北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【京都発幕間旅情】はるな、榛名神社は巨大火山榛名山と火の神火産霊神祀る二六〇〇年の歴史

2016-12-21 21:41:05 | 旅行記
■はるな、北関東榛名神社散策記
 はるな、北関東群馬県の巨大火山と神社を巡る散策記、京都幕間旅情くらま特集に続き京都発幕間旅情として、はるな、を巡った情景を紹介しましょう。

 京都発幕間旅情、京都を大阪から寝台特急サンライズ瀬戸出雲、若しくは新幹線のぞみ号にて東京へ足を運び、東海道本線高崎線直通上野東京ラインを高崎、高崎からバスにてさらに一時間ほど、若しくは上越新幹線を安中榛名まで進み徒歩で山道を半日ほど、群馬県群馬三山の一つ、榛名山に位置する古の県社が、榛名神社です。

 戦艦榛名、護衛艦はるな、と日本海軍史に燦然と輝く艦名由来となった榛名山、榛名神社にはかの戦国武将武田信玄公が戦勝祈願へ籠め矢を射った矢立杉が60mに迫る威容を誇り、この地の歴史の豊かさを今に伝えます、高崎市に位置する榛名山は長野県軽井沢に接し、関東管領上杉氏が守護を司ると共に武田信玄と上杉謙信が覇を競った地の一つ。

 榛名山の山道は険しく冬季には積雪により車道が閉鎖される事もある北関東山間部有数の一つ。上野国、これは“こうずけのくに”と読み、常陸国と下総国に接する令制国で、六世紀の綏靖天皇治世下、先帝神武天皇の東征に際し皇城守護を名乗り出た可美真手命父子が神籬を立ての神事を行った2600年前の神事が、ここ榛名の地へ神社が創建された所以という。

 上野国十二社の一つとして歴史を重ねましたが、巌山僧坊遺跡という修験道の聖地としての歴史を経て、東叡山輪王寺宮榛名山巌殿寺と榛名山満行宮との神仏習合を体現する寺社仏閣が広まります、そして明治時代神仏分離を経て、かつての榛名神社へ復号しました。

 神社は本社幣殿拝殿複合社殿という春日造本社と入母屋造拝殿を幣殿で結ぶ権現造の社と、国祖社額殿という勝軍地蔵と阿弥陀仏を安置する本地堂で神楽拝観所を転じた社、と、複合社殿が特色となっています。難工事とはこういう立地での工事を云うのか、という現代の視点でも考えさせられるわけですから、はるか昔にこの地へ、社殿建立にも難儀が垣間見える立地故のものなのでしょう。

 春日造とは切妻造に範を採った上で優美を正面に誇るべく大社造屋根を三角形の切妻造破風正面とする構造として、これを身舎という円柱と向拝柱を角柱と組み合わせ間社春日造とし、板壁を配した上で高床構造を以て通気を意識した、春日大社に代表される様式です。落石防止の天蓋回廊の先へ社殿を造営したわけですね。

 東叡山輪王寺宮榛名山巌殿寺と榛名山満行宮の時代の社殿、享保年間や文化年間という江戸時代後期の建物が並んでいます、伊香保温泉と榛名山を越えれば草津へ通じる湯治の街道が広がり、中山道高崎宿は中山道第四の活況、この地への参詣ですが街道と共に進むのでしたらばそこから上る訳ですので、難しくは無かった。

 御姿岩洞窟に御神体を祀る構造となっていまして、神社の神楽殿は板張三方吹放構造で明和年間の、双龍門は入母屋造銅板葺き四脚門で安政年間の、随神門は入母屋造瓦棒銅板葺八脚門で弘化年間の建立、となっていまして、これらは、国の重要文化財となっています。

 祭神は火の神火産霊神、土の神埴山姫神を祀ると共に、建立の後後世に入り水分神高靇神と闇靇神と大山祇神と大物主神と木花開耶姫神とを合わせ祀る神社です。火産霊神を祀る神社故に巨大火山榛名山の過去の巨大噴火群と、非常に大きなかかわりを持つのでしょう。

 火産霊神、かぐつち、と読みまして古事記の火之夜藝速男神や火之炫毘古神と火之迦具土神を示す総称、日本書紀には軻遇突智とかぐつちそのものの名となり、火産霊と表記されています。イザナギとイザナミが結ばれ生まれた神とされますが、曰く生まれた事が災い。

 かぐつち、生まれた事でイザナミは火に焼かれ死にイザナギの怒りを招き神剣天之尾羽張により切り殺されましたが、飛び散った鮮血は、石折神、根折神、石筒之男神、甕速日神、樋速日神、建御雷之男神、闇淤加美神、闇御津羽神、の神々を生んだと古事記は伝える。火の神火産霊神を切り殺した鮮血が飛び散って新しい神々を生む描写は、日本列島が大陸外縁弧状列島として火山噴火の中で生まれ育った国土の始りを思わせるもので、その様子は恰も今世紀にも噴火により島を広げた小笠原の西之島噴火を思い出させる情景ですね。

北大路機関:はるな くらま
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MV-22沖縄本島沖不時着水事故,沖縄県庁の反発と政府に提示したい防衛負担の共有政策

2016-12-20 21:26:44 | 国際・政治
■MV-22沖縄本島沖不時着事故
 MV-22の海上不時着事故が発生しました、この反発は大きく、そろそろ負担軽減から共有へという新しい議論が必要となるのではないでしょうか。

 最初にテロのニュースが入ってきました、ベルリンでカイザーウィルヘルム記念教会クリスマス特設市場がトラック突入攻撃を受け60名の死傷者が出ました、ドイツ法執行当局はテロ事件として捜査を開始しました。同じころスイスのチューリッヒではイスラム教施設において無差別発砲事件が発生、3名の負傷者が出ています。双方の関係有無は明らかではありませんが、欧州にはテロの嵐が吹いています。

 今月13日、沖縄本島沿岸の東シナ海において米海兵隊MV-22可動翼機がKC-130空中給油機からの夜間空中給油訓練中に給油プローブへローターが接触、そのまま操縦不能となり海上に不時着しました。これを契機に沖縄県内を中心にMV-22の配備への反発が高まり、更に普天間飛行場名護市移設工事中止解除が最高裁判決に盛り込まれ併せて批判が高まっています。

