北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】F/A-18EとSu-35シリア上空の緊張とF-35最新情報,KF-Xとラファール躍進

2021-06-21 20:21:06 | インポート
■週報:世界の防衛,最新10論点
 今回は空軍戦闘機関連の様々な情報を10の論点から見てみる事としましょう。

 アメリカ防衛シンクタンクであるランド研究所はアメリカ海軍のF/A-18E/Fスーパーホーネットに関してロシアとのSu-35戦闘機に対する深刻な問題を指摘しました。F/A-18E/Fスーパーホーネットはシリア方面へ派遣されており、同国内戦に対し政府軍を支援するロシア軍との間で幾度か緊張的な状況があり、Su-35戦闘機と対峙する事も数回ありました。

 F/A-18E/Fは2017年、シリア上空において敵対行動を採ったシリア軍Su-22戦闘機を撃墜した際、ロシア軍Su-35の接近を受け、この際に幾度かSu-35がF/A-18E/Fの搭載するFLIR前方赤外線探知装置の感知圏内から幾度か探知不能となり、任務を中断した上でSu-35から回避行動を採ったとしています。これはFLIRの性能上の問題と考えられます。
■仏空軍ラファール12機増強
 防衛産業は維持する努力が無ければ市場原理の中で軌道に載るアで成長できないのですね。

 フランスのフローレンスパルリ国防相は1月29日、フランス空軍に新たに12機のラファール戦闘機を配備させる決定を発表しました。12機のラファールは今後製造開始され2025年までに空軍へ配備させる方針です。フランス政府は2020年に18機のラファール戦闘機をギリシャへ販売しましたが、内12機は無償でフランス空軍の中古機を充てています。

 ラファール戦闘機は2019年の国防計画、LPM2019-2025国防計画法に基づき129機をフランス空軍に維持させる方針ですが、ラファールを製造するダッソー社の見解として、このままフランス空軍だけの需要ではラファールの製造ラインを2025年12月までに閉鎖する可能性を示唆しており、既存のラファールを手放して新造する離れ業を行った構図です。

 フランス空軍は129機というラファール保有の上限がありますが、輸出して減少した定数を補う数は員数外で、ギリシャに無償譲渡という選択肢を選びました。これは一見フランスに得るものが少ないようにも見えるものですが、フランス空軍は初期の旧式化したラファールを手放す事で最新のラファールF3Rを取得でき、製造も維持できる利点があります。
■ギリシャがラファール正式契約
 ラファールはF-2戦闘機と同世代機なのですが順調に改良と進化を続けているようですね。

 ギリシャ政府は2021年1月、フランスとの間でラファール戦闘機18機の調達を24億ユーロで正式契約しました。このラファール戦闘機導入計画は2020年に妥結したもので、6機の新造ラファール戦闘機と12機の中古ラファール戦闘機、これらの機体の最新仕様ラファールF3R仕様への近代化改修と、ラファール用ミサイルの取得費用が含まれています。

 ラファール戦闘機は今回ギリシャに初めて供給される事となりますが、ギリシャ空軍ではフランス製ミラージュ2000戦闘機を運用中で、整備互換性等はある程度あるとしており、MICA中距離空対空ミサイル、AM-39エクゾセ空対艦ミサイル、SCALP巡航ミサイル、最新のMETEOR空対空ミサイルが今回の契約によりギリシャへ供与される事となります。
■インド空軍Su-30完納
 フランカー、インド空軍のSu-30はCOVID-19さえなければ昨年に小松へ訓練展開する計画があったのですが。

 インド空軍は2月、ロシアからのSu-30戦闘機最後の2機を受領し導入計画を完了したとのこと。インド空軍は近代化へSu-30戦闘機272機の導入計画を進めており、これは2004年からロシア製構成部品をインド国内で最終組み立てを行うノックダウン生産によりインド空軍へ納入されていた。最終組立を担っているのはインドの防衛産業、HAL社であった。

 Su-30戦闘機はインド空軍の国産戦闘機開発の遅れなどから重視されており、特に旧式化が目立っていたMiG-21戦闘機を置換えたのがこのSu-30である。インド空軍仕様はSu-30MKIである。また導入された機体の内40機はブラモス超音速巡航ミサイル搭載能力があり、インド空軍の長距離打撃力の一端を担っている。しかし第四世代戦闘機でもある。

 インド空軍は2020年より第4.5世代戦闘機としてフランスよりラファール戦闘機の受領を開始しており、当初は36機の取得計画であるが126機のオプション契約もあり、中国空軍が開発を進める第五世代戦闘機を念頭にインド空軍は第4.5世代以降の戦闘機を重視している。しかしSu-30は使いやすい機体であり、インド空軍は更に12機追加も希望している。
■韓国KF-X初号機発表間近
 F-2戦闘機も育てていればここまで行けたのですが一旦努力を止めますと厳しい。

 韓国防衛事業庁は現在組立が進む次期戦闘機KF-Xについてその試作初号機ロールアウトを今年四月にも実施すると発表した、韓国国内報道がありました。KF-Xはインドネシアとの共同開発が中止されるなどしたため、次期戦闘機KF-Xは初夏までに完成させるとしていた為、今回の防衛事業庁によるロールアウトは数週間予定が早まった事を意味します。

 次期戦闘機KF-Xは第4.5世代戦闘機として開発が進められており、試作機の組み立ては2020年9月に開始されました。この新しい機体は韓国空軍では旧式化が進むF-4戦闘機後継機として開発が進められていたもので2026年には飛行試験を完了し、2028年には40機程度の空軍納入を計画しており、2032年までには80機を納入する計画を立てています。
■アメリカ軍のX-61A無人機
 アメリカはC-130を長距離ミサイル母機にさえする計画を有しているのですけれども。

 アメリカ軍のX-61A無人機はC-130輸送機からのスウォーム戦術用試験を実施したとのことです。これは国防高等研究所DARPAによりユタ州のダグウェイ試験場にて実施されました。X-61A無人機の試験は2020年から実施されており、第一回試験は2020年7月、第二回試験は2020年12月に実施され、二回目の試験では分離に失敗したとされている。

 X-61Aの開発は2016年より本格化、2017年より空中発進や撤収、そしてスウォーム攻撃などの構成技術の研究から部分試作へと展開しています、試験飛行に用いられた機体が2019年より製造が進められていたもの、今回のX-61A試験ではC-130輸送機より展開していますが、実用段階となれば輸送機が居の航空機からも当社が可能となるでしょう。

 スウォーム攻撃とはミツバチなどが蜂群となって攻撃する生態を無人機により再現するもので、人工知能AIにより編隊間隔を自己判断し防空システムへの飽和攻撃等を行うものとされています。スウォーム攻撃は数百単位の無人機が用いられる構想ですが、X-61Aはまだまだ技術実証段階であり、この戦術が実現するのは2030年代半ば以降となるでしょう。
■UAE輸出用F-35の差し止め
 一月の政権交代は幾つかの出来事を残す事となりました。

 アラブ首長国連邦へ輸出予定であったアメリカ製第五世代戦闘機F-35の輸出がアメリカのバイデン新政権により差し止めとなりました。F-35の輸出はトランプ政権が認可したもので既に有償軍事供与負担に基づくアラブ首長国連邦の支払いは完了しています。トランプ政権はアラブ首長国連邦とイスラエルとの国交正常化を背景にF-35輸出を許可しました。

 F-35戦闘機の輸出停止はウォールストリートジャーナルが1月26日に報じたもので、アメリカ国務省関係者の補足発言として、F-35供与差し止めはアメリカではよくあるものであるとし、また契約終了ではなくF-35輸出についても一時的な差し止めである、としています。イエメン内戦へのバイデン政権による基本方針転換と関係していると考えられます。
■サウジ向け誘導爆弾差し止め
 もう一つ一月の政権交代は幾つかの出来事を残す事となりました事例を。

