自分を大切にするとは何か?結構難しい問題であり大事なはずだが、体系的に習う機会は少ないようだ。そんなことを言う私も、自分を大事にすることを深く考え、実践しだしたのは生き甲斐の心理学を学び始めてからで、せいぜい15年くらいである。
テレビを見ていると、身体の健康情報にあふれている。確かに身体を大事にするのは大切で日本中でコンセンサスがなされていると思う。
次に自分を大切にするといっても、自分だけのエゴイズムに陥るのではなく、他者や環境も同じように大切にしようということがある。伝統宗教やきちっとした哲学者はそのことをよく語る。盆や正月になれば、聖所で手を合わせことは、今の日本でも普通にあるが、自分の魂(単なる肉体だけでなく死んでも残る何か)を大事にすることと関係が深いと思う。
そして、もう一つ心理学が対象とする領域がある。自分の生きてきた個人史、生育史だ。
日々の生活の中である嫌なできごとに出会うと、その出来事に重なって自分の過去のできごとの記憶が蠢き、過度に感情を高ぶらせたり、判断力を奪ったりすることがある。ただでさえ嫌なことが今あるのだから、過去の出来事で加速されれば誰でも過度の防衛機制を働かせてしまう。
自分の過去の生育史で起こったできごと。それはある意味動かしがたいことである。しかし、そのできごとはその時の自分の解釈(例えば6歳の時の解釈)からの感情と強く結びついている。そして、その解釈が変われば、缶詰の中にあった感情は解き放たれ、明るい感情に変わったりする。そして、あのことを経験したから今の自分があったのだと、肯定的に出来事を捉えられるようになる。
この年になると、利害関係から離れて友人や親しい人と過去を楽しく語り合ったりするが、その語らいの中から、過去の新事実が判明して(自分の解釈が偏ってい)嫌だったと感じたことが雲散霧消したという経験が増えてくる。皆さんはいかがだろうか?
この領域は、結構自分の幼い頃とか青年時代といった人生のはじめの頃の思いこみが多い。そして、生き甲斐の心理学を学ぶとこうした時代の出来事に関心が深まり、そして解釈を変えて重荷が少なくなる経験を積み、生き方も健康になってくる。
こんな風に私は自分のこころ=生育史の発掘作業をやってきたが、この作業をやってくるうちに自分に影響を与えた両親、祖父母、曾祖父母といった過去の歴史にも興味が湧いてきて、ついに縄文時代にも深い興味を持つに至った(笑)。
コロナ禍で日本の自粛文化がは特異なんだと知りその功罪が気になるが、私の祖父母は東日本、西日本と文化的に違っていたりして日本列島の中の文化の差も気になる。そして、若い頃など東京育ちの私が大阪で営業を経験し文化の差を感じたりもした。何でそうなったのか?意識すると好奇心の渦に巻き込まれる。
さて、先日函館の函館縄文文化交流センターを訪れることができた。著保内野遺跡の国宝中空土偶を見ることが主な目的であったが、見学の中で驚くべきことをいくつか発見した。深謝である。その一つ。漆製品は今まで鳥浜遺跡、東名遺跡、東北・・・いろいろな所で見る機会があったが、漆糸は初めてだった。しかもこの漆糸は世界最古でAMSで9000年前であることが立証されたようだ。
漆糸については前から聞いてはいたが、現代に伝わっていなかった漆の利用方法で、その重要性についてはあまり意識していなかった。自分の生育史を大事にすると言ったときにも、自分の当時の真実の理解や解釈を妨害していたのは移ろいやすい世の中の常識や倫理観だったりした。漆糸もそれに似て私の中では、デザインとか在る領域では興味あることかもしれないが、所詮廃れた技術と思っていたことがあった。
歴史も生育史が常識や倫理道徳の影響で変に解釈するがごとく、その時々の歴史観によって強く影響を受けていたように思う。縄文時代も私が学生のころは原始人と言った感じで真面目に勉強する雰囲気ではなかった。また、今でも相当見直され批判されている進歩史観で真実が歪められているように思うこともある。脳科学的には数万年前から人類の脳は殆ど変わっていないと言われているので、縄文時代の遺物の中には現在の私たち以上の芸術や自然理解の証拠があっても全く不思議ではないと思っている。漆糸は何だったのか?単なる装飾品の一つ以上の小宇宙があったのではないだろうか?漆糸製品を身につけた人の埋葬。そこには何か普遍的な真善美が隠れているようにも思う。もっとめがねを外して(それだと私は見えないが(笑))謙虚に考える必要があるようにも思う。
(自己実現、今も昔も 5/10)
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