この一週間くらい、あれこれ時代の変わり目に関する歴史の勉強をしているが、人間集団のもつ文化について考えさせられた。異文化との出会いは様々な軋轢を生み、それが新たな地平線を開くこともあれば逆に悲劇を生んだりもする。そんな中、自分にまつわる事例をあらためて考えてみた。
私は7歳の時にアラスカに1年弱暮らした経験がある。そして、当時の西欧風のキリスト教をベースとした文化に触れたが、一度取っ組み合いの喧嘩をトリンギット族の血筋をひく少年としてしまった。北米のネイティブは後期旧石器時代に日本列島を含む東アジアのホモサピエンスから例えば1.2万年前に分かれ、ベーリング海を渡りアラスカに辿り着く。そんなことで、遺伝子的にはかなり近いトリンギット族の子供と遭遇したのだった。そして、私は当時熱狂していた相撲の技で対戦したが、相手の思い掛けないボディーブロウであえなく敗退した。戦い方が違うのがとても印象的であった。それはその原因も含めちょっとした文化的悲劇であったが、それっきりで、へんな虐めを受けなかったのは幸いだった。
もう一つ。私の祖父の兄は明治時代に教員となり、若くして下関条約で日本の領土となった台湾で教育活動を始めた。ところが、現地のネイティブの襲撃を受けてあえなく遭難死を遂げてしまった。兵児帯の一部が遺品として届いたという。台湾は南西諸島の延長線上にあり、恐らく遺伝子的には北米のネイティブ以上に近いと思われる。しかし、その倫理道徳をはじめとする文化は当時の明治政府下の日本と異なり、結局悲劇を産んだのだと思う。人の集まりである集団は、それぞれの環境や歴史の中で独自の文化を育む。当然ながらその倫理道徳・価値基準は短時間に大きく変貌することもあるのだろう。それは、人の集団でもそうだが、人そのものでも同じである。
人の過去・生育史は、それぞれの時代・環境によって、同じ身体を持つ人であっても違うものである。そして、とかく自分の生育史については唾棄すべきものとしてしまいがちだ。時代や文化が何となく、その人の倫理道徳的なものを産み。それに照らして自分を制する。もちろんそれが良いことも沢山あるのだが、自分の生育史の評価を厳しくしすぎ、受け入れずらくしてしまう。そして、自分の生育史を受け入れることが出来ないと、同じような事例が生じるとまた繰り返して問題を起こすことがある。生育史は自分の一面であり受け入れることができないと、自己否定や他者否定につながり自暴自棄になりがちだ。自分の道を見つけイキイキと生きるためにはつまらないことである。
では、過去・生育史を受け入れるためにはどうしたらよいか。生き甲斐の心理学を学ぶということも必要だと思うが、知らなくてもどうどうと自分の道に生きている方も沢山いらっしゃる。一つは人間を根の部分で信じる事ではないかと思う。性善説というと分かりやすいかもしれない。そして、その上で様々な文化というか倫理道徳というか、そういうものがあることを認めることが大切だと思う。さらに、何を言っても批判せずに聴いてくれる友をもつことも大事だ。倫理道徳等のコルセットで自分を締め上げるのは必要なことも多いが、コルセットをゆるめ自分のありのままを認めることは、生育史を受け入れることに通じる。特に、自分では気づきにくい無意識の世界もあるので、傾聴の友は本当に大事だと思う。
それから、私の場合だが気になっていることを、その関係者が近くにいれば、気楽に訊いてみたり、あるいは気になることを書き出して、それをネットで調べるなりして確かめることも解決に繋がると思う。さらに、U先生に教えていただいたが、今の世の中便利になり、自分史年表などが市販されていたりネットで公開されていたりする。こういうものを読みつつ、気楽に親しいひとと語り合うのも、自分の文化を知る上で貴重だ。生育史に関心を持ち楽しむことは大事だ(触れたくないところは後回しにするのも大事)。
新鮮な生育史 2/10
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森 裕行 | |
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