 サウジアラビアへ輸出予定であったアメリカ製精密誘導爆弾の供与がアメリカのバイデン新政権により差し止められたとのことです。ウォールストリートジャーナルが1月26日に報じたもので、この精密誘導爆弾はF-15SA搭載用のもので、この輸出はトランプ政権が認可したもので既に有償軍事供与負担に基づくサウジアラビアの支払いは完了しています。

 トランプ政権から政権移行したバイデン新政権はイエメン内戦への有志連合による介入が非戦闘員被害を招いていると非難しており、バイデン大統領は2月6日にはイランが軍事支援するイエメンのフーシ派武装勢力へのテロ組織指定を解除しています。フーシ派はサウジアラビア油田へのミサイル攻撃等も実施し、内戦は周辺国へ影響を及ぼしています。
■F-35戦闘機用新型エンジン
 F-35は開発当時に二系統のエンジンを開発する方針が一機種に統合された背景があります。

 アメリカ国防総省はF-35ライトニング戦闘機block4用のエンジン製造についてプラットアンドホイットニー社との間で4920万ドルの契約を成立させたとのこと。F-35ライトニング戦闘機block4の量産は今後数カ月以内に実用化されると共にblock4.1、block4.2として更なるF-35戦闘機の改良型も順次開発が続きF-35の高いポテンシャルを維持します。

 F-35のblock4.1ではAPG-81 AESAレーダー及び分散型複合開口光学情報システムDASの能力向上が行われ、無人機との連接性能として開発中のXQ-58Aヴァルキリーなどとの連携が可能となるとともに現在の搭載コンピューターと比し25倍の処理能力付与、サイドキックミサイル発射システムにより更にAMRAAMミサイル二発を機内兵装庫に収容する。

 F-35戦闘機block4.2では開発中のAIM-260-JATMミサイル運用能力を付与されるとしており、JATMは射程200km以上、AIM-54フェニックスミサイルを越える極めて長い射程での交戦を標準化させます。更に新開発の低視認性増槽によりステルス性を現行の増槽ほど損なわず1186kmの戦闘行動半径をF-35に付与する事となり、既存機も改修されます。
■韓国インドネシアKF-X
 日本のATD-Xも含めて開発は長期に及ぶか予算を必要としますので国際共同開発は難しい要素が残るのですよね。

 インドネシア政府は去就が注目されるKF-X,韓国との戦闘機共同開発計画について計画へ残留の意思を表明しました。KF-X計画は第5世代戦闘機に準じる次世代戦闘機の開発計画で、第5世代戦闘機ほどステルス性等は求めないものの、こ限られた開発予算でも現実的に保有可能な手堅い計画を示していますが、インドネシア分担金は遅滞しましています。

 KF-Xのインドネシア離脱可能性は、インドネシアがF-15EX戦闘爆撃機の契約前進を発表しラファール戦闘機の導入仮契約を表明しロシアからSu-35戦闘機の調達を発表するなど、次期戦闘機に別の機体を導入すると誤解させかねない態度が在った為ですが、インドネシアの装備調達は不透明な点が多く、過去の事例ではよく二転三転する事で知られています。

 韓国との共同開発は開発費用の20%をインドネシアが負担するとしていました。韓国防衛事業庁はインドネシアが2026年までに分担金14億6000万ドル支払いに同意と発表しました。これは2026年までに実際負担されるかは断言できませんが、少なくともインドネシア側が計画残留への意思を示したものと考えてよいでしょう。試作機公開は間もなくです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【総火演2021特集-第五回】富士総合火力演習ライブ映像実況擬似再現の後段演想定島嶼防衛

2021-06-20 20:20:58 | 防衛・安全保障
■ライブ配信!富士総合火力演習
 旅をしない旅番組の様なライブ映像配信実況を元に過去の写真を添付した擬似総合火力演習は今回が最終回です。

 富士総合火力演習後段演習はシナリオ仕立てで、島嶼部防衛という題材が後段演習の新しい定番となっているのですが、富士学校には水陸機動教導隊はありませんし、ここまでの重装備を確実に輸送できるのか、総火演は本土有事想定に特化してはともおもう。

 AAV-7,画面越しではわかりにくいが6両か8両みえたようにも。上空へはAH-1S対戦車ヘリコプターが警戒と援護に、その支援下でこんどはUH-60JA多用途ヘリコプター、そしてCH-47JA輸送ヘリコプターが続々と降着へ。先遣小隊はCH-47とUH-60の空中機動です。

 CH-47とUH-60の空中機動ですが、そのさなかにもAH-1Sが20mm機関砲を射撃し敵を制圧する。AH-1Sは2機、ここまで多用するのであればAH-64Dの調達中断ののちに対戦車ヘリコプターの減勢は問題といえましてAH-64Eを40機程度配備できないかと感じる。

 汎用軽機動車、2両が初参加、パジェロよりも小型で富士総合火力演習には初参加、佐世保ではまれに見られる様子という、見てみたい新装備だ。っほんらいはここで空挺団が空挺降下するというのですが、悪天候で、という。それならばヘリボーンとしてはとも思う。

 第1ヘリコプター団の輸送ヘリ支援をうけヘリボーンとしてはとも思う。戦闘は、さて攻勢転用へ。87式偵察警戒車と16式機動戦闘車が展開してきます、そして軽装甲機動車も、軽装甲機動車からは60mm迫撃砲が展開しているようで、偵察火力は充実してきました。

 105mm砲と25mm機関砲と60mm迫撃砲が偵察戦闘大隊の火力という、なるほどこれだけの装備でたたけば、従来の偵察隊の25mm機関砲だけの威力偵察よりは、多少は敵の前衛を突破できるのかな。偵察隊は反応から敵戦車などを発見したという想定となりました。

 偵察隊は敵戦車などを発見したという想定、この浮動した状況を受け偵察オートバイはさらなる状況解明へ前進するとともに、富士教導団はNEWSの電子支援とともに火力戦闘を開始します。MLRSなども参加する想定です、ただMLRSは射程が非常に長いという。

 MLRSは実際に撃つと東京まで届いてしまうのでライブ映像でのみの参加です。96式多目的誘導弾がここで実弾射撃を行う。敵防空火器を破壊し、敵損耗と我の損害などを把握したうえで、敵残存勢力へ機甲教導連隊とともに増強戦車中隊を続々と展開してきました。

 攻撃準備射撃とともに障害処理を準備します。89式装甲戦闘車と74式戦車が支援へ展開する、74式戦車、そういえばロシアでは旧式のT-62は最後に歩兵支援用へ重宝されたと聞く。92式地雷原処理車が障害処理を実施、その支援へ74式戦車が105mm砲を放つ。

 74式戦車が105mm砲を放つ。89式装甲戦闘車も35mm機関砲を放つ、ライブ配信では一眼レフや一眼カメラのシャッター音が目立つ。89式装甲戦闘車と74式戦車はほぼ混成小隊を構成しているような印象を受ける展開でした。これ、一つの運用方法なのかなとも。

 89式装甲戦闘車と74式戦車はほぼ混成小隊を構成しているような2両で一組の陣地進入を行い、そして射撃していました。4両の小隊が各1小隊、これが2両づつ4両で二カ所の射撃陣地からという、もっとも通信の放送では指揮系統はわかれているようでしたが。

 そしてようやくMBRS、92式地雷原処理車が70MCこと70式地雷原処理装置とともに。MBRS,もともとはMCVとよばれていましたが、これは機動戦闘車にもっていかれたかたち。悪天候なので地雷原処理の爆破は衝撃波が目立つなあ。映像でも迫力がありますね。

