北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

平成二十四年度一月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2013.01.13)

2013-01-11 22:56:30 | 北大路機関 広報

◆自衛隊関連行事

 新しい年には新しい行事、2013年最初の自衛隊関連行事は、第一空挺団降下訓練初めです。

Aimg_2354 第一空挺団は日本唯一のパラシュート部隊で、三個空挺大隊を中心に編成されている自衛隊最強部隊です。そして、パラシュートでの部隊は迅速な展開能力を持つのですが、同時にあらゆる危険を前に強襲を掛ける奇襲部隊としての能力が求められるため、訓練には危険を伴うもので、完全武装にて多数を同時に狭い地域に投入する空挺降下はその最たるもの。

Aimg_2030 その危険な訓練、今年最初の降下訓練ということから展示されるのですが、戦闘展示などヘリコプターの協力を得て、地上の装甲化された仮設敵を相手に戦闘を展示します。いわゆる立体模擬戦は、習志野演習場にて行われ、手荷物検査だけで演習場の入り口から入れば自由に見学することが出来、本年最初の行事として足を運ぶ価値は充分あります。

◆駐屯地祭・基地祭・航空祭

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

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くらま母港佐世保停泊 ヘリコプター搭載護衛艦くらま、2013年最初の撮影

2013-01-10 22:10:12 | 海上自衛隊 催事

■くらま撮影で始まる北大路機関2013撮影展開

 2013年最初の護衛艦くらま写真です。2013年はお正月の舞鶴一般公開もありませんでしたので、ひとつ、いってきました。

Img_33210 立神桟橋に停泊する護衛艦くらま、144の艦番号が輝いています。今回の展開ですが、年始にいつも自衛隊行事にて現地でご一緒させていただく方が写真を送って頂き、それならば、と当方も本年最初の自衛隊関連写真は護衛艦くらま撮影、としました。年始ということもあり、佐世保基地には多くの護衛艦が停泊しています。

Img_3372 くらま、強襲揚陸艦ボノムリシャールやイージス艦こんごう、などの艦艇とともに停泊する様子を弓張岳展望台から俯瞰、海上自衛隊の護衛艦は今後特にヘリコプター搭載護衛艦については全通飛行甲板型護衛艦へと発展してゆくのですが、5インチ砲二門を背負い式に搭載する従来型ヘリコプター搭載護衛艦は、その威容そのものから抑止力を発揮しているようで頼もしいですね。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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第11旅団創設3周年 真駒内駐屯地創設57周年記念行事詳報⑭ 訓練展示状況終了

2013-01-09 00:25:11 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

◆じっくりと73式装甲車&96式装輪装甲車を見物

 訓練展示は前回の普通科部隊による突撃によって仮設敵が撤退し、我が方による攻撃は成功、状況は終了しました。

Mimg_2384 73式装甲車、仮設敵の車両として今回頑張りました。本土の師団では戦車大隊の本部車両等に装備されていたのですが全部北海道に渡ってしまい、富士学校祭でも見ることが出来なくなってしまった73式装甲車です。浮航性能やNBC防護能力があり、車内から操作可能な重機関銃を搭載、良い装甲車ですよ。

Mimg_2397 訓練展示が終了したのちですが、問題となったのは、どうやら空薬莢、つまり小銃の空包の撃ち殻が足りないようなのです。日本以外では、そっかー、で終わりですが自衛隊は薬莢を全部回収するまで捜索が続きます、なんでも旧陸軍からの薬莢探しの伝統があるようで、それならなんとなく仕方ない。

Mimg_2425 見つからないみたいです、金属製ですが芝生一面にボールペンのキャップくらいの5.56mm弾薬莢を落としてしまったのですからなかなか見つからず、こののちには横一列に各班腹這いで、あたかも交通事故現場の鑑識さんのように探していまして、幸いこの後で見つかったのだけれども、大変だなあ、とおもったところ。

Mimg_2442 その横を90式戦車が撤収してゆきます。この写真は2011年ですが2012年から90式戦車の砲に今まで無かった空包が開発され、2012年の駒門駐屯地祭において本邦初の空包射撃が行われました、真駒内駐屯地2012年の駐屯地祭では90式戦車の空包射撃は行われたのでしょうか、気になりますね。

Mimg_2461 73式装甲車の撤収、74式戦車に随伴する装甲車として開発されまして、これ以前の60式装甲車が小さすぎた反省から車内には定員でも余裕ある容積が残るほど、実質容積は二倍になったとのこと。陸上自衛隊へはもう少し配備される計画だったようですが制式化された1973年はオイルショックの時期でもあり生産は縮小、350両でおわってしまいました。

Mimg_2468 開発当初にはラインメタル社製20mm機関砲搭載案もあり、攻撃ヘリコプター対処に期待されたのですけれども、集弾性の低さが指摘され実現しませんでした、当初は集弾性は低くともヘリコプター対処を行うならば散った方がいい、という判断で搭載されたのに、一転してしまったみたい。実施していればフランスのAMX-10P装甲戦闘車のように手頃な装甲戦闘車になったのでしょうか、ね。

