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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

内田忠男(国際ジャーナリスト)講演会

2010-04-29 23:59:59 | 講演・講義・フォーラム等
  一時期TVのワイドショーのキャスターも務めた内田氏だが、70歳になる今も少しも衰えを見せることなく、豊富な取材経験をもとに世界経済を明快に歯切れよく語ってくれた。

              

 今年6月札幌市で開催される「日本APEC貿易担当大臣会合」を記念してのシンポジウムがあり、内田忠男氏が「激動する世界経済と我が国の展望」と題して基調講演を行ったのを聴くことができました。

        

 内田氏の講演の内容をまとめると…。
 2008年のリーマンショックによって、世界は同時不況に陥った。
 しかし、現在は最悪の状況を抜け出した段階にあるのではないか。
 世界各国、特にBRICs諸国は軒並み二桁の経済成長を見込み、日本も最大1.9%の経済成長を見込んでいる。

 世界同時不況をもたらした最大の要因は経済のグローバル化にある。
 世界経済がグローバル化した要因は、①冷戦の終結、②インターネットの普及、であるが、グローバル化によってアメリカが一人その果実を得るに結果となった。

 そのことが結果として、市場原理主義、競争至上主義の考え方が世界に広がった。
 新自由主義なる言葉が踊り、金融工学などという新語が生み出され、マネーゲームがアメリカを中心に広がった。
その結果としてサブプライムローン問題が生起し、リーマンブラザーズの破綻に繋がったのである。

 世界は今、リーマンショックに学びふたらしい経済秩序が生まれようとしている。
「出口戦略」ということもその一つであり、市場を暴走させないためのさまざまな工夫や取り組みが始まっている。

 そうした状況の中でのAPEC(アジア・太平洋経済協力会議)の動向は世界経済に与える影響力が非常に増している。というのも、APECに集う20の国と地域の総GDPは世界の52%、貿易額も世界の44%を占めるにいたっている。もはやG7で正解経済を律することが難しくなってきている状況にあって、APECの果たす役割が非常に大きくなっている。

 日本の経済の実状は、1968年にアメリカに次いで世界第2位の経済大国となって以来その地位を守ってきたが、ついに今年度その座を中国に明け渡す状況になっている。
 そうした中で日本は現在、970兆円もの財政赤字を抱えている。この数字は日本の名目GDPの2倍という大きな数字である。
 こうした赤字を抱えながら、現政権は赤字解消どころかさらに国債を発行し、財政赤字を増やそうとしている。
 さらに昨年末に出された緊急経済対策のお粗末さには開いた口が塞がらない思いである。
 いったいこの国の財政が健全化されることはあるのだろうか?

 以上のような内容を内田氏は実に歯切れ良く、解り易く語ってくれました。
 私のかなり大胆なまとめもありますが、大意においてそれほど誤りはないのでは、と思っています。
 講演を聴き、世界の経済の現況を改めて認識することができ、またその中での日本の経済の危機的状況についても理解することができたと思っています。
明日は、この講演の後に行われてパネルディスカッションについてレポートします。