 戦車用通路は70MCの人員用通路に沿って梱包爆薬で啓開する、しかしこの作業は危険すぎるため梱包爆薬運搬はそろそろロボットに任せるべきではないのか、と思う。特科の攻撃準備射撃へ、続いて攻撃準備支援射撃は74式戦車による105mm砲の正確な射撃です。

 74式戦車は車体傾斜装置により地形防御を活かすことで活躍しているのですが、そろそろ徘徊式弾薬への警戒が必要とおもう。対空警報赤状況が静岡県東部に。87式自走高射機関砲が35mm機関砲で敵ヘリコプターを射撃し撃破する。35mm機関砲は無人機にも有効だ。

 突撃命令が、戦車部隊を中心に発令へ。120mm迫撃砲、81mm迫撃砲の突撃支援射撃と74式戦車の105mm砲がくわわりそして特科部隊の火砲も。突撃支援射撃の開始だ。この支援下に90式戦車小隊が、普通科戦車協同で普戦同時突撃へ。このあたりから状況は動く。

 砲弾は三段山を中心に着弾し、白いHEの炸裂が衝撃波を生む様子は同時中継で示されていました。81mm迫撃砲の最終弾発射とともに突撃支援射撃は弾着5秒前の号令とともに90式戦車の小隊がなだれ込み、行進間射撃を行う、小隊集中射撃を続いて実施し展開する。

 打線へ戦車が、富士総合火力演習ではフィルム時代は兎も角デジタルカメラ時代となりますとこの時間帯はもうシャッターを押し続けるというものですね。続いてFV小隊が続行し、なにしろ車両は重なり合う動く瞬間の方が迫力は凄いのです。昔もそうでした、いまも。

 WAPC小隊もFV小隊へ続行します、黒の台へ突撃成功し、指揮官は続行部隊投入決心、ここで中隊は発煙弾を発射します、白リンが演習場を覆い、続行部隊の展開を受け、ここで状況終了の喇叭が響く。状況終了、こうして、富士総合火力演習は終了しました。

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【京都幕間旅情】阪急京都本線の9300系”京都”河原町行特急と1300系”大阪”梅田行特急

2021-06-20 18:10:57 | コラム
■阪急京都本線日常風景
 日曜日と云う事で夕方の旅情誘う話題を一つ。6300系特急を懐かしむのはお年を召した証拠と呼ばれなにかこうヘコんでしまいました。

 9300系特急大阪梅田行の到着、新しい車両という印象がまだ定着している当方ですが、9300系の運用開始は2003年ということですので、2003年は北大路機関が創設された年度、Weblog北大路機関の2005年運用開始よりも、よくよく考えれば歴史は長いのですね。

 大阪梅田、阪急といいますか梅田といえば大阪が当たり前ですので、大阪梅田という名前には違和感がありますし、河原町も京都が当たり前という印象ですので京都河原町と云われますと違和感で、新駅で神戸河原町とか梅田宝塚駅でも出来たのか、と思ってしまう。

 1300系電車、一見して8300系のように見えるもの。9300系導入当時は、特急と云えば6300系、そもそもWeblog北大路機関は酔い覚まし中の十三駅でやってきた特急が8300系だったので、すわり心地の良い6300系がやってくるまでの間とノートPCで立ち上げたもの。

 京都河原町行特急の到着。1300系や8300系、ロングシート車は阪急電車らしくクッションはスプリングが利いていて、一つ北大路機関本部や支部にも欲しいものだと考えてしまいますが、やはり寝にくく、9300系が特急でやってきますと安堵してしまうものですね。

 1300系、噂をしていますと特急でやってきました。9300系も、3扉車ですし停車駅が増えていますので頻繁な車内の動きがあり、6300系と特急二本柱を構成していた時代には9300系よりは6300系を選んでいました。立ち席で我慢強いられる時代、少し寂しい時代ですね。

 5300系、こちらもロングシートなのですが木目調の車内とスプリングのきいたアンゴラ山羊のゴールデンオリーブロングシート、何故か1300系と定義で同じはずの車内よりもアルミブラインドのお蔭でしょうか落ち着いて感じます。よく見ればトップナンバー車でした。

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榛名防衛備忘録:戦車の火力は万能です!島嶼部防衛に寄与する現代戦車の先端テクノロジー

2021-06-19 20:16:52 | 先端軍事テクノロジー
■戦車って思ったよりもスゴイ!
 聖女の魔力は万能ですとは無関係の話題ではあるのですけれども戦車の話題です。

 戦車の火力は万能です。聖女の魔力は万能です、というアニメが2021年春アニメにありまして良作、響き的に似ている戦車の火力について。2010年代から2020年代にかけての戦車の技術発展をみますと、戦車は島嶼部防衛を含め将来戦闘における重要性を再度高めつつあるのではないか、と認識せざるを得なくなりました。日本も戦車増勢を考えては、と。

 ナゴルノカラバフ戦争、2020年に発生した地域紛争ではアゼルバイジャン軍の無人攻撃機ハーピーが戦車に対する体当たり攻撃を繰り返し、徘徊式弾薬の強さを再認識させるとともに1973年の第四次中東戦争以来の常套句、戦車の時代は終わった、と再度叫ばれることとなりました。もっともアゼルバイジャン軍は攻撃部隊の主力に戦車を活用したけれども。

 ハーピーはイスラエル製無人機、体当たり攻撃を行いますが目標を発見するまでの数時間は戦場上空を飛行して索敵に徹します、体当たりするほどでない目標は画像情報を友軍砲兵隊に電送、戦車などの高付加価値目標を探します。人命損耗を回避したいイスラエルらしい装備といえる、そのイスラエルはトロフィー戦車防護装置を開発したのは有名ですね。

 トロフィー戦車防護装置は戦車に接近するミサイルを感知し擲弾を発射、撃墜する。つまり駆逐艦が対艦ミサイルに備えて個艦防衛用ミサイルを搭載したように、戦車もミサイルを打ち落とす時代となりました。徘徊式弾薬を開発した国ならではの、相手が同じものを装備した場合への備えで、メルカヴァ、エイブラムス、レオパルド2等が積む計画がある。

 戦車。さて、戦車に重大な脅威を及ぼしたミサイルへの対策目処が立ち初めまして、すると考えさせられるのは戦車は10名以下の兵員で運用できる装備としては事実上最強の装備である、ということです。10名居れば10式戦車ならば3両を動かすことが出来ます、もっとも戦車は3名乗りなので一人は軽装甲機動車にでも乗る必要が出てきますけれども。

 軽装甲機動車は例えば無人機や個人携行可能なスイッチブレード徘徊式弾薬の運用、牽引能力を活かして段列地区からの予備燃料の輸送、段列地区の自衛警備などに威力を発揮するでしょう、ミサイル防御装置を搭載し設計上配慮されているという戦車砲を換装した10式戦車2両と軽装甲機動車2両があれば10名、これで分散運用した場合は敵には手強い。

 分散運用。2020年にアメリカ国防総省と太平洋軍は台湾防衛に関する大規模図上演習を実施、2018年と2019年には敗北の結果を突きつけられましたが、分散運用の徹底と新世代装備の活用により優性を維持できることとなりました。想定ではヒッカム基地へのミサイル攻撃により指揮中枢が麻痺する想定でしたが、指揮系統を分散化し作戦を維持できた。

 アメリカ海兵隊などは戦車を廃止する方向に2019年より舵を切りましたが、戦車の火力はフランスが次世代戦車にテレスコープ弾薬の採用により140mm砲までの大口径化への目処を立てていますし、これまでの懸念であったミサイルに対しても防御の可能性を示している。すると、140mm砲であれば艦砲にも反撃できうるものですし、その他の機能も高い。

