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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

平成二十九年度十一月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2017.11.11/11.12)

2017-11-10 20:02:55 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 紅葉の季節、桜は色づき落葉始まり椛は仄かに紅めく、京都では夜間特別拝観が一斉に広まる今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか、今週末の行事紹介です。

 姫路駐屯地創設66周年記念行事、日曜日に執り行われます。第3師団隷下の第3特科隊と第3高射特科大隊が駐屯しており、姫路城から5kmほど離れた姫路市峰南町に所在します。姫路は、警察予備隊特科第63連隊の駐屯地として設置され、この連隊が大隊規模で改編し、第3特科連隊や第10特科連隊と第13特科連隊へ発展した西日本特科部隊創設の地です。

 第3特科隊は4個特科中隊20門のFH-70榴弾砲を装備し、訓練展示では国宝姫路城を望見しつつ、FH-70榴弾砲が迫力ある発砲焔と轟音を空包により轟かせると共に、例年姫路駐屯地の新しい名物となっている第二の模擬戦、午後から行われる姫路レンジャー展示がレンジャーの厳しい訓練と卓越した能力を分りやすい芝居仕立てで展示、目を離せません。

 さて撮影の話題、撮影へ展開する際、どれだけカメラを携行するのか、現在のところ当方は便利ズームというべき18-200mmレンズと28-300mmレンズを携行し、状況に応じ15-85mmも加える、レンズは両方ともEOS-7Dmark2に装着し、使い分けています。しかし、この虎の子が故障する場合を想定し、予備にEOS-KissX7という世界最小一眼レフを携行しています。

 EOS-KissX7は連写速度が遅く、メイン機種には若干心許ないですが予備機には十分以上の性能があります。EOS-KissX7は一眼レフであり、入門機種に位置づけられるKISSシリーズではありますが、CANONの一眼レフとしての必要な性能はほぼ備えており、航空機から戦車まで、護衛艦から潜水艦まで一通り撮影できますが連写速度から発砲焔のみ、撮影が難しい程度です。

 一昔はEOS-40DとEOS-50Dを二台持ちという頃と比べると大分と軽量化された印象ですが、メイン機種に万一のことがあった場合の不安を考えますと、一機種に重点の不安も感じます。一方、大規模な航空祭や観艦式に展示訓練にはあのサンニッパ300mmF2.8ISをEOS-7D共々動員します、重いのですが労力それ以上に間違いなくいい写真が撮れるのですよね。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・11月12日:姫路駐屯地創設66周年記念行事…http://www.mod.go.jp/gsdf/mae/3d/himeji/home.htm

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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【京都発幕間旅情】金生山神社,美濃赤坂探訪と旧蔵王権現宮は古生代ペルム紀地層上に建つ

2017-11-09 20:09:28 | 旅行記
■美濃赤坂金生山の金生山神社
 美濃赤坂、東京と結ぶ東海道本線旧大垣夜行終着駅大垣駅、かつては其の本当の終着駅は美濃赤坂駅で、中世より石材産出地として有名でした。

 金生山神社、赤坂明星輪寺へと金生山を登る道中に在ります神社です、元々は明星輪寺にあった蔵王権現宮が明治時代の神仏分離政策により独立したものです。当時は国家神道を奉じるための政府へ恭順するべく廃仏毀釈という恥じるべき文化財破壊が行われました。

 石灰岩を産出する金生山ですが、ともすればこの山そのものが全て削り取られてしまうのではないかという一瞬危惧にも似た感傷的な印象を受けますが、国が文化財の中でも重要文化財として指定したことで、赤坂明星輪寺の存在により山は守られるのかもしれません。

 金剛蔵王権現を祀る蔵王権現宮、究極不滅の真理を体現する金剛蔵王権現は釈迦如来と千手観音と弥勒菩薩が三位一体となり木々や山々と水や空気は勿論天地をも巡る力の源を司るとのことで役小角が吉野金峯山にて修験道を極めるべく修行中に降臨したと伝わります。

 社殿などは木造建築ではなくコンクリート構造となっていまして、拝観しますと山の中腹と山道に位置する神社の管理というものが難しいという事を考えさせられるものですが、併せて金生山化石館として金生山から産出の化石等が展示されていまして観光地でもある。

 ペルム紀、即ち古生代という恐竜が生きた中生代よりもひとつ前の時代地層が金生山には地表近くに位置しています。このペルル紀は中生代と古生代の境界線に当たる転換点で、このペルム紀末期の大変動により地球は一転し大量絶滅期を迎えたと地質学は語ります。

 ゴンドワナ大陸とパンゲア大陸がマントル対流と共に一体化し、シベリア大陸も衝突、内側へ内側へマントルに導かれて動いた結果、世界の大陸が一体化して中心部に逃げ場のない大陸地塊の凝集現象が起こり、更にその大陸地塊が膨大な圧力で押され、破綻しました。

 大量絶滅期とは、大陸同士の衝突により巨大な大陸地塊がマントルに落下、これがマントルの裂け目を生み、現在のシベリア平原に我が国本州島と同規模の巨大火口を穿ち、地球誕生以来最大の火山活動を引き起こしました、スーパープルームという巨大噴火発生です。

 P-T境界といいまして、大量の火山ガスは太陽を覆い氷河期を生むまでの短期間に高温ガスが地表を包み、急激な温暖化は海底メタンハイドレートの暴沸を誘発、地表温度は木材発火点摂氏250度以上まで上昇、その後氷河期が訪れ全地球氷結という大打撃となりました。

 釈迦如来と千手観音と弥勒菩薩が三位一体となり金剛蔵王権現を象ったと伝わりますが、P-T境界という大量絶滅期以前の様々な生物の化石が大理石や石灰石と共に産出されるこの金生山の中腹に金剛蔵王権現が祀られている、といいますと、何か納得するものがある。

 95%の生物が死滅し、これを境界線として両生類が勢力を弱め一億年後の恐竜時代へ転換した境界線となる事からP-T境界と呼ばれます。白亜紀末期恐竜絶滅の要因となった巨大隕石によるK-Pg境界よりも生物への被害は遥かに大きく、金生山化石館にはその化石が並ぶ。

