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スーダン邦人救出へC-130H輸送機中継拠点のジブチへ出発-現地は危機的状況と不安定な72時間停戦の開始

2023-04-22 07:00:52 | 国際・政治
■臨時情報-スーダン情勢
 スーダン情勢です。昨日20日に先遣隊を載せたC-130H輸送機が小牧基地を出発し邦人救出任務が本格化しました。

 C-130H輸送機の場合、おおむね3日間でジブチに到着します。C-130Hは戦術輸送機であり、小牧基地を離陸したのが1430時、夕方に那覇基地に着陸し給油ののちに離陸したと報道されています。3日間、急げばもう少し短縮できるか、と思われるかもしれませんが、この3日間というのは過去、南スーダン邦人救出の際の所要時間でもあります。

 スーダンと南スーダンでは場所が違うといわれるかもしれませんが、3日間でジブチまで、南スーダン邦人輸送の際に到達していますので、機種と経路は同じ、巡航速度と航続距離はかわっていません。この点で不安となるのは、21日日本時間1300時から72時間の停戦期間を武装勢力RSFが発表しており、輸送機の出発は1430時だったということ。

 RSFの停戦時間がどの程度履行されるかは不透明ですが、少なくともC-130では72時間の期限ではスーダンはもちろん、ジブチまでの到着が難しい状況です。C-2輸送機とKC-767空中給油機がまもなく派遣されるといい、航続距離の面からはこちらのほうがジブチまで早く到着するのかもしれません。ただ、難しいのはそこからハルツームまでの移動だ。

 ハルツームは1200km離れており、しかも戦闘はハルツーム国際空港や大統領府において展開されているという。このためまず国際空港の安全を確認できて初めて輸送が可能となります。ハルツーム国際空港と在スーダン日本大使館の距離は500m、滑走路からは1km強、空港から近いのは便利ですが空港が戦場であるならば話は真逆となります。

 V-22オスプレイ、もし陸上自衛隊が運用を開始しているV-22をジブチまで運び込むことができれば、条件はかなり変わります。V-22は既に先週の相浦駐屯地祭水陸機動団記念行事において訓練展示に参加していますが、仮に予備機を含め4機から5機、ジブチまで展開できれば邦人輸送はかなり難易度を下げることができます、ただ配備から間もない。

 自衛隊の任務としては非常に厳しい、いちばん理想的であるのは72時間の停戦期間中に休戦協定まで進むところですがRSFの軍事行動は目的が不明確で、停戦よりもダルフール地方と北部の割譲をもとめる内戦に発展する危険性の方が大きい。まずはジブチへ自衛隊と各国の航空機材や部隊を集め、有志連合方式をとるほかないのが現実のようです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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