 MV-22可動翼機とKC-130空中給油機の夜間訓練中接触は、沖縄県庁が批判するような機体の欠陥か、と問われますと、基本的に空中給油中にローターとプロープが接触した場合でも確実に飛行を継続する事が可能な航空機は思い当たりません、強いて言えばAV-8攻撃機等ローターを有さない機種ですが回転翼を有する航空機には欠陥とは言い難いでしょう。

 不時着事故という表現を沖縄県庁は批判していますが、相浦駐屯地AH-1S対戦車ヘリコプター事故や和歌山沖OH-1水没事故等、今回のMV-22事故と類似した事故は我が国では不時着事故に定義されています、この為、不時着事故ではなく墜落事故だとの主張にも、当該事案と類似事案に不時着事故との表現が用いられており今回のみ特別扱いは出来ません。

 過去の沖縄国際大学CH-53墜落事故の様にMV-22が空中給油中に住宅街に墜落する可能性との一部危惧については、そもそも住宅街を含む陸上上空では空中給油は日米ともに実施せず、例外的に航空祭で行われる空中給油展示飛行でも空中給油プローブからは離隔した距離を飛行する展示飛行に限られており、実際空中給油は行われていない点を踏まえるべきです。

 ただ、人間は感情の生き物であり、専守防衛を国是とする我が国では平和憲法の名の下で国土を戦場とするまで反撃に転じない施策が支持されており、この為には国民と政治の信頼関係が重要です。米海兵隊は専守防衛の枠外でそもそも我が国が戦争に巻き込まれないよう憲法上日本が採り得ない積極策を採る点はさておき、信頼強化の施策は必要でしょう。

 政府は、沖縄県に歩み寄り、妥協の余地はある程度考えられるわけですから、例えば米軍ではなく自衛隊を前面に出し、例えば海兵隊MV-22に代わる航空機を平時において用いる余地を捜し、例えば沖縄が一手に引き受ける米軍訓練と九州本州が一手に引き受ける自衛隊訓練の相互転換相互負担を、それぞれ共有する具体策を示すべきではないでしょうか。

 日出生台演習場と北部訓練場の陸上自衛隊と米海兵隊運用交換、真剣に検討すべきではないかという視点について。勿論、日出生台演習場を米軍専用演習場に切り替えるのではなく、日出生台演習場で現在実施している米海兵隊訓練を抜本的に増強し、その一方で従来想定しない、陸上自衛隊の北部訓練場への訓練移転を行い米軍使用を削減する提案です。

 沖縄県側の批判は米軍訓練の集中ですが、沖縄県では自衛隊演習場が無く那覇駐屯地第15旅団は基本的に中隊規模を超える訓練を日出生台演習場に依存しています、更に北熊本第8師団の現在実施している沖縄研修を強化する方式で米軍訓練を逆に本土移転させ、沖縄での自衛隊訓練異常な希薄解消と併せ米軍訓練の全国規模での共有は促進するべきでしょう。

 UH-60多用途ヘリコプター,EC-225輸送ヘリコプター,CH-101輸送ヘリコプターの増勢と米軍MV-22の本土分散配置、安全保障関連法制により自衛隊の米軍支援への障壁が一部解消されており、自衛隊ヘリコプターによる米軍空輸支援の可能性が拓かれました、単純な訓練支援に限れば協力が可能となり、普天間海兵航空隊削減が可能となるやもしれません。

 高遊原分屯地を高遊原駐屯地へ拡大し、西部方面航空隊を廃止、新たに西部方面ヘリコプター団を新編し、高遊原駐屯地へ第201ヘリコプター群、那覇駐屯地か補完する沖縄駐屯地へ第202ヘリコプター群を配置し、第202ヘリコプター群配置を以て海兵航空部隊の半分程度を岩国航空基地乃至目達原駐屯地へ集約乃至移駐、沖縄から本州九州移転を期す。

 第2ヘリコプター団として一歩進み、大臣直轄部隊や将来の総隊直轄部隊として、木更津第1ヘリコプター団を東部東北北部方面隊を主とした支援に充て、第2ヘリコプター団を中部西部方面隊へ支援に充てる運用、という選択肢も考えられるでしょう。この場合、多数のCH-47を増勢する必要がありますが、元来統合機動防衛力整備へ増勢が必要でした。

 少なくとも、MV-22の半数程度と可能であればCH-53Eの一部を本州九州へ移転させ、在沖海兵航空部隊は県民反対の薄いAH-1ZやUH-1Y等、自衛隊のAH-1SやUH-1Jと同系統機に集約した上で、海兵空中機動訓練を沖縄での自衛隊急患輸送において実績ある自衛隊UH-60やCH-47,政府要人輸送で実績あるEC-225等を増強配備、置き換える提案です。

 自衛隊のヘリコプターさえ十分ではない中、この施策は聊か事業評価に際しその妥当性と正当性を問われる懸念もありますが、自衛隊として島嶼部防衛に必要な空中機動作戦能力を常に維持する海兵隊へ参加させる事で高度な水準を維持でき、北部訓練場と那覇駐屯地を往復する主眼で日本が沖縄での訓練比重を高めれば必ずしも米軍過当支援には当らない。

 本案は沖縄米軍基地負担軽減に加えて、日本の防衛負担過小を批判するアメリカ次期政権への回答、統合機動防衛力整備への具体的施策たる空中機動力増強、これらを複合的に解消する新しい施策として提案するものです。在沖米軍負担軽減・米対日防衛負担要求・統合機動防衛力、何れも喫緊の課題であり、ミサイル防衛等の施策を事由に遅延事業を含む。

 川崎重工V-107整備能力の再構築を前提として、米海兵隊より老朽化し引退したCH-46の再生措置と再配備、特に日本側が運用し一時的にMV-22の代替手段を提示する施策等、検討する余地はないでしょうか。CH-46は途轍もなく老朽化しある種危険ですが沖縄での重大事故批判は少なく、MV-22配備反対運動と比してCH-46早期代替運動は過去ありません。