 赤坂明星輪寺へは、その更に上の山頂を目指すのですが、まっすぐ舗装道路が山頂に向け続いている情景はある種壮観です、しかし、勾配が大きく転倒しそうな恐怖感があり、登山装備ならばいざ知らず、カメラバックを担いでの散策には非日常を感じる急斜面でした。

 俯瞰風景は、右手に岐阜城と名古屋市街地を望見しつつ左手に関ヶ原地峡を望む眺望は初めてで、これは素晴らしい。しかし急斜面故夜間車両通行禁止となり、途中ある茶店は残念ながら閉店、散策には難易度がありますが、山頂は自販機もあり眺望を堪能できました。

北大路機関:はるな くらま
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陸上防衛作戦部隊論(第六三回):装甲機動旅団再検討日本版機甲支隊、新作戦単位の研究

2017-11-08 20:15:12 | 防衛・安全保障
■装甲機動旅団構想の再検討
 前回の“陸上防衛作戦部隊論航空機動旅団、戦車とは根本的に異なる機動戦闘車の運用”から、一旦航空機動旅団案の展開をお休みし、傍論、装甲機動旅団の再論へ。

 陸上自衛隊は強くならねばなりません、専守防衛である我が国は自衛権先制行使という選択肢を持ちません、有事とは最初に攻撃を受け、最初の大規模攻撃を受けてからの立て直しに時間を要すれば、本土に着上陸されます。専守防衛は戦争防止の美徳として平和志向のわが国民の多くから支持を得ていますが、その結末は沖縄戦やサイパン戦のような国民を巻き添えにしての本土決戦です。

 しかし、我が国防衛力整備は財政難により防衛費を増額できないまま、北朝鮮弾道ミサイル実験を受けての1990年代末からの弾道ミサイル防衛、北朝鮮武装工作員浸透脅威を受けてのゲリラコマンドー対処、2000年代からの中国軍拡を受けての島嶼部防衛強化、2010年代の中国軍の急激な南西諸島周辺での行動を受けての防空再建と、陸上防衛の優先度が低く推移してきました。

 陸上防衛作戦部隊論、という本特集は、陸上自衛隊への優先度低下や任務多様化を前に、人員を更に現行人員以下まで縮小し、且つ戦車を冷戦時代の1100両から300両まで削減された現在において、雑多な編成が混在する現在の作戦部隊“師団旅団”編成を“広域師団”という統一化された大型の師団を少数編成し、日本本土が戦場であれば世界最強の部隊を編成する、という視点から部隊編制論を提示したもの。

 本特集の装甲機動旅団案は完結しましたが、続く航空機動旅団特集の前、昨年までに様々な検証を行いました装甲機動旅団の運用方法論について、新年旅行としまして九州へ展開した際に一つの文章としてまとめました。装甲機動旅団という、既に確立した自衛隊旅団編制を原型として戦車300両時代へ対応する部隊編制案を紹介しましたが、より踏み込んだ運用について短期集中掲載します。

 装甲機動旅団に関する幾つかの考察について。航空機動旅団という軽装備の普通科部隊主体の旅団に対して現在の方面隊が有する方面航空隊を配属し機動運用に充てるとの提案と併せ、戦車部隊、そして戦車の削減による攻撃衝力持続性の補完に充てる装甲戦闘車を基幹とする北部方面隊型旅団を併せ、機動力重視旅団と打撃力重視旅団とで師団を編成する。

 この師団を広域師団、とする施策を提示してきました。機動打撃力の骨幹部隊である第7師団以外、全国の師団と旅団を一旦、機動力重視の航空機動旅団と打撃力重視の装甲機動旅団へ改編し、現在進む統合機動防衛力整備として重装備を北海道に偏重させ、有事の際に防衛正面への戦力偏重と抑止力不均衡を生む可能性を払拭する事が主眼という施策です。

 元々、広域師団構想という提示は統合機動防衛力整備への欠缺を指摘すると共に、海空防衛力重視や弾道ミサイル防衛力整備等、新しい防衛正面への転換に対応するべく、政治が求めた戦車300両体制への縮小と、持続的な防衛力整備、陸上防衛体制における機動打撃力の維持という難題を両立させ、陸上防衛力を10万名規模とする視点から提示しました。

 航空機動旅団については、現在編成案を提示していますが、方面航空隊隷下に配置される多用途ヘリコプター20機を定数とする方面ヘリコプター隊、対戦車ヘリコプター16機を定数とする対戦車ヘリコプター隊、現在後継機選定の難航により定数割れ問題はありますが、空中機動力と航空打撃力は相当規模のもので、航空重視の陸上自衛隊に相応しい試案です。

 今回提示するものは、様々な再検討と運用研究、図上演習等を経て、装甲機動旅団の機械化大隊編成には、もう少し広い視点と運用の柔軟性を付与する事が出来るかもしれない、というもので、装甲機動旅団の防御における機械化部隊が有する運用の制約と、陸上自衛隊が我が国土の地形に合致させた地形防御運用体系との整合性を踏み込んで討議しました。

 機械化大隊、これは旅団普通科連隊隷下の3個普通科中隊を2個の装甲戦闘車化中隊を配置し、1個普通科中隊を既存の軽装甲機動車の転用により、機械化され装甲化された普通科連隊を編成する、というものでした。装甲戦闘車としては最低限敵装甲車を破壊できる25mm程度の小口径機関砲を搭載し、対戦車戦闘は下車展開と戦車火力へ依存するという。

 最小限度の性能、とはいえ、装甲戦闘車の調達費用は決して低いものではなく、戦車を300両まで縮小するという厳しい状況下において機動打撃力を維持するという取捨選択下残った数少ない施策に装甲戦闘車を提示したものでした、25mm機関砲は戦闘照準900mから最大1500m、機甲科部隊としての整備や運用と共通性があり、戦車よりは汎用性も高いもの。

