前回ブログの手帳の外に「一年の計」が30年分近く残っている。これも興味深い研究対象だが、今日はこれを理想という領域を中心に考えてみたい。
過去の「一年の計」。後から考えるとその当時の意識対象がわかると同時に、その年に何があったかがわかっているので。どのような「一年の計」が良くないか、そして良かったかが見えてくる。
社会的に第一線で働いていればやむをえないかもしれないが、上司からの仕事の目標のようなことばかりだったり、目先の難問に心が奪われている時。つまり自己実現の道(お金や名誉ではなく、自分の個性を見出し悔いのない人生を歩む)が定かでない時は危ない。私が酷いめにあった年だったのだが。結果として耐えられて前向きな人生に転換できたのは、その時の一年の計の中に、古典の良書を読むという計があって、それゆえに助かったと思う。「何のために生きているか」忙しいのに間の抜けたように見えてしまうこの自問自答はいざというときに絶大な力となる。さらに、この自問自答を意識した計が入っていると全体がしなやかになり、自己否定や他者否定に傾いて泥沼に陥らなくなる。
「一年の計」の中に、自分を大事にするとともに他者を大事にするということが入ってことも大事である。自分の身体や生育史を大事にすること(単純に健康だけでなく経済的な基盤の問題もある)、そして今の時代忘れがちだが魂を大事にするという宗教や哲学の領域もだ。魂というとすぐオカルトのように考える人も多いが、欧米の大学で真面目に研究している領域だ。
最後に「生き甲斐」の計だ。五感で体感でき、真善美の領域とも重なる領域ともいえる。「生き甲斐」は死の直前まで持ち続けることができるといわれている。仕事と「生き甲斐」が直結する幸せ者もいるかもしれないが、いろいろな制約のなかで「生き甲斐」を大事にした人も大勢いる。小説家や芸術家など今の時代なかなか経済的に大変だが、ダブルワークなどで食いつなぎながら大きな仕事に結び付けた方もいらっしゃる。
以上、自分の「一年の計」の要領を反省をもとに書かせていただいた。
さて、縄文時代の祖先はどうだったのだろうか。文字のない時代だったので詳細はわからないが、遺物や遺構から考えると、縄文時代の祖先の「一年の計」もしっかりあったのではないかと推定できる。夏至や冬至を意識した環状列石のような遺構もあるのでまず一年の計なるものは文字化されないまでも語り合ったことはあるだろう。気候の冷涼化や自然災害などで人口が減った時代でも、文化が消滅することなくますます豊かになっていくような不思議な現象が縄文後期や晩期にある。有名ではないが美しい堀之内式の深鉢や注口土器や土偶。晩期の漆製品や遮光器土偶など。
後期や晩期には今の時代に通じる自然災害も当然あり、ひょっとしたらバンデミックもあったかもしれない。それにも関わらず残された芸術性豊かな高度な技術に裏打ちされた作品。これを社会的進化や階層化と結びつける学説もあるが、私はそうではなく精神性、宗教性に結びついた文化活動の結果だと想う。ひょっとしたら今の時代のように不要不急ということで芸術活動が制限されることがなかったかもしれない(笑)。
最後に一年の計(自己実現)のポイントをまとめてみよう。①何のために生きているかを考える。②生き甲斐を考える。③自分の身体、心、魂を大事にする。以上の要素を忘れないことが大事なようだ。
3/10 年末年始に理想と現実を考える
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