Mimg_2478 73式装甲戦闘車に続き89式装甲戦闘車が開発されましたが、同車は大口径機関砲と対戦車ミサイルを搭載する車両なのですけれども、あまり大口径な機関砲を搭載すると、遠距離照準に対応する照準器、行進間射撃を行うために二軸安定装置、火力が大きければ用途が広く求められるので暗視装置、その性能に合わせるためにはより高い動力、そんなのが機銃弾一発で全損は勿体無いので充実した装甲防御力、と結果取得費用はうなぎのぼり。

Mimg_2482 第11施設中隊の96式装輪装甲車も撤収を開始します。正直なところ、日本の道路は車幅を大きく制限するものでしかないので、装甲車は防御力が限られてしまいます、それならば火力も割り切り、国土戦で必要な耐弾性能にのみ重点を置いた単純なものを多くそろえたほうが良くて、難しい戦闘は戦車をその分多く生産したほうがいい、これは年末年始にも書きましたが。

Mimg_2489 北部方面隊は装甲車を重点配備していて、観ていて感心しますね、ただ、これは北海道がソ連に近いから、という単純な理由ではなく、本土の師団が緊急展開するために軽く、そしてその分陸上自衛隊全体がヘリコプターを重視していた、という視点から見るべきやもしれません。戦車は六割がほか移動に集中、と言われますが対戦車ヘリなんかはほか移動には全体の二割以下しか在りません。

Mimg_2495 第18普通科連隊の96式装輪装甲車。陸上自衛隊には装甲車は少ないのですがCH-47J/JA輸送ヘリコプターが50機あります、この一機当たりの取得費用が50億円で96式装輪装甲車の50倍なんですよね、50両は一個普通科中隊を14両と計算し三個中隊所要、連隊本部に残り8両、既に一個中隊分程度は軽装甲機動車があるので、輸送ヘリコプターを抑えていれば全国のほぼすべての普通科連隊を装甲化できた、というわけ。そうしなかったのは、自衛隊が空中機動重視だった、ということ。

Mimg_2496 撤収の様子を見ていましたが、装備品展示会場は別にある模様で、そして真駒内駐屯地は米軍の駐屯地跡地を自衛隊が取得した駐屯地なので、米軍時代の名残を残す建物もあるとのこと、一通り写真は採れるものを撮り終わったので、次の撮影位置に移動を開始しました。次回はその様子を紹介しましょう。

北大路機関:はるな

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尖閣諸島防衛への一視点⑦ 警戒管制網強化の手段は早期警戒管制機か、OTHレーダーか

2013-01-08 22:58:57 | 防衛・安全保障

◆現状のE-2C空中警戒態勢維持には限界も

 八八艦隊による警戒態勢、という記事を以て2012年の尖閣諸島防衛特集の末尾としたのですが、本日は領空侵犯に対するもう一つの視点を考えてみましょう。

Eimg_30920 領空侵犯事案、航空自衛隊創設以来初の中国機による領空侵犯を契機として航空自衛隊はE-2C早期警戒機を空中警戒に充て、宮古島など航空自衛隊のレーダーサイトでは探知できない中国大陸沿岸部からの航空機接近に備えており、年末には浜松基地のE-767にも動きがあった、という話が流れています。この詳細は別の話として、自衛隊は空中から警戒管制を行う早期警戒機と早期警戒官制機を装備化していて間違いが無かったという事は確かです。

Eimg_3092 ただし、北大路機関では2007年1月3日にE-2Cが運用開始より20年を経たことを挙げ、そろそろ後継機を考えなければならない時期となった、と特集しました。あれから六年、まだ後継機の話が上がらないのですけれども、滞空時間に限界のある新型のE-2Dを導入するのか、別の航空機を探すのか、E-767に搭載しているAPY-2レーダーは生産終了となっていますので、E-767増勢という選択肢はありませんが、E-2Cの後継機は考えなければなりません。

Eimg_0048_1 E-2C早期警戒機は航空自衛隊に13機が配備され、青森県の航空自衛隊三沢基地に一機一機が頑丈なシェルターに収容され、運用されていますが、この機体は1976年にソ連の最新戦闘機MiG-25の函館空港への亡命事案があり、この際に千歳基地を緊急発進したF-4EJがMiG-25を継続追尾できなかったことから防空体制の強化が叫ばれ、国防会議により導入が実現しました。これによりE-2Cは13機が導入されたのですが、二桁台の早期警戒機を運用しているのは米軍やロシア軍を除けば日本くらいのもの。

Eimg_5050 航空自衛隊は90年代にシーレーン防衛の強化を期し、E-2Cに続き警戒管制能力を有するE-767を導入しました、飛行時間と航続距離が長く、探知距離と追尾目標の処理能力も高いこの機体は導入当時日米貿易摩擦が背景にあると批判されましたが、今日的には高い洋上での空中警戒管制能力を有することが出来たとして評価されるべきでしょう。特に導入当時と異なり、警戒管制能力が島嶼部ということで薄くならざるを得ない南西諸島での警戒監視には、この種の航空機は不可欠です。