 V-107は自衛隊において非常に長い運用実績があります、V-107の初飛行はバートル社が実施した1958年ですが1962年には川崎重工がライセンス生産権を取得し日本での生産が開始、自衛隊での運用はライセンス生産機に先んじたノックダウン生産機から開始され、陸海空自衛隊にて長期に渡り運用が継続、最後の機体が除籍されたのは2008年の事でした。

 科学的に安全が証明された場合でも人間は感情の生き物なのですから納得できるとは限りません、科学性と感情性は討議の次元が異なる客観性と主観性のものです。一方、在沖米軍の必要性ですが専守防衛を掲げる我が国にとり、台湾有事や比島有事等の非常時へわが国への影響が具体化する状況を未然に阻止するべく自衛隊を即座に介入、策源地構築阻止やシーレーン防衛に向ける選択肢は現時点で執れないでしょう。

 在沖米軍の意義、実際に行うか否かは別として、措置を採る事が出来る能力そのものが抑止力を発揮し、地域安定化に資する訳です、無論、国土を戦場とさせることを強いた憲法を改正し平和主義を冒す外敵から国民の平和的生存権を守る勢力への積極的な施策を可能とする選択肢はないには無いのですが、本論では敢えてそこまで踏み込む討議は行いません。

北大路機関:はるな くらま
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中国海軍南シナ海で挑発攻勢強化!空母遼寧の初実弾訓練実施と米海軍水中無人機奪取事件

2016-12-19 22:00:01 | 防衛・安全保障
■南シナ海緊張更に沸騰
 わが国の重要なシーレーンが広がり、アジア30億の交易における重要航路が通る南シナ海での中国の挑発がさらに高まり、緊張が沸騰状態へ近づいています。

 空母遼寧、初の実弾搭載の艦載機による演習を実施した、とのこと。2012年に再就役し、四年間を経てようやく艦載機が実弾演習を実施できる水準となりました。空母遼寧は元ソ連海軍未成空母ワリヤーグをウクライナから調達したもの、進水式は1988年、今年で進水式から28年という空母遼寧、漸く艦載機を運用できるようになりました。艦載機はSu-27をコピーした殲15、数十機が演習に参加し10発以上の実弾を発射したとのこと。

 アメリカ海軍の水中無人機がルソン島沖で中国軍に奪取される事件はこの直後発生しました。無人兵器は鹵獲される危険性が指摘されてきましたが、本当に奪取されてしまいました。ルソン島南シナ海にてUSNSバウディッチより運用試験中のテレダイン社製水中無人機が引き上げの際に中国海軍の艦艇により奪取されたとの事、USNSバウディッチは数日間、中国艦追尾を受けていました。中国海軍は水中無人機返還の可能性を示唆しています。

 有事の際ならば無人機は人的損害の危険性がない有用な兵器ですが、平時に使用しますとグレーゾーン事態において奪取されそうな状況に、予防攻撃を実施する事は出来ません、また、奪取されますと筺体には多種多様な機密情報が当然盛り込まれていますので、平時には必ずしも有用な装備とは言い切れません、過去にアメリカはRQ-170無人機がイラン軍によりハッキング、毎回飛行経路が重なった為に疑似GPS誘導により奪取されたという。今回の事態を受け米海軍、今後この種の強硬手段に対しどのように対応するのでしょうか。

 米国株式市場はハイテク株下落、米中の緊張も意識、とのロイター報道、アメリカの水中無人機奪取事件がそのまま米中対立へ展開する可能性があるとして投資家がリスク回避の動きを見せたという、南シナ海での事件がさっそく市場へ影響した形です。もちろん、無人機奪取事件は単体であれば過去の海南島EP-3衝突事故と同程度の、情報漏えいの危機はあるが、この事件を契機としての大規模な軍事衝突は充分回避できる規模の事態といえる。

 しかし、今回の事件の背景がアメリカトランプ政権への政権交代に先立つ中国側の牽制であるとすれば、当然今回の事件のような水準単体で終わる事は考えられない為、これを端緒として米中対立が本格化する事を意味します。投資家のリスク回避はこうした長期的な懸念に依拠するものと考えられ、これを次期政権が態度硬化で対応するのか対中融和路線へ転換するのか予断を許しませんが、投資家は問題長期化を見越した行動をとったかたち。

 一方、この米中対立の端緒を探れば、台湾問題を契機とした米中政治摩擦に見出せるでしょう。これを契機として中国によるアメリカ自動車メーカー経済制裁への動きへ展開しようとしています。この種の事態は複合要素で展開しまして、要因は一つではありませんが、中国はアメリカ企業へひとつと解釈されかねない方法で間接的に揺さぶりを掛けようとしています。これはロイター通信が中国国家発展改革委員会筋の話として報じたものです。

 アメリカ自動車メーカー経済制裁について、中国国家発展改革委員会筋の情報としては独占禁止法違反が事由に挙げられますが、同社の市場占有度合いは高くありません。中国への海外企業進出は基本的に合弁企業を現地法人として設置する事が条件であり、知的財産権開示や資本引上げ規制など不明瞭な規制が問題視されてきましたが、今回、必要であれば切る事が出来る幾つかの切り札の中で最初の一つをアメリカに対して示した形です。

 実際、日本企業は過去に日中政治摩擦を契機とした様々な妨害を受けてきましたが、今回、アメリカ企業に対して本格的に示される事となり、アメリカが引くのか、対立が拡大するのか、中国が引く事も考えられるのか、アメリカにも対中経済制裁は中国経済の根幹を破壊する対中通貨交換停止措置等の手段があり、新しいリスクが顕在化しようとしています。

北大路機関:はるな くらま
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【日曜特集】百里基地五〇周年航空祭【2】荒天予報跳ね返す首都防空精鋭部隊(2016.11.26-27)

2016-12-18 20:56:15 | 航空自衛隊 装備名鑑
■ファントム発進!百里基地
 ファントム発進、百里基地。日曜特集、百里基地五〇周年航空祭、第二回は晴天に恵まれた土曜日特別公開日と荒天予報を跳ね返した日曜日本番の情景を共に紹介しましょう。