 戦車の火力は万能です、こう言いうるもう一つの要素は戦車の戦闘システムが自己完結型であるところです。直接照準戦闘を行う戦車ですので自己完結であるのは当然といえば当然ですが、あらゆる支援が途絶した場合でも元々通信能力は高いですし、戦車2両と支援する軽装甲機動車2両があれば、小さな離島でも充分防衛し得る、少なくとも出来うる。

 戦車を独立運用した場合は整備などはどうするのか、こう反論があるかもしれませんが、例えば整備小隊が行うC整備などは戦車乗員だけでは行えません、どうするのか。しかしこのC整備にしても離島ならではの利点がある、C整備は250km走行ごとに実施しますが離島ならば狭い故に、250kmも走り回ることはあまり考えられず済むかもしれません。

 分散運用などしたら各個撃破されるシロウトの運用だ、こう反論されるかもしれません。しかし重要なのは、安易に島嶼部を占領されないよう、また護衛艦部隊などの増援を受けるまでの数十時間、持久することに意味があります。すると集約した結果で部隊が全くいない離島を多数放置したままわけるほうが、むしろ問題といえるのではないでしょうか。

 離島への配備は、10式戦車2両と軽装甲機動車2両の分遣隊を多数配備する、こう仮定した場合、おおすみ型輸送艦を用いた場合は6個分遣隊を1隻で輸送可能です。もっとも整備支援にはUH-60JAで整備小隊を循環展開する必要が出てきますし、数十時間以上の戦闘は難しいですが、戦車300両体制を再検討し、戦車重視の島嶼部防衛も考えるべきと思う。

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令和三年度六月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2021.06.19-2021.06.20)

2021-06-18 20:12:03 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 もがみ型護衛艦3番艦、今週末は自衛隊行事こそありませんが週明けに長崎で進水式があるのですね。

 今週末も自衛隊関連行事は行われません、緊急事態宣言発令中の地域では沖縄県以外、今週末の20日を以て緊急事態宣言が終了し、また沖縄県に発令されている緊急事態宣言についても30日を以て終了する計画です。まだまだ感染が続く最中ではありますが政府は、まん延等防止重点措置に切替えて対応するとのこと。早過ぎる解除と考えるのですけれども。

 もがみ型護衛艦3番艦進水式と命名式が6月22日に三菱重工長崎造船所にて執り行われるとのこと。これは令和元年度護衛艦として建造が進められていたもので、命名式と進水式は0952時から1005時に実施、この式典には佐世保地方総監出口佳努海将が執行者として臨席するとのこと。三菱重工長崎造船所では一番艦もがみ、が現在建造中となっています。

 三菱重工長崎造船所は対岸の長崎港や長崎水辺の森公園、高台のグラバー園や鍋冠山山頂公園などから一望する事が出来まして、もがみ型護衛艦3番艦進水式は一般非公開となっていますが、こうした対岸から眺める事も可能です。FFMとして建造されている護衛艦もがみ型はステルス性を重視したこれまでの護衛艦以上の徹底した設計が反映されています。

 緊急事態宣言発令中解除、もっともデルタ株を始めとした変異株の感染が感染経路不明の市中感染が続く中では、安心して長崎に遠出するという行動はリスクが大きいものですが、ワクチン接種が完了されたご近所の方などは是非、最新鋭の護衛艦を眺めて視てはどうか、と思います。もちろん、マスクはじめ個人防護装備など、感染対策をお忘れなきようにね。

 COVID-19感染状況、なかなかに終息には程遠い状況である事は否めません。なかなかに工夫して艦船ファンや航空機愛好家の方などは撮影を重ねられているようですが、一見して眺めてみますと、遠出して自分も、と考えたくもなるところですが、よくよく見ますとそういう方は自分の生活圏内で撮影している方が大半なのですよね、みるとよくわかる。

 COVID-19感染状況が続く中に在っては、慎重な行動を社会全体で共有する事こそが遠回りのように見えて唯一の感染対策となっています。すると、撮影できる生活圏内の被写体を撮影してゆく、という事が少ない選択肢の一つなのだろう、と。逆に生活圏で安全に撮影できるものは今だからこそ撮影しておくべきと、考える事もできるのかもしれませんね。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・今週末の行事なし

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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中国台山原発から放射性物質漏えい,原子炉ベント実施で仏協力企業が米政府に支援要請

2021-06-17 20:07:52 | 国際・政治
■国際信義,問われる情報開示
 COVID-19新型コロナウィルスの情報を中国政府が隠蔽せず初期段階で発表していれば世界中で380万名も亡くならずに済んだのかもしれません、そして。

 台山原発放射性物質漏えい。中国南部広東省の台山原発で放射性物質が大気中に放出されています。中国政府の中国国家核安全局は数値は示さないものの直ちに危険はない水準であるとしています。しかし懸念したのは、この発表が中国生態環境省の公式発表ではなく、事故発生から一週間近くを経てアメリカのCNNが公式よりも先に報道した事でした。

 福島第一原発事故を筆頭に、原子力事故は発生し得るリスクとしてその是非を考えねばなりません、しかし、今回のCNN報道は台山原発を合弁企業として運営するフランスのフラマトム社が、内部告発に近いかたちで報道にリークした構図です。CNNではフラマトム社はアメリカ政府に事態鎮静化の支援を求めたと報道しています。事故よりもここが問題だ。

 1986年にソ連のチェルノブイリ原発事故が発生した際、航空自衛隊はF-4ファントムへ放射性物質集塵装置を搭載し高高度での放射性物質拡散状況を偵察しました、この背景にはソ連がチェルノブイリ原発事故を公表せず、最初に確認されたのがフィンランド国内の原発での放射性物質検知で、当初はフィンランド自身が自国の原発事故を懸念していました。

 欧州での放射性降下物観測、しかし点検を重ねても自国原子力施設からの放射性物質漏えいは確認されず、気象情報からソ連南部からの大量の放射性物質拡散が確実視され、各国政府に突き上げられる形で、ソ連政府はチェルノブイリ原発が、冷却材の黒鉛と共に炉心が爆発的破損に見舞われ、重大な原発事故発生を認めました。今から35年前のおはなし。

 キセノンとクリプトンが漏えいしたと、中国政府が発表しています。漏洩したキセノンとクリプトンは原子炉爆発を防ぐベントと呼ばれる装置により、可能な限り有害物質を濾過し大気中に放出させたとのことですので、現段階では台山原発の原子炉については、炉心損傷、福島第一原発やチェルノブイリ原発のような状況には陥っていない事を意味します。

 我が国の原子力規制庁は、今回の台山原発放射性物質漏えいを受け、日本国内での放射線物質観測状況に異常はないことを発表しました。原子力規制庁では沖縄県を中心に観測を実施したとしています。もっとも広東省は台湾やフィリピンの方が近く、原子炉ベント程度であれば、日本国内まで影響はないといえるかもしれません。問題は、情報公開姿勢だ。

 ベント、台山原発はベントまで実施しているのか。驚いたのは原子炉から汚染物質を濾過して排出するベントは、日本では電気事業法原子力発電所安全規制では“重大インシデント”に定義されるものですので、周辺国への通知なしに、いや周辺住民にさえ通知せずベントを実施した点は、中国政府の原子力事故情報開示の姿勢に疑問を持たざるを得ません。

 核燃料棒というものは、ロケット鉛筆に似た構造となっています。最近の子はロケット鉛筆を知らない、という話題はさて置き、ジルコニウム合金の筒状である燃料棒にロケット鉛筆でいうロケット部分がウランペレットとなっていまして、この燃料棒をチャンネルボックスという、爪楊枝の詰まった入れ物の様な構造の大きな容器に収容し原子炉に収める。

 破損した燃料棒が数本、ここから放射性物質が漏れたということですが、そもそも燃料棒被膜の役割を担うジルコニウムが破損しただけでは放出されるのは水素化合物であり、放射性物質が拡散する事はありません、つまりキセノンとクリプトンの漏洩はウランペレットそのものが変形している可能性を示すのですね。重大インシデントそのものといえます。

