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ウクライナ情勢-タウルスKEPD-350空中発射巡航ミサイル供与巡るドイツ国内議論とロシア自爆無人機

2023-08-21 07:00:34 | 防衛・安全保障
■防衛情報-ウクライナ戦争
 射程の長いミサイルは国産開発しておかなければなりません。

 ドイツ政府はウクライナへのタウルスKEPD-350空中発射巡航ミサイル供与をめぐり揺れています。イギリスとフランスがストームシャドウ空中発射巡航ミサイルを既に供与しており、ドイツ政府もこの種の装備供与を求めるドイツ国内世論と、ロシアを刺激しないようにとの慎重論に板挟みとなっていますが、なによりこのミサイルの射程の大きさ。

 タウルスKEPD-350空中発射巡航ミサイルはトーネード攻撃機にユーロファイタータイフーン戦闘機やF-15Eストライクイーグル戦闘爆撃機などから投射するスタンドオフ兵器で射程は500㎞とストームシャドウミサイルの倍程度あります。この為、ドイツ国内慎重論からは、射程を短縮できないかを検討すべきとされていますが、現実的ではありません。

 500㎞という射程がドイツ政府やドイツ議会を二分する背景には、ウクライナ北部国境からモスクワまでの直線距離が450㎞であり、Su-24戦闘爆撃機によりハリコフ州上空から発射した場合、多雨留守巡航ミサイルはロシア首都モスクワまで到達する、この為にモスクワ攻撃にドイツ供与ミサイルが使われることを強く懸念しているのが実態のようです。
■シャヘド自爆用無人機
 日本の無人機対策をどのように進めるべきか。

 ロシアが国産化を試みるイランのシャヘド自爆用無人機のコピーが失敗している可能性がある、イギリス国防省ウクライナ戦況報告8月16日版にその分析が示されています。これによれば、ロシアはコピー版シャヘド無人機の性能が不均質であり、兵器システムとして未完成の段階にある、これが結果としてウクライナ軍により大半が撃墜されている。

 シャヘド自爆用無人機のコピーについては、生産初期の段階に数多い品質管理の問題であり、数か月以内に完成したコピー機を製造できる可能性があるとイギリス国防省は分析していますが、逆にその数か月間は少なくともカスピ海軽油でイランよりロシアへ輸出されるシャヘド無人機部品やシャヘド無人機本体へのロシアが依存することを示します。

 ただ、ロシア政府の自爆用無人機国産化への意志は固く、ロシア国内で製造された精度が低い一種の過渡的な装備も買い上げ実戦に投入しており、現在は半導体ロシア禁輸措置などに参加する諸国により製造は抑えられていますが、早晩精度をイラン製と同程度に高めたものの量産体制を固める可能性があり、射程の大きさから周辺国の脅威となるでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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