Eimg_0011 南西諸島での緊張増大を契機として航空自衛隊は一定数のE-2Cを那覇基地に展開させています。先月那覇空港を利用した際に誘導路からは格納庫に三機程度のE-2Cが見えましたが、沖縄より中国大陸寄りの洋上に進出し警戒管制に当たっているとされ、宮古島のレーダーサイトからは地平線が直進する電波への障害物となり感知できない中国機へ備えている模様、既に尖閣諸島付近へ接近する航空機を素早い対応で領空侵犯を阻止させる対領空侵犯措置任務へ寄与しました。

Eimg_5153 しかし、ローテーションを考えますとE-2Cの飛行時間は空母艦載機という設計であるため小型軽量が低い維持費と調達費により世界中で多くが配備運用されていることから、E-767と比べれば常時警戒態勢を構築することは難しいやもしれません、というのも早期警戒機は高い高度から索敵するため地上のレーダーサイトよりは地球の水平線上から低空を接近するを早く感知できるのですが、その距離は無限ではありませんので、脅威を探知できる空域まで進出しなければならない。

Eimg_4823 つまりE-2Cは那覇基地上空や那覇基地近傍で警戒するわけではなく、もう少し前進、那覇基地から尖閣諸島までの距離は410km程度ですが、E-2Cの探知距離は560kmです。この数字を見ますと150kmも余裕があるのですが、戦闘機が那覇基地を緊急発進し展開するまでの時間的よゆうを見込まなければなりませんので、更に150km程度は進出しているやもしれません、常時滞空するためには交代機を前進させる必要がありますから、三時間半程度の間隔でE-2Cを離陸させる必要がある、1日に当たり飛ばす機数が大変ではないでしょうか。

Eimg_3631 ここでE-2C早期警戒機とE-767早期警戒管制機の性能を見てみましょう。まず、滞空時間はE-2Cが6時間強でE-767が15時間強、航続距離はE-2Cが2854kmでE-767が10370km、探知距離はE-2CのAPS-125の2000型改修で560kmでE-767のAPY-2は800km、もっとも探知距離に関しては運用条件で異なるので参考値にしかならないのですけれども。この通り、E-767の凄さが見えてくるのですが、現状のE-2C後継機をどうするか、もっとE-767を揃えておけばよかったという点に尽きます。考えられるのは米E-3早期警戒管制機の日米共同開発、というところあたりが落としどころという、これは私の考え。

Eimg_0066_1 E-2Cの後継機、E-767が肝心のAPY-2レーダーの生産終了で取得出来なくなったのですが、代わりの航空機は例えば傑作旅客機ボーイング737原型のトルコや豪州に韓国が導入する737AEW&Cが筆頭に考えられるのですがこれは航続距離が5200kmでE-767の半分、ビジネス機を原型としたG-550AEWやSAAB340AEWなどもありますが、これも滞空時間、広大な洋上を長時間に渡り運用する航空自衛隊の任務には合致するのか、ということにもなるわけで、安易に結論は出そうにありません。

Eimg_0071 ただ、南西諸島警戒という一点からは、中国軍が短距離弾道弾により先島諸島を射程に収めていると同時に、沖縄本島の基地は中国空軍が200発程度を有する射程1500kmのDH-10地上発射型巡航ミサイルや150機を運用するH-6爆撃機に4発を搭載するYJ-85巡航ミサイルの脅威に曝されており、中国大陸を発進する低空目標を早期に探知するためには、やはり地上のレーダーサイトだけではなく、もっと別の手段をもって警戒に当たる必要を認識すべきでしょう。南西諸島近海に護衛艦のピケットラインを構築するのか、AEWヘリコプターを離島に何機も分散配備するとか、そういう考えは反対なのですが。

Eimg_3279 選択肢には、OTHレーダー、短波帯を使用し電離層に反射させることで通常のレーダーに用いられるマイクロ波よりも遙かに遠い探知距離が3000km前後という超水平線レーダー、いわゆるOTHレーダーによる警戒網を構築する必要も検討の価値はあります。OTHレーダーは冷戦時代にアメリカ本土の北極越えの爆撃機進入への備えや、ソ連本土でのアメリカミサイル実験監視用、豪州本土でのアジア地域における東側の航空機運用監視等に用いられ、自衛隊も防衛庁時代に喜界島への配備を検討してきました。OTHレーダーならば、現実的にどうにかなるかもしれない。

Eimg_3182 ただ、早期警戒管制機などと比べOTHレーダーは、いくつかの重大な問題があります。第一にテレビ電波などに干渉し携帯電話などの周波数帯が使えなくなるという問題、これは21世紀の今日ではかなり大きな問題です。具体的には日本国内へ米軍がOTHレーダーを試験配備したことが1970年代にありましたが、こちらもテレビ画像に影響が出たため国会で問題となり撤去されました。電波は有限資産ですので、短波帯を防衛用に使おうにもすでに過密状態となっている今日、特定のテレビや携帯電話会社を排除することも出来ません。