 百里展開、こうして今回特別公開日を茨城空港から撮影、F-4EJとRF-4の展示機が並ぶ航空公園には基地を一望出来る高台がありまして、ここから、この付近から滑走路などを望むことが出来ます。実は茨城空港は阪急桂駅よりもターミナルが狭く、航空祭週間は午前中いっぱい、空港利用者以外空港に立ち入る事が出来ません、当初補給など心配なところ。

 茨城空港航空公園は、足を運んでみますと手洗い設備がありますし、茨城空港のターミナルビル入口付近、つまりターミナルの外にコンビニエンスストアもありまして、ここで補給を摂る事が出来ました。午後からはターミナルビルで食事も出きまして、麺類や丼に軽食等、実はこの茨城空港ターミナルビルが百里基地で最寄の食事ができるお店、とのこと。

 ブルーインパルスの飛行展示を午前中に行い、偵察航空隊戦術偵察展示とファントム機動飛行を午後の遅い時間帯に行う、という、実は最も混雑する飛行展示プログラムでしたので、この特別公開日に可能な限り撮影しておくという必要性を痛感しました。もちろん、翌日の航空祭本番は悪天候の予報があり、晴天の特別公開日も意味は大きいのですが、ね。

 来場者の動員規模には大きな波、ピークがあります。それは航空祭において何を重視するのか、という事なのですけれども、ブルーインパルスを重視したい近隣の方々と、この基地ならではの迫力の飛行展示を視たいという遠方からの方々、という違いです。これは一般に遠方からの方はブルーインパルスを方々の基地で撮影する事が出来る為、というもの。

 フィナーレをかざるのはブルーインパルス、というプログラムが一般的でして、逆に飛行展示を重視する方々はブルーインパルス飛行展示前に、機動飛行や基地所属機の大編隊を撮影しますと、ブルーインパルス飛行展示までの一時間から二時間の時間の間に帰路に就く、一般の方はその瞬間に空いた基地内で目いっぱい堪能し、帰路に就く、こうした流れ。

 今年度の航空祭、他にも岐阜基地航空祭ではブルーインパルス飛行の次に異機種大編隊を展示する事がありますし、数年前の築城基地航空祭もブルーインパルス飛行展示の後にF-2とF-15の機動飛行展示を組んだことがありますが、ブルーインパルス飛行展示目当ての人は最後まで視てゆこう、となりますし、遠征組は、ここから本番だ、となり最後まで混む。

 こうして、前日の特別公開日で総合予行の最後まで撮影しました、翌日はブルーインパルスの飛行展示までとどまらず、目いっぱい地上展示機、特に今年しか撮影する事が出来ないブルーファントム、青ファントム、特別塗装機を撮影しよう、と計画しました。航空機ではなく航空祭、満員の会場の活況等も、本番ならではの写真として撮影したいものです。

 茨城県なのだから百里基地航空祭を撮影した後には、大洗観光を敢行したいもの。友人と水戸市内に一泊しまして、本当は大洗に一泊し鮟鱇鍋を頂きたかったのですが、航空祭実施の週末に二部屋確保出来て駐車場のある宿泊先を直前に確保出来ることなど有り得ず、水戸に一泊しました、前宿泊した事があるホテルが電話予約であいているという事でした。

 大洗観光では、何より一杯やる気満々でしたので、一旦水戸のホテルに車両を置きまして、鹿島臨海鉄道にて大洗へ、少々暗くなり始めた時間帯でしたが、リゾートアウトレットモールのガールズ&パンツァーミュージアムにて散財し、その後に鮟鱇鍋を、と思ったものの閉館時間、あんこう鍋は仕方ない、残念に思いつつ夕食は別別々のお店で頂くことに。

 ミホニウムが第113番元素として学会で初めて認められたことに大盛り上がりの大洗、ミホニウムとは西住みほさんから抽出された新元素に違いないと一部でもう大盛り上がりとなったミホニウム、よく難しい新聞を読み返しますと、ミホニウムではなにニホニウムで西住みほさんではなに、ニッポンから採った名前ではないかとはさておき、大盛り上がり。

 逸見エリカさんの看板で有名なお店で鮨を頂くつもりが流石は週末の予約だけで満員御礼、そこでオレンジペコさんの看板で有名な酒屋さんのBARにて一杯やる事としました。この店で一番強いのをお願いします、というと、隣に勝田の陸上自衛隊の方が居ましたが、その強いではなくお酒の方で一番強いのを、と言い直し、ワイルドターキーをロックで。

 オレンジペコさんのお店で黒ビールとハーフにワイルドターキーやワインとを頂き気分を盛り上げ、そのまま大洗駅前の宿敵T-34戦車の看板のお店にて、御寿司で清酒や焼酎を嗜み、鹿島臨海鉄道普通列車にて水戸市内へ戻りました。寿司は流石鹿島灘に面する大洗、清酒とも焼酎ともよく合い、常連も賑やかで雰囲気も楽しい、美味しかったですねえ。

 航空祭本番の朝、天気予報は当たりました、つまり雨が降った。友人は、もう、いい、や、と。大洗観光に重点を置くこととしていましたが、当方としてはやはり青ファントムは撮影しておきたい、そこで友人が基地近くまで送って行ってくれることになります。渋滞渋滞に大渋滞、凄いですねえ、本当に渋滞で基地数km先から、もう車列が全く動かない。

 渋滞航空祭のその名の通りの状況に、渋滞を巧みに避け、というのも大洗観光のついでに送って行ってくれるのですから渋滞が目指す先、百里基地特設駐車場へ車両展開する必要などない訳ですから、国道県道農道山道街道旧道水道地下道食道、渋滞せず自動車が通れる道全てを駆使し、基地正門から5km先まで送ってもらいました。さあ、此処から徒歩だ。

 百里基地へ徒歩で行く、というとかなり無謀に見えますし、正門まで5kmというのは遠く感じますが、特設駐車場入り口までは3km少々、しかも自動車ではこの3kmを移動するには数時間を要しますが、徒歩ですとこの状況、本当に早いです。渋滞で道路上は全く動かず、それはもうあたかも駐車場のごとき状態、路線バスも渋滞に嵌り完全に動きません。