 中国政府は原子力事故については慎重であると考えられてきました、こう言いますのも、福島第一原発処理水の中で濾過できないトリチウムの海洋放出を我が国政府が決断した際、環境規制よりも希釈したトリチウムを総量も示したうえで放出する際に、原発への中国専門家立入りを求めたのですから。せめてベント実施前に日本政府へ通知があって然るべき。

 COVID-19,中国政府の情報隠ぺい体質は、2019年に中国湖北省武漢市を中心に爆発的感染拡大が確認された新型コロナウィルスCOVID-19においても、その世界的拡大の要因となっています。故に中国政府の体質であるので、仕方がない、の見方も出来るのかもしれませんが、その視点に立つならば、我が国を始め世界は中国監視強化を強いられる事となる。

 情報隠ぺい体質、勿論、安全保障上必要な情報、軍隊の作戦計画やテロ対策計画の概要など開示を迫るつもりはありませんが、COVID-19ならば公衆衛生、台山原発ならばベント実施の際の放射性物質拡散情報、これくらいは情報開示があって然るべきではないでしょうか、それとも情報開示は無いものとして日本が自ら情報収集せねばならないのでしょうか。疑問です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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G7首脳会談・NATO首脳会談,中国宥和論決別で一致とアメリカ軍アフガニスタン撤収加速

2021-06-16 20:02:07 | 国際・政治
■英コンヴォールG7サミット
 菅総理大臣は14日にイギリスコンヴォールで行われたG7サミットから帰国、日本国内では内閣不信任案と否決が焦点となりましたが、サミットでは大きな動きがありました。

 G7主要七カ国首脳会談が完了し共同声明が発表されました。この特筆する部分はG7主要七カ国の協調関係を再認識させるとともに、これまでG7諸国が一致まで難色を示していました中国宥和の姿勢から人権や防衛問題の部分を軸に大きく転換した点は、アメリカの国際公序重視へトランプ政権バイデン政権への転換を象徴的に示したものという印象でした。

 NATO首脳会談。G7首脳会談に続き14日にブリュッセルで開かれたNATO首脳会談では、首脳宣言に“中国の行動は全体にとっての挑戦”と盛り込まれた事が15日付BBC報道にあり、北大西洋条約機構が環太平洋地域の安全保障問題拡大に正面から臨む転換点ともなり、一帯一路建設と共に欧州と中国の摩擦は表面化していますが、NATO宣言は驚きです。

 台山原発放射性物質漏えい。中国といえば広東省の台山原発で一昨日欧米メディアに報じられた、一週間前から続く放射性物質漏えいという状況が、ソ連のチェルノブイリ原発事故の初期隠蔽、というよりも一年前の湖北省武漢市でのCOVID-19感染爆発の報道管制による隠ぺいを思いだし、大事故に繋がらないのかが懸念するところではありますけれども。

 中国については、アメリカ軍が台湾に駐留を開始している、これは5月16日付の聨合報紙が、アメリカ軍兵士駐屯による業務量増大を嘆く中華民国軍兵士のSNS投稿を紹介する形で報じており、取材によりアメリカ陸軍安全保障支援旅団SFABの要員が、装備品の整備支援等の目的で駐留していると確認、この報道に大陸中国が激しく反発する事となります。

 フィリピン沖の中国海上民兵の問題が発生した際、実は3月25日の第52北大路機関に、世界が中国海上民兵に注目している間にアメリカの防衛産業要員が数千名規模で台湾に入っていて全員が米軍軍事顧問、という事があり得るのではないか、と台湾F-16V導入等の発表を元に類推してみたのですが、まさか米軍台湾進駐がこうも早く、と驚いたものです。

 日本の防衛政策も、冷戦後の牧歌的といえた防衛政策からの大きな転換が迫られつつあると考えるのですが、同時にアメリカの姿勢について幾つかの疑問符がありました。それはアフガニスタン撤収です。実際には撤退と表現して差し支えないかもしれませんが、これが当初のバイデン大統領がしめした今年九月の予定を七月へ実に二ヶ月前倒しするという。

 アフガニスタンは、日本も2009年に野党から与党となる直前の民主党では当時の小沢氏を中心に自衛隊アフガニスタン派遣を提唱していましたが、なにしろ標高4000mの峰峰での治安作戦は山岳部隊と空中機動部隊以外には街道沿いの警備しか成り立たず、国際治安部隊ISAFとして欧州NATOも相当数を派遣、戦死者数も数多く数える事となりました。

 9.11アメリカ本土同時多発テロから20年を迎える九月までに撤収完了を当初案としていましたが、独立記念日までに米軍部隊を撤収完了させる、バイデン大統領の撤収前倒しについては、こうした政治的配慮があったとされています。これについては二ヶ月前倒しとなれば、NATOからの派遣部隊撤収計画も前倒しする必要があり、簡単ではない事なのです。

 南スーダンPKO任務において治安悪化を理由に一方的に撤収した日本は、あまりバイデン政権の方針変化を批判することができませんし、ISAFに自衛隊を派遣しているわけでもありませんので批判の必要はありませんが、アフガニスタンでは武装勢力タリバンの攻勢が激化しており、アメリカがアフガニスタンを見捨てた構図には他成りません。その意味は。

 中国への軍事リソース集約へ、アフガニスタンより撤収する、これがバイデン政権の基本方針です。これは中国の軍事圧力にさらされる日本としては歓迎すべき部分なのかもしれませんが、アフガニスタンのように、今度は台湾が見捨てられる疑念が。結果的に東南アジアから日本に至る製造業多国間国際分業を支えるシーレーンへ影響が及ぶ危惧に繋がる。

 ロナルドレーガンの横須賀出航。さて、原子力空母ロナルドレーガン空母打撃群が定期哨戒任務として南シナ海へ入りました。これは海上自衛隊もヘリコプター搭載護衛艦を用い近年実施しているプレゼンスオペレーションというもので、空母航空団と強力なイージス艦からなる駆逐隊と巡洋艦を率いる原子力空母打撃力の巡回はきわめて大きな抑止力です。

 中東派遣の中止。今回のロナルドレーガン横須賀出航は当初、中東アラビア海に空母打撃群を遊弋させアフガニスタンからの米軍撤収を支援する任務と考えられていました、これは撤収による戦力の浮動に乗じたタリバンからの攻撃へ空母打撃群を以て対応するという任務からある種の妥当な任務でしたが、これが事実上撤収前倒しにより、中止された訳で。

 北東アジア空母空白。アフガニスタン撤収が予定通り実施されるならば、ロナルドレーガンのアラビア海遊弋は少なくとも九月中旬まで継続されることとなり、6月初旬から10月初旬まで、日本周辺の北東アジア地域ではアメリカ空母の空白状態が発生すると危惧されていました、しかし、前倒し、しかも撤収本格化の時点で空母はアジアに居る構図ですね。

 プレゼンスオペレーション。ロナルドレーガンの南シナ海遊弋はアフガニスタン情勢が悪化した場合でも、北東アジア情勢が急変した場合でも対応できる海域に遊弋し、しかもアフガニスタン撤収前倒しとすることで空白が生じうる期間を限定的に転換、その上で北東アジア情勢が変化せぬよう、東南アジア近海でのプレゼンスを行使したかたちとなります。

 北東アジア情勢は、アメリカがアフガニスタン撤収を前倒しとし、その上で航空母艦の空白を看過できないような緊張度があるのか、言い換えればこうした視点となるのかもしれません。しかし、こうした緊張を前に忘れてはならないのは、その脅威正面に立つのは何処の国でも無くG7では日本であるということ。この事実を直視しなくては、なりませんね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【防衛情報】フィリピン軍近代化,サイクロン級哨戒艇-シャルタグ級哨戒艇-ヘルメス900無人偵察機