Eimg_7714 第二に、相当広大な面積に短波電波塔を構築しなければなりませんので用地確保が非常に困難であり、確保できる地域と電波干渉の問題を双方解決できるかという問題、洋上に設置すればいいのではないか、という視点もあるやもしれませんが、南西諸島では台風が接近する時期があります、例えば普天間飛行場移設問題で目がフロート案が却下された背景には台風がありましたし、前述の電波障害から地形が風を遮るほどに沿岸部に置くことも出来ませんから、この問題は大きい。

Eimg_3501 最後の一つが索敵角度と精度が限定されるため、沖縄県のような大陸に近すぎる地域に配備しても、必要な面積が近すぎて警戒できない、ということで、例えば日本国内で電波障害の無い大陸寄りの我が国排他的経済推移以内に配置する、という方策は、近すぎて目標が見えない、という結果にもなります。これらの問題点を解決するには、例えば沖縄から一定距離がある小笠原諸島南鳥島のような角度の面から索敵が可能で、電波による影響をある程度緩和できる人口密集地からの距離を有する地域に配備することくらいでしょうか。

Eimg_3302 幾つかの話題に分け、様々な案を提示したのですが、どう転んでも現在のE-2Cによる常時警戒態勢の維持、ということは現実味がないことに変わりありません。そして現段階では政府用小型機による散発的な尖閣諸島への接近に留まっているのですが、沖縄本島への巡航ミサイル脅威は、中国政府が那覇基地や嘉手納基地の無力化が国家の必要な措置を採るうえでの必要な選択肢である限り増大し続けるでしょうし、尖閣諸島へ戦闘機が接近する事案も当然考えられるわけです、どういう視点で対応するのか、考えてゆく必要はあるのです。

北大路機関:はるな

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防衛産業、我が国防衛力を構成する重要要素の将来展望⑪ 交渉手段となる国産技術

2013-01-07 23:53:09 | 防衛・安全保障

◆ただし嘘と誇張は確実に見破られる

 安倍内閣は2030年代にF-15の後継戦闘機を国産として検討するようです。間に合うのでしょうか、それとも別の視点から見る必要があるのでしょうか。

Dimg_9182 F-15戦闘機とAIM-9L空対空ミサイル。航空自衛隊は1960年代にAIM-9B空対空ミサイルをアメリカから取得していましたが、この輸入費用が比較的割高であったため三菱重工を中心に1961年より国産空対空ミサイルの開発を開始、実質的にAIM-9Bのデットコピーであったとも言われるものですが国産ミサイルを開発、輸入がコスト的に見合わなければ国産機に切り替えるとの姿勢を示し、適性価格に抑えた、という話があります。

Dimg_0002 続いて1970年代に、航空自衛隊はF-4戦闘機用にアメリカ製AIM-4空対空ミサイルの取得を希望しましたが、比較的新しい装備であったためか供与が認めらず、結果、三菱重工を中心により高性能なミサイルを期して国産のAAM-2を開発、かなり高コストであったとされるのですが開発に成功し、この技術力が圧力となり、我が国へのAIM-4Dの供与が決定しました。

Dimg_5573 また、話はドイツとの関係に飛びますが、90式戦車を開発していた時代、搭載砲を日本製鋼所の国産砲とするかラインメタル社製のものとするかで議論となりましたが、軽量化に問題があったとされるものの国産砲の完成度が高かったことから、ラインメタル社は120mm砲のライセンス生産について好意的な条件を提示し、採用された、というものがあります。

Dimg_3729 兎角コスト面では叩かれる国産装備とこれを支える防衛産業ではありますが、我が国に技術在り、という姿勢の提示は装備品取得に対して、一定の交渉力、分かりやすく言うならば足元を見られにくいという利点があることは、上記の実例を見るだけでも決して無視できません。

Dimg_1698 特に技術的優位にある場合、もしくは同程度の技術があるとみなされる場合、技術移転を行った場合でも、その技術に依拠した模造品が生産されにくい、という点は大きな利点でしょう。例えば、これは中国の新幹線の事例を出せばわかりやすいのですが、中国側の稚拙な鉄道技術に対し、我が国が技術供与を行った結果、模造品が国際市場に流れてしまったのは昨今大きく報じられているところで、皆さんも報道などでご存知でしょう。

Dimg_5994 しかし、元々高い技術があるが、諸事情により、規格や相互互換性等の面で海外製を導入したい場合、例えば仮に我が国が高度な高速鉄道TGVの技術を有するフランスへ新幹線車両を輸出したとしても、その技術が模倣されて国際市場で新幹線を脅かす事には、TGVの技術がある以上ありえない、こういう構図が成り立ちます。もっとも本家新幹線は0系新幹線の制動技術にF-104の技術が転用された、ということで物議を呼んだのですが。

Dimg_6591_1 国産最新の短射程空対空ミサイルAAM-5,事実として、我が国には独自技術があります。そして独自技術が高い水準であることから、規格や互換性の観点から海外装備の技術移転を求める場合、これはライセンス生産を含めて国内で調達したい、という視点に基づいてのことですが、この場合、技術移転を決断するうえでの障壁は低くなるということ。