 徒歩では路線バスなどをどんどん追い抜きまして、迷った時はワンコ散歩中の住民の方や茨城県警のお巡りさん、誘導に当たっている航空自衛官さんや農家の方に道を聞きまして何とか到達、徒歩で四時間かかった、訳は無く時計を見ますと25分で基地に着く、駐車場の入口ですね、此処から渋滞の無い基地内循環バスを利用してエプロン地区へ到着です。

 石岡駅からのシャトルバスは結局所要時間二時間を要したとのこと。友人に感謝です、その後聞いてみますと、幸い、渋滞に巻き込まれず離脱できたといいまして大洗の町中からファントム9機編隊は見えた、との事です。次回は新鉾田駅付近から折り畳み式自転車で移動するのもいいのでしょうか、小松基地航空祭では折り畳み式自転車を重宝しました。

 百里基地航空祭会場は、活況でした。駐車場やシャトルバス臨時ターミナルから滑走路誘導路に沿ってエプロン地区へ向かうのですが、この誘導路沿いは滑走路に沿って進んでいますから、ここから発着の様子を見る事も出来るのです、しかし、この航空祭本番での今日一番撮影したい被写体は、そう地上展示のブルーファントム、特別塗装RF-4そのもの。

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安倍総理プーチン大統領,日ロ首脳山口東京会談開催 日ソ共同宣言以来の平和条約へ前進

2016-12-17 22:30:09 | 国際・政治
■日ロ首脳山口東京会談
 安倍総理とプーチン大統領との間で、ロシアのウクライナ介入後から延期されていました訪日と日ロ首脳山口東京会談が行われました。過去の不幸な歴史を乗り越え、両国関係は着実に前進してゆくことを確認したかたち。

 日ロ首脳会談、山口県長門市での一日目の会談に続き、二日目の東京での首脳会談が無事終了しました、領土問題の進展を求める声は元島民に加えて野党の間でも大きく、北方領土返せよという声を高らかに叫びたいことも確かですが、しかし、一回の首脳会談において実現するほど簡単なものではありません、こうした意味で重要な一歩といえましょう。

 ロシアはソ連時代に北方四島からもと日本国籍住民を強制排除していますので、現在の択捉島や国後島などの北方四島での日本への帰属運動は無く、アメリカが沖縄占領に際して住民排除を行わなかったため、日本復帰運動が沖縄返還へ繋がった事とは対照的です、その上で領土問題と元住民の問題と共に現島民の様々な要素を踏まえて考えねばなりません。

 北方領土問題を複雑化させているのは、北方領土の地政学的な要点と共にもう一つ、認識相違があります。日本側の視点としてポツダム宣言受諾宣言による戦闘停止命令後にソ連軍上陸が為された事を連合国側の了解を得ない領土拡張行為との非難があり、ロシア側としては大祖国戦争として降伏調印式前に実施した正統な戦果、との認識があるのでしょう。

 北方四島、返還されるに越したことはないですが、実情を考えますと、冷戦終結直後の機会に必要な措置を大車輪で進める、こともなく、平和姿勢だけを継続してきました、最も理想なのは北極圏スバルバル諸島のような自由往来権を元住民へ確保する枠組み、最も現実的懸念は交渉が長引き元住民が高齢化で足を運ぶことも出来なくなる、ということ。

 しかしながら1956年の日ソ共同宣言以降60年間停滞している平和条約交渉を棚上げする事と、平和条約交渉を経たうえで領土交渉を継続的永続的に展開する、実現性は低下しますが選択肢としてないでもありません、実際、領土問題棚上げの平和条約締結はイタリアイレデンタ問題に揺れる仏伊関係と共にNATO加盟やEC加盟を果たした事例等あります。

 日ロ共同経済活動、ロシアには日ロ関係を強化へ指向する視点としましてシベリア開発の進展と人口流失の阻止への具体策としての産業創出という必要性、ウクライナ内戦介入を経ての欧米経済制裁下での唯一といえる欧米諸国との経済連携の可能性が日本との共同経済活動の強化です、対ロ経済制裁下の進展はプーチン政権へ大きな成果となるでしょう。

 この構図から共同経済活動と平和条約締結を併せている実情があります、ロシア側にはここで遅延しますと、極東地域の空洞化に歯止めを止められない状況が続き、ロシア国内資本ではこれを払拭し開発する事が出来ません。他方、日ロ関係は平和条約が締結されていない状況ではありますが、冷戦時代ほどの懸念事項は無く、関係強化にリスクは少ない。

 一方忘れてはならないのはロシアの資源外交として、国家間関係悪化の際に即座に資源供給を停止し、後戻りができない規模の経済的衝撃を相手に合わせるという実例が、実際に欧州においてウクライナ介入を契機としての欧ロ対立の際にきられていますので、資源の依存度を高めれば日ロ関係が今後悪化した場合に危険、この問題点は忘れてはなりません。

 このようにロシアとの関係は一筋縄ではいかない事はありますが、プーチン大統領との本の関係は森内閣時代から着実な実績があり、また、現在の複雑な関係の一方で、冷戦時代や日ソ共同宣言時代の関係と比較すればかなりの部分、良好化したといえるでしょう。その上で時間はかかりますが、敢えて平和的手段に限る交渉は時間を要します、長期的視野で見てゆくべきでしょう。

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平成二十八年度十二月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2016.12.17/12.18)

2016-12-16 20:41:22 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 この週末は年末が近づき、事前応募制のクリスマスコンサートin四日市のほか、自衛隊関連行事は行われません、海上自衛隊基地週末艦艇広報の予定については各地方隊HPをご覧ください。

 今週末の自衛隊行事無し、という際にはまったりと部屋の掃除や書類の整理や写真の補正等に時間を費やしたいところですが、海上自衛隊基地巡りや、万一平日に有休を確保出来る場合などには航空自衛隊基地や海上自衛隊航空基地の展望台からの撮影など、いろいろと自衛隊行事に代わる撮影の機会というものはあるものです、ただ、多少のコツも必要だ。