2021-06-15 20:20:33 | 先端軍事テクノロジー
■特報:世界の防衛,最新論点
 今回の防衛情報はフィリピン軍の近代化について最新の情報を紹介しましょう、島嶼部防衛などの面で安価に防衛力整備を進める興味深い視点が多い。

 フィリピン軍は増大する中国軍海洋進出やミンダナオ島の武装勢力活性化等を前に軍事力近代化を進めています。フィリピン軍は韓国からのFA-50軽戦闘機の導入やアメリカ沿岸警備隊からのハミルトン級カッターの導入など近代化を進めています。そして更にイスラエルからの新型軽戦車導入やTOWミサイル、155mm榴弾砲導入等を進めています。 

 フィリピン軍の近代化についてはこれまでも防衛情報として紹介しましたが、現在フィリピンは南沙諸島の自国排他的経済水域内での環礁への中国漁船団大量係留問題で中国と新たな係争が生じつつあり、一方でフィリピン財政は慢性的な危機状態にあり国防費の上限は厳しい。こうした状況下でのフィリピン軍近代化について、最新の情報を纏めました。
■サイクロン級哨戒艇3隻導入計画
 サイクロン級哨戒艇はアメリカ海軍の特殊作戦支援用などに活躍する哨戒艇です。日本のミサイル艇ほど強力ではありませんが大きさは同程度のもの。

 フィリピン国防省はアメリカより取得するサイクロン級哨戒艇3隻の早期受領をアメリカに要望しました。中国による海洋進出により自国環礁への占拠状態が常態化し、更に新たにサンゴ礁へ中国船団が長期間遊弋する状況を受け、フィリピンは海軍力強化を急いでいますが、財政上の問題から中古艦を買い漁らざるを得ません、サイクロン級もその一つ。

 サイクロン級はアメリカ海軍が沿岸作戦用に1993年より14隻を建造したもので満載排水量は334t、武装に25mm機関砲2門を搭載しています。フィリピン海軍では一番艇がマリアーノアルバレスとしてフィリピンにて再就役しており今回更にアメリカ海軍より除籍されたゼファー、シャマル、トルネード、この3隻をフィリピンは導入を希望しています。

 フィリピン海軍は一時期、海上自衛隊の退役護衛艦や欧州製退役フリゲイト等の無償譲渡を各国へ要請していた時期がありますが、日欧には中型であってもフィリピンには経験の無い大型水上戦闘艦となります、この為に慎重に運用を分析し且つ維持し等を計算した結果、いずれも実現に至っていません。先ずは哨戒艇から、地道な海軍力整備がすすみます。
■TRIGON海上火力支援システム
 イスラエルより艦艇導入や防衛装備導入を進めるフィリピンにも関係ある情報です。

 イスラエルのエルビットシステムズ社は中型小型水上戦闘艦用にTRIGON海上火力支援システムを開発しました。TRIGON海上火力支援システムは射程150km、CEP半数命中界は10mとなっており、弾頭重量は120kg、コルベットクラスや小型フリゲイトに搭載可能で、艦砲を持たない水上戦闘艦へ海上からの対地攻撃能力を付与させるというものです。

 TRIGON海上火力支援システムは六連装発射装置に搭載され、保守整備等を簡略化した設計となっています。このTRIGON海上火力支援システムの発想は過去にイスラエルが初の対艦ミサイルガブリエルを開発した当時、127mm艦砲を持たない小型哨戒艇へ駆逐艦並の打撃力を付与させる観点から開発された点と似ており、大型艦並の打撃力を付与します。
■シャルタグ級哨戒艇導入
 フィリピン海軍はイギリスより香港警備用のピーコック級コルベットを導入していますがミサイル艇を増強するもよう。

 フィリピン海軍は2022年からイスラエルよりミサイル搭載のシャルタグ級哨戒艇導入を開始します。フィリピンに売却されるシャルタグ級には射程25kmのスパイクNLOSミサイルが搭載され、哨戒艇以上の見通し線外の攻撃能力を有しており、フィリピン海軍ではミンダナオ島での治安作戦、潜在的に中国からの緊張増大海域への抑止力として用います。

 シャルタグ級は満載排水量72tで全長24.8mと吃水1.2m、MTU12V-396TEディーゼルエンジン2基とウォータージェット2基を搭載し最高速力は50ノットに達し、スラエルでは沿岸部での対テロ作戦に用いられていると共に、赤道ギニア、ナイジェリア、セネガル、スリランカ、アルゼンチン、アゼルバイジャン、キプロス、ルーマニアに輸出されました。

 フィリピン海軍は8隻から9隻のシャルタグ級を導入する計画で、2022年からは先ず3隻が導入、この取得費用は100億ペソといいこれは米貨換算で5億0300万ドルにあたります。日本では護衛艦もがみ型一隻に匹敵する費用で、イスラエルではスパイクNLOSと25mm機関砲タイフーンRWSを一体化させたFAIC-M武器システムを搭載し売却するもよう。
■ヘルメス900無人偵察機
 フィリピンは日本よりTC-90練習機を導入し対潜哨戒機として運用していますがなかなかP-3Cを運用できる水準には至らず、近年は無人機導入にも精力的です。

 イスラエルのエルビットシステムズ社が3月2日に発表したヘルメス900無人偵察機の東南アジア某国への3億ドルに上る売却計画はフィリピンに行われる可能性が出てきました。同社が売却相手国は既にヘルメス450を運用中だとしており、フィリピンは2020年9月に既に配備されているヘルメス450の増強とヘルメス900導入計画を発表しています。

 ヘルメス900は固定翼無人機で全幅15m、30時間から36時間に及ぶ滞空が可能、300kgまでのペイロードを有し、合成開口レーダーやEO複合光学センサーを搭載し最高速度は220km/h、巡航速度は112km/hであり滞空高度は9000m、実用上昇限度は9100mであり、ブラジル、チリ、コロンビア、カナダ、アイスランド、メキシコ等が運用しています。
■アカシュ中距離地対空ミサイル
 フィリピンの課題は防空能力や警戒監視能力の不足、そういうよりも欠如というべき状況ですが流石に改善されるのでしょうか。

 インドはアカシュ中距離地対空ミサイルについてヴェトナム、フィリピン、アラブ首長国連邦が輸出に関心を示していると発表しました。アカシュは2020年12月に評価試験を完了したミサイルです。インド政府は国内製造業振興への輸出強化策として工業製品の中でも兵器輸出を真剣に進める計画で、アカシュ中距離地対空ミサイルもこれに含まれます。

 アカシュ地対空ミサイルは射程30km、有効射高は18000mであり、ラジャンドラAESAレーダーと3連装発射装置4基で一個射撃中隊を構成、射撃指揮装置は64目標を同時追尾可能であり、12目標と同時交戦が可能、各種装備は自走化されています。なお、関心を示している国の中でフィリピンは現在、携帯式以外の地対空ミサイルを保有していません。

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【防衛情報】RBS-23防空システム再活性化とGBAD地上防空装備,LWCLUスティンガー搭載

2021-06-14 20:05:40 | インポート
■週報:世界の防衛,最新11論点
 防衛情報といいますか防空情報という話題を中心に。RBS-23防空システム等を視ていますと自衛隊の11式短距離地対空誘導弾システム等は各国要求に合致しそうにみえますね。

 スウェーデン国防省は保管状態にあったボフォースRBS-23防空システムの再活性化とゴトランド島への配備再開を発表しました。スウェーデンではロシアからの軍事圧力増大が問題化しており、長らくRBS-70携帯地対空ミサイルやボフォース40mm高射機関砲のみに依存していた防空体制を見直す方針となりました。RBS-23再配備もその一環でしょう。