Dimg_4099_1 防衛産業と防衛省が協力し開発した、性能面や技術点で世界最先端を往く装備は幾つも存在します。これは開発費という視点を経済性という一点から俯瞰すれば非効率極まりない、という結論に辿り着かざるを得ないのですけれども、一方で海外製装備が現在の水準で取得できている、性能面と費用面の両面から見た場合、全体で観れば一概に非効率なのか、ということにもなるというわけです。

Dimg_4534 併せて、国産技術は技術的抑止力という視点だけではなく、国産装備ならではの海外装備にない仕様、即ち日本独自の運用に基づいて開発されたものが多くありますので、開発を行う必然性があり、前述の繰り返す表現ですが仕様と互換性という視点から取得を行うというこちらも必然性により導入する海外装備との両立は、ある意味当然の選択肢ともいえるでしょう。

Dimg_0953 ただし、この分野では嘘がつきにくい、つまり国産出来ないものを国産出来るとして交渉することは非常に難しい、という事実を認識せねばなりません。例えば中国は我が国からアメリカのダミー会社を経由して軍用に用いることが出来るカーボンファイバーの取得を試みました、日米いろいろ理由があり結局モノにできなかったのですが、その実例を以て中国は戦闘機に不可欠な複合素材を密輸しなければ取得できない技術基盤の薄さを露呈しました。

Bimg_8472 この点を、例えば我が国が対米交渉に際し、戦闘機国産技術があるので米国製戦闘機を採用してほしければもっと有利な条件を、と主張したとしましょう。しかし、日本国内に戦闘機に不可欠な低バイパス比ジェットエンジンを開発するだけの技術的基盤があるのか、という一点だけをその周辺に位置する工業水準を観ることにより難しい、という事が看破されてしまうでしょう。

Bimg_5594 例えば1980年代に台湾は独自の悪ちヴフューズドアレイレーダー技術を開発した、と発表しましたが、アメリカを中心にその周辺技術となる裾野分野の開発が完成しておらず、結果としてその発表は事実ではない、と指摘されました。これは当初台湾側が認めず、閲兵式などにモックアップを展示するなど技術をアピールしたものの、事実は完成していないというもので、分析は間違っていませんでした。

Pimg_8905 こういう意味では虚偽は成り立たない、もしくは割に合わない分野ではあるのですが、地道な技術開発を行えば、時間と予算は大きくかかるものの技術の実現に道が無いわけではありません、この長期的な予算の支出は始業評価に反映されにくいものではありますが、ここまでの国産技術そのものが交渉を呼ぶ、という視点に依拠し物事を長期的に進めたならば、努力は無駄にならないのだ、という事が分かるでしょう。そうした意味から日本国内の技術基盤は大事に維持成長させてゆかなければならないこういえるわけです。

北大路機関:はるな

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新田原基地航空祭2011詳報④ 大編隊を解き、F-4ファントムの機動飛行と着陸

2013-01-06 23:31:56 | 航空自衛隊 装備名鑑

◆部隊配備より半世紀の名機

 2013年も2011年の基地行事特集の連載継続です、もう少しお付き合いください。

Nimg_8041 新田原基地航空祭の開始を告げる大編隊。前回の大編隊飛行に続き、編隊を崩し航空機は各々着陸態勢に入ります、しかし、ここは新田原基地航空祭、一筋縄でちゃくりくに向かう、というわけではありません。それでは一筋縄に行かない航空部隊とは、どういう様子か、という事を今回から見てゆきましょう。

Nimg_8060 F-4EJ,米海軍へのF-4配備開始は1961年でしたので、2011年は部隊配備開始あら半世紀、EJ型初飛行が1971年でしたので2011年は40周年、かなり古くなっているのは事実で、特に同稼働率を維持するか、如何に予備部品を確保するのか、と運用面では苦労が絶えないとのこと。

Nimg_8111 一方で現代の航空戦は、航空機の搭載機器がものをいう世界であり、少々無理をしてでもF-1支援戦闘機の補完として近代化改修を行ったF-4EJ改はよかった、ある程度の第一線での能力を維持できる能力を保持できているのですが、しかし、航空機は航空機として飛ばねばならず、此処が苦しい状態になっているもよう。

Nimg_8147_2 そうした、識者の中では一般論というものを払拭するのがF-4の旋回飛行です。新田原基地では第五航空団唯一の飛行隊がこのF-4戦闘機の飛行隊、南部九州はファントムでもつ、というところでしょうか、精一杯の機動飛行を展示です。搭載する二基のJ-79エンジンの音は何処までも響く。

Nimg_8163 新田原基地の眺鷲台は、着陸の様子も理想的な情景として撮影できます、少々高くなったところに撮影位置があるのですが順光ですので、空は青く、機体の色はくっきりと浮かんでくれる、危機の真上を飛行しつつ機体は一直線に滑走路へと侵入してゆきます、脚が展開する様子が躍動感を与えてくれる。

