でどの程度の長期運用ができるのでしょう。
タイ空軍はC-130H輸送機8機の延命改修を完了しました。タイ空軍には8機のC-130H輸送機を運用していますが、2432万ドルの費用を当時タイ国内での延命改修を2020年より実施していました、改修作業はTAIタイ航空産業社が対応しており、9月26日に完了し機転を実施、納入式典では製造40周年となる機体が特別塗装により公開されています。
C-130H輸送機の延命改修は、コックピット部分への多機能ディスプレイの装着と衝突回避システムの改良などの性能向上とともに、エンジンの換装や老朽化されていた機体部品の取り換えなどが実施されました。TAIタイ航空産業社はタイ空軍の航空機を整備する官営公社として2003年に創設されたもので、C-130Hの改修はタイでは初の防衛事業となります。
■H-160引き渡し開始
H-160は完成してみるとドーファンシリーズの後継となり得る形状なのですね。
フランス海軍はエアバスヘリコプターズ社よりH-160救難ヘリコプターの第一次契約である6機を受領しました。フランス国防省は陸海空軍のアルエットⅢやSA-365ドーファン及びAS-565 パンサーとAS555フェネック及びSA-330ピューマ等をこのH-160により置換える野心的化計画を進めており、この場合は420機が調達される可能性を示しています。
H-160ヘリコプターは愛称がゲパール、X4ヘリコプターとして2011年に開発計画が発表されたもので、10億ユーロの開発費が投じられた機体で、複葉機型のテイル部分など特殊な低振動構造と操縦支援機能を有し、同程度の輸送能力を持つ機体よりも重量は1t軽量とのことで、燃費を向上させています。乗員2名と12名を輸送、航続距離は850kmという。
■コロンビアF-X
世代的にはファントムの世代といえる。
コロンビア空軍は老朽化したクフィール戦闘機後継選定を再開します、これはグスタボペトロ大統領が表明したもので、左派政権として国民の支持を受け当選したペトロ大統領は選挙期間中、国防費縮小を公約としていましたが戦闘機については老朽化が進み過ぎ、運用費は嵩み、このままではコロンビア空軍から戦闘機が消える懸念があるためという。
クフィール戦闘機24機がコロンビア空軍の全ての戦闘機です、そして隣国ベネズエラがロシア製Su-34戦闘機導入計画を進めていた事からイスラエルのIAI社により2009年から2017年の期間、ELM-2032AESAレーダーの搭載などの近代化改修が行われています。しかし、1975年に開発されたクフィールは機体そのものが限界に近く、後継機を選定します。
■ポーランドのTB-2
現実問題としてTB-2は日本が導入した場合に航空管制との関係で平時の訓練や災害派遣を含めてどの程度運用できるものなのでしょうかね。
ポーランド空軍はトルコ製バイラクタルTB-2無人航空機の初号機を受領しました。この納入式典では初号機から2号機と3号機までが納入されていて、ポーランド国防省は2021年5月にトルコとの間で24機のTB-2無人機を調達する契約を結んでおり、四回に分けて納入する計画となっていて、ポーランド空軍はこのほかMQ-9リーパー無人機も取得する。
バイラクタルTB-2はウクライナ軍も運用しており、ロシア軍に対して非常に大きな威力を発揮したことでも知られています。ポーランド軍はTB-2無人機6機と地上管制装置3基からなるシステムを4セット導入することとしていまして、10月28日に行われたTB-2無人航空機納入式典にはマリウシュブラザク副首相兼国防相も臨席し、訓辞を述べています。
バイラクタルTB-2無人航空機は運用に電子ビーム指令方式を採用しており、地上管制装置から50km乃至70km程度の運用が想定されています、しかし衛星通信に依存しない為に厳しい電子戦状況下でも運用が可能で、またビームは指向性が高く電波標定により管制装置の位置が暴露する事もありません、小型ですが滞空時間も相応に長く、注目の装備です。
■英空軍ミサイル53発
