■問われる拡散防止措置PSI機能
サウジアラビアの首都リヤド近郊へ弾道ミサイルが撃ち込まれ、ペトリオットで迎撃するという緊急事態が一昨日四日に発生しました。
イエメン内戦のフーシ派武装勢力がサウジアラビアの首都リヤド近郊へミサイル攻撃を実施しました、フーシ派系テレビチャンネル“アルマシラ”が発表したところによれば、フーシ派武装勢力はキングハリド国際空港を目標としてミサイル攻撃実施を発表、イエメン領内から発射のミサイルは1200km離れたリヤド近郊キングハリド国際空港へ到達した。
キングハリド国際空港は米軍基地として過去に使用されていたキングハリド軍事施設を利用した国際空港です。サウジアラビア当局によればサウジアラビア防空軍がペトリオットミサイル、航空自衛隊もミサイル防衛に運用しているペトリオット、により迎撃を行い撃墜したとのこと。AFP通信は現地情報として、ミサイル破片が落下した地域の一部は今なおサウジアラビア軍警備車両により封鎖されているとのこと。
サウジアラビアを攻撃したミサイルは1200kmもの長距離を飛行しました、准中距離弾道弾に当り、これだけの射程のミサイルはそう簡単に開発も入手も出来ません。この射程は北朝鮮のノドンミサイルの射程1300kmに迫るものです。この准中距離弾道弾の入手経路ですが、どこから入ったのでしょうか。イエメンでは国産していません。可能性として高いのは、フーシ派武装勢力はイランからの軍事支援を受けており、イランからイエメンへ供給された弾道ミサイルという可能性です。
イランは准中距離弾道弾シャハブ3を保有していますが、最大射程は1700km、イラン当局によればシャハブ3の最大射程は2200kmを越え、イラン本土からイスラエルに届くとしています。サウジアラビア当局が協調するミサイル迎撃成功ですが、どの程度弾頭を無力化出来たかに注視すると共に、イエメンとの外交関係上、イランが輸出した可能性が極めて高く、准中距離弾道弾拡散という事実を突き付けられました。この問題、弾道ミサイルにより恫喝され、イージス艦やペトリオット部隊を全国へ配置する我が国は第三者ではありません。
シャハブ3は、ミサイル発射映像などからイラン独自開発の物ではなく、全体形状に加え燃焼装置や安定翼形状から北朝鮮より提供のノドンミサイルの技術が応用されているとみられ、実際、イランと北朝鮮では防衛協力が行われています。この他、パキスタンが運用するガウリ弾道ミサイルについても、ノドンとの共通部分が多く、関連が指摘されています。北朝鮮は弾道ミサイルを重要輸出商品とし、弾道ミサイル技術の第三国移転が現実化している事が明白となりました。
実際2002年にはイエメン沖で北朝鮮船籍の貨物船ソサン号がスペイン海軍フリゲイトにより追跡され、停戦命令に応じなかったことから艦砲及び対物狙撃銃による威嚇射撃と船体射撃を実施、臨検した結果船倉からスカッドミサイル15発とロケット燃料が入った容器 23 個、不明化学物質 85 樽が押収された実例があり、弾道ミサイル拡散は現実の問題です。
PSI,拡散防止イニチアチヴ、としてアメリカとNATOや日本を含む友好国は大量兵器拡散防止枠組を2002年に締結し、海上阻止行動としての臨検や税関での大量破壊兵器やその原料と運搬手段の拡散防止への国際協力を実施中です。イラン重水炉関連輸送、北朝鮮発中東向けスカッドミサイル移転、北朝鮮シリア用弾道ミサイル運搬阻止等実績を挙げました。
核の闇市場、としてPSI締結当時は核関連技術者の解雇による第三国への核関連技術流出等が真剣な問題として討議されていた時代であり、併せて2001年同時多発テロ以降の大量破壊兵器拡散脅威論への処方箋として、PSIは大きな意味を持ち、同時に日本を含め、海上阻止行動への自衛隊協力等、多国間の防衛協力へも前進、横須賀でも訓練は行われました。
PSIは一定の成果を挙げてはいると考えられます、少なくとも制度枠組が無い状態よりは抑止効果はある。しかし、今回、第三国から准中距離弾道弾が移転し、他国攻撃へ実際に発車された現状を見ますと、PSI枠組みを強化するとともに、多国間連携と臨検などの措置を強化する国際法上の法的根拠等の面で、まだまだ課題がある事を突き付けているようです。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