 海上自衛隊基地、横須賀基地や佐世保基地に舞鶴基地と呉基地や大湊基地がありますが、週末一般公開というものがありまして、横須賀基地は滅多に行われませんし、年々他の基地でも実任務増大を背景に縮小傾向にありますが地方隊HP等を視ますと、艦艇広報、としまして基地桟橋一般公開や護衛艦上甲板一般公開の情報が記載されていまして注目です。

 一般公開日は時間帯と入門手続きなどを必要としますので、時間をしっかり確認し、基地正門前や桟橋前などに時間通りに到着する交通手段の確認や駐車場の確認をしたいところです。佐世保基地や舞鶴基地に関しては売店も立ち入る事が出来ますので識別帽やピンバッジ等と基地限定銘菓等も職場や家族への一風変わった土産物とする事も出来るでしょう。

 さて、撮影の話題。自衛隊装備の転換は早い物でして、ブログを始めました頃は戦闘防弾チョッキがまだ1型主流の時代、64式小銃もそこここの部隊で観る事が出来ましたし、62式機関銃やM-3短機関銃さえも現役でした、73式小型トラックといいますかジープも多く、ヘリコプター編隊飛行にはUH-1Hもいました。しかし、10年経つと全然違ってくるものでして。

 陸上自衛隊の看板装備、戦車と火砲は74式戦車とFH-70がそのままですから、あまり変わっていないように見えまして、その他の装備はどんどん変化しています、ブログを始める直前のフィルム式カメラを使っていた時代は60式自走無反動砲を撮っていますし、60式装甲車もいましたが、いまや60年代の車両や装備などを殆ど見なくなりました。

 短魚雷発射管では明確に60年代に制式化されたものが量産されていますし、66式鉄帽なども一応見るには見るのですが、ヘリコプター搭載護衛艦は、くらま以外全通飛行甲板型に置き換わり、F-4戦闘機も最初の基地百里基地へ集約されました、政府専用機も後継機が飛行試験開始、代わっていないようでも、時代は変化しています、撮影できるものは今のうちに撮っておきたいものですよ、ね。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭
・今週末の自衛隊関連行事はなし

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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トランプ新大統領の外交国防戦略【04】 紛争不介入路線明示と台湾海峡巡り対中政経強硬路線

2016-12-15 23:18:15 | 国際・政治
■北東アジア情勢と中東政策
 アメリカはオバマ政権下の軍事誇示回避路線を継承するのか、世界秩序への影響を再構築するのか、大きな関心事ですが、紛争不介入路線明示と対中政経強硬路線、という新しい路線がトランプ次期大統領のツイッター発言により示されています。

 アメリカがどう動くのかは日本の外交防衛政策に直結します。トランプ次期大統領、ISIL掃討作戦へは関与の度合いを強化する姿勢を示しました。他方で海外での紛争介入に対しては回避する姿勢を示しています。実のところ、オバマ大統領のイラク撤収完了とアフガニスタンでの大規模な作戦終了を受けアメリカの大規模な介入が現在行われている地域紛争は無いのですが、内向国防戦略の可能性が示唆されました。

 ただ、必要があれば即座に介入するという姿勢そのものが地域プレゼンスに影響します、この部分で引く姿勢を示した事はどのような影響を及ぼすのか。南スーダン支援等でアメリカの影響力は大きく、関与していないもののポテンシャルが地域的な安定化要素となっている事例は多いのです、カウンターバランスとなる新しい地域秩序の構築を待たず、関与の方針を放棄しますと、懸念すべき状況が発生しかねません。

 こうした中、アメリカが中東地域において例外的に主導するとしたISILの掃討任務ですが、その現状を視てみましょう。ISILに対する有志連合の作戦、アメリカ軍当局者の発言としまして、これまでの作戦により五万ものISIL戦闘員を無力化したとの事、更にこの戦果は控えめな数字だ、と付け加えました。もっとも、ISILへの戦果は長く強調されていたもので、今回はどうなのか見極めなければ、という先入観があります。

 ISILですが、実態を見ますとリビアでは崩壊寸前、シリアでは自由シリア軍へシリア軍が戦力を集中する中でパルミラ方面にて攻勢に出ましたが例外的です。その攻撃衝力が低下するまでに多くの時間を要していましたが、今回はISILへの包囲が進み、イラクではほぼ攻勢に出る事は無く、テロ攻撃程度しか対応できない状況、中東地域やアフリカ北部でのISILへの戦果は大きなものがあるといえるでしょう。

 アジアではトランプ次期大統領、台湾の蔡英文総統と電話会談を行い、その内容は今に至るも発表されていないながら、アメリカ政府が台湾に対する強い関心の大きさを示した事が端的に示される事となりました、一方この姿勢は、台湾政策への変更をアメリカは目指さないものの、中国政府が変更を目指す事もやはり許さない事を示唆したとも解釈される。

 一方、中国政府に対して今後アメリカに対する敵対的な政策を行う場合、アメリカ政府が台湾の独立承認を行う可能性を示唆する事で、中国へ圧力をかける目的があるのかもしれません。その点でトランプ次期大統領は中国への様々なアプローチを試みています、台湾問題はその一環であるかについては様々な解釈の余地がありますが、現段階で不明です。

 中国政府に対しては、現在のところツイッターでの発言に限られるものの、様々な政策への不満と批判を掲げつつ、一方でアメリカにとり公平な形での関係の強化も模索している旨を示しています。これは現在の関係には改善の余地があるが、一元論で臨むのではなく、経済を門戸開放せねば台湾国家承認、という異次元論理にて台湾問題と中国の民主化と経済問題を包括させ相互に考えるとの意思表示なのでしょうか。

 米台首脳と次期首脳の電話会談について、沈黙を守っていました中国政府が改めて反発を示し、折れに対して現在のオバマ政権下アメリカ政府が現在は一つの中国という基本方針を支持している旨を改めて伝達しました。アメリカの基本行進は態度を不明確とし、中国は一つであるが北京の中国政府領土に台湾は含まれない、という台湾と中国が別の国であるのかについては回答を避ける事を基本としています。

