『新しい解析入門コース』(日本評論社)を読んで見た。とはいっても今日手に入れたばかりである。そしてそれも数十分見ただけの印象であるから、多分間違っているかもしれない。
著者は堀川穎二さんで私よりも8歳も歳下の数学者の方であるが、惜しいことに2006年に亡くなられている。この書は経済学者の小島寛之さんがアマゾンコムの書評でほめられていたので、関心をもって購入したものである。
内容として章のタイトルだけをあげておく。
第1章 テイラー展開
第2章 級数
第3章 偏微分
第4章 積分
第5章 無限積分
である。この章のタイトルを見ただけでこの本がただならぬものであることが感じられるであろう。
この書の特徴は論理的厳密さを積極的に放棄して得られる、自由度をフルに使うという趣旨でできた書という。そういう考えに数学者が立てたということに驚きがまずある。もちろんそういう立場に立てる数学者は少ないのだから、かなりの冒険心のある方と見た。
中身も補間法だとかラグランジュ乗数法だとかウォリスの公式の発見法的な導出だとか他書ではあまり扱われたことのない、トピックが取り扱われている。
それにもかかわらず、やはりこの書は数学者の書かれた書であるという感を強くした。いい意味でも、悪い意味でも。もし私たちのような非数学者が書くとすれば、もうすこし具体的な計算が主となる書となるであろう。だが、こういう知的な冒険をされた堀川さんにもう亡くなってはいるけれど敬意を表したい。