サウジアラビアの首都リヤド近郊へ弾道ミサイルが撃ち込まれ、ペトリオットで迎撃するという緊急事態が一昨日四日に発生しました。
イエメン内戦のフーシ派武装勢力がサウジアラビアの首都リヤド近郊へミサイル攻撃を実施しました、フーシ派系テレビチャンネル“アルマシラ”が発表したところによれば、フーシ派武装勢力はキングハリド国際空港を目標としてミサイル攻撃実施を発表、イエメン領内から発射のミサイルは1200km離れたリヤド近郊キングハリド国際空港へ到達した。
キングハリド国際空港は米軍基地として過去に使用されていたキングハリド軍事施設を利用した国際空港です。サウジアラビア当局によればサウジアラビア防空軍がペトリオットミサイル、航空自衛隊もミサイル防衛に運用しているペトリオット、により迎撃を行い撃墜したとのこと。AFP通信は現地情報として、ミサイル破片が落下した地域の一部は今なおサウジアラビア軍警備車両により封鎖されているとのこと。
サウジアラビアを攻撃したミサイルは1200kmもの長距離を飛行しました、准中距離弾道弾に当り、これだけの射程のミサイルはそう簡単に開発も入手も出来ません。この射程は北朝鮮のノドンミサイルの射程1300kmに迫るものです。この准中距離弾道弾の入手経路ですが、どこから入ったのでしょうか。イエメンでは国産していません。可能性として高いのは、フーシ派武装勢力はイランからの軍事支援を受けており、イランからイエメンへ供給された弾道ミサイルという可能性です。
イランは准中距離弾道弾シャハブ3を保有していますが、最大射程は1700km、イラン当局によればシャハブ3の最大射程は2200kmを越え、イラン本土からイスラエルに届くとしています。サウジアラビア当局が協調するミサイル迎撃成功ですが、どの程度弾頭を無力化出来たかに注視すると共に、イエメンとの外交関係上、イランが輸出した可能性が極めて高く、准中距離弾道弾拡散という事実を突き付けられました。この問題、弾道ミサイルにより恫喝され、イージス艦やペトリオット部隊を全国へ配置する我が国は第三者ではありません。
シャハブ3は、ミサイル発射映像などからイラン独自開発の物ではなく、全体形状に加え燃焼装置や安定翼形状から北朝鮮より提供のノドンミサイルの技術が応用されているとみられ、実際、イランと北朝鮮では防衛協力が行われています。この他、パキスタンが運用するガウリ弾道ミサイルについても、ノドンとの共通部分が多く、関連が指摘されています。北朝鮮は弾道ミサイルを重要輸出商品とし、弾道ミサイル技術の第三国移転が現実化している事が明白となりました。
実際2002年にはイエメン沖で北朝鮮船籍の貨物船ソサン号がスペイン海軍フリゲイトにより追跡され、停戦命令に応じなかったことから艦砲及び対物狙撃銃による威嚇射撃と船体射撃を実施、臨検した結果船倉からスカッドミサイル15発とロケット燃料が入った容器 23 個、不明化学物質 85 樽が押収された実例があり、弾道ミサイル拡散は現実の問題です。
PSI,拡散防止イニチアチヴ、としてアメリカとNATOや日本を含む友好国は大量兵器拡散防止枠組を2002年に締結し、海上阻止行動としての臨検や税関での大量破壊兵器やその原料と運搬手段の拡散防止への国際協力を実施中です。イラン重水炉関連輸送、北朝鮮発中東向けスカッドミサイル移転、北朝鮮シリア用弾道ミサイル運搬阻止等実績を挙げました。
核の闇市場、としてPSI締結当時は核関連技術者の解雇による第三国への核関連技術流出等が真剣な問題として討議されていた時代であり、併せて2001年同時多発テロ以降の大量破壊兵器拡散脅威論への処方箋として、PSIは大きな意味を持ち、同時に日本を含め、海上阻止行動への自衛隊協力等、多国間の防衛協力へも前進、横須賀でも訓練は行われました。
PSIは一定の成果を挙げてはいると考えられます、少なくとも制度枠組が無い状態よりは抑止効果はある。しかし、今回、第三国から准中距離弾道弾が移転し、他国攻撃へ実際に発車された現状を見ますと、PSI枠組みを強化するとともに、多国間連携と臨検などの措置を強化する国際法上の法的根拠等の面で、まだまだ課題がある事を突き付けているようです。
北大路機関:はるな くらま
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