 RBS-23防空システムは牽引式の中距離防空ミサイルシステムで、ミサイルそのものの射程は20km、捜索レーダーと射撃管制レーダーにミサイル6発を一体化したコンテナに収容、コンテナは牽引式となっており、ボルボトラックにより機動、射撃陣地へ展開すると切り離し、ミサイルシステム単体にて捜索と照準から射撃まで自己完結能力を有しています。

 RBS-23防空システムは2000年にスウェーデンのボフォース社により開発、2002年にスウェーデン軍へ配備されていますが、教育訓練を行ったのみで、冷戦後の情勢安定化を受け実戦配備までは至らず、2008年に予備保管へ移行しました。今回の現役復帰を受けPS-90捜索レーダーデータリンクシステムは旧式化している為、モジュールを更新する予定です。
■ジャベリン発射装置LWCLU
 対戦車ミサイルの発射装置に地対空ミサイルを発射させる事でアメリカは長年の弱点であった野戦防空を向上させるもよう。

 アメリカ陸軍が運用するジャベリンミサイル発射装置LWCLUよりスティンガーミサイルを発射する試験が行われました。これはレイセオンミサイルスディフェンス社が開発しているもので、LWCLUジャベリンミサイル発射装置は対戦車ミサイル用のRWS遠隔操作銃搭というべき装備、ハンヴィーやJLTVに搭載し対戦車用に用いる装備となっています。

 スティンガーミサイルのジャベリンミサイル発射装置LWCLUからの運用は、LWCLUの有する射撃管制能力や索敵能力により、近年脅威が増大する無人航空機等に対して車両が積極的に反撃する企図があり、特にスティンガーミサイルのスタンドアローン運用能力は、従来の戦術防空よりも低高度より及ぶ無人機脅威に対して有効であると考えられています。
■独のGBAD地上防空装備体系
 欧州正面の従来型脅威再燃を前にドイツも防空砲兵の脆弱化という問題に本腰で取り組む模様です。

 ドイツ国防省は3月23日、GBAD地上防空装備体系の技術提案を連邦議会へ提出した。ドイツ連邦軍では冷戦時代に本土防衛を支えたローランドミサイルやゲパルト自走高射機関砲と云ったミサイルが全て廃止されており、ペトリオットミサイルも予備保管兵器となり全廃が予定されていた。しかし2010年代からのロシア脅威増大が再考を促した構図だ。

 GBAD地上防空装備体系は単一の防空兵器ではない、先ずスティンガーミサイル主体のオセロット防空システムをNNbs短距離地対空ミサイルシステムに置換え、計画が中断しているTLVS戦術航空防衛システムの開発を再開、MBDAミストラル3近距離防空兵器システム、射程40kmのIRIS-TSLミサイル等の配備計画を進め、ペトリオットも現役に戻す。

 TLVS戦術航空防衛システムはペトリオットミサイルPAC-3を単体とした防空システムであり、これにより連邦軍は弾道ミサイル攻撃に対しても一定の防空能力を獲得する事となる。また手放しとなっている野戦防空もボクサー装輪装甲車にラインメタルエリコンスカイガード35機関砲システムを搭載する事で対応する、予算も時間もかかるが必要な一歩だ。
■インドネシアとエヴァ自走榴
 エヴァ装輪自走榴弾砲採用が決定した訳ではないようですが砲兵装備の話題について。

 インドネシア海兵隊はエヴァ装輪自走榴弾砲等の新型自走砲の調達計画を発表しました。これは海兵隊が保有する旧式化した牽引式のソ連製M-30/122mm榴弾砲とフランス製LG-1/105mm榴弾砲を置換える構想で、インドネシア軍は2012年にフランス製カエサル自走榴弾砲37両を2億4000万ドルで取得していますが、今回は新型砲となる見込みです。

 スロバキア製のエヴァ装輪自走榴弾砲、チェコ製のダナ装輪自走榴弾砲、スロバキア製ズサナ2装輪自走榴弾砲、ウクライナ製ボウダナ装輪自走榴弾砲、セルビア製アレクサンダー装輪自走榴弾砲、等が候補とされています。今回フランスのカエサルが含まれていないのは謎ですが、候補には152mmと155mm砲は含まれており、意図が分り難い計画です。
■イスラエルCH-53K採用
 CH-53K重輸送ヘリコプターはアメリカ海兵隊の最新型ですが調達費用の大きさに驚かされたのは数年前のお話しです。

 イスラエル国防軍は旧式化したCH-53D重輸送ヘリコプターの後継機としてCH-53K重輸送ヘリコプターを選定したとのこと。CH-53Dの後継機選定にはボーイング社が提示したCH-47輸送ヘリコプターの最新型とシコルスキー社が提案したCH-53シリーズの最新型であるCH-53Kが比較検討されており、既存機の延長線上機種として選定されたかたち。

 CH-53Kはアメリカ海兵隊へ開発されたもので、CH-53DやCH-53E重輸送ヘリコプターを置換えています。イスラエル国防軍は出来るだけ早い段階で機種転換を望んでいます、その背景にはCH-53D運用開始からすでに半世紀を経ており延命改修が限界となっている為ですが、どの程度の機数をどの程度の予算で導入か、こうした細部は決定していません。
■トルコ製アルマ装輪装甲車
 トルコ製オトカ-アルマ装輪装甲車をカザフスタンは採用する見通し、自衛隊の96式装輪装甲車もこのくらい走る鉄の箱という本質に立ち返ってほしいとも思う。

 カザフスタン軍は次期装甲車としてトルコ製オトカ-アルマ装輪装甲車の評価試験を開始した。オトカ-アルマは八輪式の装輪装甲車でトルコ国産初の機械化歩兵部隊用装輪装甲車、30mm機関砲塔を搭載している。カザフスタンでは旧式化したBTR-80装輪装甲車の後継車両を模索しており、比較的安価で地域的にも文化的にも近いトルコ製を注目している。

 オトカ-アルマ装輪装甲車は評価試験用車両が無償でトルコより提供されており、2月下旬からカザフスタンのカラガンダ州演習場において評価試験が行われている。主としてカザフスタンが重視するのは同国の厳しい気候条件で機関砲塔や駆動系が作動するかであり、マイナス32度の厳寒期から夏の砂漠のプラス55度までの温度環境で試験が行われる。
■LE TacCIS陸軍戦術通信
 富士通の装備がイギリス軍へ配備されるという。

 イギリス国防省は3月9日、タレスと富士通及びエアバス社との間で次世代のLE TacCIS陸軍戦術通信情報システム構築についての契約を締結しました。これは三社と共同開発をおこなうのではなく、タレスと富士通及びエアバス社の競争試作という形で、採用された方式の具現化について協力関係を締結するという複合的な開発計画を目指すとのこと。

 LE TacCIS陸軍戦術通信情報システムは高度に暗号化された大容量通信を複雑なサイバー戦環境下において同時多数の部隊通信を移動端末と中継装置とを複雑にかつ持続的に結び、部隊間で共有するもので、タレスと富士通及びエアバス社の競争試作は2023年から2024年までに選定を完了し、イギリス国内に合弁会社を設立、実開発へ移行する計画です。
■スペインEIMOS自走迫撃砲
 迫撃砲は簡便な火力投射装備という運用の枠を超えて精密装備化しなければ生き残れない時代となってきた。

 スペイン軍へ新型迫撃砲を提案するエクスパル社は新型のEXPAL-DUAL-EIMOS自走迫撃砲の発射支援を実施しました。これは3月3日にスペイン国内のカディス陸軍試験場にて実施されたもので、軽量戦術車輛に81mm迫撃砲を車載化したもので、従来の迫撃砲は卸下し射撃準備を行いますが、こちらは完全に自動装填と自動射撃が可能となっている。

