そう言うと、小さく可愛らしいイチゴの鉢植えを想像しがちだが
でも 確かに最初はそうだった…。
ちょうど 一時期、誰もが幸せのワイルドストロベリーにハマってしまい
目の色を変えて、苗を譲ってください…と探し回っていた。
それほど 園芸ショップにも品薄な商品だったのだが。
ホームセンターの園芸コーナーの片隅を見ると
半分枯れかけたのとか根ぐされを起こした瀕死の植物たちが
今か今かと自分の将来を悲観しながら日の当たらない場所でたたずんでいる。
そんな 植物たちと運命的な何かを感じた植物を探すのが好きだった。
かなり 回りくどい言い方をしてしまったが
そんな場所から、ただ同然のようなワイルドストロベリーを手に入れた。
単に、あういう場所は数多い植物たちに手が回らなくて
水分不足の事が多い。
ワイルドストロベリーも、その口だった。
家に持って帰り、小さな可愛らしい鉢に植え替えたっぷりと水をあげた。
何でもそうなのだが、手をかけてあげればそれに答える。
ワイルドストロベリーも同じで、小さな可愛らしい鉢で復活の兆しを見せた。
ただ 時期的なものなのか、なかなか花をつけてはくれなかったのだが…。
だからこそ 初めて小さなつぼみらしいものを見つけたときは
してやったり!と、思わずほくそ笑んだ。
それからだ。
どんどんと自分を主張し始めて、小さな鉢いっぱいに成長し続けたのだが
いかにも 幸せを叶えるワイルドストロベリーとは言え
あまりに大きくなってしまうと可憐らしさがない。
白い花を咲かせると幸せになれると言われていても
あんまり幸せが多すぎるのもなぁ…。
幸せと不幸は背中合わせだと思うとその反動が怖いような気がする。
今日もあの小さな赤い実をつまんで口に運ぶ。
普通のイチゴとは違う味わいで、何でもジャムにも出来るそうなのだが
ジャムを作るには、我が家の猫の額ほどの畑いっぱいに栽培しなければ無理なようだ。
ちょっと 作ってみたいような気もするがやめておこう。