Nimg_8175 もう一機が機動飛行を展開、古くなったという航空kではあるのですが、このファントムは米空軍が冷戦時代に海軍空母艦載機の主役であり、米空軍ではヴェトナム戦争を支えた航空機、機械設計に余裕がある航空機、という事で改修w続けている空軍に航空自衛隊のほか、トルコ空軍などがある。

Nimg_8184 危ない、ファントムの着陸進入の直前を野鳥が横切ってゆきます。これが衝突し、エンジンの空気取り入れw口などに吸い込むと機体の損種に繋がり、一定以上の速度で衝突すると風防に損傷が加わる、という事もあり、あんまり無視できない事態となてしまいます。こればかりはどんな航空機でも避けられない危険だったりします。

Nimg_8213 それにしてもF-4ですが、自民党時代にF-2が生産終了となっていまして、その後の後継機製造開始が今に至るも開始されない状況を考えると、防衛政策の軽視はF-2生産中止を決定した石破長官の先見の無さが端緒であり、一概に民主党の防衛政策軽視路線だけを責めることはできない、とも考えるのは当方だけでしょうか。

Nimg_8240_1 F-4の着陸、惜しい戦闘機ですが、F-2の生産が継続していれば、年産6機体制で18機増産というほうしきでF-4一個飛行隊を代替し、F-4後継機の取得が開始されれば18機の飛行隊を解散して従来の三個飛行隊あるF-2飛行隊定数18機に各6機を充当、24機編成としてF-4の飛行隊定数と同じ水準にF-2を増勢できたのですが。

Nimg_8241 ちゃくりにするF-4の上空をT-4練習機の四機編隊が進んでゆきます、実は申し訳ないのだけれども、T-4練習機も後継機がそろそろ必要になってくる時期です、これは200機以上あり、F-4の後継選定を先送り先送りと怠惰な妥協案を重ねてきた結果、他の機体の耐用年数と重なってしまったという。

Nimg_8248_1 着陸するF-4,良い戦闘機なのですが古くなった以上、F-35として決定した戦闘機はいいのですが、それにしても中継ぎの航空機、という概念は必要かもしれません、こういうのもT-2練習機の開発が行われた際に計画が遅延した当時には米空軍のT-38練習機の輸入が真剣に検討されているのですよ。

Nimg_8256_1 上空をF-15戦闘機の四機編隊が飛行します。安倍内閣はF-15の後継機として国産機の開発を示唆しているのdすが、ううむ、いまからエンジン開発や電装品開発を行って間に合うのかな、とも。思い切って米空軍のF-15C後継機開発に日米共同開発を持ちかけるという選択肢も必要dえしょう。

Nimg_8271_1 政府は2030年代にF-15後継機を模索しているようです。航空自衛隊への導入開始が1981年ですので、ざっと半世紀の運用を検討していることになるのですが、米空軍でも機体の強度と発展性に余裕がある、と言いますのでF-15Jも半世紀程度の運用には対応する、という考えがあるのでしょうかね。

Nimg_8273 再度F-15の編隊が進んでくる中、T-4練習機の着陸が始まりました、先ほど編隊飛行していたT-4が順次編隊を崩して滑走路に向かうところ、ですが、これではなんとなくですが、F-15戦闘機の編隊にT-4練習機が追い詰められているようにも見えてくる、というのは当方だけでしょうか。

Nimg_8282_1 撮影位置の様子はこのようなかたちとなっています。そこまで人口密度が多くはないのですが、意外と外柵が高く、どうしても写真に柵が映り込んでしまうという事、ご了解いただきたい。新田原基地航空祭2011の着陸展示はこののちも続々と続いてゆきますが、これは次回に掲載という事とします。

北大路機関:はるな

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Beretta M84自動拳銃、Browning M1910自動拳銃、H&KSG-1自動狙撃銃

2013-01-05 23:38:03 | 北大路機関特別企画

◆名銃と特殊戦用装備

 新春エアソフトガン特集も本年で三回目、恒例企画となりつつありますが昨年の新装備はこんなところです。

Aimg_8710 ベレッタM-84,イタリアのピエトロベレッタ社が開発し、我が国では海上保安庁や厚生労働省麻薬取締官が採用している中型自動拳銃で、9×17mm弾、所謂9mmショート弾を13発装填する高性能な自動拳銃です。当方が2012年に購入したのはウェスタンアームズ社製のガスブローバックガン、当方が中学校二年生の頃に発売されたもので、中二病的視点から昔あこがれていたもの。

Aimg_8693 ベレッタ社は世界でも最も古い銃器メーカーで、その歴史は16世紀にマスケット銃を製造する企業まで遡ることが出来ます。そもそも企業という仕組み自体が成立したのはフェニキア人が地?海沿岸に造船業として生み出した仕組みという事ですので、同じ地中海沿岸では産業という概念が組織化しやすい下地があったのやもしれません。