北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
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【京都幕間旅情】くらま、古都鞍馬本町鞍馬山へ毘沙門天を奉じる峰々と美しい緑の散策路

2016-12-14 22:52:00 | 写真
■くらま、鞍馬山探訪記
 古都鞍馬本町鞍馬山へ毘沙門天を奉じる鞍馬山探訪記、一週間という日々の幕間水曜の夜に新特集“京都幕間旅情”としてその風景をお伝えしましょう。

 写真特集京都幕間二〇一六、北大路機関も創設十一年を経て多くの方に様々なお言葉と感想を頂きまして、大半を占めましたのがこの京都俯瞰風景や日本旅情の名所旧跡を巡る探訪記や列車旅を思い浮かべる話題の再開を、という事でした。確かに言われればその通り。

 鞍馬寺は京都市左京区鞍馬本町に位置しまして、尊天を奉じています。尊天、これは毘沙門天王と千手観世音菩薩と護法魔王尊を三身一体として掲げる信仰で、旧海軍巡洋戦艦鞍馬やヘリコプター搭載護衛艦くらま艦名は戦を司る毘沙門天を掲げる所縁が考えられます。

 京都幕間、と冠しまして、一週間の中間に当たる水曜日くらいは、様々な日本を再発見できる写真を紹介しよう、という試みです。榛名の旅、という特集を第二北大路機関へ掲載している次第ですが、ここは鞍馬の旅、ということで鞍馬山を紹介する事としましょう。

 北大路通りから歩いて二時間ほど、休日に天気が良い日にはちょっと散策してみたくなるのが鞍馬の山々です、京都産業大学前を宝ヶ池の方へ、そして都市から静かな方へ奥の方へと大文字の舟形を望見しつつ叡山電車に沿って鞍馬川を辿れば、貴船とそして鞍馬です。

 暗部山の古名を持つこの地に寺院が建立、770年遡ればかの鑑真高弟は鑑禎が毘沙門天を安置し、796年東寺の藤原伊勢人が貴船神社からのご神託を夢枕に受け鞍馬寺を建立する事となり、都花月名所に歌われる暗部山を鞍馬山としてここに寺院を拓き、今に至る、とも。

 くらま、は尊天を示す天竺のサナトクマーラが名を転じたといわれ、天竺での信仰がヒンドゥー教へ通じ、ヴィクラマディチャとなった、という話がありまして、この名前は現在インド海軍がロシア空母アドミラルゴルシコフを改修し2014年再就役した空母の艦名です。

 このお散歩、紅葉の時期などは北大路は大徳寺の木々よりも少しだけ早く色づきますので、道を辿るとともに季節が秋めいてゆく輪郭のない季節の雰囲気を心で浴びるのも、この鞍馬散策の醍醐味ですが、実のところ落葉続く冬の気配に気を配らねばならないのは、と。

 鞍馬山は山岳信仰とされ、鞍馬天狗と称されるように山伏修験の地と共に山を讃える精霊天狗もまた鞍馬を最高位の山として今も巡るとは鞍馬の方のお話、紅葉よりも、新緑の季節に透明な春の訪れと育ちゆく森の木々を楽しめる晩春初夏の道行が、勧めたい風景です。

 京都、寺社仏閣名所旧跡を期待されると、京都駅前の喧騒と四条の町並みに驚かれることが多々ありますが、これは古都という定まりのない単純な見識で街を理解するためでして、もともと京都はその時々の最先端の都市技術が盛り込まれ続けた日本の現代都市でした。

 先端都市京都、我が国の首都であり、大陸との外交に臨み日本国家統合の拠点であり続けた風格と都市計画、そうでなければ室町の東寺に超高層建築物を築き、東山の清水寺に巨大舞台を広げ、西と東の本願寺にへ巨大な仏殿へ人々を集めることはなかったでしょう。

 日本最先端の街京都、しかし特に自然へ触れたいときに思い出したい風景の一つが永く変わらない鞍馬の山々で、しかし京都なのですから、道中道筋は、ちょっと一休みという寄り木は多々あり、急に肌寒くなれば恰も天候が散策を阻むならば、立ち寄れる場所も多い。

 平安の時代には修険道の聖地とされた鞍馬の話も今は昔、疲れたらば叡山電車に乗ればよいのですし、ね。もっとも、紅葉の時期等この鞍馬へ日本全国は勿論世界から人が集まる時機ですと、正直電車を待つよりも何駅か歩いたほうが、早いのではと思う事も、あります、ね。

北大路機関:はるな くらま
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宇宙戦闘の現実化、中国ロシアの衛星攻撃脅威【後篇】アメリカ宇宙軍の宙権維持構想

2016-12-13 22:04:52 | 先端軍事テクノロジー
■衛星回避から衛星防御へ
 宇宙空間への人類の依存度が年々高まり、人工衛星を防護する必要性は高まり続けています。この中で現在アメリカが取り組んでいるのは、回避から防御へ、その転換です。

 中国の人工衛星には攻撃用のものがあり、具体的には人工衛星をロボットアームで捕捉し軌道外に排除する攻撃用衛星を人工衛星整備用として開発していますし、ロシアは既にアメリカの通信衛星周辺に追尾用衛星を展開、必要ならば通信傍受に留まらず通信衛星の無力化なども技術的に可能な体制を構築しており、キャッチアップの構図があるということ。

 アメリカの宇宙での任務に当たるのは米宇宙軍人員数3万8000名で年間予算は89億ドル、地上監視設備はレーダー施設や電波監視施設に光学監視施設、つまり天体望遠鏡と電波望遠鏡を備えた施設など世界各国に134の拠点を持ち、この3万8000名という規模は我が国海上自衛隊が4万5000名規模であることを踏まえれば規模の大きさが分かるでしょう。

 米宇宙軍3万8000名。この内追跡任務に当たるのは第50宇宙航空団の8000名で、アメリカの衛星へ攻撃可能な不審な経路を飛ぶ衛星へ監視の目を強化している。冷戦時代にはアメリカの偵察衛星とソ連のキラー衛星を相互に警戒し、F-15戦闘機にASAT衛星攻撃ミサイルを搭載し成層圏まで上昇したF-15から投射する等、攻勢運用の準備がありました。

