講師の香山リカ氏は言う。「日本人は自分に厳しすぎる」と…。もっと自分を開放し、ストレスに悩まされず、元気に生活しょう!と私たちに呼びかけた。
昨日(26日)午後、北海道立道民活動センター(かでる2・7)において、道民カレッジ「かでる講座」の第1回講座が開講され受講した。
テーマは「ストレスに負けずに元気に暮らす」と題して、むかわ町国民健康保険穂別診療所の副所長を勤める香山リカ氏が講師を務めた。
香山氏というと、精神科医であり、立教大学で教鞭をとっていたが、一時はマスコミから引っ張りだこでコメントを発していた有名人である。それがなぜ過疎化の著しい北海道の片田舎であるむかわ町に一医師として転進したのか?香山氏はそのことから話を始めた。
香山氏の言によると、コロナ禍となり大学の授業がオンラインとなり学生の反応も分からない授業に魅力を感ずることができず、「もう後輩の人たちに譲ってもいいかな?」という心境になったことと、アフガニスタンで不慮の死を遂げた中村哲医師の生き方に感銘を受け、中村氏の「一隅を照らす」という言葉に触発されたという。そこで中村氏のような生き方をしたいと考え、総合病院で一年間臨床医としての研修をしたという。2003年4月、縁あって穂別診療所の副所長として赴任し、現在に至っているとのことだった。
漏れ伝わるところによると、コトはそれほど単純ではなさそうだが、本稿ではそのことが目的ではないので触れることは避けることにしたい。
そのことはさておき、本題に関しての香山氏のお話はとても興味深いものだった。
香山氏はまずご自分の診療所における患者の方の例から話を始めた。その患者の方は回復の見込みも立たない寝たきりの重篤な患者だという。しかし、その患者は今やれること、やれそうなことに、前向きに挑んでいるそうだ。もう歳だからとか、先が短いから、などと考えずに生きる姿が素晴らしいと香山氏は語った。きっとその患者はストレスなど感ずることなく余命を生きているのではないかと…。
このような具体例を交えながら香山氏は多くの事例を紹介し、ストレスに負けない生活のススメを語った。その語録を紹介したい。
◇自分で枷(かせ)を嵌めることはない。(枷を嵌めることでストレスを発生する)
◇日本人は自分に厳しすぎる。もっと自分自身を肯定せよ。
◇他人と比べることを止めよう!(他人と比べることはストレスの種になる)
◇自分で自分にストレスを与えない。
◇今やりたいことは、遠慮せずにやることが良い。
◇行きたいところに行ってみよう!(旅のススメ。ストレス解消法)
◇人に頼ることを恐れるな。もっと他人に頼ろう。
◇過去の栄光にすがれ!(もっと自分を自慢していいのではないか)
◇リラックスして眠りに就こう。
などなど、傾聴に値する数々の言葉をいただいた。
世界の若者と日本の若者を比較した時に、“自分自身を肯定する” 割合が日本の若者はいつも最も低いという結果になるという。これは我が国においては “謙譲” などという行為が美徳とされる国民性が影響しているともいえるかもしれない。しかし、ストレスを溜めないためにはもっと “自己肯定感” を高めよう!と香山氏は強調された。香山氏の論には賛成である。と同時に自らの生き方・行動に自信をもてるよう生きていくことも大切なことだと悟らされた講演だった。