 装甲戦闘車2個中隊に戦車中隊を加える事で、機械化大隊を編成する事が可能、という試案が、広域師団装甲機動旅団編成案の骨子となっています。既存普通科連隊からの改編に際し重迫撃砲中隊と対戦車中隊が残りますが、対戦車中隊は自走化されていますので、軽装甲機動車中隊と共に機動運用、軽快性を活かし捜索大隊を編成する事が可能となります。

 しかし、戦車中隊を一個そのまま運用するという方法論、普通科連隊に機械化大隊と捜索大隊を置く、という編成の他に戦車中隊を小隊規模で分散し、普通科中隊と戦車中隊という揃う中隊長の能力を最大限活かす、小隊規模で部隊を混成する中隊戦闘群という方式を採る事で、連隊戦闘団の防衛正面に新しい幅を持たせる事が可能となるかもしれません。

北大路機関:はるな くらま
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安倍トランプ日米首脳会談,安保問題認識一致と貿易赤字相殺へF-35等米製装備調達増進要望

2017-11-07 20:17:20 | 国際・政治
■自衛隊が進める米製装備導入
 トランプ大統領アジア歴訪最初の訪問国である我が国を実り多い首脳外交を経て本日、次の訪問国である韓国へと出発しました。

 日米首脳会談が昨日行われ、安倍総理大臣とトランプ大統領は北朝鮮問題や海洋自由原則等で一致した行動指針を確認しました。一方、トランプ大統領は日米貿易問題について言及し、日本に突き付けられた安全保障上の危機を克服するには、世界最高のF-35のような装備が必要であるとし、アメリカからの更なる防衛装備品の調達を要望として示しました。

 アメリカは武器購入を希望しました、しかし、実は必要な装備と現在調達中の装備は多いのです。実は自衛隊には陸海空併せ、後継装備を喫緊に必要としている航空機が多種多様に並んでいます。これは、1998年の北朝鮮弾道ミサイル実験を受け整備開始となった弾道ミサイル防衛や島嶼部防衛へ多くの予算を割かれ、後継機選定の目途が立たない為のもの。

 AH-64E戦闘ヘリコプターかAH-1Z攻撃ヘリコプター、90機が調達のAH-1S対戦車ヘリコプター後継機です。航空打撃力として整備され、冷戦期にはソ連軍北海道上陸へ備え重視されていましたが、今日でも広大な南西諸島防衛に必須の装備です。後継はAH-64Dに一旦決まったものの、ミサイル防衛に予算を執られ調達計画が中断、宙に浮いたままです。

 MQ-8無人観測ヘリコプター、旧式化とともに急速に総数が縮小するOH-6D観測ヘリコプター後継機です。着弾観測から軽輸送に連絡任務と師団飛行隊や方面航空隊定数を満たすには150機程度が必要です。後継機に国産のOH-1が開発されましたが、予算不足で当初の250機調達計画は33機で中断、観測ヘリコプターは定数割れのまま自然減が続いている。

 CH-47F重輸送ヘリコプター、現在陸上自衛隊においてライセンス生産機の取得が進められている新型機、ボーイング社製、人員55名や重貨物を空輸できる。現在保有するCH-47J/JAの後継機で陸空自衛隊合せ約80機を装備しています。極めて高価な機体で、アメリカ陸軍に続く第二の保有国となっており、今後も順調にF型へ置き換えが進んでゆく事でしょう。

 MV-22可動翼機、南西諸島防衛に当たる水陸機動団の緊急展開用に17機が取得されます。既に日本用新造機は飛行試験中です。長大な行動半径と回転翼機の常識を超える巡航速度を有していますが、複雑な機構を有する為にF-35戦闘機並の高い取得費用を要し、アメリカ海兵隊、アメリカ空軍に続く陸上自衛隊の配備で、海外輸出は我が国が世界初となる。

 F-35B艦上固定翼哨戒機、具体的な進展はありませんが、海上自衛隊がヘリコプター搭載護衛艦を全通飛行甲板型構造とした背景には、固定翼航空機の艦上運用を大きく意識していると断言できます。F-35Bは第五世代戦闘機ですが先進情報機材を集成し、従来哨戒ヘリコプターが担った対水上索敵等を可能とし、ステルス性により敵防空中枢艦勢力下においても任務遂行可能な機種です。

 E-2D早期警戒機、現在航空自衛隊はE-2C早期警戒機とE-767早期警戒管制機を運用していますが、早期警戒機増強事業を進めています。E-2Dは現在調達中で、中国軍航空機の九州沖縄及び西日本沖での行動が爆発的に増大している事を受けての施策です。運用開始から35年を経たE-2Cの老朽化も進んでおり、その後継機としてE-2Dは更に増強されます。

 KC-46A空中給油輸送機、航空自衛隊が旧式化したC-46輸送機の後継として、ではなく、KC-767空中給油輸送機の増強として導入するもの。ボーイング767旅客機を原型とするもので、KC-767の発展型といえる航空機です。航空自衛隊は年々増強される中国空軍へ限られた戦闘機での対応を期して、飛行時間を延ばすべく空中給油機の増強を決定しました。

 RQ-4無人偵察機、大型の滞空型無人偵察機で現在導入中です。自衛隊は戦闘機派生型のRF-4戦術偵察機等を運用していますが、海洋監視任務等の長時間任務には有人機では限界があり、当面3機を目処に調達計画を推進中です。飛行時間は実に37時間に達し、高精度先進複合監視装置は100km以遠から艦船動向や陸上施設を継続的に監視可能というもの。

 F-35A戦闘機の導入も進んでいます。今年度末にはF-35飛行隊準備隊が三沢基地へ新編され、来年度には百里基地からの飛行隊移転を以てF-35最初の飛行隊が創設されるほか、当面は2個飛行隊分の取得が進められていますが、F-15戦闘機初期型の機体も老朽化が進んでおり、ほぼ確実にF-35戦闘機が後継機となる見通しである為、取得数は更に増加する。