Aimg_8698 自衛隊制式拳銃であるSIG-220とベレッタM-84を並べてみました。複列型弾倉を採用するベレッタM-84は13発を装填できますが、9×19mm弾を使用するSIG-220と比較しても小型であることに驚かされます。購入したのは前述の理由と手頃な価格品との出会いが背景にあるのですが、多弾数と高性能を一つに盛り込んだ精巧な工業製品の機能美に惹かれた、ということも大きい。

Aimg_8727 FNブローニングM-1910,徹底した小型化と突起物の排除を以て完成した20世紀の傑作拳銃、ブローニングM-1910です。マルシン社製エアソフトガンとして偶然売っているのを発見し思わず購入しました。ベルギーの物凄く古い拳銃のモデルですが、我が国では陸海軍の将校用拳銃として、また警視庁を始め警察用拳銃として戦前戦後と運用されました。

Aimg_8729 コルトM-1911A1とブローニングM-1910を並べてみました。M-1910は戦前の将校装備品が制服はもちろん軍刀から拳銃まで自費でそろえる必要があった時代に、安価でありつつ高性能なものとして多数が輸入されました。また、1914年のサラエボ事件にてオーストリアのフランクフェルディナンツ皇太子を銃撃し、第一次世界大戦の引き金となったことでも有名な一丁です。マルシンの安価なガスガンはこの頃完全に市場から払底してしまいましたね。

Aimg_8641 H&K-G-3SG-1、ドイツ連邦軍が1964年に制式化したG-3小銃の高精度個体を選出し、能力証明射手用の自動狙撃銃としたものがG-3SG1で、強力な7.62×51mm弾を使用し連写にも耐え堅牢を誇ったG-3,その弾薬特性と高精度な銃身を利用した自動狙撃銃はドイツ連邦軍の能力証明射手や警察狙撃用などに用いられています。89式小銃と並べてみましたが、大きい。

Aimg_8660 G-3SG1をMP-5PDWと並べてみました。G-3SG-1は中学の頃いつもつるんでいた友人が電動ガンとして購入していましたが、その影響でしょうか、某アニメのじーすり先輩に憧れたわけではないです、ただ、ドイツ連邦軍の狙撃について調べる機会があったので何となく欲しくなった、という事も理由として大きいです。中二病だけど銃が欲しい!、というわけでもないですよ。

Aimg_8670 SIG-SG-552に30連弾倉を装着してみました。SG-552は昨年購入したのですが、国産品では20連装型の形状しかありませんでしたので、東京マルイと互換性のある輸入品を調達しました。短機関銃程度の大きさであるSG-552ですが、弾倉が短型だけでは見た目が心細く、しかし、切り替えるだけでここまで印象が変わるとは思わなかった。

Aimg_8681 いつもお世話になっているCジョニー氏から消音器を譲ってもらい装着しました、これで名実ともに特殊作戦仕様で、PMC装備とよく合うのですがMASADAカービンと並べますとSG-552でもここまで大きくなるのか、と驚いた次第です。どうも正規軍から離れてゆく装備として三丁のエアソフトガンを増やしてしまいましたが、2012年に気になったのはこんな感じでした。

北大路機関:はるな

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平成25年第1空挺団降下訓練始め 1月13日日曜日習志野演習場にて実施

2013-01-04 21:43:17 | 北大路機関 広報

◆迫力の落下傘降下と戦闘訓練展示

 毎年恒例の第1空挺団降下訓練始めは1月13日に実施されます。今週末の日曜日ではありませんのでご注意ください。

Aimg_1842 降下訓練始めは、我が国唯一のパラシュート部隊である第1空挺団の一年間最初の訓練開始を一般公開するものです。空挺部隊は、輸送機により迅速に展開する機動力の高さが最大の武器ですが、一度最前線に降下すれば補給は限られ、火力も限られます。そのため個々人の戦闘能力を厳しい選抜水準と教育課程で篩い分け、激しい訓練の連続により最強の隊員の集団として鍛え上げた部隊です。

Aimg_2370 この訓練始めは、実際に輸送機やヘリコプター20機以上を展開させ、空挺降下や空中機動により強襲を展示したのち、地上に展開する戦車や装甲車を中心とした仮設敵部隊との戦闘訓練展示を行います。空包はもちろん、多くの航空機が乱舞し、空挺部隊も機械化部隊や火力部隊を展開させ実施させます。

北大路機関:はるな

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京都の干支 『蛇年の相国寺弁天社』 臨済宗相国寺派総本山にある弁天様の御社

2013-01-03 23:44:46 | 写真

◆初詣はお寺の御社で

 干支と重なる祀られた寺社仏閣が京都には多々あります。そして今年は蛇年です。

Cimg_3218 相国寺、京都市営地下鉄今出川駅、同志社大学に広大なキャンパスの土地を供したのは京都五山に数えられる臨済宗相国寺派総本山である相国寺で、キリスト教系大学に土地を貸す日本仏教の懐の深さは、価値観の多様性を尊び安易な二元論に終始しない我が国文化の奥深さ所以だ、と感じる代表的な事例だと思いますが、どうでしょうか。