 現在の宇宙監視、情報収集衛星やGPS衛星と早期警戒衛星の内、静止軌道に位置する衛星には地球から遠距離に位置している為、攻撃兆候を把握した場合でも時間的余裕はありますが周回軌道を飛行する情報収集衛星は時間的余裕が少なく、現在のところキラー衛星を迎撃するのではなく、早期に感知し軌道を変更し回避という選択肢が基本となっています。

 アメリカが急いでいるのはキラー衛星を迎撃できる能力の構築です、これは2015年にロバートワーク国防副長官が示したもので、アメリカの人工衛星などへ危害を加える危険な動向があればこれを迎撃する手段の構築が急務だ、としています。事前に察知し回避する、という手段では多数のキラー衛星から逃げ回り任務を果たせない、そして防護する大将の人工衛星も増えている、そこで迎撃を、という。

 この具体的手段として、米軍高官デービッドバック氏が示唆したところによれば、ここ数年間で技術研究の段階から一挙に実用性が現実化しているミサイル迎撃用レーザー兵器を応用する施策を提示しており、海軍は旧式化したオースティン級輸送揚陸艦ポンスへレーザー砲を搭載、宇宙レーザー無人攻撃機転用可能なX37b宇宙無人機の実験が進んでいます。

 言い換えれば、宇宙開発ではアメリカは世界で最も軍事優位性を、冷戦時代の莫大な投資により維持しており、この優位性を活かし、宇宙空間でのアメリカへの攻撃を受けた場合の積極策を構築しようとしているのでしょうか。この分野は今後、緊張が高まる分野でもあり、一方で宇宙空間という基本的に無人の宙域が軍事投資と中ロ軍拡競争の最前線となれば、従来型の小規模紛争には、関与度合いの低下など、一種第二戦線を形成した状況が生じるのかもしれません。

北大路機関:はるな くらま
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防衛省平成二九年度予算概算要求の検証【12】 宇宙空間の警戒とサイバー空間の防衛構築

2016-12-12 21:22:52 | 国際・政治
■宇宙空間とサイバー空間
 防衛省の取り組みとして従来の陸海空に加え、SFのような響きがありますが宇宙空間の防衛やサイバー空間における防衛の取り組みがあります、そこで来年度予算における取組をみてみましょう。

 那覇基地航空祭の最中に宮古島へ中国の戦闘機と爆撃機等の編隊が飛来、緊張が高まる一幕がありましたが、我が国への攻撃脅威は陸海空だけに留まらない。宇宙状況監視に係る取組として14億円が要求されています、これは、“ 米国及び国内関係機関との連携に基づく宇宙状況監視(SSA)に必要となる宇宙監視システムの整備に係る基本設計等”と“SSA関連施設の整備及び運用要領の確立に向けた準備態勢のさらなる強化”とされ、宇宙空間の不審人工衛星動向を監視、特に衝突攻撃などへの対応が主眼です。

 衛星通信の利用には1133億円という大きな費用が要求されており、具体的には“Xバンド防衛通信衛星3号機(スーパーバードC2号機の 後継衛星)の整備、運用、維持管理等”と“ Xバンド通信衛星に対応するための装備品等の改修等”及び“商用通信衛星回線の借り上げ、衛星通信器材の整備・維持等”が盛り込まれ遠隔地での通信を重視しています。

 商用画像衛星及び気象衛星情報の利用には110億円が要求されていまして、“ 画像解析用データの取得(WorldView-4)”と“JAXA陸域観測技術衛星2号(ALOS-2)の利用及び経済産業省が開発した小型地球観測衛星(ASNARO-1)に係る実証研究”及び“超小型地球観測衛星を利用した情報収集の調査研究”が要求、情報収集衛星に加え強化されました。

 サイバー空間における対応は125億円が要求されています、これは自衛隊情報通信へサイバースペースの依存度増大を受け必要なサイバー空間の防衛が必要となりました、サイバースペースは恒常的に攻撃を受ける為、平和憲法施政下にあっても常在戦場という厳しいものとなります、自衛隊は90年代からこの種の能力構築を個々継続的に実施してきました。しかし、先日大規模なサイバー攻撃が大陸から自衛隊に対し実施され、侵入を許しておりこの能力構築は全くの不充分、具体的な対抗基盤を急がねばなりません。

 サイバー関連経費125億円が要求、第一に盛り込まれているのは体制の充実強化で、これは実戦的サイバー演習の実施体制の整備が挙げられまして、指揮統制システムや情報通信ネットワークを想定し実際にサイバー攻撃を加え対処能力を構築する施策です。自衛隊独自では人的にも限界があり、民間企業との協力体制が不可欠の事業ともいえるでしょう。

 ペネトレーションテスト実施体制整備、ペネトレーションテストは実際にシステムへ攻撃を加える事で脆弱性を未然に察知し、指揮統制システムや情報通信ネットワーク等有事の際のサイバー攻撃による攻撃で脆弱性が露呈される未然に防御体制を構築するというものです。これは同時に実戦的なサイバー攻撃能力を構築するものとも言えるかもしれません。

 運用基盤の強化が上記能力構築に依拠して要求されており、作戦システムセキュリティ監視装置の整備、クラウド基盤のセキュリティ監視態勢の整備、以上33億円が要求されました。主として航空自衛隊の作戦システムを想定し、クラウド基盤のセキュリティサービスプログラムの設計や、サイバー攻撃等を迅速に察知し的確に対処する装備を要求します。対処する、という事は必要な措置を採る事を意味するのですが、サイバー攻撃が憲法上禁止される武力行使に含まれるのか、国際法上の解釈に準じるかも未知数の段階、まだまだこれからというのが実情です。

 最新技術研究として、サイバー攻撃等への対処能力を強化するサイバーレジリエンスの研究へ7億円が要求されています、これは実際に被害が生じた場合のダメージコントロールと被害の迅速な復旧を実現する能力です。宇宙空間やサイバー空間という自衛隊創設当時には想定しなかった分野においても防衛力整備は着実に実施されている事が読み取れますね。

北大路機関:はるな くらま
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