 政府専用機B-747の後継機としてボーイング777も飛行試験が進められており、アメリカから調達計画が進む航空機と、将来にわたり必要となる航空機は実は多種多様となっています。この他、航空機以外にも弾道ミサイル防衛に必須のイージスシステムの取得は、陸上型イージスシステム“イージスアショア”や8200t型ミサイル護衛艦等の建造を進めています。

北大路機関:はるな くらま
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サウジアラビア首都リヤド近郊へイエメン武装勢力が弾道弾攻撃,シャハブ3発射の可能性

2017-11-06 20:12:08 | 国際・政治
■問われる拡散防止措置PSI機能
 サウジアラビアの首都リヤド近郊へ弾道ミサイルが撃ち込まれ、ペトリオットで迎撃するという緊急事態が一昨日四日に発生しました。

 イエメン内戦のフーシ派武装勢力がサウジアラビアの首都リヤド近郊へミサイル攻撃を実施しました、フーシ派系テレビチャンネル“アルマシラ”が発表したところによれば、フーシ派武装勢力はキングハリド国際空港を目標としてミサイル攻撃実施を発表、イエメン領内から発射のミサイルは1200km離れたリヤド近郊キングハリド国際空港へ到達した。

 キングハリド国際空港は米軍基地として過去に使用されていたキングハリド軍事施設を利用した国際空港です。サウジアラビア当局によればサウジアラビア防空軍がペトリオットミサイル、航空自衛隊もミサイル防衛に運用しているペトリオット、により迎撃を行い撃墜したとのこと。AFP通信は現地情報として、ミサイル破片が落下した地域の一部は今なおサウジアラビア軍警備車両により封鎖されているとのこと。

 サウジアラビアを攻撃したミサイルは1200kmもの長距離を飛行しました、准中距離弾道弾に当り、これだけの射程のミサイルはそう簡単に開発も入手も出来ません。この射程は北朝鮮のノドンミサイルの射程1300kmに迫るものです。この准中距離弾道弾の入手経路ですが、どこから入ったのでしょうか。イエメンでは国産していません。可能性として高いのは、フーシ派武装勢力はイランからの軍事支援を受けており、イランからイエメンへ供給された弾道ミサイルという可能性です。

 イランは准中距離弾道弾シャハブ3を保有していますが、最大射程は1700km、イラン当局によればシャハブ3の最大射程は2200kmを越え、イラン本土からイスラエルに届くとしています。サウジアラビア当局が協調するミサイル迎撃成功ですが、どの程度弾頭を無力化出来たかに注視すると共に、イエメンとの外交関係上、イランが輸出した可能性が極めて高く、准中距離弾道弾拡散という事実を突き付けられました。この問題、弾道ミサイルにより恫喝され、イージス艦やペトリオット部隊を全国へ配置する我が国は第三者ではありません。

 シャハブ3は、ミサイル発射映像などからイラン独自開発の物ではなく、全体形状に加え燃焼装置や安定翼形状から北朝鮮より提供のノドンミサイルの技術が応用されているとみられ、実際、イランと北朝鮮では防衛協力が行われています。この他、パキスタンが運用するガウリ弾道ミサイルについても、ノドンとの共通部分が多く、関連が指摘されています。北朝鮮は弾道ミサイルを重要輸出商品とし、弾道ミサイル技術の第三国移転が現実化している事が明白となりました。

 実際2002年にはイエメン沖で北朝鮮船籍の貨物船ソサン号がスペイン海軍フリゲイトにより追跡され、停戦命令に応じなかったことから艦砲及び対物狙撃銃による威嚇射撃と船体射撃を実施、臨検した結果船倉からスカッドミサイル15発とロケット燃料が入った容器 23 個、不明化学物質 85 樽が押収された実例があり、弾道ミサイル拡散は現実の問題です。

 PSI,拡散防止イニチアチヴ、としてアメリカとNATOや日本を含む友好国は大量兵器拡散防止枠組を2002年に締結し、海上阻止行動としての臨検や税関での大量破壊兵器やその原料と運搬手段の拡散防止への国際協力を実施中です。イラン重水炉関連輸送、北朝鮮発中東向けスカッドミサイル移転、北朝鮮シリア用弾道ミサイル運搬阻止等実績を挙げました。

 核の闇市場、としてPSI締結当時は核関連技術者の解雇による第三国への核関連技術流出等が真剣な問題として討議されていた時代であり、併せて2001年同時多発テロ以降の大量破壊兵器拡散脅威論への処方箋として、PSIは大きな意味を持ち、同時に日本を含め、海上阻止行動への自衛隊協力等、多国間の防衛協力へも前進、横須賀でも訓練は行われました。

 PSIは一定の成果を挙げてはいると考えられます、少なくとも制度枠組が無い状態よりは抑止効果はある。しかし、今回、第三国から准中距離弾道弾が移転し、他国攻撃へ実際に発車された現状を見ますと、PSI枠組みを強化するとともに、多国間連携と臨検などの措置を強化する国際法上の法的根拠等の面で、まだまだ課題がある事を突き付けているようです。

北大路機関:はるな くらま
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トランプ大統領初来日,"日米両軍協力関係かつてないほど強い"横田到着後に日米将兵へ演説

2017-11-05 20:03:29 | 国際・政治
■トランプ大統領アジア歴訪
 アメリカのトランプ大統領は本日1038時頃、アジア歴訪最初の訪問国である我が国に到着しました。

 現職アメリカ大統領で日本初訪問の際に日米共用基地へ降り、米軍兵士と共に自衛官を前に演説した大統領はトランプ大統領が初めてでしょう。大統領専用機エアフォースワンにて東京の横田基地へ到着しました。外国首脳が東京を表敬訪問する際には羽田空港を利用する事が多い中、エアフォースワンは日米共同基地である横田基地へ着陸、アメリカ四軍の兵士と航空自衛官を前に演説を行いました。

