道内の生田流筝曲の奏者として自他ともに認める(?)河原雅楽真悠(かわはら うたまゆう)さんの演奏を聴いた。間近で演奏を聴くことができたために、細やかな技巧のあれこれを十分に堪能することができたロビーコンサートでした。
本日正午(正確には午後0時25分から)、札幌市役所ロビーで筝曲奏者の河原雅楽真悠さんの演奏をくことができました。
河原さんのプロフィールを拝見すると、東京藝術大学で邦楽を専攻された経歴を有する本格的な演奏家です。
私は本日演奏開演の40分ほど前に市役所に着いたのですが、用意された約60席の半分はすでに埋まっていました。ところが最前列に一つだけ空席があり、私は幸運にもその席を確保することができ、最前列に演奏を聴くことができました。
演奏時間はわずか30分間ということで、演奏された曲は次の2曲のみでした。
◆沢井忠夫/火垂るⅡ~筝独奏のために
◆宮城道雄/数え歌変奏曲
間近で演奏を聴くことにより、いろいろと発見がありました。
まず、奏者は右手の親指、人差し指、中指の3本の指にだけ演奏用の爪を装着していました。この爪が生田流では四角い形状をしていて、その角の部分で演奏します。(もう一つの流派である山田流は爪の先端が丸く尖るようになっているそうです)
演奏の際は主として、その3本で弦を弾くことが多いのですが、爪を装着していない指、また反対の左手でも弾く場合がありました。
さらに、左手は柱(じ)の反対側の弦を強く抑えることによって音程を変えるはたらきもしていました。
そしてそして、演奏中に柱(じ)の位置をずらして音程を変えるようなことも行っていました。
その他、弦の弾き方にもいろいろと違いがあり、素人には分かりかねる技巧がたくさん隠されているように思われました。
その技巧のあれこれを十分に見せてくれたのが一曲目の「火垂るⅡ~筝独奏のために」でした。そして曲間に河原さんの解説がありました。その中で筝の世界では偉大な功績を遺された宮城道雄についてお話されました。宮城道雄は現代筝曲の世界において、さまざまな改革を行い、今なお筝曲の世界では絶大な影響力を誇っている方だと話されていました。
その宮城道雄が作曲した「数え歌変奏曲」は、私のような素人でもどこかで聴き憶えのあるメロディーが挿入されていたために、筝の良さを感じながら聴くことができました。
わずか30分間の演奏でしたが、間近で演奏を拝見できたことも手伝い、私にとってはとても意味のある30分間でした。
※ 本コンサートでは写真撮影が許可されたこともあり、演奏中の河原雅楽真悠さんを写すことができました。