特定秘密保護法案の国会審議が数日前にはじまった。
ところが朝日新聞ではこの法案に反対の社説が出たり、記事がでているが、全体的にはその反対の世論が強くはない。しかしこの法案は危ない。
確かに、私たちはテロにも加担しないし、あまり外交にも防衛にも関係しない。それでどうも私たちとまったく関係のないことだと考えがちである。
ところが秘密の範囲の指定とかはあまりはっきりしない。これは国会審議においても国会での質問に答える答えも抽象的であることが報道されている。
それが実際にそれがいったん国会の審議で法案が成立したとなるとなんでも特定の秘密に該当するという恐れは十分にある。
だって、明確に議員の質問に答えられないくらいだが、ときの政権として国民に隠しておきたい自分にとって都合の悪いことはなんでも秘密となる可能性が十分にあるから。
担当大臣とか自民党の議員とかからいろいろ北朝鮮による拉致情報なども秘密事項にあたるとか、TPPの事項は秘密になるとかいう発言がすでに出てきたりしている。
こういう風であれば、拡張解釈されてなんでも秘密とされる恐れがある。そして、その国民に隠された交渉事とかがその当面のみならず、永久に秘密にされてしまう可能性がある。そしてその真実を取材した、マスコミの記者が罪に問われることは起こりうる。
だが、本当には何が国民の利益かは国家が決めることではない。だが、そういうことが極めて起こりそうである。外交上すべてをその場で公表することはできないかもしれないが、それは未来永劫ではないし、自ずから限界をもっているはずである。
だが、その限界を自らが設定する権限をもっており、それを明らかにしないということであれば自ずから行く先は決まっている。恐ろしい社会となり、言論が制限されることになろう。
国旗国歌法が制定されたときにはこれを国歌や国旗を忌避したいと思っている人の内心の自由までも束縛するものではないとの国会で政府の答弁があったと思う。
現在では学校の卒業式等で君が代を実際に歌っているかどうかを教師の口元を、教頭に確認させるとかまで言われている。そして、本気で歌っていないならば、懲戒処罰の対象にするという話までになっている。
私自身はあまり君が代とか国旗にそれほどアレルギーのない方だが、それでも他人のそれを厭う人の気持ちを尊重したいと思っている。国歌や国旗を厭う人にはそれなりの理由がある。
なんでも世の中では連続的につながっており、なかなかここで突然断絶的に変化したと捉えることが難しい。それが恐ろしい。
もっとも私などは年だから、この特定秘密保護法案に影響されることはあまりないであろう。だが、後世のことを思えば、とても大きな過ちを国家と政府が犯したことになると思う。
安倍政権のまたは自民党の新自由主義政策の危うさがまずこういう形で出てきた。それは前の衆議院選挙と参議院選挙の国民の選択の誤りを示してる。