Cimg_3226 その相国寺ですが、今年の干支である蛇が絵馬として奉納されている社があることをご存知でしょうか。蛇は古くから農耕神として世界中で信仰の対象となり崇敬されてきました、鼠害への抑止力としての意味合いが強いと考えられるのですが、京都では蛇が祀られた神社、というもの、なかなか目にしません。

Cimg_3241 こちらは相国寺にある弁天社、相国寺といえば鳴き龍、ということで辰年を思い浮かべる方もいるやもしれませんが、並ぶ伽藍の狭間にこうした弁天社が人々を迎えてくれるのです。弁天社、もともとは京都御所にあった久邇宮家、いまの賀陽宮家旧地に祀られていたもので、これが相国寺に遷され、祀られた、ということ。

Cimg_3253 弁天様とは、日本書紀の市杵嶋姫命、古くはインド仏教やヒンドゥー教の女神辯才天に由来するといわれている日本の神話上の女神様ですが、財運を司るとされ信仰を集めています。弁天社の蛇は、弁天様の使いとされています。蛇と共に描かれた絵馬の琵琶ですが、こちらも弁天様と所縁深いもの。

Cimg_3262 弁天社。もともと、この相国寺は室町時代、ときの三代将軍足利義満公が御所の直ぐ北へ禅宗の一大伽藍を建立する発願を出したことに始まり、夢窓疎石が釈迦如来を本尊とする寺として1382年に創建したもので、萬年山を山号とする寺としてこの地に建立されました。

Cimg_3285 応仁の乱により荒廃しましたが、建立に際し造営された七重大塔は高さが109mとされ、東寺の五重塔よりも高く、京都タワーほどではありませんが我が国の建築物としては帝国海軍が潜水艦通信用に1929年に建築された依佐美通信塔の完成まで、我が国で最も高かった建築物だったようです。

Cimg_3289 この相国寺は、山外塔頭として鹿苑寺と慈照寺、つまり金閣寺と銀閣寺を有しています。金閣寺などは足利義満公の時代の代表的な建築物として知られていますが、相国寺の山外塔頭だったわけです。その境内は最盛期はより広く、西は二条城北あたりから御所の更に東へ広がっていたようですが、今の位置に至ります。

Cimg_3307 広大な境内を有する相国寺は前述のように応仁の乱により荒廃し、1467年から1477年という実に10年間にも及ぶ長期間の戦いで京都全域が破壊され、多くの文化財は破壊されました。遙か後に豊臣秀吉により復興が進められたのですが、今日の相国寺には三門と仏殿がありません。

Cimg_3314 このような歴史の中を経て今に至る相国寺、地下鉄今出川駅から今出川通を御所に沿って大文字山の見える方角へ歩いて数分、足を運ぶことが出来ます。初詣はまだ、というかた、初詣は行かれた、という方も京都の今年の干支、相国寺弁天社へ足を運ばれてはどうでしょうか。

北大路機関:はるな

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迎春2013 あけましておめでとうございます、今年もよろしくお願いいたします

2013-01-02 00:26:46 | 北大路機関特別企画

◆今年も北大路機関をよろしくお願いいたします

 あけましておめでとうございます、改めて本2013年もWeblog北大路機関をよろしくお願いいたします。

Simg_2590 平素からWeblog北大路機関をお引き立て頂きありがとうございます、Weblog北大路機関は2005年の創設から今日に至るまで記事の掲載を継続することができましたが、これもご高覧頂きます皆様の支援あっての賜物です。閲覧件数は年々大きくなり、多くの閲覧がある種責任感や向上心という形で心の支えとなり、拙い写真と誤字の多い記事ではありますけれども、当方の技量と時間でできる限り最高水準のものを目指し、北大路機関の毎日の記事更新や記事水準を維持することが出来ました。

Simg_3130 北大路機関は、元々は沖縄問題を考える大学生の自主ゼミという形を採って発足しましたが、諸般の事情にて執筆者独断でWeblog化を実施、2005年7月29日に阪急十三駅で誕生したWeblog北大路機関ですが、北大路機関全体としても今日では活動の場を主としてWebとし、防衛に関する知識普及と自衛隊への理解、我が国防衛力の問題点検証や将来脅威への対応を行う施策の検討、自衛隊行事の紹介を通じての自衛隊装備の現状と部隊練度や、自衛隊という社会の紹介と将来展望などを写真を中心に記事の形で毎日更新を行っています。

Simg_4143 Weblog北大路機関は記事総数2688記事、アクセス回数はアクセス解析開始以来、5677371アクセスと多くのアクセスを頂き、今現在も記事アクセス共に増大中です。これら記事の作成は、記事作成に伴う視野の拡大、コメント欄による新しい知識の習得や見識見解の交流という非常に有意義な機会を執筆者が得ることが出来、今に至ります。本年は、駐屯地祭航空祭連載記事の継続と共に展示訓練及び駐屯地祭記事の詳報作成、連載検証記事の充実を改めて進めてゆくと共に行事予定紹介及び時事情報の記事作成をおこなってゆきますので、よろしくお引き立て頂けると幸いです。

北大路機関:はるな

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