ときどき『罪と罰』を読んでいる。そして、登場人物の相関図などをノートに書き出し楽しんでいる。長い名前や言い換えの名前が頻出するが、ノートに書き出すと一目瞭然だ。そして、まだ第一部を読み終えたところだが、今まで何回か読んで(完読できなかったが)いたのに、はっとする新しい発見がいくつもあった。
つらつら考えるに、前期高齢者になって初めて上梓した縄文小説を書くことで、文章を書く技能が向上し、少し視点が変わったからかもしれない。あるいは、比較するにもおこがましいが、ドストエフスキーさんと同業者になったからかもしれない(笑)。
実は、私は国語に対するちょっとした劣等感があった。それは、小学校のころ形成され、中学校のころ(中学二年で5点評価で2であった)に決定的になった。その後、高校、大学と不思議に理科系的志向から文科系的志向に変わって行ったのだが、それでも劣等感は根強かった。ただ、社会人となり、就いた職業の関係もあったのだろうか、少しづつ解放されてきたように思う。
劣等感は、こつこつと小さな技能を習得することから解放されるようだ。エリクソンの人格形成理論通りだ。小説を書くことも、約10年前から始めたブログ書きと無関係ではないだろう。こつこつと積み上げることは、単に技能の問題だけでなく、自分でも見えにくい劣等感をとらえ解放する力になるようだ。
そして、こつこつとやっていると、突破口が不思議に恩寵のように開かれる。道が開け、つまらない劣等感から解放される(劣等感自体は貴重なエネルギーだが)。
『罪と罰』を丹念に読み人物の相関図をノートに書き出し始めたのもそれだ。
私の縄文小説は、いくつも問題があるのだが、登場人物が多くてわかりにくいというご批判を、よく頂いた。それで慌てて相関図を作ったりして読者に提供したりしているが、ある方から自分で相関図を作りながら私の本を読んだというお話しを聞いて驚いた。それも読書の一つの技能なんだと思った。それゆえに、世界の名著を完読していないという私の劣等感は、この技能向上と共に解消するかもしれない。
写真は須佐神社の杉の古木、1000年以上の樹齢だそうだ。
新しい体験 8/10
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森 裕行 | |
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