 大統領は演説冒頭で東京横田基地を、私の訪問を開始するにふさわしい場所と称賛、米兵士と同盟国の貢献で平和成り立っている、としたうえで、平和と繁栄のために犠牲になった人たちを追悼したい。アメリカの兵士と同盟国の貢献によって平和は成り立っている。日本はもっともすばらしい成功を収めている国だ、と発言、同盟の重要性を強調しました。

 横田基地にはアメリカ第五空軍司令部、在日米軍司令部が置かれ、西太平洋地域米軍抑止力の指揮中枢というべき重要施設で、航空自衛隊も航空総隊司令部を置き、横田の司令部機能は横須賀基地と並び日米防衛協力の象徴的存在です。トランプ大統領が羽田空港ではなく横田基地から訪日の一歩を進めた背景には厳しい安全保障情勢が考えられるでしょう。

 日本訪問に先立ち、トランプ大統領はハワイの真珠湾にあるアメリカ太平洋軍司令部を視察し、ハリス司令官と会談しました。続いて1941年の真珠湾攻撃により戦没した戦艦アリゾナ追悼施設を訪問、真珠湾攻撃のような本土への奇襲攻撃を再度許してはならないとし、現在、アメリカ本土を狙う北朝鮮核ミサイルへの太平洋軍最新の報告を受けたとされます。

 横田基地での演説では、2000名の日米将兵を前に“私が大統領である限りアメリカは圧倒的な能力と資金を駆使して常に勝利する。いかなる独裁者いかなる体制もアメリカの決意を過小評価してはならない”として、特に核開発と大陸間弾道弾開発を進める北朝鮮を強く牽制しました。トランプ大統領は日本滞在中、拉致被害者との面会も予定しています。

 中国に対しても、“今回のアジア歴訪でインド・太平洋地域の自由で開かれた世界の構築を目指す”として、南シナ海地域における人工島建設により海洋交易の自由を阻害する中国に対しても、アジア歴訪での中国訪問に先立ち、東京から強い言葉を示しました。訪日では通商問題も大きな論点となると考えられ、基盤としての海洋自由を強調した形でしょう。

 安倍総理大臣はトランプ大統領を霞ヶ関カンツリー倶楽部で迎えました。埼玉県川越市の霞ヶ関カンツリー倶楽部は創立90年の歴史を誇り、東京五輪二〇二〇競技会場でもある歴史あるゴルフ場で、昼食会を経て日米首脳恒例となりつつあるゴルフ外交を展開、ゴルフでの交歓を経て大統領は日本での宿泊先である東京千代田区の帝国ホテルへ到着しました。

 日米首脳会談は明日予定されています。日米間での懸案は通商問題で、アメリカの昨年貿易赤字は5022億ドルに達しており、通商関係では日本は対外貿易赤字首位の中国との貿易赤字3470億ドルに次ぐ第二位で、日本との貿易赤字は689億ドルに達しています。一方、対米投資額や米国内生産製造転換に重点を置き、数値外の是正努力が焦点となりましょう。

 安倍総理との首脳関係は良好ですが、アメリカのTPP環太平洋パートナーシップ協定離脱後に求めるFTA日米自由貿易協定締結の可否や、車検制度と自動車税制度を巡る自動車非関税障壁問題、農産物関税問題等の問題については大いに議論の対象となりえるでしょう。防衛協力の増進と共に日米の互恵に資する経済協力青写真を画定する必要も大きいのです。

 通商問題と共に現在最大の懸案は、アメリカ本土へ核攻撃能力を着実に整備する北朝鮮への対応です。トランプ大統領は続く中国訪問に際してもこの点を強く迫るものとみられ、一方北朝鮮では弾道ミサイル実験準備の徴候が衛星写真などで判明しており、B-1爆撃機参加の日米共同訓練強化や、米原子力空母3隻の西太平洋集中により圧力を強めています。この点において日本も当事国である訳ですが、相応の防衛協力等を求められる可能性も大きいでしょう。こうした場合にも、日米の互恵を広い視野から考えてゆくべきでしょう。

北大路機関:はるな くらま
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【くらま】日本DDH物語 《第二九回》はるな型護衛艦と米海軍スプルーアンス級駆逐艦

2017-11-04 20:01:08 | 先端軍事テクノロジー
■日本独自の海上運用装備体系
 くらま、に至るヘリコプター搭載護衛艦、その量産と同時期にアメリカ海軍では新時代の対潜戦闘を担うスプルーアンス級駆逐艦が建造されていました。

 第3次防衛力整備計画のヘリコプター搭載護衛艦はるな型、はるな、ひえい、しらね、くらま、第一世代のヘリコプター搭載護衛艦は艦首に続き51番砲と52番砲を有し、中央部に巨大な上部構造物、しらね型護衛艦しらね、くらま、からはシステム艦としてコンピュータを搭載し、大型の航空機格納庫と艦尾に掛け長大な飛行甲板を配置する構造です。

 はるな型護衛艦建造に際して様々な船型が構想されましたが、その一つ、全通飛行甲板採用案は最初に不採用となりました、基準排水量4700tという規模で艦内格納庫にヘリコプター3機を搭載しますと、船体規模に対し格納庫容積が異常に増大し、重心不均衡と荒天時に転覆の危険性が高まり、昇降機故障時には航空機運用全般が停止する事を危惧してです。

 はるな型護衛艦構想段階のもう一案は艦砲二門の内、51番砲を前甲板に配置し、52番砲を後甲板に配置、その上で上部構造物と飛行甲板を船体中央部に配置する案が検討されました。これは、はるな型護衛艦竣工の1973年より二年後、1975年からアメリカ海軍が31隻を大量建造しましたスプルーアンス級駆逐艦の船体構造と共通するものといえましょう。

 スプルーアンス級駆逐艦は、対潜対水上対空の各種兵装を搭載すると共にSH-2F LAMPSヘリコプター2機を搭載、基準排水量5800t、満載排水量7800tの大型駆逐艦で水上戦闘艦としての静粛性徹底構造、システム艦として海軍戦術情報システムNTDS初搭載、長大な航続距離、将来発展性への構造余裕、ガスタービン推進方式、という設計特色を有します。

