12月15日に安倍首相とロシア・プーチン大統領が、山口県長門市での会談が決定したことが報じられてから、国内では俄かに慌ただしくなってきた感がある。果たして解決はあるのか?識者を招いてのフォーラムが開催され、識者の考えに耳を傾けた。
10月5日(水)夜、道新ホールにおいて、「共同宣言60年 北方領土交渉の行方」 と題する道新フォーラムが開催された。
登壇者は、
◇元外務官僚で欧亜局長などを務め、現在京都産業大学教授の東郷和彦氏
◇国際関係理論が専門の中央大学教授の泉川泰博氏
◇モスクワ国際関係大学東洋学講座長のドミトリー・ストレリツォフ氏
の三人が登壇し、北海道新聞社の編集委員で長く北方領土の取材を続ける本田良一氏がコーディネーターを務めた。
道新ホールは満席で700人収容だそうだが、かなり空き席が目立ち、欲目に見積もっても参加した聴衆は300前後といった感じだった。
フォーラムは本田氏の共同宣言後の日ソ(日ロ)交渉の60年の歩みの概略の説明があり、その後3人の登壇者がそれぞれ15分ずつ、今後の北方領土交渉の行方を語った後、互いの見方・意見を交流するパネルディスカッションに入った。
それぞれの考えや意見が述べられたが、逐一メモすることができなかった。さらには、この問題がこれから両国間においてどう動くのか、微妙な問題ということもあり、私のレポは三者の発言から感じられたことを、私の印象として記すことに留めたいと思う。
まず、四島の帰属に関することであるが、このことについては東郷氏、泉川氏ともに四島全ての返還を求める交渉は現実的ではない、との認識を示したのではと私は感じた。
さらに、ドミトリー氏は、モスクワの空気として二島(国後・択捉)はもちろんのこと、残る二島(歯舞・色丹)についてもロシア領土だとする考えが圧倒的であるという。このことから、プーチンがぎりぎり譲歩したとしても二島返還論が現実的ではないか、との見方を示した。
さらには、12月15日の安倍・プーチン会談で一挙に問題が解決するなどという幻想を持つべきではないということについても東郷氏、泉川氏の見解は一致したようだ。
ここでドミトリー氏から興味深い発言があった。ドミトリー氏も問題の解決は簡単ではないとしながらも、「プーチンは俳優である」という意味のことを発言した。つまり彼は意外性があるというのだ。あるいは大方の識者が考えているような予想を覆すように結論が出される可能性がないとも言い切れない、と発言された。
この問題について、安倍首相も前のめり的なところがみられると言っても良いと思われる。そういう意味では、12月15日の会談は注目すべき会談ということが言えそうだ。
安倍・プーチンの今回の会談は、国と国の領土に関する問題である。私のような一庶民がコミットするような小さな問題ではない。
ただ、日本の世論が四島一括返還論一辺倒だったこれまでの空気が、このところ微妙に変化してきたことを感ずるのである。
安倍首相は「懸案を解決する」と意気込んでいるという。いつ、どのような形で解決するのか、一庶民として注意深く見守りたいと思う。
なお、フォーラムの詳細については13日の道新朝刊に掲載されるという。興味のある方はそちらを参照いただきたい。
10月5日(水)夜、道新ホールにおいて、「共同宣言60年 北方領土交渉の行方」 と題する道新フォーラムが開催された。
登壇者は、
◇元外務官僚で欧亜局長などを務め、現在京都産業大学教授の東郷和彦氏
◇国際関係理論が専門の中央大学教授の泉川泰博氏
◇モスクワ国際関係大学東洋学講座長のドミトリー・ストレリツォフ氏
の三人が登壇し、北海道新聞社の編集委員で長く北方領土の取材を続ける本田良一氏がコーディネーターを務めた。
道新ホールは満席で700人収容だそうだが、かなり空き席が目立ち、欲目に見積もっても参加した聴衆は300前後といった感じだった。
フォーラムは本田氏の共同宣言後の日ソ(日ロ)交渉の60年の歩みの概略の説明があり、その後3人の登壇者がそれぞれ15分ずつ、今後の北方領土交渉の行方を語った後、互いの見方・意見を交流するパネルディスカッションに入った。
それぞれの考えや意見が述べられたが、逐一メモすることができなかった。さらには、この問題がこれから両国間においてどう動くのか、微妙な問題ということもあり、私のレポは三者の発言から感じられたことを、私の印象として記すことに留めたいと思う。
まず、四島の帰属に関することであるが、このことについては東郷氏、泉川氏ともに四島全ての返還を求める交渉は現実的ではない、との認識を示したのではと私は感じた。
さらに、ドミトリー氏は、モスクワの空気として二島(国後・択捉)はもちろんのこと、残る二島(歯舞・色丹)についてもロシア領土だとする考えが圧倒的であるという。このことから、プーチンがぎりぎり譲歩したとしても二島返還論が現実的ではないか、との見方を示した。
さらには、12月15日の安倍・プーチン会談で一挙に問題が解決するなどという幻想を持つべきではないということについても東郷氏、泉川氏の見解は一致したようだ。
ここでドミトリー氏から興味深い発言があった。ドミトリー氏も問題の解決は簡単ではないとしながらも、「プーチンは俳優である」という意味のことを発言した。つまり彼は意外性があるというのだ。あるいは大方の識者が考えているような予想を覆すように結論が出される可能性がないとも言い切れない、と発言された。
この問題について、安倍首相も前のめり的なところがみられると言っても良いと思われる。そういう意味では、12月15日の会談は注目すべき会談ということが言えそうだ。
安倍・プーチンの今回の会談は、国と国の領土に関する問題である。私のような一庶民がコミットするような小さな問題ではない。
ただ、日本の世論が四島一括返還論一辺倒だったこれまでの空気が、このところ微妙に変化してきたことを感ずるのである。
安倍首相は「懸案を解決する」と意気込んでいるという。いつ、どのような形で解決するのか、一庶民として注意深く見守りたいと思う。
なお、フォーラムの詳細については13日の道新朝刊に掲載されるという。興味のある方はそちらを参照いただきたい。