 EXPAL-DUAL-EIMOS自走迫撃砲はVAMTACST5高機動車の荷台部分に81mm迫撃砲を搭載、TALOSC2通信システムを用いTALOS砲兵射撃統制装置と連接する事で、最大射程6.9kmにおいて毎分25発の射撃が可能となっています。迫撃砲は安価で簡便な火力という装備の代表例でしたが、今後は自走化により生存性を増す分、高価となるのかもしれない。

 EXPAL-DUAL-EIMOS自走迫撃砲には60mm迫撃砲型もあり、こちらは射程4.9kmにわたり毎分36発の射撃が可能という非常に高いものとなっています。VAMTACST5高機動車はハンヴィー高機動車や自衛隊の高機動車と同等の四輪駆動車輛で、行進間射撃は出来までんが迅速な陣地変換が可能、今回の評価試験にはスペイン海兵隊が協力しています。
■HQ-17AE防空ミサイル
 HQ-17AE機動短距離地対空誘導弾システム自走発射装置は長年兵見本市に並べられているだけの装備でしたが遂に採用されましたね。

 中国政府はロシアのトール地対空ミサイルと類似したHQ-17AE機動短距離地対空誘導弾システム自走発射装置の海外提供を許可したとのこと。FM-2000ミサイルシステムとして過去に開発されていたミサイルと共通点があるが、東風汽車公司製の車体は重量30t、全長9.7mで車幅3.7m、全高3.1mで、レーダーと垂直発射装置等を車体に内蔵しています。

 HQ-17AE機動短距離地対空誘導弾システムは形状こそトールと類似していますが車体部分は六輪式のベラルーシ製MZKT-6922輸送車両と類似した形状であり、トールが装軌式車両であるのに対し、路上機動性が高い点が挙げられます。ミサイルの射程などは不明ですが、画像などから停止から射撃までの時間を従来の中国製ミサイルよりも短縮化しました。
■JAGM統合ミサイル
 AGM-179/JAGMはソフトウェアさえ書き換えれば自衛隊のアパッチロングボウからも運用できるもの。

 アメリカ国防総省はAGM-179/JAGM統合空対地ミサイルについて2億0100万ドルの契約をロッキードマーティン社との間で締結しました。AGM-179/JAGM統合空対地ミサイルは陸軍と海兵隊及び海軍の装備するTOW対戦車ミサイルやヘルファイア対戦車ミサイル、マーベリック空対地ミサイルを一種類のミサイルで置換えるべく開発されていました。

 AGM-179/JAGM統合空対地ミサイルの射程は8km、高高度から射撃する場合にはこの射程は延伸されます。AH-64D/E戦闘ヘリコプターによるミリ波レーダー誘導やAH-1Z戦闘ヘリコプター及びOH-58観測ヘリコプターとMH-60R多用途ヘリコプターからのレーザー誘導が可能で、MQ-9無人攻撃機や将来的にはF-35戦闘機への搭載も予定されています。
■米陸軍のISV歩兵機動車輛
 自衛隊のパジェロもある意味この発想の先を行っていた構図ですね。

 アメリカ陸軍はISV歩兵機動車輛のユマ試験場における評価試験を本格化させました。ISV歩兵機動車輛は軽歩兵部隊の機動用車両で歩兵9名と携行品を輸送する、非装甲のソフトスキン車で、元々アメリカ陸軍は軽快なハンヴィー高機動車を多用していましたが、後継車両が大きくなり過ぎた為、軽量の新型車両を新区分の装備として開発したかたち。

 ISV歩兵機動車輛は民生車のシボレーコロラドZR-2と車体部分の70%を共通化し製造費用を抑えているとともに車体部分は扉などを有さないフレームのみの軽量構造で、ヘリコプター空輸を意識した装備となっています。エンジンは2.8lターボエンジンで六段自動変速機を搭載、外見は特殊部隊車輛の様相ですが運転は市販車並みに容易、しかし堅牢という。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【G3X撮影速報】岐阜基地にUFO?-UFOアメリカ国防総省公式発表の陰で(2021-04-19)

2021-06-13 20:21:54 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■UFOの正体見たりF-15
 小松左京ファンにはCOVID-19と”復活の日”を並べると共に今度は”見知らぬ明日”を並べるべきなのかな。

 銀色の飛行物体が、輸送機とは思えないような機動で飛行していた、とはC-1輸送機の機動性をほめたたえるものですが、岐阜基地の滑走路を正面から離陸の様子を撮影できる構図を探しますと、仕上がった写真がアダムスキー型UFOに見えなくもないものと出会う。

 UFO画像、アメリカ国防総省が2021年5月に入り、2020年頃からWebに配信されていた未確認航空現象動画をアメリカ軍が撮影した実物画像であると認め、あのコンドン委員会以来のUFO公式発表であるとして話題となっています。来たかUFO,という受け留め。

 見ました・・・、見たんです・・・。これは有名な映画"プレデター"の台詞ですが、世の中には確認せずUFOをみた、という方が居ます。アンアイデンティファイドフライングオブジェクトは確認してしまうとUFOの定義からはずれるので当たり前と言えば当たり前なのです。

 航空機ではないか、もちろんアメリカ国防総省の画像はIRSTのノイズのような印象を受けるものがありましたが、日本で目撃されるUFOの大半は航空機の誤認なのだろうな、という。着陸へ向かう航空機を正面から見ますと、これかな、と思うことはあるものですね。

 アダムスキー型UFO、F-15なんかは真正面から着陸灯とともに観ていますと、あまり戦闘機と云いますか航空機に関心の無い方にはUFOに見えるのかもしれないとおもったりするものですが、ベタな話ですとE-2CやE-767が旅客機と空飛ぶ円盤、に見えるのかも。

 見間違えた原因というものについて。自衛隊基地や飛行場周辺にUFO目撃は、とその昔にUFOテレビ番組が、あれはわかって居てみているとおもしろいのですが、番組構成されていまして、一瞬見えてそして消えるという。確認しないと謎の発光飛翔物体なのでしょう。

 おそらくそれ、着陸灯です。機体によってはライトは二つ並んでいますし、なにより指向性の高い灯火ですので、機体に対し正面の角度でなければ見えません、離着陸の際は航空機の角度は絶え間なく変化していますので、空中の物体が、一瞬見えて消える、のですね。

 守山駐屯地から岐阜基地航空祭予行が見えた事もあり、視程にもよりますが、航空機の機影よりライトが遠くまで見えるのでして、空港そのものよりも空港の方角、という認識、距離が大きければ音も響かず、航空機と認識できない距離、といえるのかもしれません。

 見ちゃった、見ちゃった。これは有名なアニメーション"氷菓"の台詞ですが、みたものの方角を近づいて居行かなければしっかりと確認できません。基地や空港周辺にUFOとテレビ番組、最近はめっきり減ったが、おもしろおかしく構成しましても、当たり前ですが一つ。

 空港や基地周辺には航空機愛好家が日夜高性能機材で航空機を撮影して要るもので、好事家がUFO投稿撮影に用いる機材より高性能な機材が複数待ちかまえ、そんなところにUFOがよく飛来するならば航空ファンや航空情報にJウイングの投稿写真コーナーに出る筈で。

 なにしろUFOならばF-15やF-35よりも珍しいのでそうした写真であふれているでしょう、基地の近くでUFOを撮ったというUFO番組でも基地に隣接して撮影している方々は見ていない、これが現実という。そしてこの着陸灯、誤解させる条件はそろっているようにも。

 着陸灯、着陸の際に車輪とともに機体から展開する灯火を遠くから望見しますと、これを確認しない人たちはロマンとともにUFOと識別しているのかな、こう思う次第ですね。あ、二つに増えた、とか思ったりしましても良く確認すると戦闘機だと分かるものなのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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