 はるな、は1968年度予算にて調達され1970年より建造開始、1973年に自衛艦旗を受領し竣工しました。対してスプルーアンス級の一番艦スプルーアンスは1972年に建造開始、1975年に竣工していますので、日米での技術交流等の事実はありません。しかし、スプルーアンス級駆逐艦の建造計画そのものは1962年のシーホーク計画として着手されました。

 シーホーク計画はアメリカ海軍が運用していた第二次世界大戦中の旧式駆逐艦、FRAM艦隊近代化計画によりレーダーや兵装を最新型としているものの老朽化と基本設計の古さが否めない艦艇を置き換えると共に、余裕ある船体を採用し大量退役が迫る艦砲重視型の大戦型巡洋艦の置き換えも構想していたもので、当初は1969年に一番艦竣工を目指しました。

 スプルーアンス級駆逐艦の建造が当初計画より6年の遅れを以て竣工した背景は、それだけ多種多様な技術を盛り込んだ為ですが、同時期に構想していた海上自衛隊最初のヘリコプター搭載護衛艦、偶然にも構想した船体構造の一つにスプルーアンス級駆逐艦の51番砲を前甲板に配置し飛行甲板を含む上部構造物を中央、艦尾に52番砲と共通していたのです。

 船体中央部に飛行甲板と航空機格納庫を配置する利点は、船体中央部から海上の波浪に動揺する船体は軸線を船体中央部に併せ規則的に動き、荒天時もそれ程飛行甲板が揺れないという特性があります。これは、1982年に一番艦が竣工した護衛艦はつゆき型の設計で採用され、はつゆき型護衛艦の飛行甲板は広くは無いものの、発着は容易であったとのこと。

 しかし、はるな型護衛艦は最終的に飛行甲板を船体後部へ配置する構造を採用しました。船体中央部へ飛行甲板を配置する場合、その全長が制作される事となるのです。更に、飛行甲板を最大長確保した場合には発着時に艦尾の52番砲がヘリコプター発着を阻害し、ヘリコプター運用を第一とする場合は飛行甲板を後部甲板全体に配置する案が理想的でした。

北大路機関:はるな くらま
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航空防衛作戦部隊論(第五一回):総集編航空防衛力、専守防衛開戦即本土決戦と航空優勢

2017-11-03 20:01:21 | 防衛・安全保障
■総集編航空防衛力280機
 前回に続き総集編の後篇となります、専守防衛開戦即本土決戦と航空優勢について。

 戦闘機280機、という限られた現在の防衛計画の大綱水準の中で、自衛隊が強大な中国空軍や最高著しいロシア空軍の軍事圧力に対抗するには、作戦機の質的向上や多用途機の中での早期警戒機の強化、輸送機の大型化、また防衛大綱に明示されていない基地機能等の拡充を行う事で、ある程度の質的な意味での防衛力の強化を抑止力維持が可能でしょう。

 戦闘機280機での防空作戦を実施するとした場合、どうしても必要なのは空輸能力です。戦闘機部隊基地へ輸送機での兵站連絡線を維持しなければ防空作戦は維持できません。C-1輸送機は8tの物資を輸送しますが、F-15Jは空虚重量12973kgで最大離陸重量30845kg、F-2支援戦闘機の空虚重量は9527kgで最大離陸重量は22100kg、戦闘機の消費量は大きい。

 現在の輸送機の定数はC-130やC-1という輸送機の他に、CH-47等を含めた作戦機の定数で示されており、輸送機の定義を変更させる事で、防衛大綱の定数上限内での輸送機増強は可能です。そこで、小牧基地、入間基地、美保基地、に展開する三個飛行隊に加えまして、もう一個、千歳基地か松島基地若しくは日米共同運用の横田基地に飛行隊が必要だ。

 輸送機四個飛行隊を確保出来たならば、北部航空方面隊や中部航空方面隊に西部航空方面隊と南西航空方面隊と航空方面隊の数と同数の輸送航空隊を確保する事が出来ます。輸送航空隊は15機程度を定数としていますが、この編成を米空軍横田基地の第374輸送飛行隊の様に輸送機定数を各飛行隊で20機とし、全80機程度の輸送機を確保できれば望ましい。

 早期警戒機などの増勢はE-2D早期警戒機の増勢を行うと共にE-767早期警戒管制機の近代化改修継続的実施により担保されていますが、重ねて空中給油輸送機の増強など、作戦機全般の数的充実を継続的に実施しています。戦闘機を純粋に増強させるという選択肢は確かに防空能力を強化しますが、制空戦闘はシステム化され、戦闘機だけではありません。

 基地機能を強化する、という施策も防衛計画の大綱に示されない防空能力強化に繋がります。戦闘機を地上で撃破されない体制を構築する、滑走路を破壊されても迅速に復旧できる体制を構築する、レーダーサイトの機能を維持するための施策、全て防衛大綱には基地機能を充実させる事で制約はありません。大綱の枠内ではこうした視点もあり得るのです。

 基地機能の維持、重要となるのは防爆施設を可能な限り建設すると共に可能ならば地下化工事を推進する事でしょう。重ねて、戦闘機をミサイル攻撃などから防護できる設備の建設、例えば強化型掩体として航空機及び施設群を防備する施策でも対応可能です。敷地上難しいのであれば、有事の際に可搬式航空格納庫へ一機一機を離隔配置する選択肢もある。

 その上で同盟国アメリカからの有事の際のミサイル等戦闘関連物資の緊急調達を行い、継戦能力を確保する、この為に長距離空輸能力を持つC-2輸送機や、航空貨物輸送の集約施設を、例えば成田空港や関西国際空港等に配置し、大量に消費される様々な物資を緊急調達し、戦略航空輸送拠点において管理する、という施策も防空能力を強化できるでしょう。

