あんな話こんな話

会津生まれの会津育ち…三匹の猫と柴ワンコや家族に囲まれ、家庭菜園に勤しみ都会には住めそうにないローカルな私の日常。

はめられる事がなかった指輪

2009-08-20 23:11:59 | ひとりごと
先日 装飾店勤務の知り合いから聞いた話なのだが…。

とある高速道路で事故の為に亡くなった二人の若者がいた。
のちに知人がお焼香へ行った時、仏壇にそぐわないような
コジャレタ包装紙には、可愛らしいリボンがかかっていて
即死で車は壊滅状態だったにもかかわらず
その小箱は無傷で…その様子がいっそうの悲しみを誘った…と。





とある宝飾店の閉店間近に息を切らして駆け込んできた若者がいた。
ネットでも買えるのだが、そのお店とはわりと近い場所に勤めていたのか
実物を見てみたいとやって来たのだった。

その若者は実物を見るやいなや、嬉しそうに…やっぱり見て良かったと
そして、このペアリングを買う事に決めたのだが
残念な事に、手持ちのカードが使えなかったようで
お財布の中もわずかなお金だけ。

明日必ず来るので取り置きしたいと店員に申し込んだ。
本来ならば取り置きは、全額か一部手付金のようなものをもらってからの事なのだが
あまりに好青年だったためか、手付金なしでの取り置きを承諾した。

次の日やはり同じように閉店間近に息を切らしながらやって来た好青年。
待望のペアリングを手にして、嬉しそうに店員に話してくれたそうだ。
もう少しで彼女との記念日なので、その時に思い出の場所で
サプライズとして、このペアリングを送りたかったのだと。

普通ならば、そんなに高額ではないペアリングなどの装飾品を買った客は
一日に何人もいるので、数日も過ぎてしまったら記憶には残っていないのだが
閉店間際の来店と商品の取り置き、そして彼女へとサプライズを嬉しそうに語る
そんな好青年の姿は店員の心のどこかに残っていたのかもしれない。





その日…高速を思い出の場所へと走っていた…かどうか、定かではないが
まだサプライズ前だったようで、その真新しい箱があまりにも
仏壇の上の置かれているのが、場違いのような気がして…。

事故で好青年と彼女のカップルの訃報と、仏壇のペアリングの入った小箱に
誰か売った心当たりの人はいる?と上司に聞かれた店員が…ハタと思いだした。
息を切って駆け込んで、嬉しそうにペアリングを見つめて
少し照れくさそうに、サプライズを店員に話した。
きっと 誰にも内緒にしておきたい反面
誰かに良かったね…と言って欲しかったのかなぁ…。

嬉しそうにペアリングの小箱を抱えて帰る後ろ姿が
思わず涙で滲んで見えなくなった…そうだ。


という事で、道端の雑草をUP!


こんなふうに、からみつく事もあるんだね…。




コメント (20)
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