生死を賭けての激しい戦いの後、幸いにも生き残った人達には戦いに対する厳しい吟味が行われた。有馬陳の高名については七人の吟味奉行により、一番乗り・益田弥一右衛門、二番乗・都甲太兵衛、天草四郎首討取・陳佐左衛門等が名誉を得た。その後松井佐渡守・長岡頼母助・長岡右馬助・小笠原備前・清田石見・志水新之丞らが替わって、諸士の吟味を行った。東京在住・沢村家に残る史料は、その間の経緯が伺われて面白い。先祖沢村権十郎は綿孝輯録にも記載されている通り、縦横の働きを見せているが、其の働きを証言する書や、反対に証言を求める書が正月の日付けで提出された事が分かる。又吟味奉行から飯田安兵衛、杉山瀬兵衛、稲津九郎兵衛、郡安左衛門、矢野吉之允、永良添寛、樹下仙三郎らの働き振りに対して、証言を求める文書が残されている。「沢村権十郎が証人である」との当人達の申告に対し、詳細な説明を要求する吟味奉行の文書で、この様に沢山のものが残されていて大変興味深い。綿孝輯録にある如く、この中の数人が「御褒美」をえている。権十郎の証言が多いに役立った事がわかる。一方「手負い」しても、働きのなかったものに対してはなかなか厳しく、「働きなければ当然」という文言が厳しい。
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