 ただ、これらの施策には現在の武力攻撃事態法では限界がある部分が多く、空港施設全般の応急掩体建築には航空自衛隊方面施設隊や、陸空作戦協定に基づく陸上自衛隊方面施設団の協力支援だけでは対応できる限度を超えています。平和憲法に基づく専守防衛を国是とする以上、開戦即本土決戦、当然、この現実に対応する新法整備が不可欠となります。

北大路機関:はるな くらま
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平成二十九年度十一月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2017.11.03/11.04/11.05)

2017-11-02 20:06:34 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 木曜日ですが明日は文化の日ということで、毎週の行事紹介よりも一日早く紹介です。

 入間基地航空祭2017、毎年11月3日文化の日は入間基地航空祭の日です。C-1輸送機編隊飛行が名高い、入間基地航空祭は西武線で都心から程近く、日本一混雑する航空祭として知られていて、別名人間基地航空祭、コミケか入間か、と呼ばれるほど。この文化の日が土曜日日曜日と重なりますと入場者は30万を越え、時機を逃すと帰路駅まで三時間かかる。

 中部航空方面隊司令部が置かれ首都圏と京阪神地区を含む本州四国全域の防空を担う司令部であり、基地内に西武池袋線稲荷山駅がある好立地、第1高射群ペトリオットミサイル部隊は東京を弾道弾攻撃から守る最後の砦です。C-1輸送機輸送航空隊と航空総隊司令部飛行隊や飛行点検隊等が展開し、YS-11派生型電子測定機や飛行点検機等も配置されています。

 航空学校創設65周年明野駐屯地祭、三重県伊勢市に位置する航空学校明野本校の創設記念行事です。航空学校は陸上自衛隊航空科要員の幹部教育及び戦術研究、新装備評価試験に加え操縦要員整備要員養成を一手に担う教育機関で、霞ヶ浦と北宇都宮に分校を持つ。加えて中部方面航空隊第5対戦車ヘリコプター隊、第10師団隷下の第10飛行隊も駐屯する。

 明野航空祭2017という位置づけの明野駐屯地祭は、最盛期30機以上のヘリコプター大編隊による祝賀飛行が最大の展示で、AH-64D戦闘ヘリコプター、UH-60JA多用途ヘリコプター、CH-47JA輸送ヘリコプター始め各種航空機が編隊飛行を披露すると共に、本年度航空祭は久しく飛行停止状態にあったOH-1観測ヘリコプター点検飛行も実施するとのこと。

 施設学校創設66周年勝田駐屯地祭、茨城県ひたちなか市に駐屯する陸上自衛隊の駐屯地で、東京上野ライン常磐線勝田行きで一本の立地にあります。施設学校は陸上自衛隊施設科要員の幹部教育及び戦術研究、新装備評価試験を一手に担う教育機関で装甲ドーザや地雷原処理装置等戦闘工兵装備から架橋装備に舗装器材と建設工兵装備まで一通り揃っています。

 桂駐屯地創設63周年記念行事、京都市内唯一の自衛隊駐屯地で中部方面後方支援隊の置かれる桂駐屯地の創設63周年記念行事です。方面隊直轄部隊の後方支援を一手に担う後方支援隊として全国に先駆け編成された中部方面後方支援隊は今年度、即応予備自衛官主体の大隊及び中隊の新編という増強改編を実施し、方面隊の継戦能力を大幅に強化しました。

 第13旅団創設18周年海田市駐屯地祭は残念ながら中止となりました、旅団祭は関係者のみで駐屯地体育館にて行われるとのこと。海田市駐屯地は現在、北朝鮮が予告するグアム方面への火星12型弾道ミサイル発射予告を受け、特に山陽山陰四国上空を飛翔すると宣言し、駐屯地祭会場となるグラウンドがPAC-3部隊展開中で使用出来ず一般開放は中止です。

 松山駐屯地創設62周年記念行事も駐屯地にミサイル迎撃部隊が展開している為、今年度の一般公開を中止しました,来年度五月以降に実施予定とのこと。今年度末に松山第14特科隊は廃止改編が予定され、第15即応機動連隊火力支援中隊と第50普通科連隊重迫撃砲中隊へ転換するとされ、新年度からは善通寺より移駐の第110教育大隊の駐屯地となります。節目の年度だけに残念でなりません。

 さて撮影の話題、撮影へ展開する場合にカメラはどれだけ準備すればいいか、これは予備という視点から大きな課題の一つです。便利ズームレンズという18-200mmレンズが各社から発売されて十余年、こののちレンズメーカーより18-250mmレンズと18-270mmレンズが発売され、カメラメーカーからも18-300mmというひと昔では考えられないレンズが発売されました。

 レンズメーカーの挑戦は続き、現在は18-400mmという焦点距離だけからみるのならば一本あれば航空祭へも通用しそうなレンズが発売されています。ただ、便利ズームの多くは、幸い当方のものは例外のようですが、望遠端ピントが甘く中望遠領域を主体とした設計であり、さすがに400mmあるからと航空祭にカメラ一台レンズ一本では対応できないもよう。

 そこで一昔は望遠ズーム用のカメラ一台と標準ズーム用のカメラ一台という二台体制にコンパクト機種を予備として携行し対応していました。しかし、白レンズという人工蛍石レンズに28ー300mmというものがあり、この使い勝手が非常によく一台のカメラで対応できる部分が大きくなりました。一方、一台故障したら全滅という不安も拭えないものです。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・11月05日:施設学校創設66周年勝田駐屯地祭…http://www.mod.go.jp/gsdf/eae/
・11月03日:入間基地航空祭2017…http://www.mod.go.jp/asdf/iruma/
・11月04日:航空学校創設65周年明野駐屯地祭…http://www.mod.go.jp/gsdf/akeno/
・11月05日:桂駐屯地創設63周年記念行事…http://www.mod.go.jp/gsdf/mae/3d/katsura/
・11月04日:第13旅団創設18周年海田市駐屯地祭(中止)…http://www.mod.go.jp/gsdf/mae/13b/
・11月05日:松山駐屯地創設62周年記念行事(中止)…http://www.mod.go.jp/gsdf/mae/matsuyamasta/

