田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

映画 123 ウォーダンス/響け僕らの鼓動

2015-01-20 20:45:04 | 映画観賞・感想

 ウガンダ内戦によって全てを奪われ難民となってしまった子どもたち。そんな彼らに生きる希望を与えたのは、伝統の音楽と踊りだった…。生きる希望を音楽と踊りに懸けた子どもたちを追ったドキュメンタリーは十分な訴求力のある映画だった…。 

               

 ウガンダというとアフリカ大陸の中央の東部に位置する国である。人口約3千4百万人、面積は日本の約3/5という国である。この国はイギリスからの独立以来政争の絶えない国で、映画では2003年以降の内戦によって難民となり6万人以上が暮らす北部ウガンダのパトンゴ難民キャンプの子どもたちに焦点を当てたものだった。

 1月17日(土)午後、札幌国際交流会館(リフレサッポロ)において、函館市に本拠をおく北海道国際交流センターの主催による「『ウォーダンス/響け僕らの鼓動』上映会 & ウガンダNGO視察報告」の集いが催され参加してきた。

 映画は内戦において虐殺を繰り返す反政府軍によって肉親を失った子どもたちへのインタビューから始まる。彼らの深い悲しみに打ちひしがれた悲痛の叫びが胸を突いた。
 そのような絶望の淵から、子どもたちに希望の灯を与えたのが難民キャンプ内にある学校の愛情と才能にあふれる教師たちだった。
 彼らは子どもたちに歌を、踊りを、音楽を与えた。それは先祖伝来のリズムにのって体を揺らし、足を鳴らし踊るという、子どもたちの魂を揺さぶるものだった。

 ウガンダには全国20,000校を超す学校が参加をかけて挑む「全国音楽大会」というものがあり、学校の教師たちはこの大会の出場を目ざし、子どもたちを励まし、指導を続けた。
 楽器もない、衣装もない、無い無いづくしの中でも、子どもたちは水を得た魚のように生き生きと、そして急激に技量を伸ばしていった。
 やがて彼らは北部地区の予選を突破し、全国大会出場を決めた。紛争地域にあるキャンプ内の学校が全国大会へ参加できたのは歴史上初めてのことであり、記念すべき事件だったという。

 パトンゴ避難キャンプの学校の実力は首都カンパラにも届き、カンパラから音楽の専門家が指導に来るほど注目される存在となった。音楽大会にはさまざまな部門があるが、彼らが特に力を入れたのは、伝統舞踊、聖歌合唱、器楽の3部門だった。特に祖先からの大事な文化であり、代々受け継がれてきた伝統舞踊には特別な思いで臨んだ。

 初出場、しかも無い無いづくしという圧倒的なハンディを背負いながらも、彼らは持てる力の全てを注ぎ込んでステージで歌い、そして舞った。
 その結果、器楽部門で木琴を演奏した子が最優秀器楽奏者に選出され、伝統舞踊の部門では見事最優秀賞を獲得したのだった。

          
          ※ 手作りに近い木琴を演奏し、見事最優秀器楽奏者に選ばれた子(だと思います)

 この映画はフィクションではない。ドキュメンタリーだからこそ見る者の心を強く打った。
 アフリカは映画が扱ったウガンダだけではなく、いまだに民族紛争が各地で勃発しているというニュースが届く。
 庶民や子どもたちにとって理不尽な殺戮を繰り返すこうした戦いが一刻も早く終焉するような時代が到来することを望みたいものである。


《余話》
 今夜はサッカーアジアカップの予選第三試合対ヨルダン戦でした。
 本当はクラシックの演奏会に出かける予定でしたか、過去のヨルダン戦から考えてけっして侮れない相手のため、ちょっと心配になりサッカー観戦を優先させました。
 結果は日本の完勝でした。これまでの予選三試合を観戦して、日本はアジアにおいては頭一つ抜け出ているかな?という印象です。
 とは言っても、これからは決勝トーナメントの一発勝負ですから何が起こるか分かりません。
 ドキドキ、ハラハラしながらこれからの試合も見守るつもりです。