北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

新年防衛論集二〇二三時事:日本を取り巻く"核兵器"の大きな転換-使われる兵器への回帰という厳しい現実

2023-01-01 18:11:31 | 北大路機関特別企画
■新年防衛論集二〇二三
 皆様改めてあけましておめでとうございます、本日から新年防衛論集二〇二三としまして防衛問題や安全保障政策などについて掲載してゆきますが最初に先ず時事問題から。

 新年防衛論集2023時事、ミサイル防衛という北朝鮮を想定した弾道ミサイル攻撃からの日本本土防衛、この種も膨大な予算を防衛費枠組を拡大させずに組み換えで強行し続け、それも二年や三年ではなく小泉政権時代から20年間継続した為に、防衛力は老朽化装備更新不能のまま定数割れ、防衛産業は受注激減で相次ぎ撤退、非正規公務員化で募集も破綻した。

 しかし、弾道ミサイル脅威を考えればミサイル防衛を行う以外に選択肢は無かったのではないかと思うのです。北朝鮮の金正恩総書記は朝鮮労働党中央委員会拡大総会において戦術核兵器の量産を指示し、有事の際に北朝鮮は老朽化著しい空軍や近代化で韓国軍に後れを取る陸軍と皆無に等しい外洋海軍力に代えて核兵器を実戦使用する懸念が高まっている。

 ワンボムカントリーという、1990年代には、一発でいいので核兵器を保有して侵略されない抑止力としたい、こうした国家が存在するとして核開発を阻止する国際公序がありましたが、実態はワンボムどころか量産するとともに、使い勝手の良い核兵器を模索するという、核兵器使用が戦術の前提に在った1950年代のような状況にもどってしまいました。

 核管理体制の破綻というべき状況、これは1970年に成立した核不拡散条約が全く想定しない状況となっていますし、2021年に発行した核兵器禁止条約が、必要な監査機能や核開発抑止機能を全く条文に盛り込まない為に逆の機能を働かせているという状況です。日本の安全保障体制にて、核兵器が使われる前提の時代、こうした前提がそもそもありません。

 北朝鮮のミサイル攻撃は常に核攻撃の懸念が存在する状況となるという事に他なりません、これは日本に対しても韓国を国家承認し朝鮮半島における唯一の正統政府という位置づけを堅持しているのですから、在日米軍基地は勿論、空港や港湾など基地利用できる設備や都市部も核攻撃の標的となる事を意味し、この脅威は軽微と無視するにはあまりに大きい。

 核武装を日本が決断するという選択肢も、恐らくない。核軍拡を許容する国際世論はありません。ただ、政府が進める航空自衛隊の航空宇宙自衛隊への改編とともに、核戦力は宇宙情報網と実質表裏一体ですので、国力を注ぐ覚悟があれば不可能ではないと思うのですが、これはもう一度日本が核攻撃された後でなければ国内世論の猛反発をまねくでしょう。

 ミサイル防衛、消去法で考えるならばこれしか実質的に選択肢が無い。核兵器による恫喝に折れる選択肢は無い、一旦たとえば北朝鮮を国家承認せよという圧力に屈したとしましょう、すると次は韓国の国家承認を取消し朝鮮半島唯一の正統政府を北朝鮮と認める要求が在った場合はどうするのか、そもそも一旦譲歩するならば国も消える覚悟さえ必要です。

 譲歩という危険性は、ロシア軍ウクライナ侵攻が何よりも示しています、国軍の解体と国家元首の制限という民主選挙制度の事実上の廃止、治安等法執行機能の譲渡、ロシア政府はウクライナがこの三条件を認めれば侵攻しないと、一年前に公言していました。日本が同様の条件を突き付けられた場合は受け入れられるのか、そんな余地は全くありません。

 核兵器の問題において、もちろん国民世論として、核武装に頼らないが核攻撃を恐れず平和主義を守ろう、こうした機運が維持されるならば、現状のままで良いと考えるのですが、しかし、先の大戦における“広島長崎の惨状”について、受け入れ得る余地が無い事は今も繰り返される慰霊行事への国民の関心が何より示しているのですね。ではどうするのか。

 核兵器に関する日本周辺の情勢は大きく転換している、ロシアがウクライナにおいて2022年内に戦術核兵器を使用しなかった事は全く僥倖ですが、戦術核兵器、広島長崎に投下されたものと同程度のものは、使い得る強力な兵器として回帰しつつある、最終兵器ではないという大きな転換、日本の政策や世論と無関係に現在進行形で進むとの認識は、必要だ。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 二〇二三年-旅行に出かけよう... | トップ | 新年防衛論集二〇二三【1】... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

北大路機関特別企画」カテゴリの最新記事