“荒唐無稽”と称したら熱心なファンからお叱りを受けるだろうか?めったやたらに拳銃やライフル銃をぶっ放し、人の命は虫けらのようにあつかわれている。マカロニウェスタンの面目躍如といえばそれまでなのだが…。
またまた BS映画である。NHK・BSの映画放映のラインナップも多彩である。
映画は1956年のイタリア制作の映画である。この映画でならず者のリンゴー役を主演したジュリアーノ・ジェンマ(映画主演時はモンゴメリー・ウッド)は人気を博し、一躍スターダムに駆け上がった記念碑的映画でもある。
さて、ここでは「夕陽の用心棒」そのものについては敢えて触れずに、マカロニウェスタンについての思いを綴ってみたい。
※ 主演のリンゴー役を演じたジュリアーノ・ジェンマ
マカロニウェスタンという名称は、日本でもってつけられた名称だという。それはイタリア製の西部劇を指し、ロケ地は主に隣国にスペインで撮影された映画だということである。
マカロニウェスタンの始まりは1964年制作で、クリントイーストウッドが主演した「荒野の用心棒」が始まりのようである。その後「夕陽のガンマン」、「夕陽の用心棒」と続いて爆発的なヒットを重ねて、1965年から500本を超えるマカロニウェスタンが量産されたという。1965年というと私がちょうど大学に入学した年である。私も少ないながらも何本かのマカロニウェスタンを胸躍らせながらスクリーンを見入った記憶がある。私はリード文で“荒唐無稽”と表現しながら、当時は胸躍らせていたのである。
それは何故だったか?一つはマカロニウェスタンが、それまでのアメリカ西部劇とは対照的な映画だったということである。アメリカ西部劇が描いた勧善懲悪的で、単純なストーリーであったのに対して、マカロニウェスタンはニヒルで暴力的な主人公が登場し、暴力的な場面が次々と現れるなど、「アンチアメリカ西部劇」路線を取ったことが当時は多くの人から支持されたということのようだ。
※ リンゴーの敵役のサンチョ役を演じたフェルナンド・サンチョ
また、マカロニウェスタンではエンリオ・モリコーネの口笛を使ったテーマ曲も効果的に作用したようだ。私の中では今でも彼の曲が口を突いて出てくることがある。
しかし、ブームはそれほど長くは続かなかった。刺激が強かった分、飽きもまた早かったということか?
「夕陽の用心棒」はマカロニウェスタンブームに火を点ける役割を果たした映画としてファンの間には長く記憶に残っている映画なのかもしれない。
マカロニもアメリカンも小学生のころに同時に観始めたので、どちらもそれほど違和感なく楽しめました。アメリカンウエスタンといっても、白黒の名作ではなく「荒野の七人」など活劇要素の強い作品がテレビ放送の中心だったことも影響しているのかな。
テレビで観た西部劇のタイトルを手帳に書き付けていた紅顔の美少年時代ははるか遠くなりました…。
そうですね。出ちっゃ太さんと私では、マカロニウェスタンに関わるシチュエーションが違いますね。私の場合は本文にも書きましたが同時代的に楽しんだ世代でした。
題名の件ですが、おっしゃるとおりで粗製乱造だったためか、もう似たような題名が乱立していましたね。今回、私がレポする際も何度も間違えたくらいですから…。
「夕陽の用心棒」と「荒野の1ドル銀貨」はどちらが先かという件については既にお分かりだと思いますが、質問ですので一応答えておくと、同じ年に発表されたようですが、「夕陽の用心棒」の方が早かったようですね。