漫画の世界のような結果にはならなかったけれど、これが “リアル” な世界なのだと思う。しかし、今年のメジャーリーグオールスターゲームは間違いなく「大谷の、大谷による、大谷のためのオールスターゲーム」だった…。
昨朝、今朝と私はテレビの前にかじりついた。それはもちろんメジャーリーグのオールスターゲームでの大谷翔平選手の活躍を見守るためである。
まず昨日の「ホームライダービー」である。レギュラーシーズンで圧倒的にトップを走る大谷選手は優勝候補のトップとして登場したが、それが気負いにつながったのだろうか?当初はなかなかボールに角度がつかずホームランの量産とはならなかった。しかし、さすがはホームランバッターである。後半にホームランを量産し相手バッター(ファン・ソト選手)と同数となり、延長戦に持ち込んだ。延長戦でもまたまた同数。再延長戦で惜しくも相手に勝利を譲る結果となった。一回戦で敗れはしたものの、大谷は球場はもとより、テレビで見守った多くのファンに間違いなくホームランバッターの片りんを見せつけたと思う。
そして本番の今朝である。大谷はア・リーグチームの一番打者にして先発投手という前代未聞の形での出場となった.DH部門と、投手部門と両方で選出された大谷選手のために、メジャーリーグは大谷選手のために特別ルールを作り、大谷選手が「リアル二刀流」で出場することを認めたのである。まさに「大谷の、大谷による、大谷のためのオールスターゲーム」となったのである。
試合の方であるが、まず打者大谷として一番バッターで登場した。私が本日のゲームでやや残念に思えたのはこの大谷の打者としての場面だった。大谷は二度のバッティングチャンスを与えられた。しかし、二度とも内野ゴロに抑えられてしまった。この二度の打者としての場面であるが、一度目は二球目を、二度目はなんと初球を打ったのである。私から見て少し淡泊だったかなぁ、というのが率直な感想である。もう少し好球を待っていればあるいはチャンスがあったのでは?というのが素人の浅はかな見方であるが…。
投手の方は先発投手という緊張する場面だったが、一人の打者も出塁させず三人で料理して責任を果たした。一番打者には大きな飛球を飛ばされたが、他は速球投手の称号である100マイル(約161キロ)の速球も交えて危なげなく片付け、勝利投手にも輝いた。
大谷選手は全米の野球ファンが見守る中で、特に緊張もせずに堂々とふだんの力を発揮してくれたと思う。夢に描いたような結果は得られなかったとしても、それが “リアル” な世界なのだ。だから戦い終わった大谷選手の表情からは清々しい笑顔が溢れ、「楽しめた」と屈託なく話す姿が印象的だった。
某テレビ番組で大谷選手の特集を放送していた。その中で、彼が日本人ばかりでなく全米の人たちをも虜にしてしまうのは、大谷選手の野球選手としての成績・力量が抜群なことがもちろん第一の理由だが、それ以外にも彼は人々を虜にする魅力にあふれていると評していた。その理由の第一は、彼が純粋に野球することを楽しんでいる姿が伝わっていること。第二に、彼のコメントはいつも気負わず自然体で素直なコメントが多いこと。さらにはアメリカ人に劣らない立派な体格を持ち、なおかつキュートな表情が女性ファンのみならず全ての人を魅了していること。等々、数え上げれば枚挙にいとまない。
彼は今得意の絶頂にいるはずなのだが、そのコメントからはそんなことをみじんも感じさせない謙虚さに溢れている。彼の性格からいって、そして昨年、一昨年と故障に泣いたことからいって、これからもけっして天狗になることなどないだろう。
かくして「大谷の、大谷による、大谷のためのオールスターゲーム」は大谷の魅力を満載にして終了したが、メジャーリーグはすぐに後半戦が始まる。疲労からの故障が本当に心配されるが、どうか無事に後半戦を戦ってほしいと願いたい。
コロナ禍で鬱々としている私たち日本人に一服の清涼剤を送り続けてくれる大谷選手に大きなエールを日本から送りたい。
※ 掲載した写真は全てウェブ上から拝借しました。