鮎と戯れて・・・魚族に感謝

東北地方を中心とした短い夏のあまり多くない鮎釣りの記録。家族に感謝して。近くの広瀬川の環境等にも拘るも、オフは時事問題も

苦悩から苦悩へ

2011-05-16 21:26:29 | お知らせ

 今日も朝日歌壇から始まります。(作者の方、選者の先生、再掲をご了承ください。)

 先週の朝日歌壇については11日のブログで取り上げさせていただきました。そのなかで「がんばれ」という言葉についての短歌2首をお知らせして、私のコメントをつけさせていただきました。

 今週も掲載されていました。「がんばれ」という言葉は禁句にして欲しいものです。

 「頑張って」「がんばれ」「ガンバレ」もう沢山!私とっくに頑張っています      (仙台市:坂本 捷子さん)

 それと同じくらい「日本は強い国」とかくり返されるのもいい気分ではありません。やめて欲しいです。

 大戦の前夜の如き響きもて繰り返される「強い日本」                     (東京都:津路野志峰さん)

 亡くなった子どもへの思いがひしひしと伝わってくる短歌です。

 入学式の返事の中に低い声遺影を抱いた母親の声                 (塩尻市:百瀬 享さん)

 遺影抱く入学式こそ悲しけれ呼ばれし名前「はい」と言う声             (松原市:北岡 稔さん)

 起立する子等のうしろに遺影抱く入学式に二人の母よ                      (千葉市:加藤 伊津さん)

 今日の東日本大震災を歌った短歌の中で、一番強烈な印象が残ったのは次の短歌です。

 油ねべ車うごがね雪降るべはだしでどごでも逃げらんにべさ            (神栖市:香島之魯鈍さん)

 西暦2011年3月11日金曜日午後2時46分の巨大地震と巨大津波、その被害に遭った人の心情をこれほど端的に表現している歌はないと思います。実際に体験した人でなければ作れない、作ったのではない、語れない言葉だと思います。いかにも東北人らしい朴訥な、もうどうしようもない悲しみに打ちひしがれた人の押し殺したつぶやきに圧倒されます。言葉がでません。

 

 そしてきょう5月16日は忘れられません、去年のきょうですが、初めてベートーベン第九の合唱の練習がスタートした日なのです。そうなのです、私にとっても苦難のスタートだったのです。いとも簡単に考えていた自分の甘さにほとほと嫌気が差し、これからどうしようかとまじめに迷った日でした。スタートから止めようかなと思ってしまったのですから。

 楽譜を見ています。5月16日は第4楽章の257小節から264小節、それと543小節から590小節まで習ったのです。合唱全くの初心者である私が最初からこんなに歌わせられたのです。いや、歌えるはずがないではないですか。

(257~264小節)

 Deine  Zauber binden wieder, was die Mode strengeteilt; alle Menschen werden Bruder, wo dein sanfter Flugelweilt.

(543~590小節)  ※ 下線引きの文字はウムラウトです。

  Freude, schoner Gotterfunken, Tochter aus Elysium, Wir betreten feuertrunken, Himmlische, dein Heiligtum! 以下上記の文言(257~264小節)が繰り返されます。

 ベートーベンといえば”苦悩をつきぬけ歓喜へ”となるのですが、その時はとてもとてもそんな気分にはなれませんでした。”苦悩に負けて苦悩の底へ”とでもいうような心境でした。とんでもないところに来てしまったと後悔しました。

 でも、でも一時はとてもとても無理だと思ったのですが、悔しさと負けず嫌いと執念、日々の練習で何とか乗り切ったのです。なせばなったのです。

 そうなんだな、なせばなる!前に進まなければ、いつまでも落ち込んでいられない、停滞していられない、のだ!

 

 


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