物理と数学:老人のつぶやき

物理とか数学とかに関した、気ままな話題とか日常の生活で思ったことや感じたこと、自分がおもしろく思ったことを綴る。

量子力学

2005-06-17 15:08:49 | 物理学

田舎の大学だけれども、私は35年以上量子力学を教えてきた。

数学もその量子力学を理解しようとした範囲内で勉強してきた。工学部で教えてきたのだが、他大学はわからないが、私の教えた大学ではあまり熱心な学生にはいくつかの例外を除いて出会わなかった。

いま話題としているのは学部段階のレベルの初歩的な量子力学である。それより高等な話はほとんどない。でも、数学のいろいろな疑問が出てきたりして、体系としての数学ではなく、その数学の断片的な知識が必要とされた。そういう過程から、『数学散歩』(国土社)が出来上がってきました。

今日は量子力学の講義でトンネルダイオードの話をしたのですが、その準備で少し半導体のことを木下是雄先生の『物質の世界』(培風館)で勉強してみました。あまり、半導体は勉強する機会がなかったことですが、結構面白いですね。これは木下さんの書き方がいいのだろう。

もっとも、電気電子の学生でもここに書かれているようなことを知っているのかどうかは疑わしい。4回生くらいになると、多分もっと知っているのでしょうが、相手が2回生ですからどうもはじめてみたいな顔をして聞いている。

もっとも、私自身が学校であまり半導体のことは習っていない。大学に勤めるようになって一夏かかって学生実験のテキストを書いたことがあり、そのときに少し勉強したがあまり日ごろ使わないので忘れてしまう。そこらあたりが専門家と専門でない者との違いでしょうか。

量子力学といっても、偏った量子力学で、大学の理学部で学ぶ一般の量子力学とは言いがたい。でも、1時期うんざりしたことがあったが、その1時期を除いて、いつも新鮮な気持で授業に取り組んできた。学生からの評判はとても悪くて落ち込むことのほうが多かったが、それでもくじけずにやってこられたのは、ひとえに量子力学の奥深さと面白さによるものだろう。

昨年の講義が最後と思っていたが、事情で今年だけ非常勤講師をしている。今年はあまり黒板で計算はせずに主な内容を説明するという方式をとっている。はたして評価はどうだろうか。楽しみである。