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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日本版海兵隊"水陸機動団"沖縄配備計画!新編第3水陸機動連隊,キャンプハンセンへ展開報道

2017-11-01 20:15:07 | 防衛・安全保障
■水陸機動団,米軍グアム移転後
 本日付の朝日新聞報道によれば、日本版海兵隊として今年度末に佐世保に新編される水陸機動団、その一部部隊がアメリカ海兵隊グアム移転後の抑止力空白を補うべく沖縄に配置されることとなりました。

 沖縄県と鹿児島県島嶼部へ中国による軍事圧力が年々高まり、中国軍機接近異常増大や海軍艦艇の大量接近、公船の領海侵犯恒常化と西日本へのミサイル爆撃機飛行等その影響が顕著となる中、政府は九州沖縄への防衛力強化を急ぎ、水陸機動団新編、石垣島と奄美大島へのミサイル部隊を進めていますが、新たに沖縄本島への部隊配置方針が示されました。

 南西諸島島嶼部防衛を主眼に陸上自衛隊は今年度末の2018年3月、佐世保の相浦駐屯地に水陸機動団を新編します。水陸機動団司令部は相浦駐屯地に置かれ、九州を中心に南西諸島防衛の能力を強化しますが、今回新たに2020年度以降を目処に新たに沖縄県沖縄本島へも水陸機動団隷下部隊新編部隊を配置する方針がある、朝日新聞報道により判明しました。

 佐世保市は海上自衛隊佐世保基地に九州南西諸島を防衛警備管区とする佐世保地方総監部を置き、ヘリコプター搭載護衛艦いせ、始め護衛艦隊隷下の護衛艦部隊である第2護衛隊群等の母港、加えてアメリカ海軍両用艦部隊が前方展開しており、強襲揚陸艦やドック型揚陸艦と輸送揚陸艦、そしてエアクッション揚陸艇LCAC整備施設等が配置されています。

 沖縄本島への水陸機動団隷下部隊新編部隊配置は、沖縄県金武町のアメリカ海兵隊キャンプハンセンを日米共用とし、駐屯するとみられています。この施策は、2005年の米軍再編日米合意に基づく海兵隊一部のグアム移転に合せ、2020年代前半にも4000名程度の部隊が沖縄本島を離れる為、キャンプハンセンの収容力に余裕が生じる事からの施策でしょう。

 水陸機動団は現在の相浦駐屯地西部方面普通科連隊を基幹とし、第1水陸機動連隊、第2水陸機動連隊、第3水陸機動連隊、戦闘上陸大隊、偵察中隊、特科大隊、施設中隊、通信中隊、後方支援大隊、以上を基幹とする方針です。年度末に新編の時点では人員2100名を基幹としますが、第3水陸機動連隊等は含まれず、編成完結時は3000名規模の部隊となる。

 第3水陸機動連隊新編が2020年代前半を予定しており、キャンプハンセンへの新編部隊はこの部隊が想定され、水陸機動連隊と共に後方支援大隊より後方支援大隊より水陸機動直接支援中隊等の支援部隊駐屯も想定される事で、800名から900名規模の駐屯が想定されます。沖縄県を防衛警備管区とする第15旅団と共に第3水陸機動連隊が増強されるかたち。

 キャンプハンセンは現在、那覇に司令部を置く第15旅団が隷下部隊の訓練に活用し、既に事実上の日米共用施設となっています。これは従来、那覇に司令部を置く第1混成団が沖縄県内に演習場を持たず、迫撃砲や無反動砲射撃の訓練へ毎回九州の日出生台演習場へ転地演習を強いられ、混成団の旅団改編に合せ戦闘部隊増強時の困難が指摘されていました。

 第15旅団への第1混成団増強改編と共に、旅団へは87式偵察警戒車や軽装甲機動車、120mm重迫撃砲や中距離多目的誘導弾といった装備が配備され、演習場確保が大きな問題となった事で、日米政府間での合意に基づきキャンプハンセンでの自衛隊訓練が可能となった訳です。第3水陸機動連隊新編はこの下地に依拠し、本格的な日米共用を開始します。

 アメリカ海兵隊のグアム移転と共に空白となる防衛力を自衛隊が補う形で、水陸機動団主力はそのまま佐世保に駐屯しますが、一個連隊でも展開する事は多少の意義はあるでしょう。海兵隊の移転規模は人数だけでも水陸機動団と第15旅団の合計よりも多く、抑止力の空白を放置した場合、第二次沖縄戦を誘致する事となりかねず、むしろ前倒しすべきです。

 しかし、同時に人員面と装備充実を忘れてはなりません。統合機動防衛力整備の骨幹事業一つとして進められる水陸機動団新編ですが、一方で陸上自衛隊定員をほぼそのままとして、3000名規模部隊を新編する為、全国の師団旅団と方面隊直轄部隊は人員不足と予算不足により破綻寸前です。西部方面普通科連隊を元に3個水陸機動連隊を新編するのですから、全国の部隊から数人単位で抽出する無理を重る状況だ。

 新編部隊もAAV-7水陸両用車を運用の戦闘上陸大隊は戦車部隊を潰して、偵察中隊も九州の戦車部隊を廃止し余剰人員を抽出、特科大隊新編へ方面特科部隊の重砲部隊を廃止し重迫撃砲部隊へ、施設中隊も方面施設団や九州の師団施設大隊から抽出、通信中隊や後方支援大隊も全国から中抜きし対応している為、中には独立した戦闘が困難な部隊も出ている。

 即応機動連隊として統合機動防衛力整備もう一つの骨幹事業が進められ、来年度より全国の師団と旅団の一部への機械化歩兵部隊新編が予定されていますが、これも装甲車を増強せず装甲部隊のみ増強した為、元々自衛隊に少ない装甲車両を一挙に集中したものとなり、人員増強と装備強化を行わない統合機動防衛力整備は、南西諸島防衛とは別の次元で問題を有しています。

北大路機関:はるな くらま
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