ロシアの大統領選挙で予想どおりプーチン氏が返り咲いた。このことによって日ロ関係はどうなっていくのか?現役の外務官僚である欧州局長の小寺次郎氏がその見通しを語ってくれると思ったのだが…。
3月30日(金)京王プラザホテルにおいて「北海道で考える北東アジア国際シンポジウム」が開催された。テーマは「ロシアの新しいリーダーと極東戦略 ~北東アジアにおける日ロ関係を展望する」というものだった。

外交問題はそれぞれの国の国益のための交渉事であるから極めて政治的な側面が強い。特に日ロ間においては四島の帰属問題というデリケートな問題が横たわっている。
その交渉の最前線にいる外務省欧州局長の小寺次郎氏の講演とあって、どのようなことが聞けるのかと多くの関係者、市民が集まったが、私も興味津々であった。
しかし結論から言うと、小寺氏は何も語らなかった。
氏が語ったのは、ロシアの現状を整理して述べただけであった。それはある意味当然だったのかもしれない。現役の官僚が自らの思いや予想などを語るはずがない。
ましてや最前列には在札幌ロシア総領事が外務官僚の発言を一言も聞き逃すまいとして鎮座しているのだから…。
そこで本日のレポートは小寺氏が整理して語ってくれたロシアの現状についての主な点について紹介することにする。
今回の大統領選でプーチンは63%の得票率で当選したが、昨年12月に行われた下院選挙でプーチン率いる統一ロシアの得票率49%から見ると、かなり国民の信頼を回復した数字と見ることができる。
このことは、不正選挙と批判のあった選挙の仕組みを改めたこと、国民が関心を寄せる公約を広く周知したこと、プーチンに代わるような人物がいなかったこと、などによって支持率が回復したと分析した。
そこで今後のプーチン政権については、支持率は今以上に伸びないだろうが今後も安定した政権運営がなされるだろうとの見方を示した。

プーチン政権の今後の経済、外交政策の見通しについて、経済面では①資源依存体質からの脱却を図り、製造業を重視するだろう。②欧州偏重からアジアに目を向けてくると思われる。③労働力の減少のために外国人労働者が急増している問題の解決を図るだろう。などという点について述べた。
また、外交問題については①ソ連邦崩壊後もロシア国民の間には米国と対等であるべきとの思いが強いが、そのことを背景に強いロシアを意識した発言、態度を取るだろう。②対日政策では北方領土問題とは直接結びつかないが、アジアの窓としての日本、技術力の高い日本を重視する姿勢を取ってくるとみられる。と述べた。
そして肝心の北方領土問題については、ロシアが譲歩するという明らかな兆候はない。この問題についてはあせらず、あわてず、あきらめず、冷静な対応が必要と述べただけだった。
この後会場との質疑があったが、質問はやはり北方領土問題に集中した。
しかし、小寺氏はやはりこのデリケートな問題については慎重だった。「外交は国民のコンセンサスを色濃く反映するものである」と述べるに止まった。
シンポジウムはこの後、三氏によるパネルディスカッションに移った。こちらも興味深いものだったので、明日後編としてレポートすることにします。
3月30日(金)京王プラザホテルにおいて「北海道で考える北東アジア国際シンポジウム」が開催された。テーマは「ロシアの新しいリーダーと極東戦略 ~北東アジアにおける日ロ関係を展望する」というものだった。

外交問題はそれぞれの国の国益のための交渉事であるから極めて政治的な側面が強い。特に日ロ間においては四島の帰属問題というデリケートな問題が横たわっている。
その交渉の最前線にいる外務省欧州局長の小寺次郎氏の講演とあって、どのようなことが聞けるのかと多くの関係者、市民が集まったが、私も興味津々であった。
しかし結論から言うと、小寺氏は何も語らなかった。
氏が語ったのは、ロシアの現状を整理して述べただけであった。それはある意味当然だったのかもしれない。現役の官僚が自らの思いや予想などを語るはずがない。
ましてや最前列には在札幌ロシア総領事が外務官僚の発言を一言も聞き逃すまいとして鎮座しているのだから…。
そこで本日のレポートは小寺氏が整理して語ってくれたロシアの現状についての主な点について紹介することにする。
今回の大統領選でプーチンは63%の得票率で当選したが、昨年12月に行われた下院選挙でプーチン率いる統一ロシアの得票率49%から見ると、かなり国民の信頼を回復した数字と見ることができる。
このことは、不正選挙と批判のあった選挙の仕組みを改めたこと、国民が関心を寄せる公約を広く周知したこと、プーチンに代わるような人物がいなかったこと、などによって支持率が回復したと分析した。
そこで今後のプーチン政権については、支持率は今以上に伸びないだろうが今後も安定した政権運営がなされるだろうとの見方を示した。

プーチン政権の今後の経済、外交政策の見通しについて、経済面では①資源依存体質からの脱却を図り、製造業を重視するだろう。②欧州偏重からアジアに目を向けてくると思われる。③労働力の減少のために外国人労働者が急増している問題の解決を図るだろう。などという点について述べた。
また、外交問題については①ソ連邦崩壊後もロシア国民の間には米国と対等であるべきとの思いが強いが、そのことを背景に強いロシアを意識した発言、態度を取るだろう。②対日政策では北方領土問題とは直接結びつかないが、アジアの窓としての日本、技術力の高い日本を重視する姿勢を取ってくるとみられる。と述べた。
そして肝心の北方領土問題については、ロシアが譲歩するという明らかな兆候はない。この問題についてはあせらず、あわてず、あきらめず、冷静な対応が必要と述べただけだった。
この後会場との質疑があったが、質問はやはり北方領土問題に集中した。
しかし、小寺氏はやはりこのデリケートな問題については慎重だった。「外交は国民のコンセンサスを色濃く反映するものである」と述べるに止まった。
シンポジウムはこの後、三氏によるパネルディスカッションに移った。こちらも興味深いものだったので、明日後編としてレポートすることにします。