五九九
寛政十年九月御達
一近年清水苔立方乏相成、御献上御用差支候ニ付、色々手 スイゼンジノリ
入等も被仰付候得共、其験も不相見次第ニ相減可申様子
ニ有之、右之通ニて御献上御用指支候様成行候ては難相
濟事ニ付重疊及吟味候處、何れニ川内荒レ候所より立方
減候と相聞候、依之神水村下川内苔立候所より兼々釣漁 現・熊本市東区神水
留傍示建置候處、猶又為見違さる間近ニ建方被仰付候條、
右傍示内ニて歩釣堅ク不仕様ニ、若犯禁之輩ハ見■役幷 ■扌偏に乄=締
川方小頭苔師共之内より姓名承届相達候様及達置候條、
自然心得違之面々等無之様可及達旨候、此段御同役へ御
通達、御組々えも可被成御達候、以上
九月 御郡方御奉行中
六〇〇
寛政十年十一月公義御觸
一近來品珎敷鉢植之もの、至て高直ニ賣買いたし候趣相聞
候、都て不用之品不相應ニ高價なるを翫ひ候儀は有之間
敷事ニ候間、高價ニ商賣致間敷段申渡候條、其旨相心得
候様向々え寄々可被達候
八月
六〇一
同年十月御達
一墓所掃除之儀付て、別紙之通諸寺院へ及達申候、此段一
統寄々知せ置候様と奉存候
十月廿三日 寺社方御奉行中
諸寺院之内、簿書御掃除等兼々申付行届候ハ畢竟住職之
心掛宜所よりと相聞尤之儀ニ候、然處間ニは墓所之掃除
等届兼候處も有之様子ニ相聞、旦家より之手入届兼候故
ニも可有之候得共、佛閣無懈怠掃除價申付との儀は、公
義御書付之内ニも相見候通ニて、總躰寺院は掃除等丁寧
ニ可仕儀ニ候處、右躰届兼候ては不都合之殊ニ候、且寺
院境内専菜園場も有之、是等は於寺院別て如何之事候條、
以來住職之身分委心を被用候様可申達旨ニ付、一統及其
達候條左様御心得、此段一統中へも可有御通達候、以上
九月 寺社方御奉行中
六〇二
寛政十年十一月御達
一近年御勝手向至て御難澁ニ及候段は、追々及達候通ニ候
處、去々辰年夥敷水害ニて御大切之場ニ相成候ニ付、即
年より當午富迄三ヶ年之間格別御省略被仰出置候處、前
段水害一件始末之御入目、幷荒地御損毛誠以莫大之儀ニ
有之、其段も不被得止不時之御物入等差加、今以御難澁
之御積合ニ有之候、依之來ル未年より戌年迄猶四ヶ年之
間御省略年限延方被仰付候間、彌已諸事去ル辰年被仰付
置候通一統相心得可申旨被仰出候事
右之通候條被奉畏、組々えも可被申渡候、以上
十一月十五日
六〇三
寛政十年十一月御達
一出火之節馬上ニて火事場壹丁内ニ乗込被申間敷旨、且見
物躰ニて立滞居不申様、先年より追々被及御達候處、近
來又々見物躰之者立滞居、火消方之妨ニ相成候様子相聞
不埒之至候條、以來火事場え不用之躰ニ相見立滞居候者
ハ、御役懸り之手付之者又は廻役より追退ヶ申筈ニ候、
尤すへニより姓名をも承り可申候、若働人を見違又は士
席之面々えも混雑之内ニ付行届兼、不敬之躰も可有之候
條、此段も兼て被承置候様
一風立候砌又は乾キ強キ折柄は、銘々屋敷内ニ用心水を汲
溜置、夜中隣家相互申談、無間断夜廻り有之候様との儀
も追々被及御達置候通、彌以無怠轉被相心得候様、右之
趣猶又一統可及達旨御用番被申聞候、且又かんとう笛と
唱指ニて吹候儀有之、右は下賤之者又は子供遊等之事ニ
は候得共、盗賊之合圖ニも紛候間、以來吹候者有之候ハ
ヽ廻役より及吟味不審ニ相見候ハヽ差留候儀も可有之
候、此段も一統可及達旨候條左様御心得、以下例文
十月廿九日 御奉行中
六〇四
寛政十年
一近年筒獵之過ニて人ニ中り果候者有之候ニ付ては、寛政
六年正月及達置候處、猶又當春於猪狩向も鐵炮之過有之
大切之事ニ候、實ニ過誤とハ乍申全ク用心居兼不案内よ
り之儀ニ付、追々右躰之儀有之候ては至て難相濟事候條、
彌以先年及達置候通精々子弟ニも心を可被附候、且近年
は幼年之輩も専筒獵有之様子相聞候、其人々才不才ニも
寄候事候へ共、十四五歳迄は炮術修行之間も無之、筒獵
之儀は矢向之用心等無心元事ニ付、自然此上御侍内ニな
と怪我等有之候ては必至度難相濟事候條、幼年之面々付
添居候者有之候ハヽ、其通容易ニ壹人立筒獵は不被致様
勿論先年及達置候通ニ付、何レも炮術師範門弟ニ相成稽
古有之、筒獵等之心得も得斗習受、萬端取扱等も物馴、師
匠/\よりも筒獵之儀も不苦段差免ニ相成候上、壹人立
之筒獵は被致候様、若自然達筋等等閑ニ被相心得、炮術
稽古も無之、怪我等於有之は屹ト其父兄も可為越度候
條、精々被附心候様、一統可及達旨御用番被申聞候條、
以下例之通
十一月十八日 御奉行中