こうした訓練はやっておくべきです、予算は掛かるものですが有事の際に急に実施しますと些末でも致命的という思わぬ問題が出てからでは遅いのです。
イギリス空軍はF-35戦闘機およびユーロファイタータイフーン戦闘機から53発のASRAAM空対空ミサイルを発射する訓練を実施しました。これは9月にヘブリーズ空軍射撃場の海上射撃空域においておこなわれたもので、この種の訓練としては大規模、訓練には第207飛行隊や第617飛行隊など8個飛行隊から要員が参加し実施されました。
ASRAAMはイギリスが開発した先進的な赤外線誘導方式の空対空ミサイルで、優れた機動性と高度な赤外線シーカーによる射程の長さが特色となっています。53発のASRAAMミサイルは同時に射撃を行ったわけではありませんが、短期間で集中し大量のミサイルを射撃することは操縦士に経験を積ませるとともに地上要員にも重要な機会となります。
■鹿屋の米軍MQ-9
来年度の鹿屋航空基地祭では展示されるのでしょうか。
アメリカ空軍は鹿児島県の海上自衛隊鹿屋航空基地へMQ-9リーパー無人攻撃機の飛行隊を前方展開させました。これは空軍第319遠征偵察飛行隊で、1944年にニューヨークにて戦闘機部隊として新編された飛行隊ですが1977年に活動停止となっていた部隊で、今後一年間、鹿屋基地を拠点として任務に当たり、自衛隊との共同訓練も行うとしています。
MQ-9無人攻撃機は今後順次8機が鹿屋基地へ配備されることとなっています、在日米軍司令部に依れば今後地上試験を経て本格的な運用前に試験飛行を行うとともに、本格運用前に関係者を招いての飛行展示などを計画しているとのことです。第319遠征偵察飛行隊は鹿屋展開に先んじて夏に行われたリムパック環太平洋合同演習2022へも参加しました。
自衛隊にMQ-9無人機の導入計画は具体的にはありませんが、海上保安庁は同じく10月よりMQ-9無人機の非武装型であるガーディアン無人航空機を八戸航空基地において運用を開始しています。自衛隊は無人航空機の運用に後れを取っていると理解されてきましたが、航空自衛隊のRQ-4グローバルホークとともに遅れつつも無人機時代を迎えているもよう。
■MQ-9をリース希望
ポーランドはトルコ製TB-2無人機とともに高度なMQ-9無人機も導入し複合的な無人機運用基盤構築を目指しています。
ポーランド空軍はMQ-9無人攻撃機を暫定リースします。もともとポーランド空軍はアメリカのジェネラルアトミクス社との間で7060万ドルのMQ-9無人攻撃機の導入計画を進めていますが、ポーランド軍ではロシア軍のウクライナ侵攻を受け、次のロシア軍攻撃目標がロシアの飛び地であるカリーニングラードとベラルーシの中間と懸念しているところ。
MQ-9リーパー無人攻撃機は開戦初日に奇襲を受けた中で地上部隊が立て直すまでの初動を担うとポーランド軍は想定していますが、ジェネラルアトミクス社からの引き渡しは遙か先となっていて、ポーランドとしてはリーパーよりもプーチンが先に来ることを警戒したかたちで、アメリカ軍の装備している機体を先行してリースすることを希望している。
■英空軍C-130J退役
必要ならば新しい装備でも手放した方が更に新しい装備が調達できると考えるべきか最後まで使うべきなのか。
イギリス空軍はC-130J輸送機の退役を前倒しで開始し2機を退役させました。C-130J輸送機はイギリス空軍に大量に配備されてきましたC-130シリーズの最新型であり、C-130J輸送機とC-130J-30輸送機を運用中です。イギリス空軍では戦術輸送機とともに捜索救難機として採用され、捜索装置や救命筏の空中投下装置が追加されています。
C-130J輸送機は当初計画では2032年からの退役が見込まれていましたが、国際情勢の悪化を受けアフガニスタンやウクライナ周辺地域、アフリカ地域での過酷な環境での運用が立て続けに行われたことで急激に老朽化が進み、前倒しで退役が開始されました。なお、C-130J-30輸送機を中心に14機は延命し2030年までの運用を継続する方針です。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)