数学のわからなさをいつも嘆いているのは私だが、授業で数式を多く使うのでいつも数学がわからないと言われる。微分方程式を解いたり、フーリエ級数展開したりとか複素積分をしたりするのが、難しいといわれるのならそれはわからないでもない。
ところがそんな難しいことはやっていないで式をある文字について解いたり、それを別の式に代入したりしているだけである。どうして難しいのだろうか。文字が沢山出てくるという非難もあった。これは面倒な式をある文字で置き換えて計算の筋を分かりやすくするためにしているところもある。それは長年計算をやっていると自然に出てくる知恵なのだが、そういう意図がわからないとなんだが沢山文字がどんどん出てくるとしかわからないようである。
どうも中学校程度の数学が十分に出来ていないのではと思われるのだが、まさか中学校の数学が駄目ですねといっても始まらない。
微分も積分も説明をして使ったが、そのときは説明をなるほどと納得してもらったし、やさしいとも思ってくれたようである。しかし、そういう風な説明している類書がないので、結局わからないらしい。
インドや中国の若者は一生懸命、数学や物理を勉強しているのに「日本の若者のなんとひ弱なことよ」と思ってしまうが、そういう私だって若いときに数学をよく勉強したわけではない。確かに微積や物理数学の演習問題を解くことは一生懸命にやったが、それとて湯川、朝永の比ではまったくない。だからたいした学者にもなれなかったともいえる。そもそも研究者たりえたのかどうかが疑問である。
そしていままだ初歩的な数学に悩んでいる。でも思うことだが、遠山啓さんではないが、学問は本当に一部の人のことだが、教育はもっと広範な人々に関係している。そういう人々のために、分かりやすいテキストを書くというのは本当はとっても大切なことなのだ。