先日の北海道旅行は思い出深いものであったが、その中でも洞爺湖に近い入江貝塚公園はとても印象的であった。15日の午前10時過ぎに到着したのだが、温かい日差しの中で公園には近くの保育園からの可愛い子供で賑わっていた。
この入江貝塚は、縄文前期の終わり頃から縄文後晩期までの遺跡であり、特に私が昔から興味をもっていたのは、約4000年前の20歳弱と考えられる女性の遺骨が貝塚から見つかったことで。恐らくポリオに思春期に罹り、それ以降10年くらいだろうか寝たきりとなって介護されて生き抜いたことが遺骨から分かったのである。
縄文時代の死生観は、特に縄文中期は中央広場の墓地を囲むように村の住居が並んであり、死者と隣り合わせに住んでいたことや、後晩期になっても配石遺構や周堤墓などの状況から、死者を丁寧に埋葬したり、祈りの空間を大切にしつつ、死者の魂を大切にしていたことが見えてくる。
縄文時代はもっと死が身近で、ちょっとお隣に死者・魂がいるという感じだったように思う。そもそも平均寿命が短く、日常的に人の死があふれていたし、漁労や狩猟などを通じ動物の死もあふれていたのであろう。
入江貝塚公園には保育園の子供あふれ、私もマスクをしつつも一緒に子供と楽しい会話をしたりするなかで、何か時空を越えた喜びというか希望がふつふつと湧き起こってきたようだった。私の魂が喜こび、入江貝塚の縄文時代の祖先の魂も一緒に喜んでいる感じがしたのである。
この数日、自分の真善美に関わる感情の世界を思索しているが、入江貝塚公園での体感は、私のさまざまな善意の原形と重なっていることに関係しているようで、興味深いことであった。高齢者となり自分の死が近づく中で、このような体感を得ることは貴重だと思う。
(自己実現、今も昔も 4/10)
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