■次期装輪装甲車の課題も
防衛予算二〇一九検証、今回は戦車や火砲などについて、新装備調達も開始されますが課題も残り、その概要を視てみましょう。
戦車火力について、陸上自衛隊の主力である10式戦車は今年度の5両に続き来年度も6両が80億円で要求されます。戦車定数は300両、既に90式戦車300両以上が配備されていますが、初期の90式戦車については電子装備やデータ通信装備の更新こそ行われているものの機動力と駆動系などの老朽化は30年の運用を経て否めず、10式戦車調達が行われる。
16式機動戦闘車も今年度の18両に続いて来年度は22両164が要求されます。第6師団と第11旅団とが即応機動旅団に改編され、また第4師団隷下の第4偵察隊が第4偵察戦闘大隊へ改編される為、今年度末だけでも5個中隊分の16式機動戦闘車が必要となり、戦車大隊廃止を補完する偵察戦闘大隊改編は全国で続くため、まだまだ量産せねばなりません。
89式小銃については今年度1500丁が調達されましたが来年度概算要求に調達はありませんでした、教育訓練部隊への89式小銃配備も開始され実に30年間に迫る小銃の更新が完了したもようです。対人狙撃銃 は今年度の6丁に続き来年度も6丁が0.4億円で要求されています。分隊機銃MINIMIについても要求は無く、軽火器更新は一段落したかたちです。
迫撃砲は60mm迫撃砲Bが今年度 6門と同数の6門が0.2億円で取得、さり気なく対人狙撃銃よりも安価なのですね。81mm迫撃砲 L16は要求されておらず調達終了、120mm迫撃砲 RT は今年度2門に続き来年度に12門が6億円で要求、これは特科火砲の補完位置づけで、水陸機動団新編に伴う所要と即応機動連隊火力支援中隊所要があるためでしょう。
特科火砲については新型装備の導入が開始されます。装輪155mm榴弾砲が新装備として来年度から調達が開始され、特科教導隊所要として7両が48億円で要求、現在まだ正式構え、ドイツMAN社製大型トラックへ先進軽量砲を原型とする先進火砲を搭載した機動性の高い自走榴弾砲です。一方、99式自走155mm榴弾砲について昨年度7両が最後となります。
装輪155mm榴弾砲は本州九州特科部隊に配備される事となりますが、現在九州四国を除く全国の旅団と師団に残る特科隊と特科連隊は順次廃止改編され、新編の方面特科連隊へ統合される事となる予定です。北海道では99式自走155mm榴弾砲が今後も師団旅団特科連隊特科隊の主力となりますが、一部は定数割れとなっており編成縮小の可能性もあります。
96式装輪装甲車は今年度に続き要求されませんでした。これは小松製作所が進めていた装輪装甲車-改の開発失敗を受けての装甲車量産空白期です。それでは自衛隊に装甲車は充分なのかといえば、逆で即応機動連隊が年度末に二つ新編される為、6個中隊分を全国の装甲化普通科中隊から抽出し掻き集めねばなりません、必要な装甲車を帳尻だけ合せるという。
次期装輪装甲車が必要である、とは陸上自衛隊も十分考えているようで、次期装輪装甲車導入候補車種の試験用車両として来年度予算には20億円が要求されています。試験用車両は外国製車輌取得への借用費用か、16式機動戦闘車車体等を応用の国産車両取得費用かは言及されていませんが、導入候補車種試験用車両、という以上は新規開発ではありません。
車両、通信器材、施設器材等の取得は今年度の194億円を大きく超える406億円が要求されています。浄水セット1式1億円やグラップル付油圧ショベル3台1億円、10式雪上車の取得10両3億円、資材運搬車8台0.8億円、07式機動支援橋1式12億円、18式個人用防護装備7500式18億円、また電子妨害装置等など、多種多様な装備が要求されました。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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防衛予算二〇一九検証、今回は戦車や火砲などについて、新装備調達も開始されますが課題も残り、その概要を視てみましょう。
戦車火力について、陸上自衛隊の主力である10式戦車は今年度の5両に続き来年度も6両が80億円で要求されます。戦車定数は300両、既に90式戦車300両以上が配備されていますが、初期の90式戦車については電子装備やデータ通信装備の更新こそ行われているものの機動力と駆動系などの老朽化は30年の運用を経て否めず、10式戦車調達が行われる。
16式機動戦闘車も今年度の18両に続いて来年度は22両164が要求されます。第6師団と第11旅団とが即応機動旅団に改編され、また第4師団隷下の第4偵察隊が第4偵察戦闘大隊へ改編される為、今年度末だけでも5個中隊分の16式機動戦闘車が必要となり、戦車大隊廃止を補完する偵察戦闘大隊改編は全国で続くため、まだまだ量産せねばなりません。
89式小銃については今年度1500丁が調達されましたが来年度概算要求に調達はありませんでした、教育訓練部隊への89式小銃配備も開始され実に30年間に迫る小銃の更新が完了したもようです。対人狙撃銃 は今年度の6丁に続き来年度も6丁が0.4億円で要求されています。分隊機銃MINIMIについても要求は無く、軽火器更新は一段落したかたちです。
迫撃砲は60mm迫撃砲Bが今年度 6門と同数の6門が0.2億円で取得、さり気なく対人狙撃銃よりも安価なのですね。81mm迫撃砲 L16は要求されておらず調達終了、120mm迫撃砲 RT は今年度2門に続き来年度に12門が6億円で要求、これは特科火砲の補完位置づけで、水陸機動団新編に伴う所要と即応機動連隊火力支援中隊所要があるためでしょう。
特科火砲については新型装備の導入が開始されます。装輪155mm榴弾砲が新装備として来年度から調達が開始され、特科教導隊所要として7両が48億円で要求、現在まだ正式構え、ドイツMAN社製大型トラックへ先進軽量砲を原型とする先進火砲を搭載した機動性の高い自走榴弾砲です。一方、99式自走155mm榴弾砲について昨年度7両が最後となります。
装輪155mm榴弾砲は本州九州特科部隊に配備される事となりますが、現在九州四国を除く全国の旅団と師団に残る特科隊と特科連隊は順次廃止改編され、新編の方面特科連隊へ統合される事となる予定です。北海道では99式自走155mm榴弾砲が今後も師団旅団特科連隊特科隊の主力となりますが、一部は定数割れとなっており編成縮小の可能性もあります。
96式装輪装甲車は今年度に続き要求されませんでした。これは小松製作所が進めていた装輪装甲車-改の開発失敗を受けての装甲車量産空白期です。それでは自衛隊に装甲車は充分なのかといえば、逆で即応機動連隊が年度末に二つ新編される為、6個中隊分を全国の装甲化普通科中隊から抽出し掻き集めねばなりません、必要な装甲車を帳尻だけ合せるという。
次期装輪装甲車が必要である、とは陸上自衛隊も十分考えているようで、次期装輪装甲車導入候補車種の試験用車両として来年度予算には20億円が要求されています。試験用車両は外国製車輌取得への借用費用か、16式機動戦闘車車体等を応用の国産車両取得費用かは言及されていませんが、導入候補車種試験用車両、という以上は新規開発ではありません。
車両、通信器材、施設器材等の取得は今年度の194億円を大きく超える406億円が要求されています。浄水セット1式1億円やグラップル付油圧ショベル3台1億円、10式雪上車の取得10両3億円、資材運搬車8台0.8億円、07式機動支援橋1式12億円、18式個人用防護装備7500式18億円、また電子妨害装置等など、多種多様な装備が要求されました。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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